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第5話 金髪
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「ねえ、どこ行くの?」
何となく予想はついたが隣に座る蓮に問いかけてみた。
「どこでもいいだろ。前向いてろ。車酔いしても知らねぇぞ」
返ってきたのは不機嫌そうな声だった。
「大丈夫、あたし酔ったことないから。それよりこんな強引に連れてきたんだから教えてくれてもよくない?」
「俺らの溜まり場。行けばわかる」
蓮の言葉にやっぱりと確信をもった葵。
「帰ってもいい? なんであたしが行かなきゃ行けないの?」
「お前、狙われてんだよ。朝、スキンヘッド……運転席に座ってるような頭の奴にぶつかっただろ。
あ、ちなみにあいつは片桐凌(カタギリ リョウ)な」
蓮は運転席に座るスキンヘッドを指さした。
「ぶつかったけど……それが何?」
「お前は目付けられてんだよ。だから俺らが守ってやる」
言葉とは裏腹に心底嫌そうな顔をする蓮。
「え、いらないんだけど。自分の身は自分で守るから」
「葵ちゃん、女の子が1人であの学校にいるのは危険だよ。だから、僕らに守らせて?」
葵の後ろから顔を出した日向は小首を傾げ不安そうな顔を浮かべた。
「……分かった。だけど、なんでその溜まり場に行かなきゃなんないの?」
「(あーゆう顔されると断れないんだよな……)」
日向の可愛さか押しに負けた葵は守られることを決心した。
「まあ、それは行けばわかるよ」
日向の隣に座る柚佑が貼り付けた笑顔を見せた。
暫くすると、車はとある古びた倉庫の前で停まった。
「(うわぁ、やっぱりそうだよな。出来れば関わりたくなかっただけどな……。
もう、仲間は失いたくないんだよ)」
葵は小さくため息をついた。
「大丈夫? 行くよ」
柚佑は俯く葵の手をとると車を降りた。
「ねえ、朝から思ったんだけど、なんでいつも笑ってるの?」
「なんでって?」
周りに日向達を居ないことを確認した葵は柚佑に問いかけた。
柚佑は変わらず貼り付けた笑顔をしていた。
「なんで面白くもないのにそんなに笑ってるの? 初対面でこんなこと言うのも、どうかと思うけど、その笑い方あたしは好きじゃない」
「そっか……今までバレたこと無かったんだけどな」
悲しく笑う柚佑。
「まあ、あたしは思ったこと言っただけだからあんまり気にしないで」
葵はほら行くんでしょと柚佑の手を引き倉庫の中へ。
柚佑に連れて来られたのは倉庫の階段を上がった部屋の前。
「(こいつらは幹部以上ってことか)」
今までいたような場所だから説明されなくてもある程度、葵は理解していた。
彼らは恐らく、自分が前にいた場所と同じ──どこかの暴走族だと。
ドアを開けるとそこには蓮と日向の他に知らない男が2人いた。
「遅せぇよ。早く中入れ」
入口付近にいた蓮が不機嫌そうに口を開く。
「ご、ごめん……」
「蓮悪い。ちょっと話してたら遅くなった」
柚佑は葵の背中を押し、自分も中へ入る。
部屋のど真ん中には茶色いローテーブルが置かれてあり、入り口を除き、囲うようにソファーが設置されていた。
「おい、蓮そいつ誰」
「……」
あきらかに不機嫌そうに葵を睨む銀髪。
一瞬葵を視界に入れると興味無さそうにそっぽを向く金髪。
金髪は入口の対面に設置させれた1人掛けのソファーに足を大きく開き腰掛けていた。
「(綺麗……あれ、あの金髪どこかで会ったことあるような……いや、気のせいか?)」
金髪の綺麗な横顔に葵は目を奪われた。
「(綺麗な髪の毛。どうやったらあんな風に色入るんだろ)」
いや、横顔ではなく、葵は髪の毛に目を奪われていた。
何となく予想はついたが隣に座る蓮に問いかけてみた。
「どこでもいいだろ。前向いてろ。車酔いしても知らねぇぞ」
返ってきたのは不機嫌そうな声だった。
「大丈夫、あたし酔ったことないから。それよりこんな強引に連れてきたんだから教えてくれてもよくない?」
「俺らの溜まり場。行けばわかる」
蓮の言葉にやっぱりと確信をもった葵。
「帰ってもいい? なんであたしが行かなきゃ行けないの?」
「お前、狙われてんだよ。朝、スキンヘッド……運転席に座ってるような頭の奴にぶつかっただろ。
あ、ちなみにあいつは片桐凌(カタギリ リョウ)な」
蓮は運転席に座るスキンヘッドを指さした。
「ぶつかったけど……それが何?」
「お前は目付けられてんだよ。だから俺らが守ってやる」
言葉とは裏腹に心底嫌そうな顔をする蓮。
「え、いらないんだけど。自分の身は自分で守るから」
「葵ちゃん、女の子が1人であの学校にいるのは危険だよ。だから、僕らに守らせて?」
葵の後ろから顔を出した日向は小首を傾げ不安そうな顔を浮かべた。
「……分かった。だけど、なんでその溜まり場に行かなきゃなんないの?」
「(あーゆう顔されると断れないんだよな……)」
日向の可愛さか押しに負けた葵は守られることを決心した。
「まあ、それは行けばわかるよ」
日向の隣に座る柚佑が貼り付けた笑顔を見せた。
暫くすると、車はとある古びた倉庫の前で停まった。
「(うわぁ、やっぱりそうだよな。出来れば関わりたくなかっただけどな……。
もう、仲間は失いたくないんだよ)」
葵は小さくため息をついた。
「大丈夫? 行くよ」
柚佑は俯く葵の手をとると車を降りた。
「ねえ、朝から思ったんだけど、なんでいつも笑ってるの?」
「なんでって?」
周りに日向達を居ないことを確認した葵は柚佑に問いかけた。
柚佑は変わらず貼り付けた笑顔をしていた。
「なんで面白くもないのにそんなに笑ってるの? 初対面でこんなこと言うのも、どうかと思うけど、その笑い方あたしは好きじゃない」
「そっか……今までバレたこと無かったんだけどな」
悲しく笑う柚佑。
「まあ、あたしは思ったこと言っただけだからあんまり気にしないで」
葵はほら行くんでしょと柚佑の手を引き倉庫の中へ。
柚佑に連れて来られたのは倉庫の階段を上がった部屋の前。
「(こいつらは幹部以上ってことか)」
今までいたような場所だから説明されなくてもある程度、葵は理解していた。
彼らは恐らく、自分が前にいた場所と同じ──どこかの暴走族だと。
ドアを開けるとそこには蓮と日向の他に知らない男が2人いた。
「遅せぇよ。早く中入れ」
入口付近にいた蓮が不機嫌そうに口を開く。
「ご、ごめん……」
「蓮悪い。ちょっと話してたら遅くなった」
柚佑は葵の背中を押し、自分も中へ入る。
部屋のど真ん中には茶色いローテーブルが置かれてあり、入り口を除き、囲うようにソファーが設置されていた。
「おい、蓮そいつ誰」
「……」
あきらかに不機嫌そうに葵を睨む銀髪。
一瞬葵を視界に入れると興味無さそうにそっぽを向く金髪。
金髪は入口の対面に設置させれた1人掛けのソファーに足を大きく開き腰掛けていた。
「(綺麗……あれ、あの金髪どこかで会ったことあるような……いや、気のせいか?)」
金髪の綺麗な横顔に葵は目を奪われた。
「(綺麗な髪の毛。どうやったらあんな風に色入るんだろ)」
いや、横顔ではなく、葵は髪の毛に目を奪われていた。
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