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第19話 射的と日向
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「あ……」
人混みを抜けると、一際目立った数人の男達。
それは蓮達だった。
蓮達の姿を確認した葵はさりげなく、柚佑から手を離し歩き出す。
「おせぇぞ」
葵と柚佑が到着するなり、蓮が口を開く。
「ごめん。誰かさんのせいで浴衣着せられて歩きにくかったからさ」
「それは……わりぃ」
葵の言葉に蓮は思わず声を詰まらせる。
「花火何時からだっけ?」
「たしか、19時30分からだよ」
日向の質問に柚佑は左手首に付けられた腕時計を確認しながら答える。
「じゃあ、あと1時間くらい時間あるから色々見れるね!」
日向は嬉しそうに満面の笑みを浮かべると、歩き出した。
「葵ちゃん、やりたいのある?」
「やりたいの……あ、射的」
日向の問に葵は辺りを見渡す。
そして、ひとつの屋台に目が止まった。
「射的? いいね。僕上手いよ」
日向は腕を回し準備万端だ。
2人は射的をやっている屋台へ向かった。
「おじちゃん2人分お願い」
「あいよ。1人200円」
頭にタオルを巻いた強面なおじさんはそう言うと射的銃を2本手に取る。
「はい、2人分」
葵が手に持つ巾着から小銭入れを取り出そうとした所、先に日向が2人分のお金を払っていた。
「日向、払うよ」
「いいの、ここは僕の奢りね」
「ありがとう」
2人はおじさんから射的銃を受け取り、構えた。
コルクの数は10個、お菓子が的になっていて棚から落ちると貰えるようになっている。
狙いを定めた葵は射的銃の引き金を引く。
銃口から飛び出したコルクはお菓子を弾き飛ばした。
その後も次々と弾き飛ばしていく葵。
「あ、葵ちゃん凄いね。僕も負けてられないな」
葵の命中率に、日向は呆気に取られていた。
それもそのはず、今のところ5発打ちその全てが的を弾き飛ばしている。
日向はというと──
「あーまたダメだった……。当たるけど倒れないよ。なんで葵ちゃんそんなに上手いの?」
「左右どっちかの上の方狙った方が台から落ちやすいと思う」
葵は射的銃を構えながらそう口にした。
「ありがとう……上の方……っ! 落ちたー!」
日向も同じく射的銃を構え、引き金を引くと見事お菓子が弾き飛ばされ台の下に落とすことができた。
「葵ちゃんありがとう!」
日向はその後も外したりもしたがお菓子に当たった物は全て台から落とすことができた。
そして、すべてのコルクが打ち終わるとおじさんは台から落ちたお菓子を拾い、葵と日向にわたきた。
「お嬢ちゃん凄いね」
「おじさんありがとう」
お菓子を受け取った2人はその場を後にした。
人混みを抜けると、一際目立った数人の男達。
それは蓮達だった。
蓮達の姿を確認した葵はさりげなく、柚佑から手を離し歩き出す。
「おせぇぞ」
葵と柚佑が到着するなり、蓮が口を開く。
「ごめん。誰かさんのせいで浴衣着せられて歩きにくかったからさ」
「それは……わりぃ」
葵の言葉に蓮は思わず声を詰まらせる。
「花火何時からだっけ?」
「たしか、19時30分からだよ」
日向の質問に柚佑は左手首に付けられた腕時計を確認しながら答える。
「じゃあ、あと1時間くらい時間あるから色々見れるね!」
日向は嬉しそうに満面の笑みを浮かべると、歩き出した。
「葵ちゃん、やりたいのある?」
「やりたいの……あ、射的」
日向の問に葵は辺りを見渡す。
そして、ひとつの屋台に目が止まった。
「射的? いいね。僕上手いよ」
日向は腕を回し準備万端だ。
2人は射的をやっている屋台へ向かった。
「おじちゃん2人分お願い」
「あいよ。1人200円」
頭にタオルを巻いた強面なおじさんはそう言うと射的銃を2本手に取る。
「はい、2人分」
葵が手に持つ巾着から小銭入れを取り出そうとした所、先に日向が2人分のお金を払っていた。
「日向、払うよ」
「いいの、ここは僕の奢りね」
「ありがとう」
2人はおじさんから射的銃を受け取り、構えた。
コルクの数は10個、お菓子が的になっていて棚から落ちると貰えるようになっている。
狙いを定めた葵は射的銃の引き金を引く。
銃口から飛び出したコルクはお菓子を弾き飛ばした。
その後も次々と弾き飛ばしていく葵。
「あ、葵ちゃん凄いね。僕も負けてられないな」
葵の命中率に、日向は呆気に取られていた。
それもそのはず、今のところ5発打ちその全てが的を弾き飛ばしている。
日向はというと──
「あーまたダメだった……。当たるけど倒れないよ。なんで葵ちゃんそんなに上手いの?」
「左右どっちかの上の方狙った方が台から落ちやすいと思う」
葵は射的銃を構えながらそう口にした。
「ありがとう……上の方……っ! 落ちたー!」
日向も同じく射的銃を構え、引き金を引くと見事お菓子が弾き飛ばされ台の下に落とすことができた。
「葵ちゃんありがとう!」
日向はその後も外したりもしたがお菓子に当たった物は全て台から落とすことができた。
そして、すべてのコルクが打ち終わるとおじさんは台から落ちたお菓子を拾い、葵と日向にわたきた。
「お嬢ちゃん凄いね」
「おじさんありがとう」
お菓子を受け取った2人はその場を後にした。
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