強さがすべての魔法学園の最下位クズ貴族に転生した俺、死にたくないからゲーム知識でランキング1位を目指したら、なぜか最強ハーレムの主となった!

こはるんるん

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2章。学園のナンバー1を目指す

21話。学園の王女親衛隊に嫉妬されて絡まれる

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 昼休みになって、俺はセリカとグロリアス騎学園内を見て回ることにした。
 修行は放課後、昼休みはヒロインとの交流や情報収集に当てるのが、ゲーム時代からの王道行動パターンだ。

「うぉおおおっ、感動だな!」

 学園の中は、ゲームとまったく同じでイベントスチルで見た名所がたくさんあった。

 これぞリアル聖地巡礼じゃないか。ファン冥利につきるな。

「感動って、そんなに私と一緒に歩くのが、うれしいのね!?」
「ああっ、そうだな!」

 俺と腕を組んだセリカが、満面の笑顔を向けてくる。
 大好きだったゲームの世界を、美少女ヒロインとツーショットで歩けるなんて、まさに大興奮だ。

 エレナはフィアナのところに行って、俺の代わりに昨日のガロン襲撃事件について、事情聴取を受けてくれていた。

 俺の貴重な時間を奪わせたくないという配慮で、俺にはもったいないくらい本当によくできた妹だ。

「生まれてきて、良かったぁああッ!」
「私も幸せ!」

 だが、感動してばかりはいられない。
 おそらく、1年生の女子にモブに扮した大魔族ジセルが紛れ込んでいる。

 ゲームでは、ヤツのせいでこの学園の生徒や教職員の大半が操られて、大惨事になるんだよな。そんなことが現実に起こるかも知れないなんて、想像するだに恐ろしい。

「でも、ここからは気を引き締めなくちゃね。ジゼルは1年生女子の中にいるんでしょう?」
「そうだ。もしヤツに襲われたら、セリカの解呪魔法が頼りだ」
「任せて。私だって役に立つんだってところを、フィアナに見せてやるんだから!」

 セリカは気合いが入っていた。
 まあ、敵だらけの学園内で正体を晒して俺たちを襲うほど、ジゼルもバカじゃないから、いきなりバトルになることはないだろうけどな。

 さっそくセリカと教室を見て回り、1年生女子をチェックして、怪しいヤツがいないか探そうと教室を覗くと……

「きゃあきゃあ! あの人、誰!? すごくカッコいいんだけど!?」
「同じ1年生にあんな人いた!?」

 女子たちが歓声を上げて群がってきた。
 俺は痩せて外見がイケメンになっていたのだが、この反応には未だに慣れないな。気後れしてしまう。

「むっ!? ちょっとみんな待って! 彼は私の恋人のヴァイス君よ。勝手に触ったりしないで!」
「ええっ!? 王女殿下ぁ!?」
「ヴァイスって……あ、あの話は、ホントだったんですか!?」

 今朝の校門前での事件は、さっそく学園中に噂として轟いていた。
 女子生徒たちは、俺が渦中の人物のヴァイスだと知るや、驚きを隠せないでいる。

「こ、この貴公子が、あの覗きとスカートめくりの常習犯、変態ヴァイス!?」
「ちょ! ヴァイス君は変態なんかじゃないわ! 陰ながらこの国を守るために戦ってきた真の英雄なのよ!?」
「おい、おい!」

 セリカが大声で俺を弁護しだしたので、慌てて止める。
 それはセリカの勘違いなので、うかつに広めないで欲しい。

「あっ、ごめん。これは秘密だったわね……!」
「で、では、やはり、ヴァイスさんが魔族化したガロン先輩を倒したという噂はホントだったんですね!?」
「そうよ! ものすごくカッコ良かったんだから!」

 セリカのその一言で、女子たちの反応が劇的に変わった。

「きゃあああ! だとしたら、尊敬します! あのレオナルド先輩にも決闘を申し込んだとか!?」

 この学園では強さこそ絶対的な価値を持つ。
 女子たちの中には、将来出世するであろう強い男性を見つけて結婚することを狙って、この学園に通っている者も大勢いた。

 そんな彼女たちは、俺に掛け値なしの尊敬の眼差しを向けてきた。

「あのフィアナ様からも、再婚約して欲しいと言われていると聞きましたよ!?」
「きゃあ! ヴァイスさんの本命って誰なのかしら!?」
「そんなの決まっているでしょ。私よ!」

 セリカが頬を膨らませて喝破する。

「えっ。え~と、悪い。ちょっと聞きたいんだけど、1年生の女子の中で、入学早々なぜか男子にめちゃくちゃモテている娘っているか? 特に『姫』とか呼ばれてチヤホヤされているような」

 俺は少女たちと目を合わせないように、ソッポを向きながら質問した。

 大魔族ジセルのユニークスキル【傾国】は、目を合わせることが発動条件だ。セリカがいれば、俺が操られても大丈夫だろうが、警戒するにこしたことはない。

「きゃ! 照れちゃって、イケメンなのにウブなのね!?」

 そんな俺の反応は、女子たちから大ウケだった。

 例によって、教室の男子生徒からは殺気混じりの視線をぶつけられている。

「で、どうかな? なぜか、めちゃくちゃモテている1年生女子っているか? これは真面目な話なんだ」
「……え、えっと、ソレってもしかして、私たちの中に、大魔族ジゼルがいるかも知れないって、話ですか?」
「ヴァイスさんが今朝した告発は本気?」

 俺が真剣に尋ねると、女子たちの表情が固くなる。

「そうだ。ジゼルの好きにさせる訳にはいかないからな。みんなを疑っているようで悪いけど、協力してくれないか?」
「ヴァイス君の言葉が正しいことは、この私が王家の名にかけて保証するわ。みんな協力して頂戴!」

 ジゼルに対する警戒を学園全体に呼びかけておくことは、重要だ。
 フィアナもやってくれるだろうが、俺の方でもセリカの王女という立場を使って広めておけば、より効果的だ。

 打てる手はすべて打つのが、ゲーム攻略の必勝法だからな。

「わかりました、王女殿下がそうおっしゃるなら!」
「そ、そうですね。条件に当てはまるのは、ファンクラブまであるセリカ様だけです」

 女子生徒たちが、口々に話してくれた。

「次に男子に人気があるのはセリカ様の護衛である【栄光なる席次】グロリアス・ランキングナンバー3のエレナさんです。なんでも、お二人とも学園3大美少女と呼ばれているとか?」
「エレナさんは、セリカ様と仲睦まじいご様子が、尊いと大人気です!」
「百合人気は、除外してもらっていいんだが……」

 百合に挟まる男は死ね、なんて言葉もあるくらいで、俺へのヘイトがさらに溜まりそうだ。

「その2人以外だと?」
「そ、そうですね。目立ってモテている1年女子は、いないかも?」
「学園のカッコいい男子は、みんなセリカ王女とエレナ 、それにフィアナ様が、かっさらってしまっている状態なんです!」

 なぜか、女子たちから悔しそうな目を向けられた。

「……そ、それはご愁傷さまだな」

 うーん、やはりジゼルは、うかつに尻尾を出さないように慎重に行動しているようだ。

 入学早々、「姫ぇえ!」とか男子たちに言われて崇拝されているモブ女子生徒がいたら、そりゃあ目立って不自然だし、ゲームでもジゼルの存在が明らかになるまでには時間がかかった。

 さすがに、現段階で特定するのは難しいか?

「わかった。じゃあ、お願いなんだけど。もし、セリカとエレナ以外で、モテる1年生女子が現れたら俺に教えてくれないか? 【傾国】のジゼルが学園に潜んでいるという噂も、学園内外にガンガン広めて欲しい」
「は、はい! 喜んで!」

 少女たちは、目をハートマークにして頷いた。

「それじゃ、何かあったら、ヴァイスさんに相談に行きますね!」
「私も私も! 大魔族が私たちの中にいるなんて、怖~い!」
「あっ、ああ、もちろん。少しでも気づいたことがあったら、昼休みに俺を訪ねてきてくれ。昼休みは情報収集パートだから」
「ちょっとヴァイス君、何、デレデレしているの!? さっ、次の教室に行くわよ!」

 女子たちに詰め寄られて困っていると、セリカに腕を引っ張られた。

「おい、変態貴族、他の教室に来て女子を物色するとは、どういう了見だ!?」
「落ちこぼれの分際で、セリカ王女を誑かしたたけじゃ飽き足らず、他の女子にまで手を出すつもりか!?」

 そこに、怒り心頭の男子生徒たちがやってきた。
 一瞬、ジセルに魅了されたヤツの手下かと思ったが、違った。

 なぜなら、彼らは額に『セリカ王女、命!』と書かれたハチマキをしていたからだ。
 どうやら、『セリカ王女親衛隊』のメンバーらしい。親衛隊といっても、やっていることはアイドルの追っかけのような非公式ファンクラブだ。

「し、しかも、恐れ多くもセリカ様と腕を組んでいるだと!?」
「絶対に許せん! 天誅を喰らわせてやる!」

 6人のセリカ王女親衛隊は訓練用の木剣を取り出して構えた。

「う、うわぁ~っ」

 セリカは彼らを見て、あきらかにドン引きしていた。

「隊長! 【アナライズ】でステータスを調べたところ、コイツのレベルはたったの2です!」
「たったの2だと!? それで、あのレオナルドに勝負を挑むとはバカか、貴様は?」

 隊長と呼ばれた3年生が、蔑んだ目で俺を見つめた。

 俺が敵に情報を渡さないために、コモンスキル【ステータス隠蔽】で、本当のレベルとステータスを隠しているなど、彼らは思ってもいないようだった。
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