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1章。偽勇者、本物に成り代わる
第3話。真の勇者だと言われる
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「申し訳ありません! 姫様の窮地にお側におれないとは……一生の不覚にございます!」
ボクの前にひざまずいたのは、尖った耳が特徴のハーフエルフの美少女だ。
「いやエリザ様。そんなことはないんで、気にしないでください」
彼女は王女の近衛騎士団であるイルティア聖騎士団長エリザだ。
まだ未成熟さを残した外見ながらも、不老のエルフの血を引く彼女の年齢は100歳以上。数々の武勲に彩られた英雄だった。
「はっ? エリザ様?」
エリザが不思議そうな顔をした。
「姫様。エリザ様などと……ご幼少のみぎりよりお仕えしてきたエリザを、なぜそのようにお呼びに?」
あっ、しまった。イルティアなら、エリザを呼び捨てにするのが当たり前だった。
エリザ、エリザと、犬でも呼びつけるように、彼女を顎で使っていた最低王女のことを思い出す。
イルティアのフリをせねばならないところを、もろに素を出してしまい、ボクは動転した。
「あっ、いえ。エリザ様はずっとボクの憧れでしたから……!」
なんとかごまかそうと、さらに墓穴を掘るようなことを口走ってしまう。
必死に頭を回転させるが、今さら王女らしく居丈高になるのも変だ。
「つ、つまりですね! ボクには、イルティア軍を……最強の聖騎士団を御するなんて荷が重すぎるんで。魔王軍に勝つためにも、エリザ様に助けて欲しいんです!」
もう破れかぶれで、素直に伝えたいことを言ってしまった。
イルティアは人望を失い、近衛の聖騎士たちらからも冷たい目で見られている。
そんな軍を統率するなんて、指揮官の経験がないボクには絶対に無理!
エリザに指揮を取ってもらうしかない。
気がつけば、深々と頭を下げていた。
……あっ、しまった。これはいくらなんでも不自然すぎる。
イルティアなら、絶対に家臣にこんな態度は取らないぞ。
恐る恐る顔をあげると、エリザは感激した様子で涙を流していた。
「ひ、姫様!……成長。成長されましたね! これほど嬉しいことはございません!」
エリザにガバっと抱きつかれた。女の子特有の花のような甘い香りが鼻孔をくすぐる。
ちょっと、顔が近いんですけど!
妹以外の女子に、これほど密着されたことは生まれて初めてだった。
それが輝くばかりの端麗さを誇る美少女とあっては、内心の動揺を隠しきれない。
「姫様が配下にあまりに傲慢な態度を取られるので。エリザはずっと心を痛めておりました。それでは、人は離れていってしまいます。
どうかお心を変えていただきたかったのですが、耳を貸してはくださらず……」
ドギマギして緊張に身を固くするボクを、エリザが真摯な瞳で見つめる。
「し、しかし……! 姫様は、この苦境を通して成長しておられたのですね!
自らの欠点を受け入れ、勝利のために最善を尽くす。私に頭を下げるその度量!
なにより、たったおひとりで身体を張って民を守る、尊きお姿に胸を打たれました!
やはり、あなた様こそ真の勇者! エリザは、どこまでも、どこまでも姫様についていきます!」
気がつけば周りにいた人々も、ボクらのやりとりに感動した面持ちで身を震わせていた。
「姫様! こんな状況になっても勝利をあきらめないなんて……す、すごく感動しました!」
「俺たちも、ずっと姫様についていきます!」
「我らが勇者、星屑の聖女さまバンザイ!」
妹のコレットも、ボクを熱のこもった尊敬の眼差しで見つめていた。
なんか結果オーライな感じになったが……
次からは、みんなの手前。エリザのことは呼び捨てにするように気をつけよう。
ボクの前にひざまずいたのは、尖った耳が特徴のハーフエルフの美少女だ。
「いやエリザ様。そんなことはないんで、気にしないでください」
彼女は王女の近衛騎士団であるイルティア聖騎士団長エリザだ。
まだ未成熟さを残した外見ながらも、不老のエルフの血を引く彼女の年齢は100歳以上。数々の武勲に彩られた英雄だった。
「はっ? エリザ様?」
エリザが不思議そうな顔をした。
「姫様。エリザ様などと……ご幼少のみぎりよりお仕えしてきたエリザを、なぜそのようにお呼びに?」
あっ、しまった。イルティアなら、エリザを呼び捨てにするのが当たり前だった。
エリザ、エリザと、犬でも呼びつけるように、彼女を顎で使っていた最低王女のことを思い出す。
イルティアのフリをせねばならないところを、もろに素を出してしまい、ボクは動転した。
「あっ、いえ。エリザ様はずっとボクの憧れでしたから……!」
なんとかごまかそうと、さらに墓穴を掘るようなことを口走ってしまう。
必死に頭を回転させるが、今さら王女らしく居丈高になるのも変だ。
「つ、つまりですね! ボクには、イルティア軍を……最強の聖騎士団を御するなんて荷が重すぎるんで。魔王軍に勝つためにも、エリザ様に助けて欲しいんです!」
もう破れかぶれで、素直に伝えたいことを言ってしまった。
イルティアは人望を失い、近衛の聖騎士たちらからも冷たい目で見られている。
そんな軍を統率するなんて、指揮官の経験がないボクには絶対に無理!
エリザに指揮を取ってもらうしかない。
気がつけば、深々と頭を下げていた。
……あっ、しまった。これはいくらなんでも不自然すぎる。
イルティアなら、絶対に家臣にこんな態度は取らないぞ。
恐る恐る顔をあげると、エリザは感激した様子で涙を流していた。
「ひ、姫様!……成長。成長されましたね! これほど嬉しいことはございません!」
エリザにガバっと抱きつかれた。女の子特有の花のような甘い香りが鼻孔をくすぐる。
ちょっと、顔が近いんですけど!
妹以外の女子に、これほど密着されたことは生まれて初めてだった。
それが輝くばかりの端麗さを誇る美少女とあっては、内心の動揺を隠しきれない。
「姫様が配下にあまりに傲慢な態度を取られるので。エリザはずっと心を痛めておりました。それでは、人は離れていってしまいます。
どうかお心を変えていただきたかったのですが、耳を貸してはくださらず……」
ドギマギして緊張に身を固くするボクを、エリザが真摯な瞳で見つめる。
「し、しかし……! 姫様は、この苦境を通して成長しておられたのですね!
自らの欠点を受け入れ、勝利のために最善を尽くす。私に頭を下げるその度量!
なにより、たったおひとりで身体を張って民を守る、尊きお姿に胸を打たれました!
やはり、あなた様こそ真の勇者! エリザは、どこまでも、どこまでも姫様についていきます!」
気がつけば周りにいた人々も、ボクらのやりとりに感動した面持ちで身を震わせていた。
「姫様! こんな状況になっても勝利をあきらめないなんて……す、すごく感動しました!」
「俺たちも、ずっと姫様についていきます!」
「我らが勇者、星屑の聖女さまバンザイ!」
妹のコレットも、ボクを熱のこもった尊敬の眼差しで見つめていた。
なんか結果オーライな感じになったが……
次からは、みんなの手前。エリザのことは呼び捨てにするように気をつけよう。
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