9 / 148
9
しおりを挟む
大満足の食事を終えた後、満たされた腹を抱え椅子に座りボーッと燃え続ける炭を眺める。
改めて、すごい事態に巻き込まれてしまったもんだなと考える。
あれが無ければ俺は今、元々の目的地のキャンプ場にいるんだなと始まり、本当は父さんと行くはずだったんだろうと続き、父さんどうして……と泣きそうになって来たのに気付いて慌てて片付けを始める。
もしやと思い使った調理器具や皿に対して「洗浄」と念じてみれば油汚れもスッキリと綺麗になる。
あと、車内のゴミ箱で出来るなら俺も魔法で出来るのではと、ゴミやまだ燃えていた炭に「消滅」を念じると成功したのでかなり早く片付けが終わった。まほうってしゅごい。
片付けも終わったので、気持ちが沈む様な事を考えなくていい様にシャワーを浴びて早めに寝ると決める。
馬車後方の観音開き出来るドアを開けポータブル浴槽を出して外に設置。中に入った上で簡易シャワーを引っ張り出して浴びる。排水は魔法が頑張ってくれる。便利!
面倒臭いしこんな所で見られる心配は無いだろうとシャワーテントを使わずにいたが、全裸で野外は開放的過ぎた。次からはちゃんとしようと思う。
着替えは恐る恐るTシャツと短パンにしてみたら変化なかったので寝る時のみは許されている模様。釈然としないが余計な事を言ってもっと酷い格好にさせられたらたまらないので受け入れる。いのちだいじに。
寝るためにバンクベッドに上がろうとして気付く。シャワーを浴びている間にそこがアシュマルナにより魔改造され空間が広がっておりサイドテーブルとキングサイズベッドが置いてあった。ただのロフト部屋……。
確かにバンクベッドは天井まで余裕が少ないから圧迫感があって、後々不満が出る可能性あったとはいえここまでするのか。絶対文句言わせないマン。
有り難いんだけど、なんだかなあと思いつつベッドに入って寝心地良さそうだと横になった瞬間寝落ちして朝だった。
起きた時一瞬意味がわからなかったよ。寝付く前に色々考えなくてよかったけどさ、このベッド怖い、怖いよ。
++++++
すごすごと下へ降りて「洗浄」「乾燥」しておいた例の服に着替えている時に、前よりも肌が白くなっている事と爪とか手先がめちゃくちゃ綺麗になっている事に気付いたが、もう諦めた。
段々神々しくなっていく俺は一体どこへ向かうのか。この先の道中嫌な予感しかしない。
気を取り直して、朝食を作る。
IHコンロにフライパンを置いてスイッチオン。少量の油を入れ熱し卵を二つ割り入れ空いたスペースにベーコンと悩んだがウインナーを置き、ごく少量の水を入れて蓋をする。
その間にバゲットをスライスする。昨日切って半端になってたバゲットは一本分に復活していた。ついでに昨日の肉も冷蔵庫内に復活していたのを確認。気にしたら負け。
水が無くなるくらいに蓋を開ければ綺麗な目玉焼きの完成。
袋入りのカットサラダを盛った皿に移し空いたスペースでウインナーをもう少し焼く。
それも皿に移したら軽くフライパンを拭きバゲット入れて焼く。トースターが無いのでこれで。
ドレッシングにバター・粒マスタードやケチャップなんかも用意し、あとはマグカップにインスタントコーヒーを入れ魔法でお湯を入れれば朝食は完成。
車内だけは異世界感無いなと思いながら淡々と食べる。食べ終わったら魔法で綺麗にして片付け終了。
「さて、そろそろ出発してみるか」
でも、馬車とか運転どうするんだろう、というか外に御者台が無かった気がすると思い出した。
車内前方にはフロントガラスもそのままのキャンピングカーの運転席があるので、一応、そこに移動してみるとカーナビが起動し『目的地を設定してください』と表示された。
「いや、町の名前とか知らんし」
近くの町の冒険者ギルドに行けって事だったので冒険者ギルドで施設検索かけてみたら、百キロほど先にあるララタスという町が一番近かったのでそこに設定。
設定すると『出発しますか? はい・いいえ 自動運転 オン・オフ』と出てきたので「はい」と「オン」を選ぶと馬車が勝手に進み出した。
何でもありだな、アシュマルナ……。
ここまでくるとこの先何か変な事でもさせられるんじゃないだろうかと戦々恐々とするも、あいつプライド高いからただ俺に文句言わせたくないだけだろうなと思い直す。
「まずは冒険者登録か……」
目の前に広がる見慣れない景色を見ながら呟く。
身分証のためとはいえ冒険者とはなんだかおかしな事になったもんだ。
でもまあ、俺の目的はただの旅行で宝探しとか冒険する訳じゃないし……、いいかな。
「よし、のんびり楽しんで行こう!」
改めて、すごい事態に巻き込まれてしまったもんだなと考える。
あれが無ければ俺は今、元々の目的地のキャンプ場にいるんだなと始まり、本当は父さんと行くはずだったんだろうと続き、父さんどうして……と泣きそうになって来たのに気付いて慌てて片付けを始める。
もしやと思い使った調理器具や皿に対して「洗浄」と念じてみれば油汚れもスッキリと綺麗になる。
あと、車内のゴミ箱で出来るなら俺も魔法で出来るのではと、ゴミやまだ燃えていた炭に「消滅」を念じると成功したのでかなり早く片付けが終わった。まほうってしゅごい。
片付けも終わったので、気持ちが沈む様な事を考えなくていい様にシャワーを浴びて早めに寝ると決める。
馬車後方の観音開き出来るドアを開けポータブル浴槽を出して外に設置。中に入った上で簡易シャワーを引っ張り出して浴びる。排水は魔法が頑張ってくれる。便利!
面倒臭いしこんな所で見られる心配は無いだろうとシャワーテントを使わずにいたが、全裸で野外は開放的過ぎた。次からはちゃんとしようと思う。
着替えは恐る恐るTシャツと短パンにしてみたら変化なかったので寝る時のみは許されている模様。釈然としないが余計な事を言ってもっと酷い格好にさせられたらたまらないので受け入れる。いのちだいじに。
寝るためにバンクベッドに上がろうとして気付く。シャワーを浴びている間にそこがアシュマルナにより魔改造され空間が広がっておりサイドテーブルとキングサイズベッドが置いてあった。ただのロフト部屋……。
確かにバンクベッドは天井まで余裕が少ないから圧迫感があって、後々不満が出る可能性あったとはいえここまでするのか。絶対文句言わせないマン。
有り難いんだけど、なんだかなあと思いつつベッドに入って寝心地良さそうだと横になった瞬間寝落ちして朝だった。
起きた時一瞬意味がわからなかったよ。寝付く前に色々考えなくてよかったけどさ、このベッド怖い、怖いよ。
++++++
すごすごと下へ降りて「洗浄」「乾燥」しておいた例の服に着替えている時に、前よりも肌が白くなっている事と爪とか手先がめちゃくちゃ綺麗になっている事に気付いたが、もう諦めた。
段々神々しくなっていく俺は一体どこへ向かうのか。この先の道中嫌な予感しかしない。
気を取り直して、朝食を作る。
IHコンロにフライパンを置いてスイッチオン。少量の油を入れ熱し卵を二つ割り入れ空いたスペースにベーコンと悩んだがウインナーを置き、ごく少量の水を入れて蓋をする。
その間にバゲットをスライスする。昨日切って半端になってたバゲットは一本分に復活していた。ついでに昨日の肉も冷蔵庫内に復活していたのを確認。気にしたら負け。
水が無くなるくらいに蓋を開ければ綺麗な目玉焼きの完成。
袋入りのカットサラダを盛った皿に移し空いたスペースでウインナーをもう少し焼く。
それも皿に移したら軽くフライパンを拭きバゲット入れて焼く。トースターが無いのでこれで。
ドレッシングにバター・粒マスタードやケチャップなんかも用意し、あとはマグカップにインスタントコーヒーを入れ魔法でお湯を入れれば朝食は完成。
車内だけは異世界感無いなと思いながら淡々と食べる。食べ終わったら魔法で綺麗にして片付け終了。
「さて、そろそろ出発してみるか」
でも、馬車とか運転どうするんだろう、というか外に御者台が無かった気がすると思い出した。
車内前方にはフロントガラスもそのままのキャンピングカーの運転席があるので、一応、そこに移動してみるとカーナビが起動し『目的地を設定してください』と表示された。
「いや、町の名前とか知らんし」
近くの町の冒険者ギルドに行けって事だったので冒険者ギルドで施設検索かけてみたら、百キロほど先にあるララタスという町が一番近かったのでそこに設定。
設定すると『出発しますか? はい・いいえ 自動運転 オン・オフ』と出てきたので「はい」と「オン」を選ぶと馬車が勝手に進み出した。
何でもありだな、アシュマルナ……。
ここまでくるとこの先何か変な事でもさせられるんじゃないだろうかと戦々恐々とするも、あいつプライド高いからただ俺に文句言わせたくないだけだろうなと思い直す。
「まずは冒険者登録か……」
目の前に広がる見慣れない景色を見ながら呟く。
身分証のためとはいえ冒険者とはなんだかおかしな事になったもんだ。
でもまあ、俺の目的はただの旅行で宝探しとか冒険する訳じゃないし……、いいかな。
「よし、のんびり楽しんで行こう!」
66
お気に入りに追加
3,358
あなたにおすすめの小説
あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~
深楽朱夜
ファンタジー
13人の神がいる異世界《アタラクシア》にこの世界を治癒する為の魔術、異界人召喚によって呼ばれた主人公
じゃ、この世界を治せばいいの?そうじゃない、この魔法そのものが治療なので後は好きに生きていって下さい
…この世界でも生きていける術は用意している
責任はとります、《アタラクシア》に来てくれてありがとう
という訳で異世界暮らし始めちゃいます?
※誤字 脱字 矛盾 作者承知の上です 寛容な心で読んで頂けると幸いです
※表紙イラストはAIイラスト自動作成で作っています

僕だけの番
五珠 izumi
BL
人族、魔人族、獣人族が住む世界。
その中の獣人族にだけ存在する番。
でも、番には滅多に出会うことはないと言われていた。
僕は鳥の獣人で、いつの日か番に出会うことを夢見ていた。だから、これまで誰も好きにならず恋もしてこなかった。
それほどまでに求めていた番に、バイト中めぐり逢えたんだけれど。
出会った番は同性で『番』を認知できない人族だった。
そのうえ、彼には恋人もいて……。
後半、少し百合要素も含みます。苦手な方はお気をつけ下さい。
異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~
モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎
飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。
保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。
そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。
召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。
強制的に放り込まれた異世界。
知らない土地、知らない人、知らない世界。
不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。
そんなほのぼのとした物語。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
平凡冒険者のスローライフ
上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。
平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。
果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか……
ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。
異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします
み馬
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。
わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!?
これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。
おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。
※ 設定ゆるめ、造語、出産描写あり。幕開け(前置き)長め。第21話に登場人物紹介を載せましたので、ご参考ください。
★お試し読みは、第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★
★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生
野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。
普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。
そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。
そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。
そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。
うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。
いずれは王となるのも夢ではないかも!?
◇世界観的に命の価値は軽いです◇
カクヨムでも同タイトルで掲載しています。
ちっちゃくなった俺の異世界攻略
鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた!
精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる