のんびり異世界旅行~キャンピングカーごと死んだので特典てんこ盛りで転移しました~

みりん/鷹山リン

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 えーっと、なんか、すごく疲れました。
 濃いよ、濃いんだよ、一日がさ。お腹いっぱい過ぎてぐったりした。
 あの後、二人は帰られました。出来ればララタスギルドに顔出してくださいね、と言ってくれたけど無理そうだよなあ。

 二人が帰った後は夕食の時間。御用意いたしますと押し切られ、教会が用意してくれたご飯を食べたけど、失礼な話、なんだかどれも味が惜しいというか、そもそも正解が判らないんだけどスープとかもう少し塩味を足せば美味しくなるのかなという感じ。綺麗に焼かれたお肉とかもソースはかかってるけどなぜ無駄に甘いんだろうっていう感じだし。俺達用なのか盛り付けとかは物凄く綺麗なんだけど。
 ソランツェが俺の料理が美味しい言ってた理由がちょっと判った。自惚れておこう。

 食事後、ようやくソランツェと二人だけになる。合間にそういう時間も少しだけあったけど、これから朝までは他の人は来ない!はぁ~……落ち着く~!ソファにダラッと座れる嬉しさよ……。
 俺の思った事は何でも出来るならと侵入防止の結界とついでに防音結界ってものを考え部屋に張ってみた。これで護衛の為に自分は寝ないって言ってたソランツェも安心して寝れるよな。

「疲れた~」
「そうだな、俺もさすがに気疲れしたようだ」
「つーか、ソランツェめっちゃくちゃすごい人じゃん……」
「俺はただ人よりは優れた適性があっただけで、それを使っているだけだ」
「うーん……俺の護衛には色々勿体なさ過ぎて……」

 うまく言えないけど、なんか正しい目的というか信念を持ってる人だよね。王族とかの人からすれば自分達の為に動かない事はエゴだと思われるかもしれないけど、立派な事だなあと思う。
 そんな彼を俺のただのんびり旅行したいなんていうしょうもない目的に付き合わせていいものか……いや、まあ元はと言えば、ソランツェからだから気にしなくていいんだろうけど。でも、ね。
 とはいえ、もう一人で行くってのもソランツェ以外と行くってのも……嫌だな。昨日会ったばかりなのに、な。



「リヒト」
「ん? なに?」

 ぐるぐる考えていたら、向かいのソファに座っていたソランツェが横に移動してきた。
 声のトーンが何やら真剣な感じでどうしたのかなって思ってそちらを向くと声のトーンと同じく真剣な顔をしたソランツェが居た。

「俺以外無理なんだろう?」
「え、うん……でも、それはソランツェの事聞く前だったし……」

 俺の何かを探るような目で見つめてくるので少したじろいでしまう。

「今は揺らいでいる?」
「俺の、それこそ私利私慾な目的に付き合わせるのは勿体ないなって……」
「それは別に問題はない。」
「……え?」
「俺は元々各地を転々とし辿り着いた地にしばらく滞在し活動して、また旅立つ。それを繰り返していた。あんまり旅行と変わらない。活動といってもそこで、ただ出来る事・やりたい事をやっていただけ。リヒトの言うのんびりとはいかないかもしれないが、俺とリヒトの目的は相反するものでもないし、一緒に行く事に問題は無いだろう?」
「いや~……?」

 旅と旅行って一緒、ではないよな……?けど、そんなに違いがあるものでも無いし……でも、えーっと……

「リヒトに力をちゃんと使って欲しいとは思うが、俺と同じ様な行動をして欲しい訳ではないぞ。リヒトにしか出来ない事があると市場でのリヒトを見て特にそう思った。俺達は自分が出来る事をやりながら二人でただ行けばいいんだ」

 そう言われるけど、俺はなんかやったかな?ただ買い物しただけだし……。
 俺に出来る事?



 内心首を傾げていると、ソランツェの手が頬に添えられる。

「……俺以外は必要ないし、無理だとリヒトが言った時、俺がどんな気持ちになったと思う?」
「え?な、」

 何?と言いたかった俺の口は、自分が持っているものと同じ柔らかい感触で塞がれた。え?と思った時には口は解放されていて、でも、顔は目の前のまま。

「嬉しくて堪らなかった。抑えるのが大変だった」
「そ……いう、意味じゃ、」
「そうだろうと、判ってはいるけどな?でも、俺に都合よく受け取らせてもらった。何故そうなのかは判るな?」
「え、えぇ、えー……?」

 わ、判る……けどー??どー???ちょっと待って???どういう事?いや、どういう事か判ってるけど、どういう事???



「ちゃんと判ってる顔してるな」
「……っ!」

 そりゃ、判りますけどね?!びっくりしてるんだよ!!?

 いきなりの事に顔は赤くなるしあわあわ混乱して口はパクパク何も言えない状態の俺はされるがままに腰を引き寄せられたかと思えばソファに押し倒されている。そして、間髪を入れず口が口に塞がれて……いや~、実に見事なテクニックですね~って違う……!


「んんッ」

 パクパクしていた防御力ゼロの口はあっさり侵入を許し、ソランツェの俺より大きな舌が口内を這う。

「……っん、ぁ」

 上顎をソランツェの舌で余すことなく擦られ、微かに感じる気持ち良さに吐息が漏れる。奥に来る舌に酸素を奪われ喉の奥がぞくぞくと気持ち良く、そのまま舌を吸われれば無意識に舌を絡めてしまう。

 それからは、耳に入るのはお互いの吐息と水音だけの時間を過ごす。時折ソファの軋む音に何をやっているんだろうと思考が引き戻されそうになるも、絡めあう舌、吸い合う舌の気持ち良さと握られた手に伝わる熱にそれを阻まれた。


「ぁあ……っん!ん!」

 しばらく貪る様に俺の口内を支配していた舌は次を求める様に出て行き、首筋へと移る。下から上へと舐め上げられ、リップ音を響かせながらキスをされれば、ビクつく体が恥ずかしい。
 解放された手はソランツェの衣服に縋り付くだけの動きしか出来なくて……ああ、駄目だ、こんなのは……――



「ソラ、ンツェ……、待って」
「リヒト……」

 俺が待ったをかけるとソランツェはちゃんと止まって、目を合わせて待ってくれた。
 その事を嬉しく思い、胸の辺りがキュゥッとなる。
 熱の籠もった目にじっと見つめられて体に火が灯った様に熱くなるけれど、ちゃんと言わなきゃ……

「あ、あのな……こういう、のっ、俺」
「嫌だったか……?」

 ペタンと寝てしまっている耳が視界に入ってしまえば、なんかもう堪らなくなってしまい思わずソランツェの頭を胸にかき抱く。
 俺の名前を呼び戸惑うソランツェをそのままに声を出す。






「ま、まだ、早いって思っただけ!!!」



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