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第10話 期末テスト
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「葵ちゃん、おはよー。固まってるけど大丈夫?」
葵達より少し遅れて登校してきた日向が不思議そうな顔を浮かべる。
「……ねえ、今日ってテストなの?」
「そうだよ。あれ? もしかして知らなかった?」
「知らない……。普通転校してきた次の日にテストなんてない」
当然のように答える日向に葵は不機嫌そうに言う。
「おはよー。おら、席つけー……っ」
葵に睨まれた柊真は驚き息を呑む。
「今日は期末テストだ。赤点取った奴らは補習だからな。俺の余計な仕事増やすなよ」
柊真は手短にHRを済ませると教室を出た。
「柊真!」
その後を追った葵は柊真に声をかける。
……というよりか、軽く怒鳴りつける方が近いかもしれない。
「顔怖いけど、なんかあった?」
「俺の余計な仕事を増やすなね……。
あたしはテストがあるなんて聞いてない」
「おかしいな……昨日言ったはずなんだけどな」
「え……」
「俺はちゃんと言ったぞ。まあ、転校してきたばかりだし、実力テストぐらいに思えばいいから」
「……わかった」
まさか、自分が聞いていなかっただけだと思わなかった葵は、それ以上何も言うことが出来なかった。
教室に戻ると、ものの数分でテストが開始された。
テストは5日間に渡って行われた。
***
期末テストは無事終了し、迎えたテスト返却日。
「葵ちゃん大丈夫だった?」
全てのテストが返却されると日向は不安気な声で問いかける。
「……大丈夫だったんだけど……」
「(一回勉強してるけど、テスト簡単すぎないか?)」
「どうしたの?」
「いや、大丈夫」
日向は葵が持つテスト用紙を覗き込んだ。
「え! 葵ちゃん凄い!」
「すげぇ、柚佑といい勝負なんじゃね?」
日向の声に蓮と柚佑も同じく覗き込んだ。
「ほんとだ。俺と点数全部一緒だね」
そして、柚佑はあの貼り付けた笑顔を見せた。
柚佑の言う"点数が全部一緒"とは全て100点満点だ。
「昨日転校してきたんだよね? なんでそんなに頭いいの?」
「言ったでしょ。あたし留年してるからさ」
小首を傾ける日向に対し、葵は淡々と答えた。
「ちなみにどこ高校行ってたの?」
「ん? あー……西山高」
「は?」
驚く柚佑に葵は笑って見せた。
「西山? 頭いいのか?柚佑知ってるか?」
蓮は分からず柚佑に問いかける。
「知ってる。偏差値高くて有名だしね……」
柚佑はそう言うと影を落とした。
「葵ちゃん凄いね! でもなんで辞めちゃったの?」
「そんな頭いい所からなんでこんな元男子校来たんだ?」
日向と蓮は興味津々に問いかける。
「あー体調崩して、成績落ちたから自主退学扱いになったかな……?」
「(本当は違うけど、実際あんなことがあって学校行けなくなったのは事実だから……嘘言ってないよね)」
葵はあることをきっかけに学校に通うことが出来なくなった──
そして、今年の1月頃から学校をサボるようになり、テストを受けなかった為、自主退学に追い込まれたのだった。
「成績落ちただけで、自主退学か。すごい世界だな」
蓮は自分のテスト結果を見つめた。
葵達より少し遅れて登校してきた日向が不思議そうな顔を浮かべる。
「……ねえ、今日ってテストなの?」
「そうだよ。あれ? もしかして知らなかった?」
「知らない……。普通転校してきた次の日にテストなんてない」
当然のように答える日向に葵は不機嫌そうに言う。
「おはよー。おら、席つけー……っ」
葵に睨まれた柊真は驚き息を呑む。
「今日は期末テストだ。赤点取った奴らは補習だからな。俺の余計な仕事増やすなよ」
柊真は手短にHRを済ませると教室を出た。
「柊真!」
その後を追った葵は柊真に声をかける。
……というよりか、軽く怒鳴りつける方が近いかもしれない。
「顔怖いけど、なんかあった?」
「俺の余計な仕事を増やすなね……。
あたしはテストがあるなんて聞いてない」
「おかしいな……昨日言ったはずなんだけどな」
「え……」
「俺はちゃんと言ったぞ。まあ、転校してきたばかりだし、実力テストぐらいに思えばいいから」
「……わかった」
まさか、自分が聞いていなかっただけだと思わなかった葵は、それ以上何も言うことが出来なかった。
教室に戻ると、ものの数分でテストが開始された。
テストは5日間に渡って行われた。
***
期末テストは無事終了し、迎えたテスト返却日。
「葵ちゃん大丈夫だった?」
全てのテストが返却されると日向は不安気な声で問いかける。
「……大丈夫だったんだけど……」
「(一回勉強してるけど、テスト簡単すぎないか?)」
「どうしたの?」
「いや、大丈夫」
日向は葵が持つテスト用紙を覗き込んだ。
「え! 葵ちゃん凄い!」
「すげぇ、柚佑といい勝負なんじゃね?」
日向の声に蓮と柚佑も同じく覗き込んだ。
「ほんとだ。俺と点数全部一緒だね」
そして、柚佑はあの貼り付けた笑顔を見せた。
柚佑の言う"点数が全部一緒"とは全て100点満点だ。
「昨日転校してきたんだよね? なんでそんなに頭いいの?」
「言ったでしょ。あたし留年してるからさ」
小首を傾ける日向に対し、葵は淡々と答えた。
「ちなみにどこ高校行ってたの?」
「ん? あー……西山高」
「は?」
驚く柚佑に葵は笑って見せた。
「西山? 頭いいのか?柚佑知ってるか?」
蓮は分からず柚佑に問いかける。
「知ってる。偏差値高くて有名だしね……」
柚佑はそう言うと影を落とした。
「葵ちゃん凄いね! でもなんで辞めちゃったの?」
「そんな頭いい所からなんでこんな元男子校来たんだ?」
日向と蓮は興味津々に問いかける。
「あー体調崩して、成績落ちたから自主退学扱いになったかな……?」
「(本当は違うけど、実際あんなことがあって学校行けなくなったのは事実だから……嘘言ってないよね)」
葵はあることをきっかけに学校に通うことが出来なくなった──
そして、今年の1月頃から学校をサボるようになり、テストを受けなかった為、自主退学に追い込まれたのだった。
「成績落ちただけで、自主退学か。すごい世界だな」
蓮は自分のテスト結果を見つめた。
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