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「ちょ、ちょっと、何いきなりぶち込んできてんの?」
「俺は前皇帝の側室の子なんだが、母親は人族だったから獣人として血が薄く生まれたんだ」
獣人族の国であるビスラトイルムでは皇帝になれるのは生まれた子の中で獣の血が濃い者のみ。現皇帝の腹違いの兄は、側室は何人もいた中で正妃から生まれた獣の血が強い人物だそう。彼以外有り得ないってくらい正当な世継ぎ。
ソランツェの母親は人族の国の貴族の娘だったらしいが外遊の時に見初められ側室入り。その後ソランツェが生まれたが血が薄く生まれた為に王位継承権が与えられる事は無く、忠臣の元へ養子に出されそこで育った。例の十歳の適性検査の結果、教会から聖騎士とならないかと言われそのまま家を出て十八歳まで聖騎士だったと。
「皇帝の周辺がって……」
「俺が力を与えられていると判った後、国民が全体的に獣の血が薄くなってきている中、血の濃さではなく力ある者が国が統べるべきだと俺を次期皇帝に担ぎ上げようとした者達やそれを阻止するべく俺を殺した方がいいと言う者達、色々いたぞ」
「えぇ……」
その時には身柄は既に聖騎士団にあり、教会から養父を経て前皇帝へ「欠片も興味無いから放っておいてくれ」っていう様な内容の手紙を送り一旦収まった。しかし、前皇帝死去後、兄が即位したとほぼ同時期に例のドラゴンが現れ、それを倒した事で担ぎ上げたい勢が水面下でまた接触して来たらしい。勿論、知らんと一蹴したら一応諦めたそうだが……
「本当に諦めてるとは思えない……」
「だから、また何か言ってくるかもしれんな、と」
「うわ~」
「何を言われても一蹴するだけだが、ビスラトイルム周辺に近寄らない方が良いだろうな」
うんうん、と頷く。あ、もしかして転々としてるのってそれも含めてって事なのか?
++++++
さてさて、俺の目的をもう一つ果たしましょう!とソランツェとの話の後、英気を養う為に二人で寝室のベッドで少し昼寝した。デカい天蓋付きベッドの王様感ってすごいよね。寝心地はアシュマルナ製には敵わないけど。
午後のお茶と共にジェロイスさんとお話をする。アルミオ達の話を出し、適性検査の時に、もし自分が孤児になった場合に頼りに出来る場所はあるんだという話を皆にして欲しいとお願いした。
やっぱりなって話だけど、ファンディオ内での俺達の動きは遠くから観察されていて、その報告を受けていたジェロイスさんはアルミオ達の事も知っており、俺達からのお願いを引き受けてくれた。
「孤児院にも限りがあるでしょうから簡単な話じゃないでしょうが……」
「貧しい国では定員超えの所もありますからな……」
建物の広さの限界でベッド数が足りなかったりする所もあるらしい。やっぱりそういう事もあるかあ……。
ちなみに、何も言われなかったし俺が表に出て何かさせられる事はないっぽい。
「あの、その適性検査ってのは、やっぱり青田買い……って通じないかな……、えっと、優秀な人材を確保みたいな目的でずっと行われてるんですか?」
ソランツェはそれで聖騎士になったらしいけど、どうにかなんないのと思うのは水属性の子達の話。
「そうですな……。過去を遡ってみましても元々それが目的だった様です。今では知った適性を元に職業を選ぶなどしておりますし……それによる問題も無い訳ではないですが、既に適性を知る事は生活に根付いてしまっていますので、悩ましく難しいところですな」
国や貴族に連れて行かれる事は、水属性を得た孤児や貧しい生活の子にはそれが有り難い事でもあると……。でも、そうでない子もいるんだし……
「判定の時に属性が他の人に判らない様に出来ないんですか?」
「別室で一人ずつと、気を付けてはいるようですが、大抵は本人や親の反応などから目星を付ける様です」
あー……急に親が子供を守りだしちゃったり、魔法使えるようになったら大多数の子は使ってみちゃったりするのに不自然過ぎるくらい全くその素振りを見せないとか?
「大神官殿を前にして言うのも……だが……、祖国の教会では金を受け取り手引をしていた者がいた」
「うわー……」
「お恥ずかしい話ですが、やはりそういった事も御座いますな。処分はしておりますが……」
完全には無くならない、と。うーん……。ホントそこら辺どうにかなったらいいなって思う……。俺も考えてみようと思うが、やっぱりこの世界の事をもう少し知らなきゃなっつ―事で、旅をするのは変わらないな。うん。
++++++
旅を続けるにあたって、公表はしてもファンディオの冒険者ギルドでの件みたいな事があるかもしれないし、あってはならないとの事で、何かあれば近付くが基本距離を取るし街の中だけでいいから護衛を付けさせてくれとお願いされた。まあ、そうでしょうよ。
俺は愛し子っつーか『神の子』なんだろうし付けない訳にはいかないんだろうなあってのはもう理解したから、馬車での移動中や依頼を熟してる時などは付かないって事ならという事でOKした。街から街へ移動する際にどこに向かうのか教えれば、ライアス達は転移門を使って移動しておくみたい。
どうなるか判んないけど、とりあえず、こんな感じで旅をするぞ、と決定。問題があればまた変えればいいんだしな。
「俺は前皇帝の側室の子なんだが、母親は人族だったから獣人として血が薄く生まれたんだ」
獣人族の国であるビスラトイルムでは皇帝になれるのは生まれた子の中で獣の血が濃い者のみ。現皇帝の腹違いの兄は、側室は何人もいた中で正妃から生まれた獣の血が強い人物だそう。彼以外有り得ないってくらい正当な世継ぎ。
ソランツェの母親は人族の国の貴族の娘だったらしいが外遊の時に見初められ側室入り。その後ソランツェが生まれたが血が薄く生まれた為に王位継承権が与えられる事は無く、忠臣の元へ養子に出されそこで育った。例の十歳の適性検査の結果、教会から聖騎士とならないかと言われそのまま家を出て十八歳まで聖騎士だったと。
「皇帝の周辺がって……」
「俺が力を与えられていると判った後、国民が全体的に獣の血が薄くなってきている中、血の濃さではなく力ある者が国が統べるべきだと俺を次期皇帝に担ぎ上げようとした者達やそれを阻止するべく俺を殺した方がいいと言う者達、色々いたぞ」
「えぇ……」
その時には身柄は既に聖騎士団にあり、教会から養父を経て前皇帝へ「欠片も興味無いから放っておいてくれ」っていう様な内容の手紙を送り一旦収まった。しかし、前皇帝死去後、兄が即位したとほぼ同時期に例のドラゴンが現れ、それを倒した事で担ぎ上げたい勢が水面下でまた接触して来たらしい。勿論、知らんと一蹴したら一応諦めたそうだが……
「本当に諦めてるとは思えない……」
「だから、また何か言ってくるかもしれんな、と」
「うわ~」
「何を言われても一蹴するだけだが、ビスラトイルム周辺に近寄らない方が良いだろうな」
うんうん、と頷く。あ、もしかして転々としてるのってそれも含めてって事なのか?
++++++
さてさて、俺の目的をもう一つ果たしましょう!とソランツェとの話の後、英気を養う為に二人で寝室のベッドで少し昼寝した。デカい天蓋付きベッドの王様感ってすごいよね。寝心地はアシュマルナ製には敵わないけど。
午後のお茶と共にジェロイスさんとお話をする。アルミオ達の話を出し、適性検査の時に、もし自分が孤児になった場合に頼りに出来る場所はあるんだという話を皆にして欲しいとお願いした。
やっぱりなって話だけど、ファンディオ内での俺達の動きは遠くから観察されていて、その報告を受けていたジェロイスさんはアルミオ達の事も知っており、俺達からのお願いを引き受けてくれた。
「孤児院にも限りがあるでしょうから簡単な話じゃないでしょうが……」
「貧しい国では定員超えの所もありますからな……」
建物の広さの限界でベッド数が足りなかったりする所もあるらしい。やっぱりそういう事もあるかあ……。
ちなみに、何も言われなかったし俺が表に出て何かさせられる事はないっぽい。
「あの、その適性検査ってのは、やっぱり青田買い……って通じないかな……、えっと、優秀な人材を確保みたいな目的でずっと行われてるんですか?」
ソランツェはそれで聖騎士になったらしいけど、どうにかなんないのと思うのは水属性の子達の話。
「そうですな……。過去を遡ってみましても元々それが目的だった様です。今では知った適性を元に職業を選ぶなどしておりますし……それによる問題も無い訳ではないですが、既に適性を知る事は生活に根付いてしまっていますので、悩ましく難しいところですな」
国や貴族に連れて行かれる事は、水属性を得た孤児や貧しい生活の子にはそれが有り難い事でもあると……。でも、そうでない子もいるんだし……
「判定の時に属性が他の人に判らない様に出来ないんですか?」
「別室で一人ずつと、気を付けてはいるようですが、大抵は本人や親の反応などから目星を付ける様です」
あー……急に親が子供を守りだしちゃったり、魔法使えるようになったら大多数の子は使ってみちゃったりするのに不自然過ぎるくらい全くその素振りを見せないとか?
「大神官殿を前にして言うのも……だが……、祖国の教会では金を受け取り手引をしていた者がいた」
「うわー……」
「お恥ずかしい話ですが、やはりそういった事も御座いますな。処分はしておりますが……」
完全には無くならない、と。うーん……。ホントそこら辺どうにかなったらいいなって思う……。俺も考えてみようと思うが、やっぱりこの世界の事をもう少し知らなきゃなっつ―事で、旅をするのは変わらないな。うん。
++++++
旅を続けるにあたって、公表はしてもファンディオの冒険者ギルドでの件みたいな事があるかもしれないし、あってはならないとの事で、何かあれば近付くが基本距離を取るし街の中だけでいいから護衛を付けさせてくれとお願いされた。まあ、そうでしょうよ。
俺は愛し子っつーか『神の子』なんだろうし付けない訳にはいかないんだろうなあってのはもう理解したから、馬車での移動中や依頼を熟してる時などは付かないって事ならという事でOKした。街から街へ移動する際にどこに向かうのか教えれば、ライアス達は転移門を使って移動しておくみたい。
どうなるか判んないけど、とりあえず、こんな感じで旅をするぞ、と決定。問題があればまた変えればいいんだしな。
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