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3章。黒幕の王妃との対決
35話。王妃の策略を阻止するため、美少女3人と寝ることになる
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「フィアナ殿には、学園に潜んだジゼルとその手下を見つけ出すという役目がおありでしょう? ありがたい申し出ですが、セリカの保護は私に任せて、そちらを優先すべきではありませんか?」
「ご心配には及びませんわ。セリカさんを護衛しつつ、魔族どもを見つけ出して滅ぼす。わたくしとヴァイスさんが協力し合えば、児戯に等しいことですわ」
「くっ……!」
イザベラ王妃は顔をしかめる。
さすがに異端狩りのブレイズ公爵家の跡取りにして、学園ナンバー1のフィアナの言葉は重い。それは無理だろうと、突っぱねることはできなかった。
「特に、ジゼルを手引きした裏切り者の異端者には、容赦いたしません。わたくしが、必ず断頭台送りにしてやりますわ」
俺は畳み掛けるように言い放つ。
「恐れながら、どうやらジゼルを手引きした異端者がいるようです。ブレイズ公爵家であれば、異端者が潜り込んでいる心配は皆無です。より安全性は高いと存じますが?」
「それはまさか、私が管理する後宮に、魔族に通じた異端者が潜り込んでいると言いたいのですか? 不敬ですよ」
王妃から放たれる威圧が激しさを増した。
周囲の人間が、一斉にざわつく。
「ヴァ、ヴァイス兄様、王妃様を相手にいくらなんでも!?」
エレナが俺を止めようと走り寄ってきた。俺は妹の耳元で囁く。
「王妃は異端者だ」
「えっ!?」
おそらく、これでおおよその事情と俺の目的を察してもらえたハズだ。
俺はイザベラ王妃に向かってうやうやしく一礼する。
「とんでもございません。俺は国王陛下のご意向に沿いつつ、セリカ王女をお守りする最良の手段をご提案申し上げただけであり、他意はございません」
王妃の目つきは、完全に敵意の籠もったモノになっていた。
俺を英雄として持ち上げれば、俺を手懐けられるとでも思ったのだろうが、甘かったな。
「ヴァイス殿は、この私に意見するおつもりなのですか? いかに救国の英雄とはいえ、増長するにも程がありますよ」
「ご無礼、平にご容赦くださいませ。俺は国王陛下より、王女殿下の従者を仰せつかっております。故に、王女殿下の身の安全を何よりも優先して考えております。もしお気に召さないというのであれば国王陛下に掛け合って、この俺を解任なさってください」
「なっ……」
これには、さすがの王妃も絶句した。
権力を振りかざす者に対しては、さらに強い権力者を引き合いに出して対抗するのが一番だ。
「なにより、セリカ王女のご意思を蔑ろにして、話を進めるべきではないかと存じます。セリカ王女はどうなされたいのですか?」
「もちろん後宮になんて閉じ込められたくないし、ヴァイス君と一緒にいたいわ! あなたたち離して頂戴!」
セリカが女騎士たちの拘束から逃れようともがく。
「セリカ、私はあなたの身を案じて申しているのですよ! そのようなワガママを!」
王妃がセリカを叱りつけたが、俺は無視して話を進めた。
「では、話は決まりですね。フィアナ会長、さっそくセリカ王女の身柄をブレイズ公爵家に移しましょう」
「ええっ、よろしくてよ。セリカさんの身柄は、我がブレイズ公爵家が責任を持って保護させていただきますわ」
俺はセリカに駆け寄って女騎士たちから、その身柄を奪い返す。女騎士らの鎧に触れて【超重量】を発動させたおかげで、彼女らは全員、地面に膝をついた。
「なんだコレは、急に鎧が重く!?」
「あっ、ありがとう、ヴァイス君!」
セリカが感激した様子で、俺に抱擁してきた。俺も彼女を安心させてやるため、抱き締め返す。
「くぅ……! 役立たずどもめ」
さすがに、王妃もブレイズ公爵家と事を構えるのは避けたいようで、唇を噛み締める。
そもそも、今ここにいる王妃の手駒で、俺とフィアナにかなうような者はいない。それをまざまざと見せ付けられてしまった。
王妃は父上に助けを求めるべく目配せしたが、父上は、静観の構えだった。厄介事にはうかつに首を突っ込まないのが、父上の処世術だ。
「……そうですか、わかりました。では国王陛下のご裁断を仰いでから、セリカの身柄を受け取りに参りましょう。セリカは母親である私が守ります」
王妃の言葉に、セリカの表情が固くなった。セリカの実の母親を殺した張本人が、娘に言って良いセリフではない。
「セリカ、私はこれを機に、あなたの本当の母親になりたいと思っているのです。過去のわだかまりを捨てて、あなたと王国の未来のために手を携えたいと」
王妃はまるで慈母のような慈しみに満ちた声で告げる。
まったく大した役者だな。何も知らなければ、思わず心を動かされてしまうだろう。
王妃は最後に、俺に捨て台詞を吐いた。
「今回のこと、覚えておきますよヴァイス・シルフィード殿。見事な忠臣ぶりですね」
「お褒めに預かり光栄でございます。どうかお気をつけてお帰りくださいませ」
俺は深々と腰を折った。
王妃が正面切って戦いを挑んできた以上、早々に決着をつけることになるだろう。
帰路につく王妃の馬車を、俺たちは敬礼して見送る。やれやれ、これで急場はしのげたな。
「ヴァイスよ、何を考えておるのだ!? せっかく王妃様が目をかけてくださったというのに!?」
途端に父上が、激怒して俺を問い詰めてくる。
「ここでは人目があるので、ブレイズ公爵家に向かう馬車の中でお話します! 父上、ご同行していただけますか?」
「無論、ワシも同行しよう。良いかヴァイスよ、王妃様にあそこまで啖呵を切って、万が一、王女殿下に何かあったら、シルフィード伯爵家はおしまいだぞ!」
父上は泣き笑いのような顔になっていた。
「歓迎しますわ、アルバン様。ではみなさん下校の時間ですわよ! 今日はこれにて解散ですわ!」
フィアナがパンパンと手を叩くと、彼女の送迎用の馬車がやって来た。
フィアナに水を向けられては、皆従わざるを得ない。集まっていた教師や生徒たちは、噂をし合いながらも解散しだす。
「ヴァイス、まさかとは思うけど王妃様は……」
ギルベルトが真剣な顔で話しかけてきた。
「ギルベルト、そのまさかだ。とりあえず他言無用で頼む」
「わかった。僕にできることがあれば、協力するから、何でも言って欲しい」
「ありがたい。じゃあ、今ここで【不可視の短剣】を作ってもらえるか?」
おそらく王妃は国王に掛け合い、明日にもセリカを後宮に移す許可を取ってくるだろう。王命となれば、さすがに俺も従わざるを得ない。
こちらは、それを前提にセリカを守る策を練る必要があった。
後宮には武器の持ち込みはできないが、ギルベルトのユニークスキル【不可視トラップ創造】で作った見えない武器なら、身体検査を免れることができるハズだ。
「なるほど。セリカ王女の護身用か。良く短時間で、ここまで頭が回るものだね」
ギルベルトは感心しつつも、すぐにリクエスト通りの品を製作してくれた。
「ありがとう、ギルベルトが味方になってくれて本当に助かった」
「僕こそ、ジゼルの支配から解放してもらえて助かった。ヴァイスは僕の恩人だ」
ギルベルトは良いヤツだな。
俺は【不可視の短剣】を受け取ると、ブレイズ公爵家の馬車に乗り込んだ。
「ヴァイス兄様、先程のお言葉、一体どういうことですか!?」
「ヴァイスよ、説明してもらおうか」
セリカ、フィアナ、エレナ、それと父上が同じ馬車に同席する。エレナが待ち切れないといった様子で口火を切った。
「……実は王妃様こそ大魔族ジゼルを手引きした異端者なのです。おそらく国王陛下の許可を取って、セリカを後宮に招いて殺す算段を整えてきます。早急にその対策を練らなくてはいけません」
「なにぃいいッ!?」
「そ、そんなことが!?」
俺の暴露情報に、父上とエレナは心底、驚いていた。
「ふふっ、ヴァイスさんは、きっと良い異端狩りになれますわ。先ほどの王妃様との舌戦、痺れましたわよ。まさか、あのお方を追い返してしまうなんて」
「セリカを殺される訳にはいかなんだから、当然だろ?」
フィアナは、いたく感心した様子だった。
セリカは深刻そうな顔をしている。
「……や、やっぱり、ヴァイス君の言う通りだったのね。いつもあの人は、私と顔を合わせるのでさえ避けるのに」
セリカと王妃の交流は無いに等しい。セリカは王妃を警戒し、後宮ではなく父王と同じ棟で暮らしている。
それが突如、王妃から本当の親子になりたい、セリカの身を守りたいから後宮で一緒に暮らそうと言われたら、違和感しかないだろう。
「ま、待てヴァイスよ。証拠はあるのか!? 証拠も無く王妃様を異端者呼ばわりすれば、極刑は免れんぞ!」
「証拠はありませんが、このまま手をこまねいていれば、最悪の結末を迎えてしまいかねません」
「証拠は無いんですかぁあああッ!?」
父上とエレナは顔面蒼白になる。
「では、父上、なぜ王妃様はセリカを突如、後宮に招ねこうとしたと思いますか? 嫌っているセリカを保護しようと真っ先に動くなんて、おかしいですよね?」
「そ、それは確かに、不自然かも知れぬが……」
「ふん、怪しいという状況証拠があれば疑うに足りますわ」
フィアナは、手にした扇をパチンと閉じた。
「学園の関係者にジゼルを手引きした異端者がいることは、確実。ブレイズ公爵家は、いかなる手段を用いても、異端者を炙り出して断頭台送りにするのが使命です。わたくしはヴァイスさんに全面的に協力しましてよ!」
「ありがとうフィアナ」
道は険しいが、フィアナが協力してくれるなら、きっと王妃に打ち勝つことができるだろう。
「と言う訳で、王妃様に宣言した通り、今夜はわたくしと同じベッドで寝ましてよ、ヴァイスさん!」
いきなりフィアナが、愛おしそうに俺に密着してきた。大きな胸が腕に押し付けられて、心拍数が跳ね上がる。
「いや、なぜそうなる!?」
「なぜも何も、王妃様から嘘をついたと突っ込まれたら、困りますわ! これは王国のため! 正義のために必要なことですわよ!」
「はぁああああ!? 嘘をつくな嘘を! セリカを守るため同じ部屋で寝るとは言ったけど、同じベッドとは言っていない!」
「あら、そうでしたっけ? でも、同じことですわぁあああッ!」
「ずるいわよフィアナ! あなたがヴァイス君と一緒に寝るなら、私も一緒に寝るわ!」
「許せません! ヴァイス兄様の貞操をお守りすべく私も一緒に寝ます!」
「いや、ちょっと待てぇえええッ!」
フィアナとセリカとエレナに同時に抱き着かれて俺は絶叫した。
結局、俺は3人の美少女と同じ部屋で寝るというトンデモナイ事態に陥ってしまった。
「ご心配には及びませんわ。セリカさんを護衛しつつ、魔族どもを見つけ出して滅ぼす。わたくしとヴァイスさんが協力し合えば、児戯に等しいことですわ」
「くっ……!」
イザベラ王妃は顔をしかめる。
さすがに異端狩りのブレイズ公爵家の跡取りにして、学園ナンバー1のフィアナの言葉は重い。それは無理だろうと、突っぱねることはできなかった。
「特に、ジゼルを手引きした裏切り者の異端者には、容赦いたしません。わたくしが、必ず断頭台送りにしてやりますわ」
俺は畳み掛けるように言い放つ。
「恐れながら、どうやらジゼルを手引きした異端者がいるようです。ブレイズ公爵家であれば、異端者が潜り込んでいる心配は皆無です。より安全性は高いと存じますが?」
「それはまさか、私が管理する後宮に、魔族に通じた異端者が潜り込んでいると言いたいのですか? 不敬ですよ」
王妃から放たれる威圧が激しさを増した。
周囲の人間が、一斉にざわつく。
「ヴァ、ヴァイス兄様、王妃様を相手にいくらなんでも!?」
エレナが俺を止めようと走り寄ってきた。俺は妹の耳元で囁く。
「王妃は異端者だ」
「えっ!?」
おそらく、これでおおよその事情と俺の目的を察してもらえたハズだ。
俺はイザベラ王妃に向かってうやうやしく一礼する。
「とんでもございません。俺は国王陛下のご意向に沿いつつ、セリカ王女をお守りする最良の手段をご提案申し上げただけであり、他意はございません」
王妃の目つきは、完全に敵意の籠もったモノになっていた。
俺を英雄として持ち上げれば、俺を手懐けられるとでも思ったのだろうが、甘かったな。
「ヴァイス殿は、この私に意見するおつもりなのですか? いかに救国の英雄とはいえ、増長するにも程がありますよ」
「ご無礼、平にご容赦くださいませ。俺は国王陛下より、王女殿下の従者を仰せつかっております。故に、王女殿下の身の安全を何よりも優先して考えております。もしお気に召さないというのであれば国王陛下に掛け合って、この俺を解任なさってください」
「なっ……」
これには、さすがの王妃も絶句した。
権力を振りかざす者に対しては、さらに強い権力者を引き合いに出して対抗するのが一番だ。
「なにより、セリカ王女のご意思を蔑ろにして、話を進めるべきではないかと存じます。セリカ王女はどうなされたいのですか?」
「もちろん後宮になんて閉じ込められたくないし、ヴァイス君と一緒にいたいわ! あなたたち離して頂戴!」
セリカが女騎士たちの拘束から逃れようともがく。
「セリカ、私はあなたの身を案じて申しているのですよ! そのようなワガママを!」
王妃がセリカを叱りつけたが、俺は無視して話を進めた。
「では、話は決まりですね。フィアナ会長、さっそくセリカ王女の身柄をブレイズ公爵家に移しましょう」
「ええっ、よろしくてよ。セリカさんの身柄は、我がブレイズ公爵家が責任を持って保護させていただきますわ」
俺はセリカに駆け寄って女騎士たちから、その身柄を奪い返す。女騎士らの鎧に触れて【超重量】を発動させたおかげで、彼女らは全員、地面に膝をついた。
「なんだコレは、急に鎧が重く!?」
「あっ、ありがとう、ヴァイス君!」
セリカが感激した様子で、俺に抱擁してきた。俺も彼女を安心させてやるため、抱き締め返す。
「くぅ……! 役立たずどもめ」
さすがに、王妃もブレイズ公爵家と事を構えるのは避けたいようで、唇を噛み締める。
そもそも、今ここにいる王妃の手駒で、俺とフィアナにかなうような者はいない。それをまざまざと見せ付けられてしまった。
王妃は父上に助けを求めるべく目配せしたが、父上は、静観の構えだった。厄介事にはうかつに首を突っ込まないのが、父上の処世術だ。
「……そうですか、わかりました。では国王陛下のご裁断を仰いでから、セリカの身柄を受け取りに参りましょう。セリカは母親である私が守ります」
王妃の言葉に、セリカの表情が固くなった。セリカの実の母親を殺した張本人が、娘に言って良いセリフではない。
「セリカ、私はこれを機に、あなたの本当の母親になりたいと思っているのです。過去のわだかまりを捨てて、あなたと王国の未来のために手を携えたいと」
王妃はまるで慈母のような慈しみに満ちた声で告げる。
まったく大した役者だな。何も知らなければ、思わず心を動かされてしまうだろう。
王妃は最後に、俺に捨て台詞を吐いた。
「今回のこと、覚えておきますよヴァイス・シルフィード殿。見事な忠臣ぶりですね」
「お褒めに預かり光栄でございます。どうかお気をつけてお帰りくださいませ」
俺は深々と腰を折った。
王妃が正面切って戦いを挑んできた以上、早々に決着をつけることになるだろう。
帰路につく王妃の馬車を、俺たちは敬礼して見送る。やれやれ、これで急場はしのげたな。
「ヴァイスよ、何を考えておるのだ!? せっかく王妃様が目をかけてくださったというのに!?」
途端に父上が、激怒して俺を問い詰めてくる。
「ここでは人目があるので、ブレイズ公爵家に向かう馬車の中でお話します! 父上、ご同行していただけますか?」
「無論、ワシも同行しよう。良いかヴァイスよ、王妃様にあそこまで啖呵を切って、万が一、王女殿下に何かあったら、シルフィード伯爵家はおしまいだぞ!」
父上は泣き笑いのような顔になっていた。
「歓迎しますわ、アルバン様。ではみなさん下校の時間ですわよ! 今日はこれにて解散ですわ!」
フィアナがパンパンと手を叩くと、彼女の送迎用の馬車がやって来た。
フィアナに水を向けられては、皆従わざるを得ない。集まっていた教師や生徒たちは、噂をし合いながらも解散しだす。
「ヴァイス、まさかとは思うけど王妃様は……」
ギルベルトが真剣な顔で話しかけてきた。
「ギルベルト、そのまさかだ。とりあえず他言無用で頼む」
「わかった。僕にできることがあれば、協力するから、何でも言って欲しい」
「ありがたい。じゃあ、今ここで【不可視の短剣】を作ってもらえるか?」
おそらく王妃は国王に掛け合い、明日にもセリカを後宮に移す許可を取ってくるだろう。王命となれば、さすがに俺も従わざるを得ない。
こちらは、それを前提にセリカを守る策を練る必要があった。
後宮には武器の持ち込みはできないが、ギルベルトのユニークスキル【不可視トラップ創造】で作った見えない武器なら、身体検査を免れることができるハズだ。
「なるほど。セリカ王女の護身用か。良く短時間で、ここまで頭が回るものだね」
ギルベルトは感心しつつも、すぐにリクエスト通りの品を製作してくれた。
「ありがとう、ギルベルトが味方になってくれて本当に助かった」
「僕こそ、ジゼルの支配から解放してもらえて助かった。ヴァイスは僕の恩人だ」
ギルベルトは良いヤツだな。
俺は【不可視の短剣】を受け取ると、ブレイズ公爵家の馬車に乗り込んだ。
「ヴァイス兄様、先程のお言葉、一体どういうことですか!?」
「ヴァイスよ、説明してもらおうか」
セリカ、フィアナ、エレナ、それと父上が同じ馬車に同席する。エレナが待ち切れないといった様子で口火を切った。
「……実は王妃様こそ大魔族ジゼルを手引きした異端者なのです。おそらく国王陛下の許可を取って、セリカを後宮に招いて殺す算段を整えてきます。早急にその対策を練らなくてはいけません」
「なにぃいいッ!?」
「そ、そんなことが!?」
俺の暴露情報に、父上とエレナは心底、驚いていた。
「ふふっ、ヴァイスさんは、きっと良い異端狩りになれますわ。先ほどの王妃様との舌戦、痺れましたわよ。まさか、あのお方を追い返してしまうなんて」
「セリカを殺される訳にはいかなんだから、当然だろ?」
フィアナは、いたく感心した様子だった。
セリカは深刻そうな顔をしている。
「……や、やっぱり、ヴァイス君の言う通りだったのね。いつもあの人は、私と顔を合わせるのでさえ避けるのに」
セリカと王妃の交流は無いに等しい。セリカは王妃を警戒し、後宮ではなく父王と同じ棟で暮らしている。
それが突如、王妃から本当の親子になりたい、セリカの身を守りたいから後宮で一緒に暮らそうと言われたら、違和感しかないだろう。
「ま、待てヴァイスよ。証拠はあるのか!? 証拠も無く王妃様を異端者呼ばわりすれば、極刑は免れんぞ!」
「証拠はありませんが、このまま手をこまねいていれば、最悪の結末を迎えてしまいかねません」
「証拠は無いんですかぁあああッ!?」
父上とエレナは顔面蒼白になる。
「では、父上、なぜ王妃様はセリカを突如、後宮に招ねこうとしたと思いますか? 嫌っているセリカを保護しようと真っ先に動くなんて、おかしいですよね?」
「そ、それは確かに、不自然かも知れぬが……」
「ふん、怪しいという状況証拠があれば疑うに足りますわ」
フィアナは、手にした扇をパチンと閉じた。
「学園の関係者にジゼルを手引きした異端者がいることは、確実。ブレイズ公爵家は、いかなる手段を用いても、異端者を炙り出して断頭台送りにするのが使命です。わたくしはヴァイスさんに全面的に協力しましてよ!」
「ありがとうフィアナ」
道は険しいが、フィアナが協力してくれるなら、きっと王妃に打ち勝つことができるだろう。
「と言う訳で、王妃様に宣言した通り、今夜はわたくしと同じベッドで寝ましてよ、ヴァイスさん!」
いきなりフィアナが、愛おしそうに俺に密着してきた。大きな胸が腕に押し付けられて、心拍数が跳ね上がる。
「いや、なぜそうなる!?」
「なぜも何も、王妃様から嘘をついたと突っ込まれたら、困りますわ! これは王国のため! 正義のために必要なことですわよ!」
「はぁああああ!? 嘘をつくな嘘を! セリカを守るため同じ部屋で寝るとは言ったけど、同じベッドとは言っていない!」
「あら、そうでしたっけ? でも、同じことですわぁあああッ!」
「ずるいわよフィアナ! あなたがヴァイス君と一緒に寝るなら、私も一緒に寝るわ!」
「許せません! ヴァイス兄様の貞操をお守りすべく私も一緒に寝ます!」
「いや、ちょっと待てぇえええッ!」
フィアナとセリカとエレナに同時に抱き着かれて俺は絶叫した。
結局、俺は3人の美少女と同じ部屋で寝るというトンデモナイ事態に陥ってしまった。
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