強さがすべての魔法学園の最下位クズ貴族に転生した俺、死にたくないからゲーム知識でランキング1位を目指したら、なぜか最強ハーレムの主となった!

こはるんるん

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4章。傾国の大魔族ジゼルとの決戦

52話。大魔族ジゼルの奥の手を破って勝利する

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「みんな正気に戻るのよ!」

 セリカが解呪魔法で、ジゼルに洗脳された生徒たちを次々に正気に戻した。

 フィアナはジゼルを守る壁となっていた彼らを傷つけまいと、火力の高い攻撃ができなかったが、これで形勢逆転だ。

「わたくしたちを、いえ、ヴァイスさんを甘く見たのが運の尽きでしたわね!」
「はい、その通りです!」

 エレナもジゼルを攻撃すべく、突撃する。

「魔獣ども、私を守りなさい! 私が逃げる時間を稼ぐのよ!」

 ジゼルは高レベルの魔獣グリフォンを同時に5体召喚すると、自分は逃げを打った。

 自分の逃走用に、まだこんな戦力を隠していたとは。
 となると、おそらくここから脱出する算段も整えているハズだ。

 ジゼルの身体が揺らいだかと思うと、その身が5人に増えて、それぞれ別の出口に向かって逃走した。

「幻影魔法ですって、厄介な!」

 生徒たちの指揮を執るフィアナが唖然とする。
 どのジゼルを追うべきか、一瞬の迷いが致命的な遅れをもたらす。

『ヴァイス、本物のジゼルとその逃走先を【未来視】で確認した。そこに君の攻撃を撃ち込めるか? おそらく、君以外では遠距離攻撃でヤツに致命傷を与えられない』

 その時、俺の心にレオナルドが精神感応魔法で語りかけてきた。
 そうか。ジゼルがやったのと全く同じことが──レオナルドが【未来視】で見たビジョンを俺と共用することが、できるんだな。

「ああっ、頼む!」

 その途端、俺の脳裏に、闘技場の南門から抜け出そうとしているジゼルの姿が投影された。

 俺はそこに向かって駆けつつ、超重量の石礫を乱射する。

「なんですってぇ!?」

 ジゼルは石礫の弾幕に身体を撃ち抜かれて、地面を派手に転がった。

【空気抵抗ゼロ】ゼロ・レジスタント!」

 俺はトドメを刺すべく超加速し、【地竜王の小盾】を振りかざした。ヤツと目を合わせなければ、俺の勝ちだ。

「かかったわね!」

 ジゼルは退路として決めていたこの場所に、あらかじめ切り札の魔法を仕込んでいた。
 地面に魔法陣が浮かび上がり、そこから伸びた光の鎖が、俺の身体に巻き付いて拘束する。

 さらに別の回復系魔法陣も浮かび上がり、ジゼルの受けたダメージを癒やした。

「なぜだヴァイス!?」

 あまりにも意外な逆転劇に、レオナルドが驚きの声を上げた。
 レオナルドは今、この瞬間も懸命に【未来視】で見たビジョンを共有してくれている。

 なぜ俺がワザとジゼルの罠にかかったのか、レオナルドは理解できなかったようだ。

「目を合わせなければ、【傾国】は無意味だと思った? お生憎様。これぞ私の切り札【エンゲージ・リング】!」

 全快したジゼルの手には、指輪が握られていた。
 あれは【傾国】の呪いが込められたマジックアイテムだ。あの指輪をハメられると、強制的にジゼルの下僕にされる。

「ここまで、私を追い詰めたのは、あなたが初めてだわ。あなたのような男を支配し、愛を捧げられると思うと、ゾクゾクするわね」

 ジゼルは頬を上気させ、俺の手に【エンゲージ・リング】を嵌めようとしてきた。

「ヴァイス君!?」

 俺の窮地に気付いたセリカが、慌てて解呪魔法で、ジゼルの拘束魔法を解こうとしてくる。

「遅いわ! これで彼は私のモノ。私は欲しいと思った男は、全部自分のモノにしてきたのよ!」
「知っているさジゼル。お前の性格も、切り札もな。【指向性引力】!」

 俺はその瞬間、【超重量レベル6】の能力、【指向性引力】を発動させた。これは指定した対象を手元に引き寄せる能力だ。

 無論、引き寄せるのはジゼルの【エンゲージ・リング】だ。

 同時に【マスターシーフ】のスキルツリーから【盗む】スチールのスキルを習得する。

 リーベルト公爵を倒してレベルアップしたことで、必要なスキルポイントを得られていた。これはアイテムの所有権を奪うスキルだ。

 この2つのスキルの併用により、ジゼル専用アイテム【エンゲージ・リング】を盗み取る。

「えっ、指輪が!?」

 ジゼルは己の手から離れた指輪に、愕然とした。
 ゲームでは、ボス専用武器は使えなかった。そういう仕様だった。
 だが、この世界はゲームではない。

 ギルベルトの専用武器【不可視の剣】インビジブル・ソードをエレナが使えたのなら、俺がジゼル専用アイテムを使うことだって、できるはずだと考えていた。

「悪いな俺は【マスターシーフ】。手癖が悪いんだ」

 ジゼルの奥の手【エンゲージ・リング】は、俺の右手に吸い込まれて収まった。

「ヴァイス、まったく君というヤツは驚くべきことを考えるな。いいぞ、人の心を弄んできた魔女にはお似合いの末路だ」

 レオナルドが冷ややかに笑う。
 同時に、セリカの解呪魔法が発動し、俺を縛る光の鎖が消え去った。

「ま、まさか、やめ!」
「残念だったな。これからは、お前が奴隷になって、俺に尽くすんだジゼル!」

 俺は逃げようとするジゼルに触れて【超重量】を発動させ、行動の自由を奪った。ジゼルは、地面に押し潰される。

「わ、私は、1000年の時を生きる誇り高き大魔族!【七公爵】セブン・ヘルツォークの1人、【傾国】のジゼル! その私を、たかが人間ごときが支配するというのッ!?」

 ジゼルは身をよじって懸命に逃げようとした。

「その通りだ。通常じゃ使えないアイテムを使う。ふつうじゃ仲間にならない奴を仲間にする。それって、最高におもしろいことだろ?」

 俺はジゼルの指に【エンゲージ・リング】を嵌めようとした。嵌めた相手を魅了し、永遠に支配してしまう呪いの指輪を。

「きゃああああッ! 私が私じゃなくなる!? 嫌、嫌、やめてちょうだい!」
「お前がレオナルドやリーベルト公爵にやったのと同じことだ!」

 この瞬間、大魔族【傾国】のジゼルは、自ら生み出した呪いの指輪によって、完全に敗北したのだった。
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