上 下
37 / 43

36☆

しおりを挟む
「じゃあ、おやすみ。」

「おやすみっス、また明日。」

「今日は眠れるかしら…」

「ハナ様のテントには良く眠れるように防音魔法を掛けてますので、いらない妄想せずに寝て下さいね。」

「分かってるわよっ。」

「安全は確保されてますが、念のため朝まで外に出ないで下さいね。」

「…はぁい。」

お休みの挨拶を済ませて僕らはそれぞれのテントへと入っていき、寝袋を整えてユーリの匂いのするブランケットを抱き枕代わりに胸に抱くと、外から声がかすかに聞こえて来た。

「…っ…ん…」

…ん、この声…

「ニー…やっ…聞こぇちゃ…ぁんっ…」

二ィィルッ‼︎

「大…丈夫…フィルはどうせ…寝てる…んっ。」

訳がないだろぉっ!

___ヒュ…___

あ。

___フワッ…___

魔力が暴走しそうになった瞬間、ユーリのブランケットから香りがして落ち着かせてくれた。でも…どうしよう…

___ズクンッ…___

ユーリ…会いたい…
僕はバッグへと手を伸ばし、研究中の魔道具を取り出した。


___.。.:*・゚*.:*・゚ *🎵*.。.:*・゚*.:*・゚___


『どうした、フィル?』

「ユー…っ…」

ハナ様のスマホには通信機能があると聞いて、こっそりとユーリとの通信出来る魔術具を作ってみた。
姿が見えないけど、声だけで下半身に熱が籠る。

『眠れないのか?』

「うん…ちょっと…っ…」

ダニーの甘い声がテントに聞こえ、ユーリが察してくれた。

『…クスクス…あぁ、そういう事か。フィル…どうしたい?』

「どうしたいって…」

恥ずかしくて言えないよ。
モゾモゾとしながら少し黙っていると、ユーリが囁く。

『フィル…手を中に入れて。』

「…ん…」

僕はゆっくりと下半身へと手を伸ばした。

___クチュ___

下着の中へ手を伸ばすと、既に先走りの出ているそれは音を立てて喜びを表し、ブランケットを鼻へ寄せて思い切り息を吸うと、胸が熱くなる。

「ぁっ…っ…そう…だ…」

…音が漏れちゃう…
僕は再びカバンから魔術具を取り出して持ってきていた防音魔法を掛けた。
1時間ほどの効果だけど、今の自分のは十分だ。
ユニコーンの対策に多めに持って来て良かった。

「…ハァ…ぁっ…」

___ピクンッ___

『フィル…可愛い…いつも俺がしてるみたいにしてみて。』

___ヌルッ___

「あっ…」

先っぽを指で撫でて…

「んんっ」

そのまま包み込んで扱いてくれたっけ…

「あっんっ。」

___クチュ…クチュ…___

『フィル、気持ち良い?』

…うん、気持ち良い…良いけど…物足りない。

『クスクス、後ろ…ヒクついてるだろ?』

ここに来る前日に言われた言葉が蘇る。
攻めたくて何度も挑戦したのに、結局ユーリに負けたんだっけ。
恐る恐る後ろを触るとピクリとヒダがヒクついて僕の指を誘ってるみたいだ。

『そこ、指…入れて?』

___ヌプッ___

「んんっ。」

1本入れてみると、嬉しそうに奥まで入って行った。
でも、ユーリの指と違って僕の指じゃ物足りない。
結局ユーリの言葉のままに3本も指を入れてしまった。

「あぁっ……あんっ…」

『良い子だ。俺も…』

___クチュクチュ___

向こうでもユーリのあの硬くて熱い陰茎を扱く音がする。
魔術具を耳の側に置いているせいか、すぐ側で扱かれているかのように身体が反応していった。

『フィル……ん…俺を…受け入れて。』

___キュウッ!___

「んぅっ!」

耳元で囁かれて僕は軽くイッてしまった。

『少しイッたかな?まだ俺はイッてないぞ?…ほら、足を開いて。』

「やだ…恥ずかしいよ…」

『大丈夫、俺しか見てないだろ?』

「…んんっ…」

おずおずと足を開き、僕は腰を少し上げた。

『フィル、一緒にイこうな…』

___クチュ…クチュ…___

ゆっくりと耳元でユーリの陰茎を扱くいやらしい音と共に後孔に入っている自分の指を深く出し入れし始めると、まるでユーリに抱かれているような感覚に襲われる。
きっと抱き締めていたブランケットの匂いのせいだ。

『フィル…もっと…深く…』

「あ…んぅっ…い…ぃ…っ…もっ…と…」

___クチュクチュクチュクチュ___

『フィ…ル、良い…』

「僕…も…っ…」

耳元に響く音が僕の音と重なり、まるで実際に抱かれている感覚に襲われて…

『「……っ…!」』

___ビュルッ!___

「……ハァ…」

『フィル…愛してる…』

「…僕も…」

『キスしたいのに…側にいないのがこんなに辛いとはな…』

「うん…僕も…」

声だけなんて我慢出来ないよ…

『帰ったら、長期休暇取っておけよ。俺も取るから。』

「それって…」

「1日中お前を愛したいから。』

___ズクンッ___

「ユーリッ。」

『クスクス、我慢出来なくなったか?でも、明日に備えてそろそろ寝なきゃな。』

「ユーリもだよね。」

『俺は大丈夫だ。』

その後少し話をするつもりが明け方まで話をしてしまい、早朝に起きて準備をしようと話していたのだけど…


___チチチチ…___


___ガバッ!___


しまった!寝過ごしたっ‼︎
慌てて着替えてテントの外に出たら誰もいない。
あれ、川に行って…

「おはよ!ゴメンッ、寝過ごした‼︎」

目を擦りながら慌ててハナ様がテントから出てきて…

___バタバタッ___

「おおおおはようッス!」
「申し訳ございません、寝過ごしましたっ。」

髪がボサボサのニールと明らかに昨日の情事で色気を増したダニーが慌ててテントから飛び出してきた。

「…ハナ様、昨日BL本読んでましたね。」

「フッ…BL漫画は本だけではないのだよ。」

キラリとスマホとバッテリーを取り出した。

「自慢出来る事ですか。」

「そっちだって、ダニーは何でニールのテントか……っ…ハッ!」

「おおおお俺、寝ぼけちゃってぇ~!」

___ゴスッ!___

「ハウッ!」

ダニーの重い肘打ちにニールが崩れ落ちていく。
バレバレだ、ニール。

「いやぁんっ!すぐそばで生BLを見逃したぁっ!」

「取り敢えず、朝ご飯にしましょうか。」

良かった…僕はバレてないよね…
昨日は本当に……ハッ!また僕受じゃんっ!
何当たり前の様に後ろに指入れちゃったかな?

…でも…

『フィル……そぅっ…もっと奥に入れて…声聞かせて…』

うんうん、あの声だけなら僕も攻だよね。

___ズク…___

いけない、後ろがまた感じてしまう。
僕は何事もなかったように振る舞って昨日のダッチオーブンの中にあるミネストローネを温めようとしたら、ダニーがこっそりと耳元で囁いた。

「フィル、昨日はユーリとだったみたいだね。その魔道具、帰ったら報告よろしくね♡」

どうやら防音の魔術具は改良が必要のようだ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜

飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。 でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。 しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。 秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。 美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。 秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。

新しい道を歩み始めた貴方へ

mahiro
BL
今から14年前、関係を秘密にしていた恋人が俺の存在を忘れた。 そのことにショックを受けたが、彼の家族や友人たちが集まりかけている中で、いつまでもその場に居座り続けるわけにはいかず去ることにした。 その後、恋人は訳あってその地を離れることとなり、俺のことを忘れたまま去って行った。 あれから恋人とは一度も会っておらず、月日が経っていた。 あるとき、いつものように仕事場に向かっているといきなり真上に明るい光が降ってきて……?

ゆい
BL
涙が落ちる。 涙は彼に届くことはない。 彼を想うことは、これでやめよう。 何をどうしても、彼の気持ちは僕に向くことはない。 僕は、その場から音を立てずに立ち去った。 僕はアシェル=オルスト。 侯爵家の嫡男として生まれ、10歳の時にエドガー=ハルミトンと婚約した。 彼には、他に愛する人がいた。 世界観は、【夜空と暁と】と同じです。 アルサス達がでます。 【夜空と暁と】を知らなくても、これだけで読めます。 随時更新です。

婚約破棄署名したらどうでも良くなった僕の話

黄金 
BL
婚約破棄を言い渡され、署名をしたら前世を思い出した。 恋も恋愛もどうでもいい。 そう考えたノジュエール・セディエルトは、騎士団で魔法使いとして生きていくことにする。 二万字程度の短い話です。 6話完結。+おまけフィーリオルのを1話追加します。

【完結】運命さんこんにちは、さようなら

ハリネズミ
BL
Ωである神楽 咲(かぐら さき)は『運命』と出会ったが、知らない間に番になっていたのは別の人物、影山 燐(かげやま りん)だった。 とある誤解から思うように優しくできない燐と、番=家族だと考え、家族が欲しかったことから簡単に受け入れてしまったマイペースな咲とのちぐはぐでピュアなラブストーリー。 ========== 完結しました。ありがとうございました。

婚約者は俺にだけ冷たい

円みやび
BL
藍沢奏多は王子様と噂されるほどのイケメン。 そんなイケメンの婚約者である古川優一は日々の奏多の行動に傷つきながらも文句を言えずにいた。 それでも過去の思い出から奏多との別れを決意できない優一。 しかし、奏多とΩの絡みを見てしまい全てを終わらせることを決める。 ザマァ系を期待している方にはご期待に沿えないかもしれません。 前半は受け君がだいぶ不憫です。 他との絡みが少しだけあります。 あまりキツイ言葉でコメントするのはやめて欲しいです。 ただの素人の小説です。 ご容赦ください。

王子の宝剣

円玉
BL
剣道男子の大輔はあるとき異世界に召喚されたものの、彼がそこに召喚されたこと自体が手違いだった。 異世界人達が召喚したかったのはそもそもヒトでは無かった。 「自分なんかが出てきちゃってすんません」と思って居たが、召喚の儀式の中心人物だったエレオノール王子は逆に彼を巻き込んでしまったことに責任を感じて・・・ 1話目の最初の方、表現はザックリ目ですが男女の濡れ場が有りますので、お嫌いな方は避けてください。   主に攻め視点。攻め視点話の率が少なめに感じたので自力供給する事にしました。 攻めは最初性の知識がほとんどありません。でもきっと立派にやり遂げます。 作者は基本甘々およびスパダリ、そしてちょっと残念な子が好きです。 色々と初心者です。 R-18にしてありますが、どのレベルからがR-15なのか、どこからがR-18なのか、いまいちよくわかってないのですが、一応それかなと思ったら表示入れておきます。 あと、バトル描写の部分で、もしかすると人によってはグロいと感じる人が居るかも知れません。血とか内臓とか欠損とか苦手な方はご注意ください。魔獣なら大丈夫だけど対人間だと苦手だという方もご注意ください。ただ、作者自身は結構マイルドな表現にしているつもりではあります。 更新は不定期です。本業が忙しくなると暫くあいだがあいてしまいます。 一話一話が文字数多くてスミマセン。スマホだと大変かと思いますがこれが作者のペースなもんで。

俺の彼氏は俺の親友の事が好きらしい

15
BL
「だから、もういいよ」 俺とお前の約束。

処理中です...