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4章。限界突破の外れスキル《バフ・マスター》で世界最強
68話【バランSIDE】バラン、国のためにブラック労働をする
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──2ヶ月後の夜。
ミスリル鉱石を荷馬車に満載して、バランはアーデルハイド王国への帰路を急いでいた。
「どうして、こうなった!?」
頭を抱えるバランは、アンデッド軍団を率いていた。
アンデッドを使って魔王領で発見されたミスリル鉱山から、鉱石を発掘して国に持ち帰るのが彼の任務だ。
この魔王領内では、どんな危険なモンスターが襲って来るかわからず、吸血鬼バランと言えど気が抜けない。
ツマラナイ上に、精神的にもキツイ仕事だった。
「帰ったら休む間もなく、再び発掘に出掛ける! 家と職場の往復どころか、365日職場だけの往復! こんな奴隷以下の生活をずっと続けろというのか!?」
部下は全員、脳まで腐っているか、頭が物理的に空っぽの白骨死体であるため、パワハラで憂さを晴らすこともできない。
「貴様ら、揃いも揃って、腐っておるぞ! 弛んでおるぞ!」
威張り散らしても虚しいだけだった。
『私の命令に文句が有るのかしら? あなたにできるのはバカのひとつ覚えの突撃か。力仕事くらいなモノじゃなくて?』
涼しい殺意を秘めた主君アンジェラの声が、頭に響いた。
「これは姫……っ!? 文句があるなど滅相もございません! ただ、多少は人間らしい生活をさせていただければと」
『人間を辞めた癖に、人間らしい生活とか冗談はおやめなさい。あなたは休息を取る必要もない、超常の肉体を持つ夜の眷属でしょう?
なら、それに相応しい仕事をするのが当然ではなくて?』
「こ、これが人間を超越した者に相応しい仕事っ!? 夜の眷属というより、ブラック奴隷では!?」
『まったく……アーデルハイドの繁栄のために必要な仕事を任せているのだから、光栄に思いなさい。あなたは我が暗黒の騎士、ブラック上等よ』
アンジェラは呆れたような声で告げた。
暗黒の騎士という呼び名は、カッコいいので気に入っているのだが……やらされているのは華々しい戦場での活躍とは無縁のブラック労働だ。
何かうまい具合に騙されている気がした。
『それよりも明後日、私が主催者のティーパーティーに、たくさんの貴族の姫君たちが、やって来てくれることになったわ。
リディアが出席してくれたおかげなんだけど。パーティーの主催者として、鼻が高いわ』
バランの苦労など意にも介さず、アンジェラは楽しそうに告げた。
フォルガナとの戦争は、ひとまず集結した。今、フォルガナはアンジェラの兄たちが、空白の玉座を巡って争っており、乱れに乱れている。
しばらくは他国に攻め入るどころではないし、内乱によって国力は大きく落ちるだろう。
『リディアは私と違って、何でも持っている娘だと思って嫌いだったけど。
意外と親切で良い娘だわ……ひねくれたところが無いし。だから、好かれているのかしら?』
アンジェラは同年代の女友達がずっと欲しかったらしく、その声は弾んでいた。
『あなた、アーデルハイドの社交界ではそれなりの顔役だったのでしょう? それぞれの家の娘たちに、どんな贈り物をしたら良いか教えなさい』
「はっ……」
社交界など、奴隷以下のバランにはもはや遠い世界だ。
もっともバランの主であるアンジェラが出世すれば、状況が改善されるチャンスが多少あるのでないか?
そんな僅か可能性にすがって、バランは懇切丁寧に教えた。
そんな日が来ることは永遠に無いのであるが……
やがて新王アベルの元で、世界一の強国に発展していくアーデルハイドの繁栄に、バランは陰ながら貢献していくことになる。
ミスリル鉱石を荷馬車に満載して、バランはアーデルハイド王国への帰路を急いでいた。
「どうして、こうなった!?」
頭を抱えるバランは、アンデッド軍団を率いていた。
アンデッドを使って魔王領で発見されたミスリル鉱山から、鉱石を発掘して国に持ち帰るのが彼の任務だ。
この魔王領内では、どんな危険なモンスターが襲って来るかわからず、吸血鬼バランと言えど気が抜けない。
ツマラナイ上に、精神的にもキツイ仕事だった。
「帰ったら休む間もなく、再び発掘に出掛ける! 家と職場の往復どころか、365日職場だけの往復! こんな奴隷以下の生活をずっと続けろというのか!?」
部下は全員、脳まで腐っているか、頭が物理的に空っぽの白骨死体であるため、パワハラで憂さを晴らすこともできない。
「貴様ら、揃いも揃って、腐っておるぞ! 弛んでおるぞ!」
威張り散らしても虚しいだけだった。
『私の命令に文句が有るのかしら? あなたにできるのはバカのひとつ覚えの突撃か。力仕事くらいなモノじゃなくて?』
涼しい殺意を秘めた主君アンジェラの声が、頭に響いた。
「これは姫……っ!? 文句があるなど滅相もございません! ただ、多少は人間らしい生活をさせていただければと」
『人間を辞めた癖に、人間らしい生活とか冗談はおやめなさい。あなたは休息を取る必要もない、超常の肉体を持つ夜の眷属でしょう?
なら、それに相応しい仕事をするのが当然ではなくて?』
「こ、これが人間を超越した者に相応しい仕事っ!? 夜の眷属というより、ブラック奴隷では!?」
『まったく……アーデルハイドの繁栄のために必要な仕事を任せているのだから、光栄に思いなさい。あなたは我が暗黒の騎士、ブラック上等よ』
アンジェラは呆れたような声で告げた。
暗黒の騎士という呼び名は、カッコいいので気に入っているのだが……やらされているのは華々しい戦場での活躍とは無縁のブラック労働だ。
何かうまい具合に騙されている気がした。
『それよりも明後日、私が主催者のティーパーティーに、たくさんの貴族の姫君たちが、やって来てくれることになったわ。
リディアが出席してくれたおかげなんだけど。パーティーの主催者として、鼻が高いわ』
バランの苦労など意にも介さず、アンジェラは楽しそうに告げた。
フォルガナとの戦争は、ひとまず集結した。今、フォルガナはアンジェラの兄たちが、空白の玉座を巡って争っており、乱れに乱れている。
しばらくは他国に攻め入るどころではないし、内乱によって国力は大きく落ちるだろう。
『リディアは私と違って、何でも持っている娘だと思って嫌いだったけど。
意外と親切で良い娘だわ……ひねくれたところが無いし。だから、好かれているのかしら?』
アンジェラは同年代の女友達がずっと欲しかったらしく、その声は弾んでいた。
『あなた、アーデルハイドの社交界ではそれなりの顔役だったのでしょう? それぞれの家の娘たちに、どんな贈り物をしたら良いか教えなさい』
「はっ……」
社交界など、奴隷以下のバランにはもはや遠い世界だ。
もっともバランの主であるアンジェラが出世すれば、状況が改善されるチャンスが多少あるのでないか?
そんな僅か可能性にすがって、バランは懇切丁寧に教えた。
そんな日が来ることは永遠に無いのであるが……
やがて新王アベルの元で、世界一の強国に発展していくアーデルハイドの繁栄に、バランは陰ながら貢献していくことになる。
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