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1章。バフ・マスター、Lv4覚醒
11話。バフ・マスター、最強のアンデッドを滅ぼす
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「一撃っ……たった一撃で、あのお方から任された不死の軍団が半壊だと……!?」
アンデッド軍団の中から、ボロボロのローブをまとった男が進み出てきた。その顔は白い骸骨だった。
「あれはっ……【魔導死霊(リッチ)】!? 稀代の魔法使いがアンデッドに転生した厄災級の魔物です!」
ティファが驚愕の叫びを上げる。
リッチは、禍々しく光る真紅の瞳で、僕を睨みつけた。
「かの英雄シグルドの息子とはな。あのお方の脅威となりうる者は、ここで我が滅してくれよう」
「さ、させません!《灼熱地獄(インシニレイト)》」
ティファがリッチより早く魔法を放つ。
ヤツの立つ地面より、超高熱の炎が吹き上がり、地面が赤熱して溶ける。
「ほう? Aランクの魔法を、無詠唱で放つとは。やりおるなハーフエルフ……」
「まさか。効いていないっ!?」
ティファが息を飲む。リッチは何事もなかったように立っていた。
「万物よ崩れ落ちよ《滅びの風(デスクラウド)》!」
ゴゥオオオオ!
リッチのかざした手より突風が吹く。
危険を感じ取り、僕はとっさに身を盾にして、ティファをかばった。
「みんな下がれ!」
「アベル様!? 」
突風にされされたブラックナイツの騎士たちが、カラカラに干からびた死体と化した。
彼らは一斉に地面に倒れる。
「なっ、なっ、なっ……!?」
あちこちで、恐怖の叫びが上がた。
「《滅びの風(デスクラウド)》を受けて、平然で立っているだと?」
魔法防御力5500オーバーの僕は、滅びの風を浴びてもノーダメージだった。
もちろん、僕に守られたティファも無事だ。
ブラックナイツも僕のバフで魔法防御力が10倍になっていたが、一撃で死に至らしめるとは、コイツは相当な魔法の使い手らしい。
「お前のスキルは【バフ・マスター】だっか? 自身も強化できるようだな。しかも、想像を絶する強化率だ」
「ヤツが敵の頭だ! 討ち取れ!」
バラン団長の命令と共に、何十本もの弓矢が、リッチを射抜く。
だが、そのすべてが、リッチの身体をすり抜けていった。
「なに……?」
「クハハハッ! お前は本当に愚かだな? この身体は幽体である故。我に物理攻撃は無意味」
リッチがくぐもった声で笑う。
「お前のような小物がシグルドの後釜とは。騎士の国アーデルハイドも落ちたものよな」
リッチの魔法で干からびた騎士たちが起き上がり、剣を構えて向かって来た。
全員がアンデッドとなったのだ。
「ターン・アンデッド!」
リディアが後方から浄化の魔法を唱える。魔物となった騎士たちは、白い砂と化して崩れた。
だが、同じく浄化の光を浴びたリッチは、何事も無かったように立っている。
「私の神聖魔法でも倒せないの!?」
「驚いたか王女よ? 我の弱点となる魔法攻撃。火系統と神聖系統に対して、ダメージを90%カットする加護を、あのお方より頂戴しておるのでな」
勝ち誇ったかのようにリッチが告げた。
「それにしても、王女が前線に出てくるとは、誠に愚かなり。お前もアンデッドとなってもらおう。クククッ、聖女のアンデッドとは傑作だ」
「リディア、下がってくれ! みんなも後退しろ!」
僕は神剣グラムを構えて、リッチの前に立った。
「アベルとやら、貴様がいかに強大な力を持っていようと無意味! 我が力の前に膝を屈するが良い」
「お前こそ、この剣を受けても平気でいられるか?」
神剣グラムには、破邪の力が込められている。邪悪な魔物に特に有効なハズだ。
「クハハハッ! それは確かに脅威ではあるが。当たらなければ、どうということはない!」
リッチは疾風のように空中を飛びながら、連続で黒い雷を放った。
それは蛇のように曲がって僕の身体に喰らいついてきた。
身体が痺れて、動きが鈍る。
そこにさらに、リッチから放たれた黒い突風が吹き付けられた。
「呪いの雷撃と、《毒》の状態異常を与える毒ガスだ。じわじわと殺してやろう」
「早い! これでは補足できない……!」
剣聖イブがうめく。
リッチの飛翔スピードは、目で追うのがやっとの域だった。
しかも、追尾してくる雷撃に動きを止められるので、僕の敏捷性が5000を超えていても、追いつくことができない。
だったら。
「……なに!?」
僕はファイヤーボールを低威力で、とにかく連射する。
大爆発が連続で巻き起こって、リッチがよろめいた。
「我に火系統の魔法は通じぬと……!」
「10%のダメージは通んるだろ!?」
初級魔法の利点は、魔力をほとんど消耗せず、連射性に優れるところだ。
なら撃ちまくって、奴に少しでもダメージを与える。
ほとんどはカスリもしないが、こうなれば我慢比べだ。毒にやられる前に、手数でヤツを圧倒する。
魔法は、ファイヤーボールしか使えない僕の苦肉の策だった。
「ぬぉお!? 死後も魔法を極めんと研鑽を積んで来た我が、こんな小僧の力技に……!」
運良くファイヤーボールが連続で命中して、リッチの魔法攻撃が途切れた。チャンスだ。
「今だ! うぉおおお!」
僕は地面を蹴り、ヤツの懐に一瞬で入る。
放った斬撃が、リッチの白骨の顔を断ち切った。
リッチはおぞましい断末魔の声を上げて、消滅する。
「お、お見事です! アベル様!」
「リッチを魔法で押し切るなんて! すごすぎるわ! さすがはルーンナイツの団長よ!」
「バカな! アベルごときが、あの化け物を……!?」
大歓声が両騎士団から上がった。
「これは……聞きしに勝る剣と魔法の使い手」
剣聖イブも、感じ入ったように僕を見つめていた。
―――――――
リッチと2000体以上のアンデッドを倒した経験値を獲得しました!
名 前:アベル・ベオルブ
レベル:19(UP!)
体 力: 5132 ⇒ 5543(UP!)
筋 力: 8001 ⇒ 8421(UP!)
防御力: 6245 ⇒ 6647(UP!)
魔 防: 5596 ⇒ 6005(UP!)
魔 力: 6672 ⇒ 7132(UP!)
敏 捷: 5026 ⇒ 5429(UP!)
―――――――
アンデッド軍団の中から、ボロボロのローブをまとった男が進み出てきた。その顔は白い骸骨だった。
「あれはっ……【魔導死霊(リッチ)】!? 稀代の魔法使いがアンデッドに転生した厄災級の魔物です!」
ティファが驚愕の叫びを上げる。
リッチは、禍々しく光る真紅の瞳で、僕を睨みつけた。
「かの英雄シグルドの息子とはな。あのお方の脅威となりうる者は、ここで我が滅してくれよう」
「さ、させません!《灼熱地獄(インシニレイト)》」
ティファがリッチより早く魔法を放つ。
ヤツの立つ地面より、超高熱の炎が吹き上がり、地面が赤熱して溶ける。
「ほう? Aランクの魔法を、無詠唱で放つとは。やりおるなハーフエルフ……」
「まさか。効いていないっ!?」
ティファが息を飲む。リッチは何事もなかったように立っていた。
「万物よ崩れ落ちよ《滅びの風(デスクラウド)》!」
ゴゥオオオオ!
リッチのかざした手より突風が吹く。
危険を感じ取り、僕はとっさに身を盾にして、ティファをかばった。
「みんな下がれ!」
「アベル様!? 」
突風にされされたブラックナイツの騎士たちが、カラカラに干からびた死体と化した。
彼らは一斉に地面に倒れる。
「なっ、なっ、なっ……!?」
あちこちで、恐怖の叫びが上がた。
「《滅びの風(デスクラウド)》を受けて、平然で立っているだと?」
魔法防御力5500オーバーの僕は、滅びの風を浴びてもノーダメージだった。
もちろん、僕に守られたティファも無事だ。
ブラックナイツも僕のバフで魔法防御力が10倍になっていたが、一撃で死に至らしめるとは、コイツは相当な魔法の使い手らしい。
「お前のスキルは【バフ・マスター】だっか? 自身も強化できるようだな。しかも、想像を絶する強化率だ」
「ヤツが敵の頭だ! 討ち取れ!」
バラン団長の命令と共に、何十本もの弓矢が、リッチを射抜く。
だが、そのすべてが、リッチの身体をすり抜けていった。
「なに……?」
「クハハハッ! お前は本当に愚かだな? この身体は幽体である故。我に物理攻撃は無意味」
リッチがくぐもった声で笑う。
「お前のような小物がシグルドの後釜とは。騎士の国アーデルハイドも落ちたものよな」
リッチの魔法で干からびた騎士たちが起き上がり、剣を構えて向かって来た。
全員がアンデッドとなったのだ。
「ターン・アンデッド!」
リディアが後方から浄化の魔法を唱える。魔物となった騎士たちは、白い砂と化して崩れた。
だが、同じく浄化の光を浴びたリッチは、何事も無かったように立っている。
「私の神聖魔法でも倒せないの!?」
「驚いたか王女よ? 我の弱点となる魔法攻撃。火系統と神聖系統に対して、ダメージを90%カットする加護を、あのお方より頂戴しておるのでな」
勝ち誇ったかのようにリッチが告げた。
「それにしても、王女が前線に出てくるとは、誠に愚かなり。お前もアンデッドとなってもらおう。クククッ、聖女のアンデッドとは傑作だ」
「リディア、下がってくれ! みんなも後退しろ!」
僕は神剣グラムを構えて、リッチの前に立った。
「アベルとやら、貴様がいかに強大な力を持っていようと無意味! 我が力の前に膝を屈するが良い」
「お前こそ、この剣を受けても平気でいられるか?」
神剣グラムには、破邪の力が込められている。邪悪な魔物に特に有効なハズだ。
「クハハハッ! それは確かに脅威ではあるが。当たらなければ、どうということはない!」
リッチは疾風のように空中を飛びながら、連続で黒い雷を放った。
それは蛇のように曲がって僕の身体に喰らいついてきた。
身体が痺れて、動きが鈍る。
そこにさらに、リッチから放たれた黒い突風が吹き付けられた。
「呪いの雷撃と、《毒》の状態異常を与える毒ガスだ。じわじわと殺してやろう」
「早い! これでは補足できない……!」
剣聖イブがうめく。
リッチの飛翔スピードは、目で追うのがやっとの域だった。
しかも、追尾してくる雷撃に動きを止められるので、僕の敏捷性が5000を超えていても、追いつくことができない。
だったら。
「……なに!?」
僕はファイヤーボールを低威力で、とにかく連射する。
大爆発が連続で巻き起こって、リッチがよろめいた。
「我に火系統の魔法は通じぬと……!」
「10%のダメージは通んるだろ!?」
初級魔法の利点は、魔力をほとんど消耗せず、連射性に優れるところだ。
なら撃ちまくって、奴に少しでもダメージを与える。
ほとんどはカスリもしないが、こうなれば我慢比べだ。毒にやられる前に、手数でヤツを圧倒する。
魔法は、ファイヤーボールしか使えない僕の苦肉の策だった。
「ぬぉお!? 死後も魔法を極めんと研鑽を積んで来た我が、こんな小僧の力技に……!」
運良くファイヤーボールが連続で命中して、リッチの魔法攻撃が途切れた。チャンスだ。
「今だ! うぉおおお!」
僕は地面を蹴り、ヤツの懐に一瞬で入る。
放った斬撃が、リッチの白骨の顔を断ち切った。
リッチはおぞましい断末魔の声を上げて、消滅する。
「お、お見事です! アベル様!」
「リッチを魔法で押し切るなんて! すごすぎるわ! さすがはルーンナイツの団長よ!」
「バカな! アベルごときが、あの化け物を……!?」
大歓声が両騎士団から上がった。
「これは……聞きしに勝る剣と魔法の使い手」
剣聖イブも、感じ入ったように僕を見つめていた。
―――――――
リッチと2000体以上のアンデッドを倒した経験値を獲得しました!
名 前:アベル・ベオルブ
レベル:19(UP!)
体 力: 5132 ⇒ 5543(UP!)
筋 力: 8001 ⇒ 8421(UP!)
防御力: 6245 ⇒ 6647(UP!)
魔 防: 5596 ⇒ 6005(UP!)
魔 力: 6672 ⇒ 7132(UP!)
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