のんびり異世界旅行~キャンピングカーごと死んだので特典てんこ盛りで転移しました~

みりん/鷹山リン

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「まずは宿を確保するか」
「お~!」

 ウキウキワクワクしていると、リヒトの基準では耐えられないかもしれないぞ?なんて水を差してくる。そんな訳ないでしょ~……ないよな?一応、屋根とベッドがあれば良いんだけど。清潔さは今や魔法でどうとでもなるし。



 俺達が入った第五城門はその名の通り第五街区に繋がっていて、どの街区も城門からぐるっと囲まれた城門警備部隊(領主の私設軍)と王国軍の宿舎及び訓練場区画があり、耕作地区や住宅地区があり、中心部に近い場所にギルドや宿などがある商業地区という風になっている様だ。第六街区と第一街区だけはほぼ商業地区らしい。
 いまいちピンと来なかったので街の構造を訊ねると領主の城を中心に大きな六角形になっていて放射状にメインの道がある。そして、それ全体を囲む大きな四角形の城壁があるそう。でも、実際は大き過ぎるし上から見た事はないので本当かどうかは知らないとの事。

「そんなの聞くとドローン飛ばしたくなるな。持ってないけど」
「ドローン?」
「あー……気にしないでいいよ」

 とは言いつつ、再現出来ないかなと考える。いや、もしかして俺飛べたりするんじゃない?ホウキ持って飛んでみよっかなあ。あ、荷物の配達事業始めちゃう?

「空飛べたりしたら驚く?」
「リヒトがって事ならあまり驚きはしないと思うぞ」
「えー……だんだん規格外に慣れて来ちゃったかー……」
「街中で飛ぶのだけはやめてくれとだけ言っておく」

 今度またあの平原に行って試してみようかな。あそこ、本当に何もないし。





++++++




 耕作地区に入ってからブランに乗り、中心部を目指す。
 住宅地区の中でも商業地区に近い場所は一等地らしく家も立派な物が並んでおり街路も綺麗にされているけど、耕作地区に近い所はそうじゃなかったなと思い、やっぱりどこでも貧富の差はあるよなと再確認しながら通った。



「ブランはどうする?」

 商業地区の手前にある広場で休憩を取っている時にソランツェに聞いてみる。馬ってどうするんだろう?宿屋に馬小屋あったりするの?そこら辺全然わかんないぞ。

「どちらかと言うと戻した方がいい。馬の分も代金がかかるが、それよりも立派な馬は盗まれる可能性が高いからな」
「あー、治安が……」

 お金は問題じゃないけど盗まれたりとかトラブルに巻き込まれるのは嫌なので、戻しておいた方が無難か。今日一日頑張ってくれてありがとうとの気持ちを込めてニンジンをいっぱいあげて指輪に戻した。ちょっと寂しい。



 宿は以前ソランツェがここで滞在していた所があるらしいのでそこに行ってみる。第五街区の隣、第六街区にある宿屋で冒険者ギルド・ファンディオ支部とは五百メートルくらいの距離の場所。

「おや、ソランツェ様お久し振りですね」
「ああ、覚えていたか」
「そりゃ勿論!」

 受付にいた気の良さそうな恰幅の良い男性が料理人の男性と二人で営んでいる宿だそうで、二人は(ご夫夫って言うのか?)パートナーらしい。
 さっきの門番の子の時にもちょっと思ったけど、どう言えばいいのか判らないが、あー、本当なんだなって実感がわいてきて、ソランツェの隣にいる事にソワソワしちゃってる。
 自分のこんな感じは本当に初めてだな、なんてちょっともじもじしていたら、

「それにしても、こんなお綺麗な恋人連れとは!」

 と、豪快に笑う受付の人に

「自慢しに来たんだ」

 なんて笑いながら返したソランツェにいきなり頬にキスされて、なんかもうぶっ倒れるかと思った。
 ソランツェのいきなり強くなる所何なのマジで?
 恥ずかし過ぎて顔熱状態でソランツェの脇腹をポコポコ殴っていたら、受付の人にこりゃまた可愛いねえなんて笑われてしまった。うぅぅぅ……。


 さて、軽い羞恥プレイが済んだら部屋に移動です。隠れるともいう。
 経年劣化はあれど清潔な感じで、置いてあるツボだとか樽だとかゲームの中とかでよく出てくる感じっぽくて内心めちゃくちゃはしゃいだよ。ゲームの世界だ!って今更ね。わ、割りたい。

 部屋はツインを一部屋、ルームチャージ制一泊銀貨八枚。一人素泊まり四千円か。朝食と夕食は申告すれば別料金で部屋に用意してくれるらしい。ソランツェ曰く普通の味だそうです。一番判断に困る味評価だな。
 夜は一階部分が酒場になる宿も多いみたいだけど、ここはそうならないから比較的に静かに過ごせるのが気に入ってここに滞在していたらしい。お酒飲まないもんな。





++++++





 宿を確保出来たので、この後はどこに行くか考える。

 もう夕方も近付いてきたし冒険者ギルドに行くのは明日の朝にすると決定。行きたくないけどしょうがない……一個くらい依頼受けなきゃいけないし。受け入れてはいるけど嫌なものは嫌なんだよー……。

 夕飯は外で食べる事にして、それまではお店を色々見てみたいとブラつく事にした。
 宿から出て、ソランツェに説明してもらいながら歩く。

 中心は城があって濠があり、日中は正門前に橋が降りていて通行出来る様になっている。
 第一城門から延びる大きな通りが城の正門に繋がっていて、それがこの街のメイン道路。
 その正門前の正真正銘の一等地の第六街区側に冒険者ギルドがあり、通りを挟んで第一街区側にヴァルオム総教の教会がある。両方ともララタスの教会の二倍以上の大きさで存在感が凄い。

教会は近寄らないぞ~と心に決め、冒険者ギルドにふと目を向けると入口の横でまだ小さい男の子が一人でいるのが目に留まった。あんまり生活に余裕があるとは言えない身なりの子で少し気になる。
 中にいる親を一人で待っているのかな?人通りあるけど不用心だなあと思うんだけど、ここではそうでもないのかな。馬は盗まれるのに……。




「ここか?」
「トレンドはどんなんだろうと思って」
 
 この服以外も着させてくれないかな?と思うので衣料品店に寄ってみる。
 一番目立つ店頭に飾っている服は貴族の着る様な王子様スーツみたいなやつだったけど、店内には普通の人が着ている服が売っていて色々見てみる。
 高い奴でもあんまり質は良くないのかな?今着ているやつより数段落ちる感じ。これなら違うデザインの着たいってアシュマルナにおねだりした方が良さそう。パパぁ~新しいの欲しいのぉ~って言えばいいかな。う、鳥肌……。

 下着なんかも売っていて見てみると男性用も紐パンが多い。え?ここってもしかして紐パンが多数派?ソランツェはトランクスみたいなやつだったけど少数派……?嘘~。
 戸惑いながら手にした紐パンは、ほぼ紐で構成されていて大事な部分はメッシュみたいな編み方をされているスケスケの三角の布?で、果たして意味はあるのか謎なやつだった。いや、押さえるって意味では機能はしてるか……。

「ん?それ着けてくれるのか?」
「着ける訳ないだろ……」
「残念」


 って言いながらサラッと人の尻撫でるんじゃない。








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一応、大まかな図解

グレーが軍関係
緑が耕作地区及び森林
アイボリーが住宅地区
紫が商業地区

人工都市(計画都市)。ララタスはこの1/4くらい。
こんなもんか~くらいのぼんやりでお願いします。

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