48 / 54
4章。傾国の大魔族ジゼルとの決戦
48話。切り札で大逆転
しおりを挟む
「おっと……」
ジゼルは俺の石礫を、優雅なバックステップで躱した。
「下僕たちよ、私を守りなさい!」
「はっ!」
ジゼルの周囲の男子生徒たちが立ち上がって、ヤツを守る壁となった。どうやら、事前に【傾国】のスキルで魅了していたらしい。
「お父様の血が止まらないわ!」
セリカが悲鳴を上げた。
彼女は国王に回復魔法をかけたが、効果を発揮していないようだ。
「無駄よ、無駄、無駄! エドワード・リーベルトのユニークスキル【永遠に流れる血】は、あらゆる回復手段を阻害するデバフを付与するわ! 彼に斬られたらおしまいよ!」
「我が剣は、姫のために……!」
魔族化して筋肉が膨れ上がり、一回り大きくなったリーベルト公爵が、誇らしげに剣を掲げた。
「そんな、【聖女】であるセリカ様のお力が、通じないのか!?」
セリカと共に、国王陛下の元に駆けつけた教師たちが、顔面蒼白となる。
魔族化したことで、リーベルト公爵のユニークスキルがパワーアップし、セリカの解呪魔法をもってしても、そのデバフ効果を打ち消すことができなくなっているようだ。
「リーベルト公爵を倒すしかない! そうすれば、【永遠に流れる血】の効果は切れる!」
俺は大声で叫ぶも、教師たちは絶望に慄くばかりだった。
「そ、そんなことは不可能だ! 王国最強の【栄光なる騎士】が魔族化したんだぞぉおおッ!」
それは他の教師、生徒らも同じで、戦意を喪失している者が大半だった。
「ふふっ、これで私の勝ちね」
ジゼルが勝ち誇る。
「ヴァイス、あなたが早々に、私が学園に潜伏しているなんて暴露してくれたおかげで、スペアとして用意していたもう一つの身分を使わざるを得なくなったわ。病気で、一度も学園にやってこれていなかった男子生徒の身分をね」
ヤツは俺に向けて、熱っぽい視線を向けてきた。
「まさか、王妃の動きに感づき、ずっと探っている人間がいるとは思わなかったわ。私のお気に入りだったギルベルトの魅了も解かれてしまったし……正直、あなたのような男がいるなんて、驚きだわ」
ジゼルは夜会で身にまとうようなドレスに一瞬で着替えた。
輝くような美しさに目を奪われそうになるが、奴と目を合わせると、【傾国】のユニークスキルで魅了されてしまう。
ジゼル対策として、ヤツの足元に注目することにした。事前に考えていたことだ。
「ふふっ、お礼にあなたは私の一番のお気に入りの下僕にしてあげるわ。【聖女】の力でも解放できない、とびっきりの呪いをかけてね」
「ソイツは光栄だが。俺が守ると決めた姫は、お前じゃないんでな」
「セリカ王女のこと? 安心なさい。女は皆殺し、気に入った男は奴隷。これが、私のモットーよ。あなたはこれから、私にだけ尽くしなさい」
ジゼルの【傾国】で支配できる男性の人数には制限がない。
にも関わらず、無制限にジゼルが下僕を増やさないのは、下僕を気に入った男に厳選しているからだ。
格別に有能であるか。外見が好みかで、選んでいるらしい。
『汝の欲するところを行え』が、魔族の戒律であり、ジゼルの欲望とは逆ハーレムだった。
「さあ、レオナルド、お膳立てはしてあげたわ。ヴァイスに勝ちたいという、あなたの望みを叶えなさい」
「はっ、姫……!」
レオナルドが雷撃の魔法を間断なく放ってくる。
速度極振りの俺でも、【未来視】のユニークスキルを持ったレオナルドの攻撃を躱すのは難しい。
対抗手段は、風魔法の奥義【空気抵抗ゼロ】しかない。
人間が捕捉できないほど速く動いて、ヤツを撹乱して倒すんだ。
だが、俺の思考を読んだかのように、ジゼルが微笑んだ。
「ふふっ、残念。レオナルドの胸には、強力な魔法爆弾が埋め込まれているわ。彼にダメージを与えた瞬間、大爆発を起こして木っ端微塵よ」
「なにぃ!?」
ジゼルの言葉を証明するべく、レオナルドは制服の上着を脱ぐ。その胸には、丸い金属が埋め込まれていた。
レオナルドの制服が血で汚れていたのは、コイツを無理やり身体にハメられたせいか。
「レオナルドを手駒に加えたら、父親のリーベルト公爵を魅了するのも容易だったわ。【栄光なる騎士】と言えど、人の親。愛する息子を人質に取られたら、手も足も出なかったわ。ふふっ、まったく滑稽ね」
俺はここで、原作ゲームの俺の立場と、レオナルドの立場が入れ替わってしまったことに気付いた。
原作では、俺がジゼルの手駒にされて、父上は殺された。この世界では、レオナルドがジゼルの手駒にされて、ヤツの父親は破滅の道をたどったということか。
「調子に乗るものここまでですわ、ジゼル!」
フィアナの叫び声と共に、雷の雨がジゼルに殺到した。
フィアナの指揮するブレイズ公爵家の手勢による魔法攻撃だ。
それはジゼルの下僕たちを麻痺させて倒すも、肝心なジゼルは、優雅なダンスでも踊るかのようにすべて躱してのけた。
「敵を麻痺させる雷魔法? なかなか良い攻撃だったけど、お生憎様。私はレオナルドと精神感応魔法で意識を共有しているの。彼が【未来視】で見たビジョンは、私にも共有されるわ。どんな攻撃が来るか、事前にすべてわかるという訳ね」
「なんですって!? あなた、まさかそのためにレオナルドさんを!?」
「そうよ。この私に攻撃をヒットさせるには、まずはレオナルドをどうにかしなければ、ならないということ」
ジゼルはおもしろそうに唇の端をつり上げた。
「さて、生徒を守ると公言なさっているフィアナ会長は、レオナルドを殺すことができるかしら?」
ジゼルが反撃の魔法を、フィアナたちに放つ。すべてを飲み込むかのような圧倒的な威力の竜巻が発生した。
だが、フィアナはユニークスキル【炎帝の剣】で生み出した炎の魔剣で、ジゼルの竜巻を一刀両断した。
あらゆる物を焼き滅ぼすのが、【炎帝の剣】の能力だ。炎にとって相性の悪い風魔法だろうと滅することができる。
「へぇ。さすが、ナンバー1やるわね? だけど、敵は私だけではなくてよ。さぁ、リーベルト公爵。国王とセリカ王女にトドメを。それでローランド王国はおしまいだわ!」
「くっ、させませんわよ!」
魔族と化したリーベルト公爵が、邪魔する者たちを蹴散らして、国王とセリカに襲いかかった。
フィアナはリーベルト公爵に【炎帝の剣】で打ち掛かるが、腹を蹴られて簡単に弾き飛ばされる。
「きゃう!?」
フィアナは攻撃力は高いが、【筋力】や【速度】などの基礎ステータスはリーベルト公爵が圧倒的に上回っていた。
「み、みんなさん、一斉にかかりなさい!」
「はっ!」
フィアナの号令の元、ブレイズ公爵家の部隊が、リーベルト公爵に包囲攻撃を仕掛ける。
「【轟雷】!」
だが、リーベルト公爵から放射状に雷撃が放たれ、彼らは一瞬で沈黙した。黒焦げとなって、フィアナの手勢は地面に倒れる。
「ブレイズ公爵家の部隊が、子供扱い!?」
「つ、強い! これが【栄光なる騎士】! 大魔族級の強さだ!」
「駄目だ、勝てる訳がない!」
国王と王女を守ろうと集った者たちが、一斉に及び腰になった。
リーベルト公爵を止めることは、この場の誰にも不可能だ。
たった1人、この俺を除いては……!
「逃げよ、セリカ……!」
国王陛下が息も絶え絶えで命じた。
「ダメよ、お父様! お父様が亡くなられたら、この国はお終いよ!」
セリカは回復魔法の行使を続けた。『絶対に死なないド根性聖女ビルド』なら、魔族化したリーベルト公爵の攻撃に多少は耐えられるだろうが、もって数秒だろう。
「余所見をするなヴァイス!」
レオナルドが突っ込んできた。その拳には雷が纏われている。
まずは、レオナルドの動きを止めなくてならない。それには、わかっていても絶対に回避不能な攻撃をすることだ。
「【超重力】×2!」
俺は【地竜王の小盾】に、俺以外のすべてを吸い込む【超重力フィールド】を連続で2回発生させた。
代償としてHPが1になるが、【超重力フィールド】を重ねて発動すると、吸引力が2倍となることは検証済みだった。
レオナルドが、たまらずに体勢を崩す。それはジゼルやリーベルト公爵も含めて、この会場にいる全員が同じだった。
「何ごと!?」
【地竜王の小盾】に向かって、すべてが落ちてくる。重力には誰も逆らえない。
今だ。
「【空気抵抗ゼロ】!」
俺は風魔法の奥義で、空気抵抗をゼロにした弾丸をリーベルト公爵に放った。
ここ数日の修行で、【空気抵抗ゼロ】はついに完成へと至っていた。
「風使いごときが!」
リーベルト公爵は、雷を纏った剣を振りかざして、俺の弾丸を弾き返そうとした。人間離れした反射神経だ。
おそらく、リーベルト公爵は父上と決闘した経験から【空気抵抗ゼロ】を知っていたのだろう。
格の違う相手。普通なら、俺に勝ち目は無かった。
だが、発射したのはギルベルトにリクエストして造ってもらった【聖銀《ミスリル》】並の強度のある【不可視の弾丸】だった。
万が一、大魔族ジゼルが現れた際の切り札として、一発だけ用意していた。
俺の放った超音速の弾丸は、リーベルト公爵の剣を砕いて胸を貫き、血の花を咲かせた。
ジゼルは俺の石礫を、優雅なバックステップで躱した。
「下僕たちよ、私を守りなさい!」
「はっ!」
ジゼルの周囲の男子生徒たちが立ち上がって、ヤツを守る壁となった。どうやら、事前に【傾国】のスキルで魅了していたらしい。
「お父様の血が止まらないわ!」
セリカが悲鳴を上げた。
彼女は国王に回復魔法をかけたが、効果を発揮していないようだ。
「無駄よ、無駄、無駄! エドワード・リーベルトのユニークスキル【永遠に流れる血】は、あらゆる回復手段を阻害するデバフを付与するわ! 彼に斬られたらおしまいよ!」
「我が剣は、姫のために……!」
魔族化して筋肉が膨れ上がり、一回り大きくなったリーベルト公爵が、誇らしげに剣を掲げた。
「そんな、【聖女】であるセリカ様のお力が、通じないのか!?」
セリカと共に、国王陛下の元に駆けつけた教師たちが、顔面蒼白となる。
魔族化したことで、リーベルト公爵のユニークスキルがパワーアップし、セリカの解呪魔法をもってしても、そのデバフ効果を打ち消すことができなくなっているようだ。
「リーベルト公爵を倒すしかない! そうすれば、【永遠に流れる血】の効果は切れる!」
俺は大声で叫ぶも、教師たちは絶望に慄くばかりだった。
「そ、そんなことは不可能だ! 王国最強の【栄光なる騎士】が魔族化したんだぞぉおおッ!」
それは他の教師、生徒らも同じで、戦意を喪失している者が大半だった。
「ふふっ、これで私の勝ちね」
ジゼルが勝ち誇る。
「ヴァイス、あなたが早々に、私が学園に潜伏しているなんて暴露してくれたおかげで、スペアとして用意していたもう一つの身分を使わざるを得なくなったわ。病気で、一度も学園にやってこれていなかった男子生徒の身分をね」
ヤツは俺に向けて、熱っぽい視線を向けてきた。
「まさか、王妃の動きに感づき、ずっと探っている人間がいるとは思わなかったわ。私のお気に入りだったギルベルトの魅了も解かれてしまったし……正直、あなたのような男がいるなんて、驚きだわ」
ジゼルは夜会で身にまとうようなドレスに一瞬で着替えた。
輝くような美しさに目を奪われそうになるが、奴と目を合わせると、【傾国】のユニークスキルで魅了されてしまう。
ジゼル対策として、ヤツの足元に注目することにした。事前に考えていたことだ。
「ふふっ、お礼にあなたは私の一番のお気に入りの下僕にしてあげるわ。【聖女】の力でも解放できない、とびっきりの呪いをかけてね」
「ソイツは光栄だが。俺が守ると決めた姫は、お前じゃないんでな」
「セリカ王女のこと? 安心なさい。女は皆殺し、気に入った男は奴隷。これが、私のモットーよ。あなたはこれから、私にだけ尽くしなさい」
ジゼルの【傾国】で支配できる男性の人数には制限がない。
にも関わらず、無制限にジゼルが下僕を増やさないのは、下僕を気に入った男に厳選しているからだ。
格別に有能であるか。外見が好みかで、選んでいるらしい。
『汝の欲するところを行え』が、魔族の戒律であり、ジゼルの欲望とは逆ハーレムだった。
「さあ、レオナルド、お膳立てはしてあげたわ。ヴァイスに勝ちたいという、あなたの望みを叶えなさい」
「はっ、姫……!」
レオナルドが雷撃の魔法を間断なく放ってくる。
速度極振りの俺でも、【未来視】のユニークスキルを持ったレオナルドの攻撃を躱すのは難しい。
対抗手段は、風魔法の奥義【空気抵抗ゼロ】しかない。
人間が捕捉できないほど速く動いて、ヤツを撹乱して倒すんだ。
だが、俺の思考を読んだかのように、ジゼルが微笑んだ。
「ふふっ、残念。レオナルドの胸には、強力な魔法爆弾が埋め込まれているわ。彼にダメージを与えた瞬間、大爆発を起こして木っ端微塵よ」
「なにぃ!?」
ジゼルの言葉を証明するべく、レオナルドは制服の上着を脱ぐ。その胸には、丸い金属が埋め込まれていた。
レオナルドの制服が血で汚れていたのは、コイツを無理やり身体にハメられたせいか。
「レオナルドを手駒に加えたら、父親のリーベルト公爵を魅了するのも容易だったわ。【栄光なる騎士】と言えど、人の親。愛する息子を人質に取られたら、手も足も出なかったわ。ふふっ、まったく滑稽ね」
俺はここで、原作ゲームの俺の立場と、レオナルドの立場が入れ替わってしまったことに気付いた。
原作では、俺がジゼルの手駒にされて、父上は殺された。この世界では、レオナルドがジゼルの手駒にされて、ヤツの父親は破滅の道をたどったということか。
「調子に乗るものここまでですわ、ジゼル!」
フィアナの叫び声と共に、雷の雨がジゼルに殺到した。
フィアナの指揮するブレイズ公爵家の手勢による魔法攻撃だ。
それはジゼルの下僕たちを麻痺させて倒すも、肝心なジゼルは、優雅なダンスでも踊るかのようにすべて躱してのけた。
「敵を麻痺させる雷魔法? なかなか良い攻撃だったけど、お生憎様。私はレオナルドと精神感応魔法で意識を共有しているの。彼が【未来視】で見たビジョンは、私にも共有されるわ。どんな攻撃が来るか、事前にすべてわかるという訳ね」
「なんですって!? あなた、まさかそのためにレオナルドさんを!?」
「そうよ。この私に攻撃をヒットさせるには、まずはレオナルドをどうにかしなければ、ならないということ」
ジゼルはおもしろそうに唇の端をつり上げた。
「さて、生徒を守ると公言なさっているフィアナ会長は、レオナルドを殺すことができるかしら?」
ジゼルが反撃の魔法を、フィアナたちに放つ。すべてを飲み込むかのような圧倒的な威力の竜巻が発生した。
だが、フィアナはユニークスキル【炎帝の剣】で生み出した炎の魔剣で、ジゼルの竜巻を一刀両断した。
あらゆる物を焼き滅ぼすのが、【炎帝の剣】の能力だ。炎にとって相性の悪い風魔法だろうと滅することができる。
「へぇ。さすが、ナンバー1やるわね? だけど、敵は私だけではなくてよ。さぁ、リーベルト公爵。国王とセリカ王女にトドメを。それでローランド王国はおしまいだわ!」
「くっ、させませんわよ!」
魔族と化したリーベルト公爵が、邪魔する者たちを蹴散らして、国王とセリカに襲いかかった。
フィアナはリーベルト公爵に【炎帝の剣】で打ち掛かるが、腹を蹴られて簡単に弾き飛ばされる。
「きゃう!?」
フィアナは攻撃力は高いが、【筋力】や【速度】などの基礎ステータスはリーベルト公爵が圧倒的に上回っていた。
「み、みんなさん、一斉にかかりなさい!」
「はっ!」
フィアナの号令の元、ブレイズ公爵家の部隊が、リーベルト公爵に包囲攻撃を仕掛ける。
「【轟雷】!」
だが、リーベルト公爵から放射状に雷撃が放たれ、彼らは一瞬で沈黙した。黒焦げとなって、フィアナの手勢は地面に倒れる。
「ブレイズ公爵家の部隊が、子供扱い!?」
「つ、強い! これが【栄光なる騎士】! 大魔族級の強さだ!」
「駄目だ、勝てる訳がない!」
国王と王女を守ろうと集った者たちが、一斉に及び腰になった。
リーベルト公爵を止めることは、この場の誰にも不可能だ。
たった1人、この俺を除いては……!
「逃げよ、セリカ……!」
国王陛下が息も絶え絶えで命じた。
「ダメよ、お父様! お父様が亡くなられたら、この国はお終いよ!」
セリカは回復魔法の行使を続けた。『絶対に死なないド根性聖女ビルド』なら、魔族化したリーベルト公爵の攻撃に多少は耐えられるだろうが、もって数秒だろう。
「余所見をするなヴァイス!」
レオナルドが突っ込んできた。その拳には雷が纏われている。
まずは、レオナルドの動きを止めなくてならない。それには、わかっていても絶対に回避不能な攻撃をすることだ。
「【超重力】×2!」
俺は【地竜王の小盾】に、俺以外のすべてを吸い込む【超重力フィールド】を連続で2回発生させた。
代償としてHPが1になるが、【超重力フィールド】を重ねて発動すると、吸引力が2倍となることは検証済みだった。
レオナルドが、たまらずに体勢を崩す。それはジゼルやリーベルト公爵も含めて、この会場にいる全員が同じだった。
「何ごと!?」
【地竜王の小盾】に向かって、すべてが落ちてくる。重力には誰も逆らえない。
今だ。
「【空気抵抗ゼロ】!」
俺は風魔法の奥義で、空気抵抗をゼロにした弾丸をリーベルト公爵に放った。
ここ数日の修行で、【空気抵抗ゼロ】はついに完成へと至っていた。
「風使いごときが!」
リーベルト公爵は、雷を纏った剣を振りかざして、俺の弾丸を弾き返そうとした。人間離れした反射神経だ。
おそらく、リーベルト公爵は父上と決闘した経験から【空気抵抗ゼロ】を知っていたのだろう。
格の違う相手。普通なら、俺に勝ち目は無かった。
だが、発射したのはギルベルトにリクエストして造ってもらった【聖銀《ミスリル》】並の強度のある【不可視の弾丸】だった。
万が一、大魔族ジゼルが現れた際の切り札として、一発だけ用意していた。
俺の放った超音速の弾丸は、リーベルト公爵の剣を砕いて胸を貫き、血の花を咲かせた。
164
お気に入りに追加
867
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

最低最悪の悪役令息に転生しましたが、神スキル構成を引き当てたので思うままに突き進みます! 〜何やら転生者の勇者から強いヘイトを買っている模様
コレゼン
ファンタジー
「おいおい、嘘だろ」
ある日、目が覚めて鏡を見ると俺はゲーム「ブレイス・オブ・ワールド」の公爵家三男の悪役令息グレイスに転生していた。
幸いにも「ブレイス・オブ・ワールド」は転生前にやりこんだゲームだった。
早速、どんなスキルを授かったのかとステータスを確認してみると――
「超低確率の神スキル構成、コピースキルとスキル融合の組み合わせを神引きしてるじゃん!!」
やったね! この神スキル構成なら処刑エンドを回避して、かなり有利にゲーム世界を進めることができるはず。
一方で、別の転生者の勇者であり、元エリートで地方自治体の首長でもあったアルフレッドは、
「なんでモブキャラの悪役令息があんなに強力なスキルを複数持ってるんだ! しかも俺が目指してる国王エンドを邪魔するような行動ばかり取りやがって!!」
悪役令息のグレイスに対して日々不満を高まらせていた。
なんか俺、勇者のアルフレッドからものすごいヘイト買ってる?
でもまあ、勇者が最強なのは検証が進む前の攻略情報だから大丈夫っしょ。
というわけで、ゲーム知識と神スキル構成で思うままにこのゲーム世界を突き進んでいきます!

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。
アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~
明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!!
『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。
無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。
破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。
「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」
【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います
しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる