のんびり異世界旅行~キャンピングカーごと死んだので特典てんこ盛りで転移しました~

みりん/鷹山リン

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 次の目的の物は、魚の干物。売ってるものが微妙に違うので二軒とも行こう。

 一軒目では(たぶん)スルメが売っていたので購入。普通サイズの五枚で銀貨二枚。やっぱりちょっと高めだ。炙って七味入りマヨとビールで決定!醤油マヨにしてもいいな。あとは見た目は鯵だけど何の魚か判らない煮干しがあったので一応購入。出汁に使ってみよう。両手でこんもりと一抄いした量で銀貨一枚。

 二軒目では開いた魚の干物を三種類を二枚ずつ。サンマっぽいのとサバっぽいのとキンメダイっぽいの。美味しそう。干し貝柱もあったのでこちらも購入。炊き込みご飯作ろう。でも、お米ってここでは食べるんだろうか?ソランツェ食べてくれるといいな。全部合わせて銀貨八枚銅貨八枚。

 馬車の中にはステーキ肉と缶詰の魚とかはあるけど干物とかはないから欲しかったんだよね。亜空間収納に入れておけば劣化しないっぽいし便利だなあ。あれ、でも?

「なんで干物じゃない魚はないんだ?まあ大方の予想はつくけど」
「沿岸地域ならあるだろうが内陸部ではほぼ無いな」
「やっぱり輸送の問題だよな?」
「ああ。干物はまだいいがそうでないなら輸送の途中で傷んでしまう」
「輸送って亜空間収納持ちの人達の仕事だよな?普通って良いか判んないけど普通の亜空間収納って時間停止みたいな劣化しない機能って無いの?」
「逆に訊くがリヒトの亜空間収納では物は劣化はしないという事だな?」
「うん、そうだよ。劣化しちゃうんなら鮮魚は無理か~残念」

 新鮮な魚や貝類を食べたいなら沿岸地域に行けという事なら、行くしかないよな。候補地に決定。お刺身食べたい。



 あとは肉屋で、豚肉(らしきもの)と鶏肉(らしきもの)を購入。豚はバラ肉・ロース肉をそれぞれ日本でいう五、六キロくらいの塊とヒレ肉を四本購入。見た目は一緒でも俺が知ってる豚肉の大きさではない気がするが気にしては駄目だ。鶏肉も同じく大きいけど以下略。もも肉・胸肉十枚ずつをとりあえず購入。全部で金貨一枚銀貨三枚銅貨五枚でした。

 違う肉屋で牛肉らしきものがあったのでバラ肉・モモ肉を一キロサイズっぽい塊で購入。銀貨一枚銅貨五枚。ソランツェはお肉好きみたいだしいっぱい買っておこう。

 その後、カット野菜だけじゃ料理もしにくいので野菜類(人参や玉ねぎ・ピーマンとか)を色々購入。トマトあって良かった~。名前は違うみたいだけど俺にとってトマトはトマトだ。雑貨屋さんにも行って店主のおじさんが自分で飾り彫りをしたっていう木で出来た食器を異国雰囲気を感じたくて色々買ってみたり。予算金貨五枚分ほぼ使い切って買い物ツアー終了!

 


「皆さん時間延長してお付き合いいただき有難うございました!」
 
 市場の出口で挨拶して馬車に乗る。その前に、みんな朝から働いて疲れているのに俺の為に延長してくれたので感謝の気持ちを込めてちょっとした魔法をかける。
 俺が指を鳴らすと各店舗の人達の周りに小さい光がいくつか舞って体の中に入っていく。疲労回復効果です。

 あと、アシュマルナの花を思い浮かべつつアレって作り出せないかなあと魔法を使うと、店主さん達の手にアシュマルナの花のプリザーブドフラワーが一輪ずつ現れた。よし、成功!
 購入していない店もあったし皆に同じ物をね。みなさん有難う!

「アシュマルナ様のお花です!枯れませんので皆さん飾ってくださいね~!」

 乗り込んだ馬車の窓から顔を出して手を振って、その場を後にする。
 さてさて、不本意ながらも教会に戻ろうかな。外がめちゃくちゃどよめいているが気にしないぞ~。
 声凄いな~なんて何気なく横に座るソランツェを見ると、優しい表情で俺を見つめていてその不意打ちに顔が熱くなる。
 でも、ソランツェは赤くなった俺の顔に気付かない振りをしてくれた上で控えめに微笑んで、そうだなって返してくれた。

 あ、あれぇ?心臓ってこんなにもドキドキするものだったかな?!




++++++



 教会へと戻り、馬車の周りを警護してくれていた警備隊の人達と大神官さん達と帰らずに市場に行く俺の警護の為に数名残っていた聖騎士さん達にもさっきの疲労回復効果の魔法をかける。この人達にも、と思って疲労回復効果のある飴を作り出して一つずつ渡す。後日どうぞ。
お疲れさまでした~。


 さて、またも貴賓室に案内されております。
 そこで案内の神官さんからドアを開けてもらう前に、冒険者ギルドの人が既に居ると聞かされる。待たせてるじゃん!申し訳ない!

 そもそも実は冒険者ギルドってのが、『世界で通じる身分証』『依頼受けたら報酬貰えてランクも上がる、ランクが上がれば受注できる依頼も報酬も増える』以外何なのか微妙に解ってなくて、あの後の馬車の中での空気を変えたくてソランツェに一応聞いてみたら

======
・多分違うんだろうけど、まあ自分で解り易く噛み砕いた結果所謂仲介業者みたいなものっぽい。冒険者は派遣社員?
・世界中に通用する身分証の理由は、その国にいる魔物に対して出される公的私的含めての討伐依頼自体を引き受けて(冒険者へ紹介して)欲しければ安定した金寄越せっていうやつの結果。
・各国一律の金額だから一つの国を優先する事は無い。領土戦争などには冒険者は参加させない。個人の意思で徴兵に参加するのは良いがその時には永久に冒険者資格を剥奪するし参加させた国はその後十年間において冒険者ギルドは撤退する。過去に何回かあったがいずれも魔物の排除が国軍では追い付かず十年以内に国が滅んだとの記録あり。ギルドが撤退するとなぜか毎回生息する魔物の強さが強い魔物ばかりに変わってしまうらしい。
・報酬の少ないお使いや掃除の手伝いだったりの言わば町の便利屋さん的な仕事はおまけで取り扱ってる。セーフティーネット的な感じ。
・真偽不明だけどこの仕組みはこれまた昔の加護持ちの人が作ったと言われているらしい。
======

 真偽不明っていうか、確定と思う。だって、この世界自体アシュマルナが……色々採り入れたって……ね?好き放題やってんなあ!?
 

 という事で、事前学習しておいたのでそこそこ話出来るのではと思い室内に入るとまたもいつか見た光景。オゥフ。

 ソランツェが耳元で小声でララタスのギルドマスター・グレスタンさんと副ギルドマスター・ジルオラさんだと教えてくれる。

「そんな事しなくていいですから……顔上げて立って、椅子にお座りください。そして、お待たせして申し訳ないです」
「いえいえ、愛し子様の為なら何時間でもお待ちしますよ!」

 ガハハハッと豪快に笑うスキンヘッドおじさんが多分グレスタンさんだろうな。よろしくお願いします。




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