強さがすべての魔法学園の最下位クズ貴族に転生した俺、死にたくないからゲーム知識でランキング1位を目指したら、なぜか最強ハーレムの主となった!

こはるんるん

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4章。傾国の大魔族ジゼルとの決戦

50話。ヴァイス、最強の騎士を倒し王女と国王を守り抜く

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【セリカ視点】

 エレナが魔族リーベルト公爵を足止めしている間に、私はお父様の治療を行う。
 だけど【聖女】スキルの恩恵が乗っているハズの私の回復魔法は、まるで効果を発揮していなかった。

「……も、もう良い、余はこれまでだ。王国には導き手が必要だ。お前は逃げ延びよセリカ」

 瀕死のお父様は、獅子王には似つかわしくない弱気なことを言ってきた。

「あきらめてはダメよ、お父様! ヴァイス君が言っていたわ。【聖女】のユニークスキルは使えば使うほど進化するって! 私はこの一週間、ヴァイス君とずっと修行に励んできた。今、ここで【聖女】のスキルを進化させて見せるわ!」
「セリカ様、危ない!」

 エレナの警告と同時に、リーベルト公爵の雷撃魔法が飛来してきた。
 私はお父様の壁となって、雷撃を背に受ける。

「痛ッ!?」

 全身がバラバラになりそうな衝撃と痛みに貫かれた。
 ほ、本来なら即死ね、これは……

「セリカ、なんという無茶を……!」
「だ、大丈夫よ、お父様。これがヴァイスに教えてもらった公式チート『絶対に死なないド根性聖女ビルド』よ!」

 痛みを根性で無視して、私は回復魔法をかけ続ける。
 あの王妃に打ち勝ったことで、私は自信が付いていた。

「私はこのビルドで、フィアナにだって勝って見せるんだから!」

 ヴァイス君は言っていた。回復魔法の使用回数が300回を超えれば、【聖女】のスキルは次の段階に進化するって。それを果たせば、私に癒せない怪我は無くなるって。

「だから、絶対にあきらめないわ!」
「セリカ、お前は……」

 お父様は感銘を受けたように唇を震わせた。

「うぉおおおッ! これ以上、絶対にセリカ様と陛下に攻撃を届かせるな! セリカ王女親衛隊、奮起せよ!」
「はい、ロイ隊長ぉおおおッ!」

 ロイ君たち、セリカ王女親衛隊が中心となって、リーベルト公爵を包囲し、魔法と矢の雨を浴びせる。

 フィアナの指示通り、彼らはエレナの援護に徹する作戦のようだわ。
 エレナの動きが、目に見えて良くなる。

「て、敵がどれほど強大だろうと、俺はもう絶対に逃げん! 愛する者ために立ち向かう勇気の大切さを、俺はヴァイスに教えられたのだぁああッ!」

 リーベルト公爵は、たいしたダメージを受けていないようだけど、親衛隊はあきらめずに攻撃を続ける。

 親衛隊のみんなもここ数日、ダンジョンに潜ってレベルアップしていた。
 彼らの援護のおかげで、エレナはリーベルト公爵相手に、なんとか戦えていた。

「ありがとう、みんな!」
「……セリカ王女親衛隊だと? まさか、我が娘ために進んで命をかける忠臣が、これほど多くいたのか!?」

 お父様が感嘆の息を吐いた。

「セリカよ。お前は強くなっただけではなく、これほどの人望を得ていたのだな……」
「ううん、違うわお父様、すべてはヴァイス君のおかげよ!」

 ヴァイス君が親衛隊に、効率的な魔物の倒し方を伝授したおかげで、彼らは強くなった。
 親衛隊のメンバーが増えたのも、彼がやる気を出したのも全部ヴァイス君のおかげ。

「そ、そうか。すべて、あのアルバンの息子のおかげか」

 お父様が、笑顔を見せた。

「お前とヴァイスなら、きっと余の後を継いで、王国を正しく導いていけるだろう」
「そうね! でも、それはもっとずっと先のことよ、お父様! もうちょっとで、きっと……!」

『回復魔法の使用回数が合計300回を超えました。
 おめでとうございます。【聖女】がレベル2に進化しました!
 
 回復魔法に『デバフ無効』の効果が乗るようになりました。回復と同時に、呪いやステータスダウンなどのデバフ効果をすべて無効化します。

 次のレベルへの進化条件は回復魔法の使用回復が合計500回を超えることです』

「来たぁああああッ!」

 私は喜びを爆発させた。

「なに!?」

 お父様が目を剥く。
 回復魔法がこれまでより強い輝きを放ち、お父様の腹部の裂傷が塞がった。お父様の顔に生気が戻る。

「……なんと、お前の【聖女】の力が、エドワードの【永遠に流れる血】エターナル・ブラッドを打ち破ったのか!?」

 お父様がよろめきながらも、起き上がろうとした。
 さすがに血を失い過ぎたため、身体に力が入らないようだけど、これで一命を取り留めたわ。

「やったわ、お父様! これでもう大丈夫ね!」
「まさか、こんなことが……セリカよ。余はお前を見くびっていたようだ。お前はやはり余の血を引く娘なのだな」

 その時、リーベルト公爵が剛腕を大きく振るった。発生した特大の雷撃で、エレナと親衛隊たちが弾き飛ばされる。
 これまでとは異なる強力な広範囲攻撃──こ、これは……

「リ、リーベルト公爵のダメージが回復してきているんだわ」

 私は恐怖に息を飲んだ。
 武器を破壊され、瀕死にまで追い込まれたのに、復活してくるなんて……

 こ、こんなヤツに、どうやって勝てば良いの!?

「陛下、覚悟ぉおおおッ!」

 リーベルト公爵が、他の者には目もくれず私たちに向かって突っ込んできた。

「お父様は私が守るわ! 私は王女、セリカ・ローランドよ!」

 私は誇り高く宣言した。
 どんな攻撃を受けようとも、私なら死ぬことは無い。根性よ、セリカ!

「い、行かせません! 私こそセリカ様の剣です!」

 風魔法で加速したエレナが、リーベルト公爵の前に立ち塞がる。電撃を浴びた彼女は、相当なダメージを受けているようだけど、闘志は衰えていなかった。

「おもしろい。消えよ、アルバンの娘!」

 リーベルト公爵は雷を纏った拳を、エレナに撃ち込もうとした。

 エレナが殺される!?
 その瞬間──

「エレナ、伏せろ!」

 ヴァイス君の大声と共に、リーベルト公爵が大爆発に呑まれた。筆舌に尽くしがたい威力に、リーベルト公爵の巨体が光の粒子となって崩れ去る。

 これは、ま、魔法爆弾?

「まさか、【超重量】レベル5の力で、ジゼルの魔法爆弾をワープさせたの!?」
「がはぁああああッ!」

 リーベルト公爵は断末魔と共に、跡形も無く消滅した。

 ジゼルの罠を逆手に取って、レオナルド君を救うと同時に、リーベルト公爵を倒してしまうなんて……

「な、何が起きたのだ!?」
「ヴァイス君よ、ヴァイス君のスキル【超重量】の力です、お父様!」

 私は全身から歓喜の叫びを上げた。
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