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「俺が判らないとでも思ったか、女」
えーっと、どうしたものかなあ、これ。
俺はソランツェの腕の中にいて、ソランツェは抜刀していて、うさ耳ガールは震えていて、周りは凍り付いていて……。
ギルド内静まり返ってます。
な~んでこんな事になったかっていうと、大きい声でわざわざ誘導するのでうさ耳ガールご指定の席に行かない訳にもいかず行った所、わざわざ俺の為に背後で椅子を引いてくれたうさ耳ガールがやらかしちゃったんだよね。
俺が座ろうとした時に小さい撒菱みたいなやつをパッと座面にね、やったみたいで……。俺は気付かなかったがソランツェが気配に気付かないはずがなく座面に到達する前にガッと引っ張り上げられて事無きを得たんだけど。
誰かのが一つ落ちてたって事にして、こんなの落ちてるって気付かなかった~ごめんなさい~みたいにやろうとしたかったのかなあ……??
本人としては小さい嫌がらせ行為だったんだろうけど、相手が俺って事は……ねぇ。ユーゴの時はソランツェのわざとだったけど今回は……。
わーお、どうなっちゃうんだろー。
「え?! きゃっ、ぁいや……あのっ」
「誰に危害を加えようとしたと思っている」
「っひぃいっ!!」
「俺の「わー! ソランツェ待って待って! やめて!!!」
軽く現実逃避してる間に、ソランツェが彼女の首に剣先が触れるって位置にまで剣を近付け始めたので、慌てて止めた。このまま行ったらマジでどうなるか判らない。
剣を持つ手を遠ざけさせてからソランツェの腕から体を無理矢理脱出する。俺が庇うのもおかしな話だが、うさ耳ガールの前に割り込む様に立つとソランツェは剣を下した。
「……なぜやめる必要がある」
「俺は大丈夫なの判ってるだろ?!」
「問題はそこではないのは判っているだろう」
「……それは判るけど! 未遂だった!」
「未遂でもリヒトに害意持った事こそが問題だ」
「あーもー……そうかもしれないけど……剣はさ……」
聞いている周り人達は凍り付いていた様だったのからは戻ったが、危害を加えられそうになった謎人物とそれを未然に防いだソランツェとが言い合っているという事態に戸惑っている。俺達の会話が俺の正体を知らなきゃ理解出来ない内容だから当然だ。
ソランツェは周りがどういう事だとざわざわしだした事にやれやれという様にため息を吐くと
「では、私に処理をさせないというのならば、ここに紛れ潜んでいると思われる教会の者に引き渡すという事でよろしいですね?リヒト様」
「えええええ……」
この状況でその口調に戻す?!と俺が唖然としていると、ソランツェの言葉に一層騒々しくなった周りを囲んでいた冒険者達の中から、男性二人女性一人が俺達の元に進み出てきて跪く。あー……もう………またぶっ倒れていいかな……?
「ああ、やっぱり居たな。連れて行ってくれ。一応リヒト様が庇われた命だ、殺しはするなよ」
彼らは短く返事してうさ耳ガールを引っ立てようとすると、今まで大人しくというよりは呆然としていて静かだった彼女が自分の行く末に気付いたのか自分は何もやっていないと暴れ出した。うーわー……と思っていたら
「嘘吐くんじゃないよ! アンタいっつも似た様な事やってんじゃないか!!」
「気に入った男の周りの人間に嫌がらせするって有名だろう―が!」
「ギルマスの愛人だから今まで目溢しあっただけなんだぞ!!」
と男女問わず声が上がり続々と彼女の悪行暴露が続く。毒入りの飲み物飲ませたりとかやる事が怖いよガール……。
「うっさいわね! ブス共は黙ってなさいよ!!!」
周囲に食って掛かるように、より一層暴れ出した彼女を捕まえてる教会の人達もドン引きしてるしなんかもうとんでもねえ事になってるよ……。
ソランツェの方を見るとやっぱり呆れ返っていて俺の視線に気付くとスッと近付いて来て背中を撫でてくれた。これはもう……ダメかもしれないと、ある決意をした所でーー
「おい! これは何があったんだ!」
収集不能なカオス極まりないこの状況を崩す様に怒号が響き渡る。声のした方を向くと、ギルドマスターを呼びに行ったアレンさんとその前をズンズンと歩いてくる赤毛のでっぷり太ったおじさんが居た。
「マスタァ~!」
救いの手が来た!とうさ耳が媚び全開の声で、何かみんなが~とマスターに急いで大声で話し掛けているが彼は反応しない。どうも彼は俺の情報を知っている様で、うさ耳含む騒ぎの中心にソランツェと俺を見つけてめちゃくちゃ顔を引き攣らせている。事態を瞬時に察したみたいだなー……これは野放しにしていた自分の愛人がいつもと同じ様な事をやらかした結果だっていうの……。
で、マスターの登場にうさ耳ガール以外が静まり返って彼に注目している中、俺と目が合うなり彼はその場にひれ伏し
「私の管理が行き届いておらず、愛し子様におかれましてはご不快な思いをなされた事と存じます。誠に申し訳ございません!」
まあ、こうなるわな。つーか、愛し子って言っちゃやだー……。
さて、予想通り愛し子様ってどういう事だと周りはますます混乱しがやがやし始める中、自分の身がどうなるか判らないうさ耳はひれ伏したままのマスターに向かって未だ自分の無実を喚いている。
いやあ、この子すげーなーと感心していたらバンッ!と入口の扉が開き見覚えのある方々が登場。3人居た教会の人の内の女の人が先導している所を見るといつの間にか呼びに行っていたらしい。
あー、もう行くとこまで行く感じかー……。
えーっと、どうしたものかなあ、これ。
俺はソランツェの腕の中にいて、ソランツェは抜刀していて、うさ耳ガールは震えていて、周りは凍り付いていて……。
ギルド内静まり返ってます。
な~んでこんな事になったかっていうと、大きい声でわざわざ誘導するのでうさ耳ガールご指定の席に行かない訳にもいかず行った所、わざわざ俺の為に背後で椅子を引いてくれたうさ耳ガールがやらかしちゃったんだよね。
俺が座ろうとした時に小さい撒菱みたいなやつをパッと座面にね、やったみたいで……。俺は気付かなかったがソランツェが気配に気付かないはずがなく座面に到達する前にガッと引っ張り上げられて事無きを得たんだけど。
誰かのが一つ落ちてたって事にして、こんなの落ちてるって気付かなかった~ごめんなさい~みたいにやろうとしたかったのかなあ……??
本人としては小さい嫌がらせ行為だったんだろうけど、相手が俺って事は……ねぇ。ユーゴの時はソランツェのわざとだったけど今回は……。
わーお、どうなっちゃうんだろー。
「え?! きゃっ、ぁいや……あのっ」
「誰に危害を加えようとしたと思っている」
「っひぃいっ!!」
「俺の「わー! ソランツェ待って待って! やめて!!!」
軽く現実逃避してる間に、ソランツェが彼女の首に剣先が触れるって位置にまで剣を近付け始めたので、慌てて止めた。このまま行ったらマジでどうなるか判らない。
剣を持つ手を遠ざけさせてからソランツェの腕から体を無理矢理脱出する。俺が庇うのもおかしな話だが、うさ耳ガールの前に割り込む様に立つとソランツェは剣を下した。
「……なぜやめる必要がある」
「俺は大丈夫なの判ってるだろ?!」
「問題はそこではないのは判っているだろう」
「……それは判るけど! 未遂だった!」
「未遂でもリヒトに害意持った事こそが問題だ」
「あーもー……そうかもしれないけど……剣はさ……」
聞いている周り人達は凍り付いていた様だったのからは戻ったが、危害を加えられそうになった謎人物とそれを未然に防いだソランツェとが言い合っているという事態に戸惑っている。俺達の会話が俺の正体を知らなきゃ理解出来ない内容だから当然だ。
ソランツェは周りがどういう事だとざわざわしだした事にやれやれという様にため息を吐くと
「では、私に処理をさせないというのならば、ここに紛れ潜んでいると思われる教会の者に引き渡すという事でよろしいですね?リヒト様」
「えええええ……」
この状況でその口調に戻す?!と俺が唖然としていると、ソランツェの言葉に一層騒々しくなった周りを囲んでいた冒険者達の中から、男性二人女性一人が俺達の元に進み出てきて跪く。あー……もう………またぶっ倒れていいかな……?
「ああ、やっぱり居たな。連れて行ってくれ。一応リヒト様が庇われた命だ、殺しはするなよ」
彼らは短く返事してうさ耳ガールを引っ立てようとすると、今まで大人しくというよりは呆然としていて静かだった彼女が自分の行く末に気付いたのか自分は何もやっていないと暴れ出した。うーわー……と思っていたら
「嘘吐くんじゃないよ! アンタいっつも似た様な事やってんじゃないか!!」
「気に入った男の周りの人間に嫌がらせするって有名だろう―が!」
「ギルマスの愛人だから今まで目溢しあっただけなんだぞ!!」
と男女問わず声が上がり続々と彼女の悪行暴露が続く。毒入りの飲み物飲ませたりとかやる事が怖いよガール……。
「うっさいわね! ブス共は黙ってなさいよ!!!」
周囲に食って掛かるように、より一層暴れ出した彼女を捕まえてる教会の人達もドン引きしてるしなんかもうとんでもねえ事になってるよ……。
ソランツェの方を見るとやっぱり呆れ返っていて俺の視線に気付くとスッと近付いて来て背中を撫でてくれた。これはもう……ダメかもしれないと、ある決意をした所でーー
「おい! これは何があったんだ!」
収集不能なカオス極まりないこの状況を崩す様に怒号が響き渡る。声のした方を向くと、ギルドマスターを呼びに行ったアレンさんとその前をズンズンと歩いてくる赤毛のでっぷり太ったおじさんが居た。
「マスタァ~!」
救いの手が来た!とうさ耳が媚び全開の声で、何かみんなが~とマスターに急いで大声で話し掛けているが彼は反応しない。どうも彼は俺の情報を知っている様で、うさ耳含む騒ぎの中心にソランツェと俺を見つけてめちゃくちゃ顔を引き攣らせている。事態を瞬時に察したみたいだなー……これは野放しにしていた自分の愛人がいつもと同じ様な事をやらかした結果だっていうの……。
で、マスターの登場にうさ耳ガール以外が静まり返って彼に注目している中、俺と目が合うなり彼はその場にひれ伏し
「私の管理が行き届いておらず、愛し子様におかれましてはご不快な思いをなされた事と存じます。誠に申し訳ございません!」
まあ、こうなるわな。つーか、愛し子って言っちゃやだー……。
さて、予想通り愛し子様ってどういう事だと周りはますます混乱しがやがやし始める中、自分の身がどうなるか判らないうさ耳はひれ伏したままのマスターに向かって未だ自分の無実を喚いている。
いやあ、この子すげーなーと感心していたらバンッ!と入口の扉が開き見覚えのある方々が登場。3人居た教会の人の内の女の人が先導している所を見るといつの間にか呼びに行っていたらしい。
あー、もう行くとこまで行く感じかー……。
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