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2章。バフ・マスター、Lv5覚醒
28話。バフ・マスター、アンジェラ王女の罠を切り抜ける
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「アベル団長! 私たちもご同行させてください」
会場の警備にあたっていたルーンナイツのふたりの少女騎士たちが、合流を申し出て来た。
「なっ、なっ!? めちゃくちゃ、かわいい娘じゃないか?」
ゼノらが目を白黒させている。
ルーンナイツは、容姿で採用を決定しているのではないかと疑いたくなるほど、美少女しかいない集団だった。
「うん、ありがとう。よろしく頼むよ」
「はいっ!」
少女たちは元気良く返事をする。
僕はゼノたちにもバフ・マスターの全ステータス10倍強化をかけた。
「おおっ!? や、やっぱり、すごい力です。俺たちが最強だったのは、全部アベル様のおかげだったんですね」
「そうとも知らずに俺たちは調子に乗って……もっと早く、このことに気づいていたら」
「バフ・マスターは最初は、本当に貧弱なスキルでしたから、仕方ないですよ」
なぜか、ゼノたちは非常に思い詰めたような顔をしていた。
「では、僕がリディア王女の横を固めるので、先輩たちは前をお願いします」
「はっ」
ゼノたちに先頭に回ってもらったのは、何となく彼らの挙動がおかしかったからだ。
考え過ぎかも知れないが……
もし何かあっても、僕たちの目の前にいるのなら対処しやすい。
歩き出すと、僕たちの背後を固めた少女騎士たちが、ヒソヒソ噂話を始めた。
「アベル団長って、ぜんぜんエラソーにしないところがステキよね!」
「さっきもフォルガナの王女相手に、ビシっと言い返してらして、カッコ良かった!」
「むぅ。あなたたち、アベルがいくら格好良いからって浮かれ過ぎないでよね。彼は私の婚約者で、あなたたちをは私の近衛騎士なのよ!?」
「はい! 申し訳ありません。王女殿下!」
リディアに睨まれると、少女騎士たちは首を竦める。
だが、しばらくすると、またお喋りを始めた。
「ふふふんっ! 実は今朝、アベル団長と朝食をご一緒できたのよ」
「ええっ! うらやましい! 何を話したの?」
「アンデッドの討伐では怪我などしなかった? ですって。もーっ、紳士! 私なんかを気遣ってくれて、すごくうれしかった!」
「本当!? アベル団長! こ、今度、私ともお食事をご一緒していただくことはできませんか!?」
「あなたたち、ねぇ……!」
リディアが笑顔を引きつらせている。
どうも彼女たちは、まだ王女の近衛騎士としての自覚が足らないようだ。
まるでピクニックでもしているかのような浮かれようだった。
ちょっと前までは、下級貴族の娘として、花嫁修業をしていたようなので、無理もないかも知れないが。
「悪いけど、もっと気を引き締めてくれないかな? フォルガナの刺客に襲われたら、最悪、命を落とすことだってあるんだぞ」
「はぁい……」
少女騎士は、ペロッと舌を出して、なぜか嬉しそうにしている。
彼女たち自身のためにも、もっとキツく言うべきなんだろうか……
「でも、大丈夫ですよね。アベル様のバフ・マスターのお力があれば、例えドラゴンが襲って来たって、軽く返り討ちですものね」
「おいっ」
どうやら、この娘たちは僕の力を過大評価しているようだ。
初戦を大勝利で飾り過ぎたのかも知れない。
「僕のスキルにだって弱点は……」
その時だった。
少女騎士たちが、ゼノに手刀で首を打たれる。彼女たちは、糸が切れたように崩れ落ちた。
「王女殿下! お許しを!」
もうひとりのブラックナイツの騎士が、剣を抜いてリディアに斬り掛かった。
僕は慌ててリディアを突き飛ばす。
「ぐぅっ!」
「アベル!?」
間一髪。間に合ったが、僕は右腕を浅く斬られた。
本来ならダメージを受けることもなかったハズだが、相手はバフ・マスターで強化されていた。
視界がぐらつく。まさか、剣に即効性の毒が塗ってあったのか?
「俺たちだって、こんなことはしたくねぇんだ! でも、やらなきゃ家族全員、アンデッドにするって脅されているんだよ!」
ゼノが僕に剣を打ち下ろしてくる。
ゼノらにかけたバフ・マスターの力を解除し、彼を蹴り飛ばした。
ゼノは吹っ飛んで、王宮の壁を派手にぶち抜く。
意識が朦朧としながらも、リディアに再び襲いかかろうとした騎士にタックルを食らわせた。
壁に叩きつけられて、騎士は動かくなる。
「アベル!? こ、これは、毒ね! すぐに回復魔法で治療するわ!」
リディアが僕の腕に手を当ててくれる。
ギリギリだったが、彼女を守り切ることができた。
会場の警備にあたっていたルーンナイツのふたりの少女騎士たちが、合流を申し出て来た。
「なっ、なっ!? めちゃくちゃ、かわいい娘じゃないか?」
ゼノらが目を白黒させている。
ルーンナイツは、容姿で採用を決定しているのではないかと疑いたくなるほど、美少女しかいない集団だった。
「うん、ありがとう。よろしく頼むよ」
「はいっ!」
少女たちは元気良く返事をする。
僕はゼノたちにもバフ・マスターの全ステータス10倍強化をかけた。
「おおっ!? や、やっぱり、すごい力です。俺たちが最強だったのは、全部アベル様のおかげだったんですね」
「そうとも知らずに俺たちは調子に乗って……もっと早く、このことに気づいていたら」
「バフ・マスターは最初は、本当に貧弱なスキルでしたから、仕方ないですよ」
なぜか、ゼノたちは非常に思い詰めたような顔をしていた。
「では、僕がリディア王女の横を固めるので、先輩たちは前をお願いします」
「はっ」
ゼノたちに先頭に回ってもらったのは、何となく彼らの挙動がおかしかったからだ。
考え過ぎかも知れないが……
もし何かあっても、僕たちの目の前にいるのなら対処しやすい。
歩き出すと、僕たちの背後を固めた少女騎士たちが、ヒソヒソ噂話を始めた。
「アベル団長って、ぜんぜんエラソーにしないところがステキよね!」
「さっきもフォルガナの王女相手に、ビシっと言い返してらして、カッコ良かった!」
「むぅ。あなたたち、アベルがいくら格好良いからって浮かれ過ぎないでよね。彼は私の婚約者で、あなたたちをは私の近衛騎士なのよ!?」
「はい! 申し訳ありません。王女殿下!」
リディアに睨まれると、少女騎士たちは首を竦める。
だが、しばらくすると、またお喋りを始めた。
「ふふふんっ! 実は今朝、アベル団長と朝食をご一緒できたのよ」
「ええっ! うらやましい! 何を話したの?」
「アンデッドの討伐では怪我などしなかった? ですって。もーっ、紳士! 私なんかを気遣ってくれて、すごくうれしかった!」
「本当!? アベル団長! こ、今度、私ともお食事をご一緒していただくことはできませんか!?」
「あなたたち、ねぇ……!」
リディアが笑顔を引きつらせている。
どうも彼女たちは、まだ王女の近衛騎士としての自覚が足らないようだ。
まるでピクニックでもしているかのような浮かれようだった。
ちょっと前までは、下級貴族の娘として、花嫁修業をしていたようなので、無理もないかも知れないが。
「悪いけど、もっと気を引き締めてくれないかな? フォルガナの刺客に襲われたら、最悪、命を落とすことだってあるんだぞ」
「はぁい……」
少女騎士は、ペロッと舌を出して、なぜか嬉しそうにしている。
彼女たち自身のためにも、もっとキツく言うべきなんだろうか……
「でも、大丈夫ですよね。アベル様のバフ・マスターのお力があれば、例えドラゴンが襲って来たって、軽く返り討ちですものね」
「おいっ」
どうやら、この娘たちは僕の力を過大評価しているようだ。
初戦を大勝利で飾り過ぎたのかも知れない。
「僕のスキルにだって弱点は……」
その時だった。
少女騎士たちが、ゼノに手刀で首を打たれる。彼女たちは、糸が切れたように崩れ落ちた。
「王女殿下! お許しを!」
もうひとりのブラックナイツの騎士が、剣を抜いてリディアに斬り掛かった。
僕は慌ててリディアを突き飛ばす。
「ぐぅっ!」
「アベル!?」
間一髪。間に合ったが、僕は右腕を浅く斬られた。
本来ならダメージを受けることもなかったハズだが、相手はバフ・マスターで強化されていた。
視界がぐらつく。まさか、剣に即効性の毒が塗ってあったのか?
「俺たちだって、こんなことはしたくねぇんだ! でも、やらなきゃ家族全員、アンデッドにするって脅されているんだよ!」
ゼノが僕に剣を打ち下ろしてくる。
ゼノらにかけたバフ・マスターの力を解除し、彼を蹴り飛ばした。
ゼノは吹っ飛んで、王宮の壁を派手にぶち抜く。
意識が朦朧としながらも、リディアに再び襲いかかろうとした騎士にタックルを食らわせた。
壁に叩きつけられて、騎士は動かくなる。
「アベル!? こ、これは、毒ね! すぐに回復魔法で治療するわ!」
リディアが僕の腕に手を当ててくれる。
ギリギリだったが、彼女を守り切ることができた。
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