【お休み中】長年の片思いを成就させたけど、僕は受だと言われました。〜召喚した聖女のスマホで勉強します〜

mana.

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僕がユーリの部屋で抱き潰されている間、ユニはずっとハナ様に求愛しているらしいが全く届いていない。
あの日のユニが唱えたシールドと僕の魔力の暴走は相性が悪かったらしく、ユニと魔術師のみんなで検証をしてくれている。
3日間ユーリに抱かれて僕はとうとう観念する事にした。
今日はハナ様にその報告にやって来た。

___コンコン___

「はいっ…ユニッ…離れて……もぅっ…どうぞ!」

ハナ様の部屋のドアを開けるとユニがハナ様のそばにいて後ろから抱き付き、その横ではニールが引き剥がそうと頑張っている。
横のダニーは…諦めてるな。

「ユニ、ハナ様が嫌がってます。」

「これはフリだろ?」

「いや、フリじゃないですから。」

「お前っ、ハナ様は聖女なんだぞっ!」

「一応じゃなくて確実に聖女なんですけどぉっ?」

「…ユニ、いい加減仕事にならないんでそろそろ離れてもらえますか?」

ニールの言葉にユニは全く気にしないでハナ様にをしつこくアプローチしていたけど、ダニーの表情を見て渋々と離れた。
うん、ダニーが本気で怒ったら僕でも怖いもん。よく分かるよ。

「フィル、どうしたの?」

「ハナ様、新しい本を借りても良いですか?」

あんなに対抗しても全く歯が立たなかったし。
新しい攻め方をもう少し参考にした方が良いと思うんだよね。

「確かにユーリには攻もありだったけど、どう見ても今のフィルは受じゃない。いい加減認めなさいよ。」

「そうだよな、ハナ…お前も早く俺を認め…ムグッ。」

後ろからユニがハナ様を抱き締めて囁こうとしたが、ハナ様の手がユニの顔を鷲掴みして口を塞いだ。

「認めないから。」

「思ったより長いよな。」
「無駄な足掻きだよね。」

「言いたい事はそれだけかな?」

___ヒュオ…___

「わっ!」
「シー…ん?」

___ゾクンッ___

「んっ。」

魔力が身体を巡り暴走する直前、僕の身体に熱が帯びて敏感に反応して止まった。

「…出ないわね。」

「フィル、大丈夫か?」

「…え…?」

少しゾワゾワする。
この感じ…ちょっとヤバい。

「お前、交わる時に項を噛まれてないのか?」

ユニが不思議そうに僕に聞いた。

「交わる⁉」
「交わ…」
「交わるって何だ?」
「ニール、今は黙ってて。」

「狼の求愛に首や顔を噛む事があるだろ?狼の獣人はその名残で項を噛む時があるんだが…」

そういえば、最近特に盛り上がった時によく耳を攻められるとは思ってたけど。
狼の獣人は求婚の際に項を噛む事で相手との魔力を融合して高め合い、愛が深ければ深い程強い魔力がお互いに宿るという。
ユーリは騎士だけど、魔力ってあったかなぁ…
そんな事を初めて聞いたけど、要はユーリと項を噛んでもらってお互いの魔力を融合させて身体に馴染ませたら僕の魔力の暴走が落ち着くという事か。

「今の暴走はユーリとの中途半端な交わりもあるんだと思う。面倒臭えからとっとと項噛んでもらってこい。」

「でもそれって…」

「プロポーズされて来いってこと?」
「いや、いっそしてみる?攻っぽく!」
「攻めっぽく⁉何それ絶対見に行くっ!」

いやいやいや、何言ってるのかな⁉ぼぼぼ…僕が言うの⁉

「その可愛い顔で言ったら速攻噛んでくれるんじゃないのか?…あぁ、ハナ…お前の愛らしさには負けるけどな。」

僕を愛らしいと話した後、ハナ様の髪を一房手に取りキスをした。
同じ『愛らしい』と言う言葉なのに、ハナ様を見ながら紬ぐ言葉は何でこんなに甘いんだろう…そして…

___ペシッ___

「はいはい、フィルが可愛いのは激しく同意するけど私に関しては拒否するわ。」

何でハナ様はこんなに酷い対応なんだろう?

「フフッ…それもまたそそられるな。」

ユニも挫けないな。

「どう、そそられた⁉」

それは僕も思う。

「でも、ユニの言う通りならフィルの魔力の暴走はユーリとエッチの最中に項を…」

「ハナ様?」

プルプルと震え出したかと思ったハナ様が目を輝かせて言った。

「それって、オメガとアルファじゃないっ♡」 

「それって、この前スマホでオススメだと見せてくれたやつですか?」

「そうそう。」

ニール、僕より知ってるじゃん。
確か男性体でもオメガなら子どもを産めるんだっけ?
この世界は同性カップルはいても子どもは産めないもんなぁ…でも、ユーリの子ども…

「ユニ、アンタの力でフィルを妊娠できる身体にする事は出来ないの?」

「出来たらどうする?」

「出来るの⁉」

「もぅっ、冗談はそこまでにして下さいっ!」

ユーリとの子どもが出来たら可愛いけど、アルファとオメガの話は物語での出来事

僕らの世界ではそれを望めない。

「出来るぞ。」

「やっぱり♪」

「えぇ⁉」

アッサリ答えてるけど、どんな祝福とか与えるんだよ。

「フローディアがいるじゃないか。女神の祝福があればいけるだろ。」

「きゃあっ、それなら問題ないじゃない!」

「いや、問題は産む側の覚悟と勇気がいるだろ?いくら祝福を与えても男性体から産まれるのは子にも本人にも負担はデカイだろ。」

「…あ…」

「確かにね。今まで祝福された男性体の出産は聞いた事がない。好奇の目にも合うだろうし、個人差もあるとは思うけど前例が無いからかなりの不安要素が高い。」

「魔導師団の師団長にも相談した方が良いし、フィルは将来性もあるから色々と調整もいるんじゃないか?」

「え…っ…ちょっと、話が飛び過ぎだよ。」

ダニーとニールが冷静に色々と考えてくれてるけど、僕はまだ求婚すらしてないのにそこまで考えられないよ。

「ゴメン、私が先走っちゃったわね。」

「いえ。」

「まぁ、一応妊娠出来るのは出来るぞ。そしてハナ……俺もお前との子どもが欲しい。」

「うん、ノーサンキューだわ。」

「酷いな。」

「酷いですね。」
「確かに酷いッスね。嫁に行けないッスよ。」

「煩いわねっ、私はいいって言ってんでしょ!」

「まずはユーリに項を噛んでもらう事だな。」

ユーリに項を噛んでもらう…

「求婚…」

カァ…

あの3日間が蘇る。
最後はあんなにも求めてしまった。
項を噛まれる事を想像すると、更に身体が熱くなる。
そうだよね…認めるよ。僕は受なんだ。
そうと認めたら、ユーリにどう噛んでもらえるか考えなきゃ。

「僕、ユーリに求婚する。」

僕はハナ様達に意を決して告白すると、ハナ様が大興奮し『衣装と場所はこちらで用意するから任せて!』と、言われて数日後…豪華な研究室と寝室がある部屋を与えられ、護衛にユーリという…お膳立てで数日部屋で過ごす事となった。
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