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4章。傾国の大魔族ジゼルとの決戦
46話。レオナルドのファンの女子たちがヴァイスに乗り換える
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「あっ、ヤバ。これはちょっと、やり過ぎたか?」
「……そうですねヴァイス兄様、気をつけてください。【超重量】は、全物理攻撃強化系スキルの完全上位互換だと思います。下手をすれば死にます」
気絶したデルムッドの姿を見て、エレナが俺をたしなめた。
「きゃあああああッ! すごいわ、さすがはヴァイス様!」
「4位のゴリラが、まるで子供扱いだわ!」
女子たちが一斉に、俺を褒め称えた。
「うん! ホント、ドンドン強くなっていくわね、ヴァイス君は! これなら、明日の決闘どころか、【傾国】のジゼルにだって楽勝ね!」
セリカが俺にキツく抱き着いてくる。密着されると、胸が当たって非常に困るんだが……!
「セリカ、悪いんだけど、デルムッドに回復魔法をかけてあげてくれないか? つい力を入れ過ぎてしまって」
「うん、わかったわ。ヴァイス君ってば、優しい! もう好き好き!」
「いや、あのギャグ漫画みたいな状態で放置していたら、マジで死ぬかも知れないだろう?」
多分、全身のアチコチの骨が折れている。早急に治療が必要だ。
「そうね。【回復《ヒール》!】」
セリカの手から回復魔法の輝きが放たれ、デルムッドに降り注ぐ。デルムッドの血色が良くなり、流血が止まった。
「ふっふーん、私もレベルが28になって、【回復魔法強化】のコモンスキルを覚えたのよ。すごいでしょ!」
セリカがドヤる。
後宮での戦いを通してレベルアップしたセリカは、もはや余裕で【栄光なる席次】上位を狙えるだけの実力を備えていた。
「そうだな。今のセリカなら、ジゼルがどんな罠を仕掛けてきても、対抗できると思う」
「きゃあ、やったぁ!」
「ヴァイス、い、今の動きは……!?」
レオナルドが鞄を地面に落として、呆然と俺を見つめていた。
奴は、超エリートには似つかわしくない汗だくの薄汚れた格好をしていた。もしかして、早起きして登校ギリギリまで修行していたのか?
マズイな。せっかく【ステータス隠蔽】で力を隠していたのに、多少、攻撃の手の内をさらしてしまったかも知れないぞ。
「ノーコメントです。遅刻すると、マズイんで!」
俺はそれだけ告げると、セリカを抱きかかえたまま校舎の3階の窓までジャンプした。
俺は【超重量】によって体重を自由にコントロールできる。さらに風魔法を併用すれば、こんな芸当もできるようになっていた。
「きゃあ、すごい!」
女子たちが瞠目している。
レオナルドとのレベル差は、昨日の時点の情報で、俺が10も上だ。負けることは無いと思うが油断はしない。
PvP(プレイヤー versus プレイヤー)では、油断が命取りになるからな。これ以上の情報漏洩は防がねばならない。
「この僕など、眼中に無いとでも言いたいのか、おのれぇえええッ!」
レオナルドは悔しげに足を踏み鳴らした。
「なぜだ!? な、なぜヤツは、短期間でこれ程までに強くぅうううッ!」
後ろを振り返ると、レオナルドは肩を落として項垂れていた。
「くすくす、レオナルド先輩の天下は、もう終わりですね」
「一時は、フィアナ様に挑んでナンバー1になるんだって、息巻いていたのに情けない」
「私は、もう断然ヴァイス様のファン! あっあーん、ヴァイス様に抱かれたい!」
「ずるい! ヴァイス様に抱かれるのは、この私よ!」
女子たちがレオナルドを嘲笑った。
強さがすべてのこの学園では、女子たちはより出世する可能性があるランキング上位の男子に群がる。貴族は、側室を持つことも許されているので、側室狙いの女子も多いのだ。
レオナルドは女子からダントツの人気を誇っていたが、今や女子たちは次々に俺に乗り換えていた。
残酷だが仕方がない。これが、この学園のルールだ。
同情はしない。レオナルドを強敵だと認めているからこそ、明日は全力で戦うだけだ。
「黙れ、女ども! ぼ、僕は父上の期待と誇りにかけて絶対に勝ってみせる……! 勝ってみせるんだぁ!」
レオナルドは疲労困憊のためか、足を滑らして転んだ。それが、惨めにもいっそう女の子たちの笑いを誘った。
彼女たちは、俺におもねれば、俺の好意を獲得できるとでも思っているようだった。俺はそんな性格の悪い娘と関わりになりたいとは思わないけどな……
この時、俺は気づかなかったが、俺が去った後、小柄な男子生徒がレオナルドに手を差し伸べていた。
「レオナルド先輩、ヴァイスに勝ちたいですか? 勝ちたいなら私の目を見てくださいな」
「な、なに、まさかお前は……!」
レオナルドとの決闘は明日に迫っていた。
「……そうですねヴァイス兄様、気をつけてください。【超重量】は、全物理攻撃強化系スキルの完全上位互換だと思います。下手をすれば死にます」
気絶したデルムッドの姿を見て、エレナが俺をたしなめた。
「きゃあああああッ! すごいわ、さすがはヴァイス様!」
「4位のゴリラが、まるで子供扱いだわ!」
女子たちが一斉に、俺を褒め称えた。
「うん! ホント、ドンドン強くなっていくわね、ヴァイス君は! これなら、明日の決闘どころか、【傾国】のジゼルにだって楽勝ね!」
セリカが俺にキツく抱き着いてくる。密着されると、胸が当たって非常に困るんだが……!
「セリカ、悪いんだけど、デルムッドに回復魔法をかけてあげてくれないか? つい力を入れ過ぎてしまって」
「うん、わかったわ。ヴァイス君ってば、優しい! もう好き好き!」
「いや、あのギャグ漫画みたいな状態で放置していたら、マジで死ぬかも知れないだろう?」
多分、全身のアチコチの骨が折れている。早急に治療が必要だ。
「そうね。【回復《ヒール》!】」
セリカの手から回復魔法の輝きが放たれ、デルムッドに降り注ぐ。デルムッドの血色が良くなり、流血が止まった。
「ふっふーん、私もレベルが28になって、【回復魔法強化】のコモンスキルを覚えたのよ。すごいでしょ!」
セリカがドヤる。
後宮での戦いを通してレベルアップしたセリカは、もはや余裕で【栄光なる席次】上位を狙えるだけの実力を備えていた。
「そうだな。今のセリカなら、ジゼルがどんな罠を仕掛けてきても、対抗できると思う」
「きゃあ、やったぁ!」
「ヴァイス、い、今の動きは……!?」
レオナルドが鞄を地面に落として、呆然と俺を見つめていた。
奴は、超エリートには似つかわしくない汗だくの薄汚れた格好をしていた。もしかして、早起きして登校ギリギリまで修行していたのか?
マズイな。せっかく【ステータス隠蔽】で力を隠していたのに、多少、攻撃の手の内をさらしてしまったかも知れないぞ。
「ノーコメントです。遅刻すると、マズイんで!」
俺はそれだけ告げると、セリカを抱きかかえたまま校舎の3階の窓までジャンプした。
俺は【超重量】によって体重を自由にコントロールできる。さらに風魔法を併用すれば、こんな芸当もできるようになっていた。
「きゃあ、すごい!」
女子たちが瞠目している。
レオナルドとのレベル差は、昨日の時点の情報で、俺が10も上だ。負けることは無いと思うが油断はしない。
PvP(プレイヤー versus プレイヤー)では、油断が命取りになるからな。これ以上の情報漏洩は防がねばならない。
「この僕など、眼中に無いとでも言いたいのか、おのれぇえええッ!」
レオナルドは悔しげに足を踏み鳴らした。
「なぜだ!? な、なぜヤツは、短期間でこれ程までに強くぅうううッ!」
後ろを振り返ると、レオナルドは肩を落として項垂れていた。
「くすくす、レオナルド先輩の天下は、もう終わりですね」
「一時は、フィアナ様に挑んでナンバー1になるんだって、息巻いていたのに情けない」
「私は、もう断然ヴァイス様のファン! あっあーん、ヴァイス様に抱かれたい!」
「ずるい! ヴァイス様に抱かれるのは、この私よ!」
女子たちがレオナルドを嘲笑った。
強さがすべてのこの学園では、女子たちはより出世する可能性があるランキング上位の男子に群がる。貴族は、側室を持つことも許されているので、側室狙いの女子も多いのだ。
レオナルドは女子からダントツの人気を誇っていたが、今や女子たちは次々に俺に乗り換えていた。
残酷だが仕方がない。これが、この学園のルールだ。
同情はしない。レオナルドを強敵だと認めているからこそ、明日は全力で戦うだけだ。
「黙れ、女ども! ぼ、僕は父上の期待と誇りにかけて絶対に勝ってみせる……! 勝ってみせるんだぁ!」
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