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「まずは冒険者登録か……」
目の前に広がる見慣れない景色を見ながら呟く。
身分証のためとはいえ冒険者とはなんだかおかしな事になったもんだ。
でもまあ、俺の目的はただの旅行で宝探しとか冒険する訳じゃないし……、いいかな。
「よし、のんびり楽しんで行こう!」
++++++
パチッと目を覚ますと真っ白だった。
「?」
天井も壁も床も何もなくただ真っ白な空間に俺はいた。立ち上がって辺りをくるくる見回すも何もない。
「え? なんだ、ここ……」
どうして、俺はこんな所にいるんだろうか。ごく当たり前の疑問が湧いてくる。
だって、俺は——
パチン!
「染谷理人さんですね」
誰もいなかった筈の後ろからいきなり指を鳴らした様な音と自分の名前を呼ぶ声がする。
驚いて後ろを振り返ると、俺から二メートル程離れた先に一人の男性が立っていた。
その男性は、腰の位置まであるホワイトブロンドの髪に白い花で出来た花冠を被り、顔は人形の様に整っており瞳は紫、金糸で煌びやかな刺繍模様のある白いローブのような服を着ていた。何かのコスプレでもしているみたいだ。
サッと全身を見て、身長一七五センチ体重六〇キロの俺より、軽く五~七〇センチは高く見え、体つきは服で判り難いが筋肉がしっかりある感じなのがわかった。
揉めても絶対勝てそうにないなと思う。その為、そうですけど、と頷きながら相手の出方を待つ事にした。
「鎮静魔法がよく効いている様でよかったです」
「……は?」
魔法?
小説や漫画、ゲームでは聞き慣れてはいるが、それが成立するのは物語のみの真には聞き慣れない言葉をしばし考えるも、それよりも先を聞いた方が良さそうに思う。
それを目の前の人物に目線で伝え続きを促した。
「突然こんな所に連れてきてしまって驚かせてしまいましたね。私は染谷さんの住む世界が属する、第三界を管理しているアシュマルナと申します。よろしくお願いします」
そう言ってアシュマルナは、一見すると柔和そうだが少し胡散臭くも思える笑みを浮かべながら、ほんの少しだけ軽く頭を下げる。その事に俺は少しの違和感を覚えた。
「どうも、こちらこそ?」
「染谷さん達の世界の神とでも考えて頂ければ理解はし易いかと思います」
「えーっと、神……様とやらが俺に一体何の用でしょうか」
「染谷さんはここに来る前の事を覚えてらっしゃいますか?」
「はい、覚えています……ですが、その——」
覚えている、はっきりと。覚えている事が事実なら俺は……、死んでいるはずなんだが。
山奥にあるキャンプ場に向かう途中の山道で有り得ない事が起こり、車と共に助かるとは思えない場所へと転落したからな。
「……ここは、死後の世界という事ですか」
「そうですね、ここは少し特殊な場所でして、生と死の狭間の空間と言いますか……私達の住まいの中の一部屋といった所です」
「ん? 狭間という事は、俺はまだ死んでいないって事ですか?」
「いえ、残念ながらあなたの世界では死んでしまっています」
「あなたの世界?」
「はい。ですが、まだ魂はここ、私の元にあってまだ魂は生きています。」
「え?」
「全てはこちらのせいなのですが、あの日あなたは死ぬ予定ではなかったんです」
「——っ!」
『こちらのせい』『死ぬ予定ではない』とアシュマルナのその言葉を聞いた瞬間怒りでカッと全身の血が沸騰したようになるが、何故かすぐにその気持ちが潰され落ち着いてくる。
何かおかしい。怒りの気持ちはあるが勢いを保てない。さっきの鎮静魔法とやらのせいだろうか。
「……どういう事ですか」
目の前に広がる見慣れない景色を見ながら呟く。
身分証のためとはいえ冒険者とはなんだかおかしな事になったもんだ。
でもまあ、俺の目的はただの旅行で宝探しとか冒険する訳じゃないし……、いいかな。
「よし、のんびり楽しんで行こう!」
++++++
パチッと目を覚ますと真っ白だった。
「?」
天井も壁も床も何もなくただ真っ白な空間に俺はいた。立ち上がって辺りをくるくる見回すも何もない。
「え? なんだ、ここ……」
どうして、俺はこんな所にいるんだろうか。ごく当たり前の疑問が湧いてくる。
だって、俺は——
パチン!
「染谷理人さんですね」
誰もいなかった筈の後ろからいきなり指を鳴らした様な音と自分の名前を呼ぶ声がする。
驚いて後ろを振り返ると、俺から二メートル程離れた先に一人の男性が立っていた。
その男性は、腰の位置まであるホワイトブロンドの髪に白い花で出来た花冠を被り、顔は人形の様に整っており瞳は紫、金糸で煌びやかな刺繍模様のある白いローブのような服を着ていた。何かのコスプレでもしているみたいだ。
サッと全身を見て、身長一七五センチ体重六〇キロの俺より、軽く五~七〇センチは高く見え、体つきは服で判り難いが筋肉がしっかりある感じなのがわかった。
揉めても絶対勝てそうにないなと思う。その為、そうですけど、と頷きながら相手の出方を待つ事にした。
「鎮静魔法がよく効いている様でよかったです」
「……は?」
魔法?
小説や漫画、ゲームでは聞き慣れてはいるが、それが成立するのは物語のみの真には聞き慣れない言葉をしばし考えるも、それよりも先を聞いた方が良さそうに思う。
それを目の前の人物に目線で伝え続きを促した。
「突然こんな所に連れてきてしまって驚かせてしまいましたね。私は染谷さんの住む世界が属する、第三界を管理しているアシュマルナと申します。よろしくお願いします」
そう言ってアシュマルナは、一見すると柔和そうだが少し胡散臭くも思える笑みを浮かべながら、ほんの少しだけ軽く頭を下げる。その事に俺は少しの違和感を覚えた。
「どうも、こちらこそ?」
「染谷さん達の世界の神とでも考えて頂ければ理解はし易いかと思います」
「えーっと、神……様とやらが俺に一体何の用でしょうか」
「染谷さんはここに来る前の事を覚えてらっしゃいますか?」
「はい、覚えています……ですが、その——」
覚えている、はっきりと。覚えている事が事実なら俺は……、死んでいるはずなんだが。
山奥にあるキャンプ場に向かう途中の山道で有り得ない事が起こり、車と共に助かるとは思えない場所へと転落したからな。
「……ここは、死後の世界という事ですか」
「そうですね、ここは少し特殊な場所でして、生と死の狭間の空間と言いますか……私達の住まいの中の一部屋といった所です」
「ん? 狭間という事は、俺はまだ死んでいないって事ですか?」
「いえ、残念ながらあなたの世界では死んでしまっています」
「あなたの世界?」
「はい。ですが、まだ魂はここ、私の元にあってまだ魂は生きています。」
「え?」
「全てはこちらのせいなのですが、あの日あなたは死ぬ予定ではなかったんです」
「——っ!」
『こちらのせい』『死ぬ予定ではない』とアシュマルナのその言葉を聞いた瞬間怒りでカッと全身の血が沸騰したようになるが、何故かすぐにその気持ちが潰され落ち着いてくる。
何かおかしい。怒りの気持ちはあるが勢いを保てない。さっきの鎮静魔法とやらのせいだろうか。
「……どういう事ですか」
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