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本編
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異世界事業部でサインをもらって部屋を出ると、向こうから満面の笑顔のアルさんが走ってきた。
「ルカッ!」
「アルさん?」
___ザワッ…___
大柄なイケメンが満面の笑顔で全力疾走…みんな驚いてアルさんを見てる。
何だろ…大型犬に見えるのは気のせいかな?
セントバーナード…いや、そんなずんぐりむっくりじゃないよね。
シェパードかな?
「ハァ…ハァ…ルカ…」
「どうしたの、何かあった?」
「いや、さっき書類をゼスに届けたらリュカが俺のサポートをしてくれるって聞いて…」
「うん、そんなんだよ…ゴホンッ!短い間ではございますが、お手伝いさせて頂きます。」
冗談で畏まってお辞儀をすると…
「…そうか…」
あれ、顔が曇った?
「あ……やっぱり俺みたいな力のない人間のサポートだと心許ないよね。」
「いやっ…違うんだっ!その…」
アルさんがバツの悪そうな顔をして言った。
「…短い間…だったんだな…と…」
___キュンッ___
あれ?
…何?今のキュン??
胸がキュッ…って、なった?
「体調を崩した天使と交代かと…いや…そうだな、ルカをゼスが離す訳がないな。」
段々と声が尻つぼみになって聞こえ辛くて分からないけど、交代と勘違いして落ち込んだのかな?
まぁ、気を使わない相手と仕事は楽しいもんね。
「アルさんのサポート、短い間けど俺…とても楽しみなんだよ。色々、教えてね。それに折角の地上界勤務だし、また生きている時みたいにネル姉さんのお店でお話そうよ♪」
「…そうだな。」
アルさん、少し元気になったかな?
「じゃあ、家は俺の家を使えば良い。サポートなんだから近い方がすぐに聞けて良いだろう?」
「え?確かお休みの天使が使っていてた家が…」
「いや、俺が心配なんだ。部屋も空いているし、是非使ってくれ。」
アルさん、グイグイくるなぁ。
寂しいのかな?
「う~ん…じゃあ…」
「良い訳ないだろう。」
「あ、ゼスさん。」
俺が流されそうになった所に後ろからゼスさんの声がして、アルさんが険しい顔でゼスさんに詰め寄った。
「何でだ。」
「『何でだ』…じゃないだろう?お前、最近自覚してきただろ。」
「何の事だ?俺はただリュカと少しでも一緒に過ごしたいだけだ。」
「…ハァ…コイツは…」
今にも取っ組み合いのケンカが起こりそうな雰囲気にのまれて周りにいた天使達は早々に避難し、廊下には俺達だけとなった。
「ルカ。」
「はい。」
「コイツは安全に見えるが…ヘミーと違って人間で言えば男なんだぞ?」
「はい、俺と同じ男の人ですね。」
見ても分かるほどガッシリしてるし、声低いし。
「…コイツもか。いや、俺の聞き方も悪かったが…何と言えば良いのやら。」
「ゼスさん?」
「いや…何でもない。」
そう言うと、ゼスさんは眉間に指を当てて、難しい顔をした時、どこからかネル姉さんの声がした。
「ハイハ~イ♪貴方の救世主、ネルが来たわよ~。この無自覚大天使と無自覚坊やは私に任せてちょうだ~い♡」
「何を任せるんだ?」
「ハイハイ、そこの無自覚大天使は黙ってなさい。アンタは後から勉強会よ。ルカ、アンタは私の所で泊まりなさい。」
「え?」
「え゛っ⁉」
「そうだな。」
「元の場所へ戻るとはいえ、久し振りの地上界でしょ?年数も経ってるし街の景色も微妙に変わってるわ。それに、私なら貴方の寝る場所の提供だけじゃなく、食事の用意も出来るし何なら洗濯もしてあげるわよ。」
「いや…洗濯はさすがに…」
「洗濯は元々しないだろう。」
「イヤねぇ、ものの例えよ。」
「ネル姉さんのお店はまだカフェなの?」
「えぇ、夜はお酒も出すからバーにしてるけどね。今はビル丸ごと買ったから、生活は上の階だしバルコニーも広げてるから景色もゆったりと堪能出来るわよ。」
「景色、良いかも。」
広いバルコニーに腰掛けて、ビール片手に星空観察。お月見も良いな。
「ルカ、俺の家もバルコニーは広いだろ?」
うん、確かに広い。
多分、真夜中とかにバルコニーから飛んだり出来るようになんだろうけど。
「アンタはアンタの仕事があるでしょ?」
「ルカは俺のサポートだ。行動も同じだから問題はない。」
「…な、訳ないでしょ?調査やお使いもあるのに。だから、似た仕事の私がルカのサポートもするって、言ってんの。」
あ、そうか。
なら…
「俺、ネル姉さんと一緒が良いかも。」
「…ルカ…」
「あっ!アルさんがイヤって訳じゃないんだよっ!」
俺がしょげてるアルさんのフォローをしていると、ネル姉さんが溜め息を付いて提案した。
「じゃあ、アンタもルカが地上界にいる間は私の家に来なさいよ。」
「…っ…良いのか⁉」
「そんな、あからさまに嬉しそうな顔されたら冗談でした☆とか、言えないでしょっ。もぅ、こうなったらドンと来いよ。ネル姉さんに任せなさい!」
今は天使の格好で、白いスーツにローブを羽織ってるけど…ここに来る前を思い出す。
「フフッ。」
「どうしたの、ルカ?」
「ん、何かこういうの…久し振りだなって。」
「そうね、アンタがここに来る前はこんな感じだったわね。私は今の姿じゃないけど。」
「あ、そう言えば…今はどんな格好なの?」
「あぁ…今はねぇ…」
___ボゥ…ン!___
「わぁ……綺麗…」
「声は一緒なのよねぇ。」
目の前にいるのは前より更にファビュラス度を増したオネェ様がいた。
地上にいても女神とか言われてそう。
「フフッ、でも何かこっちの方が『ネル姉さん』って、感じでしっくり来るね。」
「そう?」
「では、ルカの事はネルに任せよう。あと…この無自覚な問題児をこれを機会に自覚させとけ。」
「出来たらね。じゃあ、ルカ。私は準備があるから先に戻るわ。また地上界でね。」
「うん。」
「俺も、準備する。またな、ルカ。」
「うん、アルさん。」
2人は地上界へと戻り、俺は地上界への出張手続き後に地上界へと行く事にした。
「ルカッ!」
「アルさん?」
___ザワッ…___
大柄なイケメンが満面の笑顔で全力疾走…みんな驚いてアルさんを見てる。
何だろ…大型犬に見えるのは気のせいかな?
セントバーナード…いや、そんなずんぐりむっくりじゃないよね。
シェパードかな?
「ハァ…ハァ…ルカ…」
「どうしたの、何かあった?」
「いや、さっき書類をゼスに届けたらリュカが俺のサポートをしてくれるって聞いて…」
「うん、そんなんだよ…ゴホンッ!短い間ではございますが、お手伝いさせて頂きます。」
冗談で畏まってお辞儀をすると…
「…そうか…」
あれ、顔が曇った?
「あ……やっぱり俺みたいな力のない人間のサポートだと心許ないよね。」
「いやっ…違うんだっ!その…」
アルさんがバツの悪そうな顔をして言った。
「…短い間…だったんだな…と…」
___キュンッ___
あれ?
…何?今のキュン??
胸がキュッ…って、なった?
「体調を崩した天使と交代かと…いや…そうだな、ルカをゼスが離す訳がないな。」
段々と声が尻つぼみになって聞こえ辛くて分からないけど、交代と勘違いして落ち込んだのかな?
まぁ、気を使わない相手と仕事は楽しいもんね。
「アルさんのサポート、短い間けど俺…とても楽しみなんだよ。色々、教えてね。それに折角の地上界勤務だし、また生きている時みたいにネル姉さんのお店でお話そうよ♪」
「…そうだな。」
アルさん、少し元気になったかな?
「じゃあ、家は俺の家を使えば良い。サポートなんだから近い方がすぐに聞けて良いだろう?」
「え?確かお休みの天使が使っていてた家が…」
「いや、俺が心配なんだ。部屋も空いているし、是非使ってくれ。」
アルさん、グイグイくるなぁ。
寂しいのかな?
「う~ん…じゃあ…」
「良い訳ないだろう。」
「あ、ゼスさん。」
俺が流されそうになった所に後ろからゼスさんの声がして、アルさんが険しい顔でゼスさんに詰め寄った。
「何でだ。」
「『何でだ』…じゃないだろう?お前、最近自覚してきただろ。」
「何の事だ?俺はただリュカと少しでも一緒に過ごしたいだけだ。」
「…ハァ…コイツは…」
今にも取っ組み合いのケンカが起こりそうな雰囲気にのまれて周りにいた天使達は早々に避難し、廊下には俺達だけとなった。
「ルカ。」
「はい。」
「コイツは安全に見えるが…ヘミーと違って人間で言えば男なんだぞ?」
「はい、俺と同じ男の人ですね。」
見ても分かるほどガッシリしてるし、声低いし。
「…コイツもか。いや、俺の聞き方も悪かったが…何と言えば良いのやら。」
「ゼスさん?」
「いや…何でもない。」
そう言うと、ゼスさんは眉間に指を当てて、難しい顔をした時、どこからかネル姉さんの声がした。
「ハイハ~イ♪貴方の救世主、ネルが来たわよ~。この無自覚大天使と無自覚坊やは私に任せてちょうだ~い♡」
「何を任せるんだ?」
「ハイハイ、そこの無自覚大天使は黙ってなさい。アンタは後から勉強会よ。ルカ、アンタは私の所で泊まりなさい。」
「え?」
「え゛っ⁉」
「そうだな。」
「元の場所へ戻るとはいえ、久し振りの地上界でしょ?年数も経ってるし街の景色も微妙に変わってるわ。それに、私なら貴方の寝る場所の提供だけじゃなく、食事の用意も出来るし何なら洗濯もしてあげるわよ。」
「いや…洗濯はさすがに…」
「洗濯は元々しないだろう。」
「イヤねぇ、ものの例えよ。」
「ネル姉さんのお店はまだカフェなの?」
「えぇ、夜はお酒も出すからバーにしてるけどね。今はビル丸ごと買ったから、生活は上の階だしバルコニーも広げてるから景色もゆったりと堪能出来るわよ。」
「景色、良いかも。」
広いバルコニーに腰掛けて、ビール片手に星空観察。お月見も良いな。
「ルカ、俺の家もバルコニーは広いだろ?」
うん、確かに広い。
多分、真夜中とかにバルコニーから飛んだり出来るようになんだろうけど。
「アンタはアンタの仕事があるでしょ?」
「ルカは俺のサポートだ。行動も同じだから問題はない。」
「…な、訳ないでしょ?調査やお使いもあるのに。だから、似た仕事の私がルカのサポートもするって、言ってんの。」
あ、そうか。
なら…
「俺、ネル姉さんと一緒が良いかも。」
「…ルカ…」
「あっ!アルさんがイヤって訳じゃないんだよっ!」
俺がしょげてるアルさんのフォローをしていると、ネル姉さんが溜め息を付いて提案した。
「じゃあ、アンタもルカが地上界にいる間は私の家に来なさいよ。」
「…っ…良いのか⁉」
「そんな、あからさまに嬉しそうな顔されたら冗談でした☆とか、言えないでしょっ。もぅ、こうなったらドンと来いよ。ネル姉さんに任せなさい!」
今は天使の格好で、白いスーツにローブを羽織ってるけど…ここに来る前を思い出す。
「フフッ。」
「どうしたの、ルカ?」
「ん、何かこういうの…久し振りだなって。」
「そうね、アンタがここに来る前はこんな感じだったわね。私は今の姿じゃないけど。」
「あ、そう言えば…今はどんな格好なの?」
「あぁ…今はねぇ…」
___ボゥ…ン!___
「わぁ……綺麗…」
「声は一緒なのよねぇ。」
目の前にいるのは前より更にファビュラス度を増したオネェ様がいた。
地上にいても女神とか言われてそう。
「フフッ、でも何かこっちの方が『ネル姉さん』って、感じでしっくり来るね。」
「そう?」
「では、ルカの事はネルに任せよう。あと…この無自覚な問題児をこれを機会に自覚させとけ。」
「出来たらね。じゃあ、ルカ。私は準備があるから先に戻るわ。また地上界でね。」
「うん。」
「俺も、準備する。またな、ルカ。」
「うん、アルさん。」
2人は地上界へと戻り、俺は地上界への出張手続き後に地上界へと行く事にした。
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