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第16話 突然の訪問者
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♢♢♢
そして、現在に至る。
萩人から注告を受けていた為、葵は極力外出しないようにしようと心に決めていた。
「じゃあさ、今度バーベキューやろうぜ!」
「いいね! それ、楽しそう!」
蓮の提案に嬉しそうに手を挙げたのは隣に座る日向だった。
「それで花火もやろうぜ!」
「やろうやろう!」
他の人の意見は聞かず蓮と日向は夏休みの予定を着々と決めていた。
そんな2人を何も言わずに見守っているのが竜と蓮達の対面に座る楓と柚佑だ。
「葵ちゃんもみんなでバーベキューと花火やりたいよね?」
「あ、うん。楽しそうだね」
柚佑の隣に座る葵に話を振ってきたのは日向だった。
「送る」
あれからどれくらい経っただろうか、辺りはすっかり暗くなっている。
竜はそれだけ言うと立ち上がりドアへと向かう。
「うん。じゃあね」
葵も立ち上がり、竜の後へ続く。
「竜が送ってくれるの珍しいね」
部屋を出て階段を降りながら葵は口を開く。
「ああ。……なんかあったか?」
「なんかって? 別に……何もないけど」
「1週間くらい前から変」
「(1週間前……あ、しゅうちゃんと話した日か……あたし顔に出てたのか。 やっぱり総長だけあってよく見てるな)」
「そう? 気の所為じゃない?」
「……なんかあったら言え。みんな仲間だ、ちゃんと頼れよ」
「竜……ありがとう」
「ああ」
竜はそう言うと葵にヘルメットを手渡す。
葵が単車に跨るのを確認した竜は自身も跨り、車体を走らせる。
「おい、手ちゃんと腰掴んどけ」
「あ、うん」
葵は仕方なく車体を掴んでいた手を離し、竜の腰に腕を回した。
見た目の割には安全運転で走行した竜。
きっと、後ろに葵が乗っているからだろう。
「着いた」
「ありがとう。じゃあね」
「ああ」
葵はヘルメットを竜に手渡すとそのままマンションへと入って行った。
それを見届けた竜は単車を走らせ、倉庫へ戻って行った。
***
「蓮、来たよー!」
とある日曜日、幹部以上が入れる部屋に突如現れた女性。
腰まで伸ばされた髪の毛は綺麗な金色だ。
小顔な彼女は目鼻立ちがハッキリとしていて、少し濃いめなメイクが印象的だ。
「おせぇよ」
「遅いとはなによ! 急に呼び出して! あ、あなたが葵ちゃん?」
「……そうだけど。誰?」
「あぁ、ごめんね。あたしは蓮の姉で杏佳(キョウカ)よろしくね」
「えっ! 蓮のお姉さん!」
葵は驚き対面に座る蓮とドアの前にいる杏佳に数回視線を移した。
「(確かに……言われてみれば、この2人似てるな)」
「じゃあ、行くわよ」
「ちょっ! どこ行くの?」
葵は、鼻と口元が似ているなと杏佳の顔を見つめていると、突然腕を掴まれ立ち上がらされる。
「何ってあいつから聞いてないの?」
「何も」
「人を呼んでおいて、説明なしかよ」
杏佳は鬼のような形相で蓮を睨みつける。
「サ、サプライズだよ……。蓮は葵ちゃんをびっくりさせたかったんだよ!」
蓮が口を開こうとした瞬間、日向が口を挟む。
「サプライズねぇ……。いいじゃん、それ! そういうことだから行くよ」
杏佳はサプライズがよほど気に入ったのか、日向にピースサインをして見せた。
「行くってどこに?」
「いいから、いいから」
杏佳は葵の腕を掴むと部屋の奥へ進んで行く。
向かって右側にドアがあり、杏佳はそれに手をかける。
そして、現在に至る。
萩人から注告を受けていた為、葵は極力外出しないようにしようと心に決めていた。
「じゃあさ、今度バーベキューやろうぜ!」
「いいね! それ、楽しそう!」
蓮の提案に嬉しそうに手を挙げたのは隣に座る日向だった。
「それで花火もやろうぜ!」
「やろうやろう!」
他の人の意見は聞かず蓮と日向は夏休みの予定を着々と決めていた。
そんな2人を何も言わずに見守っているのが竜と蓮達の対面に座る楓と柚佑だ。
「葵ちゃんもみんなでバーベキューと花火やりたいよね?」
「あ、うん。楽しそうだね」
柚佑の隣に座る葵に話を振ってきたのは日向だった。
「送る」
あれからどれくらい経っただろうか、辺りはすっかり暗くなっている。
竜はそれだけ言うと立ち上がりドアへと向かう。
「うん。じゃあね」
葵も立ち上がり、竜の後へ続く。
「竜が送ってくれるの珍しいね」
部屋を出て階段を降りながら葵は口を開く。
「ああ。……なんかあったか?」
「なんかって? 別に……何もないけど」
「1週間くらい前から変」
「(1週間前……あ、しゅうちゃんと話した日か……あたし顔に出てたのか。 やっぱり総長だけあってよく見てるな)」
「そう? 気の所為じゃない?」
「……なんかあったら言え。みんな仲間だ、ちゃんと頼れよ」
「竜……ありがとう」
「ああ」
竜はそう言うと葵にヘルメットを手渡す。
葵が単車に跨るのを確認した竜は自身も跨り、車体を走らせる。
「おい、手ちゃんと腰掴んどけ」
「あ、うん」
葵は仕方なく車体を掴んでいた手を離し、竜の腰に腕を回した。
見た目の割には安全運転で走行した竜。
きっと、後ろに葵が乗っているからだろう。
「着いた」
「ありがとう。じゃあね」
「ああ」
葵はヘルメットを竜に手渡すとそのままマンションへと入って行った。
それを見届けた竜は単車を走らせ、倉庫へ戻って行った。
***
「蓮、来たよー!」
とある日曜日、幹部以上が入れる部屋に突如現れた女性。
腰まで伸ばされた髪の毛は綺麗な金色だ。
小顔な彼女は目鼻立ちがハッキリとしていて、少し濃いめなメイクが印象的だ。
「おせぇよ」
「遅いとはなによ! 急に呼び出して! あ、あなたが葵ちゃん?」
「……そうだけど。誰?」
「あぁ、ごめんね。あたしは蓮の姉で杏佳(キョウカ)よろしくね」
「えっ! 蓮のお姉さん!」
葵は驚き対面に座る蓮とドアの前にいる杏佳に数回視線を移した。
「(確かに……言われてみれば、この2人似てるな)」
「じゃあ、行くわよ」
「ちょっ! どこ行くの?」
葵は、鼻と口元が似ているなと杏佳の顔を見つめていると、突然腕を掴まれ立ち上がらされる。
「何ってあいつから聞いてないの?」
「何も」
「人を呼んでおいて、説明なしかよ」
杏佳は鬼のような形相で蓮を睨みつける。
「サ、サプライズだよ……。蓮は葵ちゃんをびっくりさせたかったんだよ!」
蓮が口を開こうとした瞬間、日向が口を挟む。
「サプライズねぇ……。いいじゃん、それ! そういうことだから行くよ」
杏佳はサプライズがよほど気に入ったのか、日向にピースサインをして見せた。
「行くってどこに?」
「いいから、いいから」
杏佳は葵の腕を掴むと部屋の奥へ進んで行く。
向かって右側にドアがあり、杏佳はそれに手をかける。
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