のんびり異世界旅行~キャンピングカーごと死んだので特典てんこ盛りで転移しました~

みりん/鷹山リン

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 はい、いいお湯でした!あとは寝るだけとなっております!とならないのはどうしたものか。

 淡い希望を抱いて着替えをいつも通り用意していましたが、下着だけ変わっておりました。紐パンに。
 思わず、ふざけんなって喚いてしまいソランツェが何事かとやってくるという事態になりました。なんとなく腰にタオル巻いててよかった。俺の危機察知能力仕事してたよ。

 大丈夫だからという俺をじっと見つめて、そうか?といいながら俺の濡れた髪をさっと撫でて風魔法で乾かしてくれた。そして、早く服を着ろよとウインクして戻って行く。
 それにちょっとポーッとしてしまった自分に慌てる。イケメンのそれは反則でしょうよ、男でもドキドキしちゃうって。



++++++


 安心装備(下着以外)のTシャツ短パンを着た後、ソランツェにお風呂を促す。ちなみにお湯は綺麗なやつに入れ替えた。

 体はこっち頭はこれとこれなんて、ソープ類の説明をしていると苦笑いしていた。
 訊けば石鹸はあるが高価な物で貴族とかじゃないと使えないらしい。それに、こんな花の様な甘い良い香りもしないと俺の頭や首筋に鼻を寄せている。くすぐったい。
 この世界の石鹸って俺からすると多分品質は良くない物なんだろうなと判った。

 じゃあ、石鹸が無くて洗濯の時はどうしてるのかというと、スライムを倒すと出てくる魔石とは違う核みたいなやつが石鹸の様に使えるらしい。
 水に入れると少し粘性のある液体になって、それに少し浸けておけば汚れが落ちるそう。皮膚に付くとピリピリするから人体には使えないので、取り出す時は木の棒とかでざるに取り、上から重石をして水を切りその後何回かすすぐ。洗濯機があれば簡単なのになと思う。俺は魔法のおかげで洗濯機すらも要らなくなったけど。

「魔法で『洗浄』って使えば良いんじゃないかと思うけど、もしかしなくても水魔法だよなあ」
「そんな魔法聞いた事もないが……洗って綺麗にすると思い浮かべるならば水魔法だろうな」
「これも人前では止めておいた方が良さそうだな」
「そういえば、さっき片付けている時に道具がいきなり綺麗になったのはそれか?」
「そうだよ、あとでソランツェの服も綺麗にしてあげるからその籠に入れておいて」




 じゃあ、ごゆっくり~とその場を後にして椅子に座って水を飲む。
 文化?文明?レベルがかなり違うので、ソランツェから色々ちゃんと教わっておこうと決めた。俺は目立たず平和に穏やかに旅したいんだよね。

 さてさて、そんな事よりも直近の問題。ソランツェのベッド、どうしようかなと。
 ここのテーブルを片付けて座席を倒したらベッドに出来るんだけどちょっと凸凹してるし、上のアシュマルナ製ベッドと比べると硬いし狭い。亜空間収納から布団一式取り出して上に敷くといいかもしれないけど、そもそも身長高いから足が結構はみ出してしまう。何よりこれから毎日だとその作業が面倒臭いかもしれない。
 上のベッドはキングサイズでデカいから俺は一緒でも気にならないんだけど、どっちがいいかな。もういっそ選択肢無しで決定事項にしてしまおうかな。

「どうした?」
「なんでもなーい」

 ボケーっと考えていたら黒いシャツとベージュのパンツに着替えたソランツェが戻って来たので、冷たい水を用意してあげて俺は片付けへ。
 浴槽やシャワーテントは洗浄乾燥して折り畳まずそのまま亜空間へ収納すれば楽と気付いたのでそうする。やりながらだんだん魔法を便利活用出来てきたなと思う。脱いだ着替えや使ったタオルを綺麗にするのも柔軟剤を使ったイメージも思い浮かべたら、ソランツェのゴワゴワな感じだった服が柔らかく良い匂いになったしタオルもちゃんとふわふわになったしね。
 どうやら魔法は想像力が大事みたいかなと気付いたので発展した世界やちょっとだがゲームの世界を知っている俺には結構楽勝かもしれない。戦闘面に関してはゲームの魔法を思い出せばいけそうな……うん、ソランツェ応援してる。


「これは本当に俺の服か……?」

 綺麗にした着替えをソランツェに手渡すと肌触りのあまりの違いに戸惑っていた。実は用意しておいたタオルにもびっくりしたらしいけど。
 今着てるのもそのままやってあげたらいきなりやるんじゃないと怒られた。ごめん。

 何だかだんだんソランツェが驚く事が楽しくなってきたので、スプリングコイルマットレスなんてまだ無さそうなこの世界のソランツェはあのアシュマルナ製ベッドにどんな反応するかなと、座席ベッドの選択肢は完全に消して上へと誘導する。




「ほらほら、ふっかふか!」
「なっ?!」

 ドーンと置いてあるベッドを見て、思った通りふかふかそうな見た目に少し驚いたのかソランツェは油断していたので、手を引っ張って一緒にベッドへダイブ。ボフンッと音を立てて二人で羽毛掛け布団に埋もれる。

「リ、リヒトっ」
「あはははは!」

 俺が笑いながらゴロゴロ転がっている横でソランツェは慣れない感触だからなのか慌てて起き上がっていた。あたふたしてて面白い。

「リヒト……」
「気持ちいーぃ?」
「きっ、気持ちいい……というか、その……ここで俺も、寝るの、か?」
「これアシュマルナが作ってくれたベッドなんだけどさ、どう?こんな感じのベッドある?」
「ここまでの物は王宮でもないだろうが、リヒト、あのな……」
「ここに横になるとあっという間に寝落ちするっていうヤバい性能お前も体験しようぜ」

 ほら、早くって枕をポンポン叩いてそこに寝ろと促す。ソランツェは少し変な顔をしていたが、何も言わず大人しく横になった。それを見届けて俺も人一人分空けた隣に横になる。

「おやすみ~」
「……おやすみ」


 二人でそう言い合った後、あっという間に寝落ちした。
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