6 / 75
第5話 金髪
しおりを挟む
「ねえ、どこ行くの?」
何となく予想はついたが隣に座る蓮に問いかけてみた。
「どこでもいいだろ。前向いてろ。車酔いしても知らねぇぞ」
返ってきたのは不機嫌そうな声だった。
「大丈夫、あたし酔ったことないから。それよりこんな強引に連れてきたんだから教えてくれてもよくない?」
「俺らの溜まり場。行けばわかる」
蓮の言葉にやっぱりと確信をもった葵。
「帰ってもいい? なんであたしが行かなきゃ行けないの?」
「お前、狙われてんだよ。朝、スキンヘッド……運転席に座ってるような頭の奴にぶつかっただろ。
あ、ちなみにあいつは片桐凌(カタギリ リョウ)な」
蓮は運転席に座るスキンヘッドを指さした。
「ぶつかったけど……それが何?」
「お前は目付けられてんだよ。だから俺らが守ってやる」
言葉とは裏腹に心底嫌そうな顔をする蓮。
「え、いらないんだけど。自分の身は自分で守るから」
「葵ちゃん、女の子が1人であの学校にいるのは危険だよ。だから、僕らに守らせて?」
葵の後ろから顔を出した日向は小首を傾げ不安そうな顔を浮かべた。
「……分かった。だけど、なんでその溜まり場に行かなきゃなんないの?」
「(あーゆう顔されると断れないんだよな……)」
日向の可愛さか押しに負けた葵は守られることを決心した。
「まあ、それは行けばわかるよ」
日向の隣に座る柚佑が貼り付けた笑顔を見せた。
暫くすると、車はとある古びた倉庫の前で停まった。
「(うわぁ、やっぱりそうだよな。出来れば関わりたくなかっただけどな……。
もう、仲間は失いたくないんだよ)」
葵は小さくため息をついた。
「大丈夫? 行くよ」
柚佑は俯く葵の手をとると車を降りた。
「ねえ、朝から思ったんだけど、なんでいつも笑ってるの?」
「なんでって?」
周りに日向達を居ないことを確認した葵は柚佑に問いかけた。
柚佑は変わらず貼り付けた笑顔をしていた。
「なんで面白くもないのにそんなに笑ってるの? 初対面でこんなこと言うのも、どうかと思うけど、その笑い方あたしは好きじゃない」
「そっか……今までバレたこと無かったんだけどな」
悲しく笑う柚佑。
「まあ、あたしは思ったこと言っただけだからあんまり気にしないで」
葵はほら行くんでしょと柚佑の手を引き倉庫の中へ。
柚佑に連れて来られたのは倉庫の階段を上がった部屋の前。
「(こいつらは幹部以上ってことか)」
今までいたような場所だから説明されなくてもある程度、葵は理解していた。
彼らは恐らく、自分が前にいた場所と同じ──どこかの暴走族だと。
ドアを開けるとそこには蓮と日向の他に知らない男が2人いた。
「遅せぇよ。早く中入れ」
入口付近にいた蓮が不機嫌そうに口を開く。
「ご、ごめん……」
「蓮悪い。ちょっと話してたら遅くなった」
柚佑は葵の背中を押し、自分も中へ入る。
部屋のど真ん中には茶色いローテーブルが置かれてあり、入り口を除き、囲うようにソファーが設置されていた。
「おい、蓮そいつ誰」
「……」
あきらかに不機嫌そうに葵を睨む銀髪。
一瞬葵を視界に入れると興味無さそうにそっぽを向く金髪。
金髪は入口の対面に設置させれた1人掛けのソファーに足を大きく開き腰掛けていた。
「(綺麗……あれ、あの金髪どこかで会ったことあるような……いや、気のせいか?)」
金髪の綺麗な横顔に葵は目を奪われた。
「(綺麗な髪の毛。どうやったらあんな風に色入るんだろ)」
いや、横顔ではなく、葵は髪の毛に目を奪われていた。
何となく予想はついたが隣に座る蓮に問いかけてみた。
「どこでもいいだろ。前向いてろ。車酔いしても知らねぇぞ」
返ってきたのは不機嫌そうな声だった。
「大丈夫、あたし酔ったことないから。それよりこんな強引に連れてきたんだから教えてくれてもよくない?」
「俺らの溜まり場。行けばわかる」
蓮の言葉にやっぱりと確信をもった葵。
「帰ってもいい? なんであたしが行かなきゃ行けないの?」
「お前、狙われてんだよ。朝、スキンヘッド……運転席に座ってるような頭の奴にぶつかっただろ。
あ、ちなみにあいつは片桐凌(カタギリ リョウ)な」
蓮は運転席に座るスキンヘッドを指さした。
「ぶつかったけど……それが何?」
「お前は目付けられてんだよ。だから俺らが守ってやる」
言葉とは裏腹に心底嫌そうな顔をする蓮。
「え、いらないんだけど。自分の身は自分で守るから」
「葵ちゃん、女の子が1人であの学校にいるのは危険だよ。だから、僕らに守らせて?」
葵の後ろから顔を出した日向は小首を傾げ不安そうな顔を浮かべた。
「……分かった。だけど、なんでその溜まり場に行かなきゃなんないの?」
「(あーゆう顔されると断れないんだよな……)」
日向の可愛さか押しに負けた葵は守られることを決心した。
「まあ、それは行けばわかるよ」
日向の隣に座る柚佑が貼り付けた笑顔を見せた。
暫くすると、車はとある古びた倉庫の前で停まった。
「(うわぁ、やっぱりそうだよな。出来れば関わりたくなかっただけどな……。
もう、仲間は失いたくないんだよ)」
葵は小さくため息をついた。
「大丈夫? 行くよ」
柚佑は俯く葵の手をとると車を降りた。
「ねえ、朝から思ったんだけど、なんでいつも笑ってるの?」
「なんでって?」
周りに日向達を居ないことを確認した葵は柚佑に問いかけた。
柚佑は変わらず貼り付けた笑顔をしていた。
「なんで面白くもないのにそんなに笑ってるの? 初対面でこんなこと言うのも、どうかと思うけど、その笑い方あたしは好きじゃない」
「そっか……今までバレたこと無かったんだけどな」
悲しく笑う柚佑。
「まあ、あたしは思ったこと言っただけだからあんまり気にしないで」
葵はほら行くんでしょと柚佑の手を引き倉庫の中へ。
柚佑に連れて来られたのは倉庫の階段を上がった部屋の前。
「(こいつらは幹部以上ってことか)」
今までいたような場所だから説明されなくてもある程度、葵は理解していた。
彼らは恐らく、自分が前にいた場所と同じ──どこかの暴走族だと。
ドアを開けるとそこには蓮と日向の他に知らない男が2人いた。
「遅せぇよ。早く中入れ」
入口付近にいた蓮が不機嫌そうに口を開く。
「ご、ごめん……」
「蓮悪い。ちょっと話してたら遅くなった」
柚佑は葵の背中を押し、自分も中へ入る。
部屋のど真ん中には茶色いローテーブルが置かれてあり、入り口を除き、囲うようにソファーが設置されていた。
「おい、蓮そいつ誰」
「……」
あきらかに不機嫌そうに葵を睨む銀髪。
一瞬葵を視界に入れると興味無さそうにそっぽを向く金髪。
金髪は入口の対面に設置させれた1人掛けのソファーに足を大きく開き腰掛けていた。
「(綺麗……あれ、あの金髪どこかで会ったことあるような……いや、気のせいか?)」
金髪の綺麗な横顔に葵は目を奪われた。
「(綺麗な髪の毛。どうやったらあんな風に色入るんだろ)」
いや、横顔ではなく、葵は髪の毛に目を奪われていた。
0
お気に入りに追加
36
あなたにおすすめの小説

IMprevu ―予期せぬ出来事―
天野斜己
恋愛
「一杯、おごらせて頂けませんか?」女子力0のアラサー干物女に訪れた、ドラマのようなシチュエーションから始まるシンデレラストーリー。しかし彼女を誘った、見た目も家柄もパーフェクトなエリート、実は彼の裏の顔は腹黒マックロくろすけなヤンデレ男だった。
※ 言うまでもない事ではありますが、この話はあくまでフィクションであり、実在の人物、団体、店舗、建造物etcの名称が出て参りましても、それらのものとは一切関係がない事を改めて明記させて頂きます。多少の矛盾は軽く流して(笑)、あくまでも“天野の脳内ファンタジー世界”の出来事としてお楽しみ下さいマセ。

(完結)貴方から解放してくださいー私はもう疲れました(全4話)
青空一夏
恋愛
私はローワン伯爵家の一人娘クララ。私には大好きな男性がいるの。それはイーサン・ドミニク。侯爵家の子息である彼と私は相思相愛だと信じていた。
だって、私のお誕生日には私の瞳色のジャボ(今のネクタイのようなもの)をして参加してくれて、別れ際にキスまでしてくれたから。
けれど、翌日「僕の手紙を君の親友ダーシィに渡してくれないか?」と、唐突に言われた。意味がわからない。愛されていると信じていたからだ。
「なぜですか?」
「うん、実のところ私が本当に愛しているのはダーシィなんだ」
イーサン様は私の心をかき乱す。なぜ、私はこれほどにふりまわすの?
これは大好きな男性に心をかき乱された女性が悩んで・・・・・・結果、幸せになったお話しです。(元さやではない)
因果応報的ざまぁ。主人公がなにかを仕掛けるわけではありません。中世ヨーロッパ風世界で、現代的表現や機器がでてくるかもしれない異世界のお話しです。ご都合主義です。タグ修正、追加の可能性あり。


【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる