12 / 54
2章。学園のナンバー1を目指す
12話。王女と同じ部屋で寝るハメになる
しおりを挟む
「アルバン様、じゃあ明日から、私とヴァイス君は王宮の同じ部屋で、寝泊まりするということで良いかな?」
「はっ。それが国王陛下と王女殿下のお望みとあれば……ヴァイスの修行は王宮でもつけられますからな」
父上はセリカに頭を下げた。
あまりの衝撃に、俺は心臓が止まりそうになった。
……えっ、それって、つまり、そういうことだよな?
いやいや、恋人になったにしても、性急過ぎるでしょうが!
しかし、セリカをガードし、俺の身の安全をはかる上でも、同じ部屋で寝泊まりすることは必要だ。
俺は興奮で沸騰しそうになる頭をフル回転させ、ギリギリの妥協点を探す。
「セリカ、結婚するまではプラトニックな関係でいよう! 寝室は同じにするけど、同じベッドで寝るとかは絶対になし! キスも絶対にNG!」
俺は必死に手を合わせてお願いした。
セリカのことを本気で愛してもいないのに、キスするなんて、不誠実すぎる。まして、その先のピーとか、想像しただけで鼻血が吹き出てしまいそうだ。
「えっ、恋人同士なのに……?」
セリカは不安そうな顔をする。
「そんなことをしなくても、俺はセリカを裏切ったりしない。 約束は必ず守るから安心してくれ」
俺はセリカが一番欲しがっているであろう言葉をかけた。
セリカは他人から裏切られることを一番恐れる人間だ。
すぐに、俺を完全に信頼しろと言っても無理だろうが、徐々に信頼してもらえるように努めていかねばならない。
……だが、成り行き上、仕方がないとはいえ、セリカを騙す形になってしまったのは心苦しいな。
王妃とジゼルを倒すことに成功したら、プロポーズはセリカの勘違いだったことをキチンと説明して、いったん恋人関係は解消しよう。
俺はゲームで大好きだったセリカとは、できれば誠実に向き合いたいんだ。
もし真実を告げる瞬間が来て、それでもお互いに恋人でいたいと思えるなら、恋人でいれば良いと思う。
もしかすると、セリカはビックリしてしまうかも知れないが……その際は、ちゃんと謝ろう。きっと、わかってくれると思う。
それまで、エッチなことは絶対にしないようにしなくちゃな。
よし、がんばるぞ、俺!
「そうですぞ王女殿下。これぞ、まさしく騎士道精神! 真に王女殿下を愛していなければ出てこない言葉です。ますます見直したぞヴァイスよ。お前こそ、次代の【栄光なる騎士】にふさわしい!」
父上は快哉を叫んだ。
「そ、そうなの。そういうことなの? やっぱりヴァイス君は、私のことが本気で好きなんだね!?」
こ、この質問は返答に困るな。
「俺はセリカを大事にしたいから、今はまだキスしたりしないんだ」
「わ、わかったわ。そういうことなら!」
セリカはパッと顔を輝かせた。
「あぁっ、ヴァイス君って、本当に素敵な人だわ。こんなにも私を愛して、大事にしてくれる人に巡り合えるなんて、思ってもみなかった!」
えっ。いや、ちょっと誤解なんですが。
だが、今、この段階で、誤解ですなどとは言えない。
言ったら何もかもぶち壊しで、俺もセリカも多分、破滅する。
「でも、恋人同士なんだから、これからは手を繋いで学園に通おうよね! それから、ハグもいっぱいして欲しい。それくらいは当然だし、良いでしょう? 私、ヴァイス君の温もりをちょっとでも感じていたいんだ」
「あっ、ああっ、そうだな……うん、それくらいなら」
俺は困惑しつつも、頷いた。
さずかに恋人同士という関係上、これはしなくてはならないだろう。
恋愛初心者の俺にとって、美少女と手を繫いで歩く場面を想像しただけでも、脳汁が出てきてしまう。
それに、ハグって、要するに抱き締め合うということだよな? ヨーロッパ文化圏では、親愛の証としてやるものだし、これはギリギリOKか?
うぉ。こんな青春ドラマみたいな日々が来るなんて、夢みたいだ。
しかも明日からは、セリカと同じ部屋で寝泊まりするなんて……
ヤ、ヤバい、今夜から、しばらく興奮で寝れなさそうだ。
これを克服するには。
「父上、修行! 修行をとにかくビシバシつけてください! ぶっ倒れるくらいに!」
「うむ、素晴らしい! 任せておけヴァイスよ!」
俺と父上は、ガシッと固く手を握り合った。
「そんな……性欲の化身とも言うべきヴァイス兄様が、プラトニックな関係でいよう!?」
エレナは何か考え込んだ様子だった。
「も、もしかして、ヴァイス兄様が急にお変わりになられたのは、セリカ様に本気の恋をしたから……? 真摯にセリカ様を愛し、ま、守り抜こうと……?」
エレナは深刻そうに呟く。
それから、何かを断ち切るように絶叫した。
「わ、わかりました! それがヴァイス兄様のお望みなら、く、悔しいですが、このエレナ・シルフィード、全力で二人の恋を応援いたします!」
な、なにか周囲の勘違いが、取り返しのつかない状況になっている気がするが……
とにかく、今は修行に打ち込むのが先決だ!
「はっ。それが国王陛下と王女殿下のお望みとあれば……ヴァイスの修行は王宮でもつけられますからな」
父上はセリカに頭を下げた。
あまりの衝撃に、俺は心臓が止まりそうになった。
……えっ、それって、つまり、そういうことだよな?
いやいや、恋人になったにしても、性急過ぎるでしょうが!
しかし、セリカをガードし、俺の身の安全をはかる上でも、同じ部屋で寝泊まりすることは必要だ。
俺は興奮で沸騰しそうになる頭をフル回転させ、ギリギリの妥協点を探す。
「セリカ、結婚するまではプラトニックな関係でいよう! 寝室は同じにするけど、同じベッドで寝るとかは絶対になし! キスも絶対にNG!」
俺は必死に手を合わせてお願いした。
セリカのことを本気で愛してもいないのに、キスするなんて、不誠実すぎる。まして、その先のピーとか、想像しただけで鼻血が吹き出てしまいそうだ。
「えっ、恋人同士なのに……?」
セリカは不安そうな顔をする。
「そんなことをしなくても、俺はセリカを裏切ったりしない。 約束は必ず守るから安心してくれ」
俺はセリカが一番欲しがっているであろう言葉をかけた。
セリカは他人から裏切られることを一番恐れる人間だ。
すぐに、俺を完全に信頼しろと言っても無理だろうが、徐々に信頼してもらえるように努めていかねばならない。
……だが、成り行き上、仕方がないとはいえ、セリカを騙す形になってしまったのは心苦しいな。
王妃とジゼルを倒すことに成功したら、プロポーズはセリカの勘違いだったことをキチンと説明して、いったん恋人関係は解消しよう。
俺はゲームで大好きだったセリカとは、できれば誠実に向き合いたいんだ。
もし真実を告げる瞬間が来て、それでもお互いに恋人でいたいと思えるなら、恋人でいれば良いと思う。
もしかすると、セリカはビックリしてしまうかも知れないが……その際は、ちゃんと謝ろう。きっと、わかってくれると思う。
それまで、エッチなことは絶対にしないようにしなくちゃな。
よし、がんばるぞ、俺!
「そうですぞ王女殿下。これぞ、まさしく騎士道精神! 真に王女殿下を愛していなければ出てこない言葉です。ますます見直したぞヴァイスよ。お前こそ、次代の【栄光なる騎士】にふさわしい!」
父上は快哉を叫んだ。
「そ、そうなの。そういうことなの? やっぱりヴァイス君は、私のことが本気で好きなんだね!?」
こ、この質問は返答に困るな。
「俺はセリカを大事にしたいから、今はまだキスしたりしないんだ」
「わ、わかったわ。そういうことなら!」
セリカはパッと顔を輝かせた。
「あぁっ、ヴァイス君って、本当に素敵な人だわ。こんなにも私を愛して、大事にしてくれる人に巡り合えるなんて、思ってもみなかった!」
えっ。いや、ちょっと誤解なんですが。
だが、今、この段階で、誤解ですなどとは言えない。
言ったら何もかもぶち壊しで、俺もセリカも多分、破滅する。
「でも、恋人同士なんだから、これからは手を繋いで学園に通おうよね! それから、ハグもいっぱいして欲しい。それくらいは当然だし、良いでしょう? 私、ヴァイス君の温もりをちょっとでも感じていたいんだ」
「あっ、ああっ、そうだな……うん、それくらいなら」
俺は困惑しつつも、頷いた。
さずかに恋人同士という関係上、これはしなくてはならないだろう。
恋愛初心者の俺にとって、美少女と手を繫いで歩く場面を想像しただけでも、脳汁が出てきてしまう。
それに、ハグって、要するに抱き締め合うということだよな? ヨーロッパ文化圏では、親愛の証としてやるものだし、これはギリギリOKか?
うぉ。こんな青春ドラマみたいな日々が来るなんて、夢みたいだ。
しかも明日からは、セリカと同じ部屋で寝泊まりするなんて……
ヤ、ヤバい、今夜から、しばらく興奮で寝れなさそうだ。
これを克服するには。
「父上、修行! 修行をとにかくビシバシつけてください! ぶっ倒れるくらいに!」
「うむ、素晴らしい! 任せておけヴァイスよ!」
俺と父上は、ガシッと固く手を握り合った。
「そんな……性欲の化身とも言うべきヴァイス兄様が、プラトニックな関係でいよう!?」
エレナは何か考え込んだ様子だった。
「も、もしかして、ヴァイス兄様が急にお変わりになられたのは、セリカ様に本気の恋をしたから……? 真摯にセリカ様を愛し、ま、守り抜こうと……?」
エレナは深刻そうに呟く。
それから、何かを断ち切るように絶叫した。
「わ、わかりました! それがヴァイス兄様のお望みなら、く、悔しいですが、このエレナ・シルフィード、全力で二人の恋を応援いたします!」
な、なにか周囲の勘違いが、取り返しのつかない状況になっている気がするが……
とにかく、今は修行に打ち込むのが先決だ!
272
お気に入りに追加
867
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

最低最悪の悪役令息に転生しましたが、神スキル構成を引き当てたので思うままに突き進みます! 〜何やら転生者の勇者から強いヘイトを買っている模様
コレゼン
ファンタジー
「おいおい、嘘だろ」
ある日、目が覚めて鏡を見ると俺はゲーム「ブレイス・オブ・ワールド」の公爵家三男の悪役令息グレイスに転生していた。
幸いにも「ブレイス・オブ・ワールド」は転生前にやりこんだゲームだった。
早速、どんなスキルを授かったのかとステータスを確認してみると――
「超低確率の神スキル構成、コピースキルとスキル融合の組み合わせを神引きしてるじゃん!!」
やったね! この神スキル構成なら処刑エンドを回避して、かなり有利にゲーム世界を進めることができるはず。
一方で、別の転生者の勇者であり、元エリートで地方自治体の首長でもあったアルフレッドは、
「なんでモブキャラの悪役令息があんなに強力なスキルを複数持ってるんだ! しかも俺が目指してる国王エンドを邪魔するような行動ばかり取りやがって!!」
悪役令息のグレイスに対して日々不満を高まらせていた。
なんか俺、勇者のアルフレッドからものすごいヘイト買ってる?
でもまあ、勇者が最強なのは検証が進む前の攻略情報だから大丈夫っしょ。
というわけで、ゲーム知識と神スキル構成で思うままにこのゲーム世界を突き進んでいきます!

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。
アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~
明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!!
『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。
無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。
破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。
「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」
【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います
しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる