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よし、とんかつに決めた。かつ煮も食べたいなって思ったので。俺は欲に従って生きる男なんだよ。
ララタスで買っていた豚(と思われる)ロース肉を取り出す。二~三センチ程に切り分けたいがデカいんだよな……。俺の手よりふた周りくらい大きくて、俺は一枚分食べられないかもしれない。……ソランツェに期待しよう。
ちゃんと料理しようって思ったけど、やっぱり下準備は魔法で短縮しようっと。楽を覚えてしまったので……。
肉はスパッと切り分け筋切り下味までお願い~と指をパチン。パン粉は手持ちに無いので、バゲットをおろし金で細かくする感じで出来上がり。バッター液作り~パン粉を付けた所まで魔法でやってしまえばあとは揚げるだけ。
さすがにそれは自分でやろうかな。コンロ改造したから使い易くなってるし。油を温めているコンロとは別のコンロでかつ煮の準備。煮汁作って玉ねぎを煮ておいて……よし、揚げよう!
「と、思ったけど……」
大き過ぎて裏返す時とかに苦戦して衣剥がれそうな予感が……。
「………………」
お~、綺麗なきつね色に揚がったとんかつって美味しそうだな、やっぱり!料理における魔法ってスーパーの惣菜コーナーくらい頼もしい存在だよ、うん。共感してくれる人いないだろうけど。
せめてこれくらいは、と俺の分のとんかつを半分自らでかつ煮にしている間に、炊き忘れていたご飯と味噌汁も躊躇なく魔法で用意。もうね、欠片も逡巡しなかった。
「あ、キャベツ無い」
千切りキャベツ作れないじゃん!!
一人焼肉用セットのキャベツって生食……判んないしやめておこう。(魔法のおかげで)完璧って思ってたのになあ。仕方ないのでレタスメインだったカットサラダで我慢。キャベツのカットサラダ買っておけばよかった……。ファンディオ戻ったら市場行ってキャベツ探そう。俺はあるのか知らないがダンジョンの秘宝なんかより食材を探したい。
++++++
「面白い食感だ」
「サクサクしてるだろ」
「ああ。昔、似た物を家で何回か食べた事はあるがこんな感じではなかった。一つ一つの肉も薄かった様に思う」
「あ、やっぱり似たのはあるんだ」
「これと比較すると少し油が多かったかもしれないな」
「あー……なんとなく判った」
フライパンで少しの油で揚げ焼きした時の微妙にベタ付くあの感じか。あれ、油をあんまり使わなくて処理が楽だけどちょっと微妙なんだよなあ。
「そういえば、ここでの料理用の油ってどんなの?安い?」
「俺は料理はしないから詳しくは知らないが、とりあえず、安価な訳はないと思うぞ」
「そっかぁ。まあ、そうだよな」
ここだとコスパが悪い料理ってのは判ったので大量に油を使う揚げ物料理はほぼ無いと考えて、今後も食べたければ自分で作るしかないな。魔法あるから苦にはならないからいいけど。
「こっちも食べてみる?」
「ああ」
気が付けばソランツェはとっくに食べ終わっていたので、俺のかつ煮をあーん、と食べさせる。
「どう?口に合う?」
「美味しい」
「そりゃ、よかった。でも、ソランツェって何でも美味しいっていうんだもんなあ」
「実際に美味しいからな。それにしても、リヒトは本当に色んな料理が作れるんだな」
「んー……まあ、そうだな」
「ここの料理は色々物足りないと思うんじゃないか?」
「思うのは思うけど、そこの文化だしなって思うからそれはそれで」
勿体ない味付けだなとかってのは思うけど、食に関して俺が口を出して変えてやろう!なんて考えは今の所はない。屋台云々をちょっと考えたのはあの時汁物無いし欲しいなってくらいの軽い考えだけで誰かに口出しって訳でもないし。メニューに導入される事になったのは驚いたけど、ロスティルさんにスープの作り方を教えたのだって、元々は料理に興味を持ったイルムの為に、だし。
でも、この先物足りなさに我慢出来なくなったら判んないけどな。
++++++
ファンディオのダンジョン周辺の森に転移してから、ブランに乗ってのんびりファンディオに向かう。
すれ違う人達の中でソランツェの顔を知っている人は挨拶だけじゃなく久し振りですねとかって声をかけてきたりする人もいるんだけど、みんな俺の事を聞いていいのかどうか……みたいな微妙な感じなのは共通してるのが面白い。誰も聞いてこないけど。寂しい。
「ソランツェってパーティーっての組んだ事無いの?」
「ああ。昔からよく誘われたりもしたが全部断っている」
「だろうな~判る~」
「そういえば、俺達もパーティー登録が出来る事をすっかり忘れていたが、どうする?」
登録しておけばパーティーで討伐依頼をやった時に自分以外の所属メンバーが止めを刺した場合、その人以外にもパーティーの実績として処理され少しだけ実績がカウントされるっぽい。それを貯めるだけでは個人のランク昇格は出来ないらしいが、身分証としての効力を持続させる事は出来る。そして、報酬はギルド側が頭割り計算して個人に支給するのでしっかり貰えるから……ソランツェと組みたがった人達は多分それ狙いかな。
「別にしなくてもいいと思う」
「そうか」
多分、ララタスくらいの時の俺なら戦いたくないから絶対してたと思うけど、もう大丈夫。えーっと、何て言うんだっけゲームとかで言ったらチート?とかいうやつだしな、俺って。
でも、早めに思い出しておいて欲しかったなぁー!
ララタスで買っていた豚(と思われる)ロース肉を取り出す。二~三センチ程に切り分けたいがデカいんだよな……。俺の手よりふた周りくらい大きくて、俺は一枚分食べられないかもしれない。……ソランツェに期待しよう。
ちゃんと料理しようって思ったけど、やっぱり下準備は魔法で短縮しようっと。楽を覚えてしまったので……。
肉はスパッと切り分け筋切り下味までお願い~と指をパチン。パン粉は手持ちに無いので、バゲットをおろし金で細かくする感じで出来上がり。バッター液作り~パン粉を付けた所まで魔法でやってしまえばあとは揚げるだけ。
さすがにそれは自分でやろうかな。コンロ改造したから使い易くなってるし。油を温めているコンロとは別のコンロでかつ煮の準備。煮汁作って玉ねぎを煮ておいて……よし、揚げよう!
「と、思ったけど……」
大き過ぎて裏返す時とかに苦戦して衣剥がれそうな予感が……。
「………………」
お~、綺麗なきつね色に揚がったとんかつって美味しそうだな、やっぱり!料理における魔法ってスーパーの惣菜コーナーくらい頼もしい存在だよ、うん。共感してくれる人いないだろうけど。
せめてこれくらいは、と俺の分のとんかつを半分自らでかつ煮にしている間に、炊き忘れていたご飯と味噌汁も躊躇なく魔法で用意。もうね、欠片も逡巡しなかった。
「あ、キャベツ無い」
千切りキャベツ作れないじゃん!!
一人焼肉用セットのキャベツって生食……判んないしやめておこう。(魔法のおかげで)完璧って思ってたのになあ。仕方ないのでレタスメインだったカットサラダで我慢。キャベツのカットサラダ買っておけばよかった……。ファンディオ戻ったら市場行ってキャベツ探そう。俺はあるのか知らないがダンジョンの秘宝なんかより食材を探したい。
++++++
「面白い食感だ」
「サクサクしてるだろ」
「ああ。昔、似た物を家で何回か食べた事はあるがこんな感じではなかった。一つ一つの肉も薄かった様に思う」
「あ、やっぱり似たのはあるんだ」
「これと比較すると少し油が多かったかもしれないな」
「あー……なんとなく判った」
フライパンで少しの油で揚げ焼きした時の微妙にベタ付くあの感じか。あれ、油をあんまり使わなくて処理が楽だけどちょっと微妙なんだよなあ。
「そういえば、ここでの料理用の油ってどんなの?安い?」
「俺は料理はしないから詳しくは知らないが、とりあえず、安価な訳はないと思うぞ」
「そっかぁ。まあ、そうだよな」
ここだとコスパが悪い料理ってのは判ったので大量に油を使う揚げ物料理はほぼ無いと考えて、今後も食べたければ自分で作るしかないな。魔法あるから苦にはならないからいいけど。
「こっちも食べてみる?」
「ああ」
気が付けばソランツェはとっくに食べ終わっていたので、俺のかつ煮をあーん、と食べさせる。
「どう?口に合う?」
「美味しい」
「そりゃ、よかった。でも、ソランツェって何でも美味しいっていうんだもんなあ」
「実際に美味しいからな。それにしても、リヒトは本当に色んな料理が作れるんだな」
「んー……まあ、そうだな」
「ここの料理は色々物足りないと思うんじゃないか?」
「思うのは思うけど、そこの文化だしなって思うからそれはそれで」
勿体ない味付けだなとかってのは思うけど、食に関して俺が口を出して変えてやろう!なんて考えは今の所はない。屋台云々をちょっと考えたのはあの時汁物無いし欲しいなってくらいの軽い考えだけで誰かに口出しって訳でもないし。メニューに導入される事になったのは驚いたけど、ロスティルさんにスープの作り方を教えたのだって、元々は料理に興味を持ったイルムの為に、だし。
でも、この先物足りなさに我慢出来なくなったら判んないけどな。
++++++
ファンディオのダンジョン周辺の森に転移してから、ブランに乗ってのんびりファンディオに向かう。
すれ違う人達の中でソランツェの顔を知っている人は挨拶だけじゃなく久し振りですねとかって声をかけてきたりする人もいるんだけど、みんな俺の事を聞いていいのかどうか……みたいな微妙な感じなのは共通してるのが面白い。誰も聞いてこないけど。寂しい。
「ソランツェってパーティーっての組んだ事無いの?」
「ああ。昔からよく誘われたりもしたが全部断っている」
「だろうな~判る~」
「そういえば、俺達もパーティー登録が出来る事をすっかり忘れていたが、どうする?」
登録しておけばパーティーで討伐依頼をやった時に自分以外の所属メンバーが止めを刺した場合、その人以外にもパーティーの実績として処理され少しだけ実績がカウントされるっぽい。それを貯めるだけでは個人のランク昇格は出来ないらしいが、身分証としての効力を持続させる事は出来る。そして、報酬はギルド側が頭割り計算して個人に支給するのでしっかり貰えるから……ソランツェと組みたがった人達は多分それ狙いかな。
「別にしなくてもいいと思う」
「そうか」
多分、ララタスくらいの時の俺なら戦いたくないから絶対してたと思うけど、もう大丈夫。えーっと、何て言うんだっけゲームとかで言ったらチート?とかいうやつだしな、俺って。
でも、早めに思い出しておいて欲しかったなぁー!
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