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1章。クズ悪役貴族、ゲーム知識で王女を救う
4話。妹と王女の危機を間一髪で救う
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【妹エレナ視点】
「きゃあ!?」
私はとっさにセリカ様を抱き抱えて、受け身を取りました。
馬が悲痛にいななきに、すさまじい衝撃と激痛が襲います。
「セリカ様、大丈夫ですか!?」
「痛たたぁ。な、なんとかね……何が起こったの!?」
「土魔法による攻撃です! それもかなりの手練れの!」
セリカ様はご無事なようですが、これが防御魔法のかけられた王族専用の馬車でなければ、私たちは大怪我をしていたでしょう。
「ヒャッハー! エレナ、よくもこの俺様に恥をかかせくれたなぁあああッ!? 何が王女の護衛だぁ! 今度は、てめぇを地獄に叩き落としてやるぜぇええええッ!」
「えっ!? ま、まさか……ガロン先輩!?」
ゲラゲラと笑う声には、聞き覚えがありました。
私はセリカ様を伴って、馬車から飛び出します。
そこにいるのは、鬼のようなギラついた目をした騎士学園の元先輩、ガロン・グレイスでした。
「由緒正しきグレイス侯爵家の次男ともあろうお方が、王女殿下のお命を狙われたのですか!?」
「ちょ、ちょぉ!? みんなヤラレているんだけど!?」
周囲を見渡すと、セリカ王女の護衛として付き従っていた兵たちは、すべて倒されていました。
無理もありません。
ガロン先輩は【栄光なる席次】の元ナンバー3。その実力は一般兵など足元にも及びません。
「あ~ん!? てめぇに【栄光なる決闘】で負けて、俺様は騎士学園を退学になったんだぞ! おかげでグレイス侯爵家からも勘当だ! いまさら名誉もクソもねぇんだょおおおおッ!」
ガロン先輩が怒声を上げました。
「ガロン君!? あ、あなた。まさか【栄光なる決闘】で、エリナに負けたのを逆恨みして、こんなことしたの!?」
セリカ様が指をガロン先輩に指を突きつけて、叱責しました。
「負けたら退学だっていうのは、ガロン君が言い出したことでしょ!?」
騎士学園では、生徒同士の争いを衆人環視の元で行う決闘──【栄光なる決闘】で解決するという伝統があります。
これに格下の者が勝利をすると、相手と【栄光なる席次】を入れ替えることができます。
さらに、勝利者は何らかの要求を相手に飲ませることができるのです。
私はガロン先輩が、セリカ様にしつこく言い寄っているのを見かねて、セリカ様に近づかないで欲しいとお願いしました。
セリカ様は入学と同時に【栄光なる席次】上位の男子生徒たちから熱烈アプローチをされたのですが、ガロン先輩のソレは無理やり手を握るなど、強引でセクハラじみていたのです。
ガロン先輩は、新入生の癖に生意気だと激怒し、負けた者は退学するという条件で、私に【栄光なる決闘】を申し込んできました。
いささか呆気に取られましたが、私はセリカ様を必ずお守りすると誓い、ナンバー1を目指している身、勝負は望むところです。
そして私が勝ち、私は【栄光なる席次】の3位となり、ガロン先輩は退学となったのです。
「うるせぇえええッ! 公衆の面前で1年の小娘に負けて、何もかも失った俺様の恨み。思い知りやがれ!」
ガロン先輩が指を鳴らすと、先輩の影から唸り声を上げる狼型モンスターが次々に湧き出て来ました。
「これは……魔獣ブラックウルフ!? ま、まさか、ガロン先輩は魔族と契約したのですか!?」
魔物は人間には決して懐きません。
魔物を従えることができるのは、人間の天敵である魔族のみです。
上位魔族と契約することで、人間は魔族に生まれ変わることができます。上位魔族は、心に闇を持つ人間に近づいて、契約を持ちかけてくるのです。
「アヒャヒャヒャ! その通りだぁああああッ! クソ王女を拉致することを条件に、俺様はかの大魔族に認められたんだ! 成功すりゃ、これで人生大逆転! エレナぁああああ、お前は俺様のペットの餌にしてやるぜ!」
「い、いくら退学になったからって、極端過ぎない!?」
「くっ! セリカ様、下がってください!」
魔獣ブラックウルフが、私に一斉突撃して来ました。
私は風を操って身体を加速させ、神速の剣を叩き込みます。
「はぁあああああッ!」
私のユニークスキル【剣聖】は、剣の攻撃力と速度を50%もアップさせる常時発動系《パッシブスキル》です。
これに剣技と風魔法を融合させたシルフィード伯爵家伝統の剣術【風魔剣】が合わされば、まさに鬼に金棒です。
斬! 斬! 斬!
あっという間に魔獣の群れを、私は血の海に沈めました。
「うわっ! さすがはエレナ! かっこいいぃいいい!」
セリカ王女が拍手喝采してくれます。
「はっ! 甘えよ。てめぇの弱点はもう知ってんだよ。息継ぎの瞬間、スピードが鈍るってなぁ!」
パチンと、ガロン先輩が指を鳴らすと、地面から土塊でできた腕が飛び出して、私の右足を捕まえました。
「なっ!?」
確かに、細かな魔法制御を必要とする私の【風魔剣】は、常に神速の動きを維持できる訳ではありません。
しかし、まさか、その小さな隙を突かれてしまうとは……
こ、これが魔族に転生した者の力ですか。
「そらそら! 速さが自慢のお前は、捕まえられちまったら、もうおしまいだろう!? ギャハハハッ!」
さらに無数の腕が地面から出現し、私を拳で滅多打ちにします。
「エレナァァァ!?」
「くぅうううッ!」
セリカ王女が悲鳴を上げる中、私は剣を巧みに操って、攻撃を受け流しました。
ですが、ガロン先輩の魔力は爆発的に強くなっています。一撃一撃があまりにも重く、受ける度に腕の骨が軋みます。
あ、圧倒的に強い。でも、今、セリカ様をお守りできるのは、私一人。なんとか耐え凌いで、逆転の目を探さなければ……
「おっ、すげぇや! さすがは【剣聖】様ぁ。小娘とは思えねぇ、剣の腕前だなぁ!? だがよ!」
ガッキィンンン!
「なぁ!?」
土魔法の腕に掴まれた私の剣が、へし折れました。
「ブヒャヒャヒャ! 俺様のユニークスキル【金剛】も、魔族化したことで、パワーアップしているんだぜ! 物体を触れもせずダイヤモンド以上に硬化させる! これと土魔法を組み合わせた俺様の力は、無敵なんだょぉおおおッ!」
ガロン先輩が指を鳴らすと、馬車を襲ったのと同じ、土の巨腕が出現しました。
思わずゾッと背筋が凍りつきます。
私の風魔法は、スピードを強化することは得意ですが、防御は苦手です。剣を失った今、これを防ぐ手段がありません。
「ちょ!? やめて! エレナを殺す気なの!?」
「あひゃ! ひと思いに殺しはしねぇよ。抵抗できねぇように痛めつけてから、犬の餌だ! そら【金剛巨腕】!」
「エレナ!?」
土の巨腕が叩き込まれると同時に、セリカ王女が、私の目前に魔法障壁を展開してくれました。
セリカ王女のユニークスキル【聖女】は、防御魔法と回復魔法の効果をアップさせる破格のスキルです。
「ぐはぁ……!?」
でも、【金剛巨腕】はセリカ王女の魔法障壁をあっさり粉砕しました。
折れた剣でガードしたものの凄まじい衝撃に意識が遠のきます。
「うひゃひゃひゃ! さあ、俺様のかわいいペットども! その小娘を食い散らせ!」
「エレナァァァ!?」
ガロン先輩が、再び魔獣ブラックウルフを召喚しました。
セリカ様をお守りすると誓ったのに、負ける訳にはいきません。
倒れそうになるのを懸命にこらえる私の右腕を、魔獣が噛みました。
「いっ!?」
風魔法の刃で、その魔獣を切り裂きましたが、出血に意識が朦朧とします。
思わず心が折れそうになる私の胸に、去来する思いがありました。
それは幼い頃、いつも私を守ってくれたヴァイス兄様の顔です。
わ、私ではセリカ様をお救いできません。た、助けてヴァイス兄様……
餓えた魔獣どもが、私に群がって来ました。ヤツらは興奮のあまり、荒い息を吐いています。
「さぁ、王女は俺様と来い!」
「イヤ! 誰が、あなたなんかと!?」
ガロン先輩がセリカ王女の腕を掴んで、連れ去ろうとしました。
「妾の娘の分際で、お高く止まるんじゃねぇよ! 尻軽な母親のように、ぶっ殺されてぇか!?」
「なっ、なんですって!?」
「ギャハハハッ! 何が第一王位継承者だ! しょせん、お前は【栄光なる席次】1位を取った男の賞品に過ぎねぇだろがよ!? 売女の娘!」
「わ、私とお母様を侮辱する気ぃ!?」
「賞品にされるってこたぁ、父親にもそう思われているってことだろ!? 売女の娘らしく、素直に俺様に媚を売っておけば良かったんだよ! 思い知らせてやるぜ!」
ガロン先輩がセリカ様を殴ろうとすると、その腕から突如、血が噴き上がりました。
「げはッ!?」
さらに魔獣どもが一瞬で、バラバラに斬り刻まれます。
強烈な風の刃が撃ち込まれたのです。
「大丈夫かエレナ!? おい、お前、セリカ王女から離れろ!」
ヴァイス兄様……!?
幻聴ではありません。
そこに、やってきたのは、まさしく兄様でした。
「きゃあ!?」
私はとっさにセリカ様を抱き抱えて、受け身を取りました。
馬が悲痛にいななきに、すさまじい衝撃と激痛が襲います。
「セリカ様、大丈夫ですか!?」
「痛たたぁ。な、なんとかね……何が起こったの!?」
「土魔法による攻撃です! それもかなりの手練れの!」
セリカ様はご無事なようですが、これが防御魔法のかけられた王族専用の馬車でなければ、私たちは大怪我をしていたでしょう。
「ヒャッハー! エレナ、よくもこの俺様に恥をかかせくれたなぁあああッ!? 何が王女の護衛だぁ! 今度は、てめぇを地獄に叩き落としてやるぜぇええええッ!」
「えっ!? ま、まさか……ガロン先輩!?」
ゲラゲラと笑う声には、聞き覚えがありました。
私はセリカ様を伴って、馬車から飛び出します。
そこにいるのは、鬼のようなギラついた目をした騎士学園の元先輩、ガロン・グレイスでした。
「由緒正しきグレイス侯爵家の次男ともあろうお方が、王女殿下のお命を狙われたのですか!?」
「ちょ、ちょぉ!? みんなヤラレているんだけど!?」
周囲を見渡すと、セリカ王女の護衛として付き従っていた兵たちは、すべて倒されていました。
無理もありません。
ガロン先輩は【栄光なる席次】の元ナンバー3。その実力は一般兵など足元にも及びません。
「あ~ん!? てめぇに【栄光なる決闘】で負けて、俺様は騎士学園を退学になったんだぞ! おかげでグレイス侯爵家からも勘当だ! いまさら名誉もクソもねぇんだょおおおおッ!」
ガロン先輩が怒声を上げました。
「ガロン君!? あ、あなた。まさか【栄光なる決闘】で、エリナに負けたのを逆恨みして、こんなことしたの!?」
セリカ様が指をガロン先輩に指を突きつけて、叱責しました。
「負けたら退学だっていうのは、ガロン君が言い出したことでしょ!?」
騎士学園では、生徒同士の争いを衆人環視の元で行う決闘──【栄光なる決闘】で解決するという伝統があります。
これに格下の者が勝利をすると、相手と【栄光なる席次】を入れ替えることができます。
さらに、勝利者は何らかの要求を相手に飲ませることができるのです。
私はガロン先輩が、セリカ様にしつこく言い寄っているのを見かねて、セリカ様に近づかないで欲しいとお願いしました。
セリカ様は入学と同時に【栄光なる席次】上位の男子生徒たちから熱烈アプローチをされたのですが、ガロン先輩のソレは無理やり手を握るなど、強引でセクハラじみていたのです。
ガロン先輩は、新入生の癖に生意気だと激怒し、負けた者は退学するという条件で、私に【栄光なる決闘】を申し込んできました。
いささか呆気に取られましたが、私はセリカ様を必ずお守りすると誓い、ナンバー1を目指している身、勝負は望むところです。
そして私が勝ち、私は【栄光なる席次】の3位となり、ガロン先輩は退学となったのです。
「うるせぇえええッ! 公衆の面前で1年の小娘に負けて、何もかも失った俺様の恨み。思い知りやがれ!」
ガロン先輩が指を鳴らすと、先輩の影から唸り声を上げる狼型モンスターが次々に湧き出て来ました。
「これは……魔獣ブラックウルフ!? ま、まさか、ガロン先輩は魔族と契約したのですか!?」
魔物は人間には決して懐きません。
魔物を従えることができるのは、人間の天敵である魔族のみです。
上位魔族と契約することで、人間は魔族に生まれ変わることができます。上位魔族は、心に闇を持つ人間に近づいて、契約を持ちかけてくるのです。
「アヒャヒャヒャ! その通りだぁああああッ! クソ王女を拉致することを条件に、俺様はかの大魔族に認められたんだ! 成功すりゃ、これで人生大逆転! エレナぁああああ、お前は俺様のペットの餌にしてやるぜ!」
「い、いくら退学になったからって、極端過ぎない!?」
「くっ! セリカ様、下がってください!」
魔獣ブラックウルフが、私に一斉突撃して来ました。
私は風を操って身体を加速させ、神速の剣を叩き込みます。
「はぁあああああッ!」
私のユニークスキル【剣聖】は、剣の攻撃力と速度を50%もアップさせる常時発動系《パッシブスキル》です。
これに剣技と風魔法を融合させたシルフィード伯爵家伝統の剣術【風魔剣】が合わされば、まさに鬼に金棒です。
斬! 斬! 斬!
あっという間に魔獣の群れを、私は血の海に沈めました。
「うわっ! さすがはエレナ! かっこいいぃいいい!」
セリカ王女が拍手喝采してくれます。
「はっ! 甘えよ。てめぇの弱点はもう知ってんだよ。息継ぎの瞬間、スピードが鈍るってなぁ!」
パチンと、ガロン先輩が指を鳴らすと、地面から土塊でできた腕が飛び出して、私の右足を捕まえました。
「なっ!?」
確かに、細かな魔法制御を必要とする私の【風魔剣】は、常に神速の動きを維持できる訳ではありません。
しかし、まさか、その小さな隙を突かれてしまうとは……
こ、これが魔族に転生した者の力ですか。
「そらそら! 速さが自慢のお前は、捕まえられちまったら、もうおしまいだろう!? ギャハハハッ!」
さらに無数の腕が地面から出現し、私を拳で滅多打ちにします。
「エレナァァァ!?」
「くぅうううッ!」
セリカ王女が悲鳴を上げる中、私は剣を巧みに操って、攻撃を受け流しました。
ですが、ガロン先輩の魔力は爆発的に強くなっています。一撃一撃があまりにも重く、受ける度に腕の骨が軋みます。
あ、圧倒的に強い。でも、今、セリカ様をお守りできるのは、私一人。なんとか耐え凌いで、逆転の目を探さなければ……
「おっ、すげぇや! さすがは【剣聖】様ぁ。小娘とは思えねぇ、剣の腕前だなぁ!? だがよ!」
ガッキィンンン!
「なぁ!?」
土魔法の腕に掴まれた私の剣が、へし折れました。
「ブヒャヒャヒャ! 俺様のユニークスキル【金剛】も、魔族化したことで、パワーアップしているんだぜ! 物体を触れもせずダイヤモンド以上に硬化させる! これと土魔法を組み合わせた俺様の力は、無敵なんだょぉおおおッ!」
ガロン先輩が指を鳴らすと、馬車を襲ったのと同じ、土の巨腕が出現しました。
思わずゾッと背筋が凍りつきます。
私の風魔法は、スピードを強化することは得意ですが、防御は苦手です。剣を失った今、これを防ぐ手段がありません。
「ちょ!? やめて! エレナを殺す気なの!?」
「あひゃ! ひと思いに殺しはしねぇよ。抵抗できねぇように痛めつけてから、犬の餌だ! そら【金剛巨腕】!」
「エレナ!?」
土の巨腕が叩き込まれると同時に、セリカ王女が、私の目前に魔法障壁を展開してくれました。
セリカ王女のユニークスキル【聖女】は、防御魔法と回復魔法の効果をアップさせる破格のスキルです。
「ぐはぁ……!?」
でも、【金剛巨腕】はセリカ王女の魔法障壁をあっさり粉砕しました。
折れた剣でガードしたものの凄まじい衝撃に意識が遠のきます。
「うひゃひゃひゃ! さあ、俺様のかわいいペットども! その小娘を食い散らせ!」
「エレナァァァ!?」
ガロン先輩が、再び魔獣ブラックウルフを召喚しました。
セリカ様をお守りすると誓ったのに、負ける訳にはいきません。
倒れそうになるのを懸命にこらえる私の右腕を、魔獣が噛みました。
「いっ!?」
風魔法の刃で、その魔獣を切り裂きましたが、出血に意識が朦朧とします。
思わず心が折れそうになる私の胸に、去来する思いがありました。
それは幼い頃、いつも私を守ってくれたヴァイス兄様の顔です。
わ、私ではセリカ様をお救いできません。た、助けてヴァイス兄様……
餓えた魔獣どもが、私に群がって来ました。ヤツらは興奮のあまり、荒い息を吐いています。
「さぁ、王女は俺様と来い!」
「イヤ! 誰が、あなたなんかと!?」
ガロン先輩がセリカ王女の腕を掴んで、連れ去ろうとしました。
「妾の娘の分際で、お高く止まるんじゃねぇよ! 尻軽な母親のように、ぶっ殺されてぇか!?」
「なっ、なんですって!?」
「ギャハハハッ! 何が第一王位継承者だ! しょせん、お前は【栄光なる席次】1位を取った男の賞品に過ぎねぇだろがよ!? 売女の娘!」
「わ、私とお母様を侮辱する気ぃ!?」
「賞品にされるってこたぁ、父親にもそう思われているってことだろ!? 売女の娘らしく、素直に俺様に媚を売っておけば良かったんだよ! 思い知らせてやるぜ!」
ガロン先輩がセリカ様を殴ろうとすると、その腕から突如、血が噴き上がりました。
「げはッ!?」
さらに魔獣どもが一瞬で、バラバラに斬り刻まれます。
強烈な風の刃が撃ち込まれたのです。
「大丈夫かエレナ!? おい、お前、セリカ王女から離れろ!」
ヴァイス兄様……!?
幻聴ではありません。
そこに、やってきたのは、まさしく兄様でした。
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