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【番外編】___お気に入り300登録記念___
4 【お気に入り300登録記念】 結婚式
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今日は身内だけの結婚式。
……色々あった……
新郎達はもう中の祭壇の前にいると言っていたけど……悠…あのたん瘤…引っ込んだんだろうか…
今回、俺達をエスコートするのは佐奈田さんだ。
さっきの形相は全く感じさせず、執事らしくキリッとしてい……ないなぁ……
「……佐奈田…さん…?」
「にぃに…」
「え?」
「俺の事…蒼にぃに…って、呼んでくれへんか?俺もお前達の事は呼び捨てにするし…あ、蒼兄ぃでも良い。」
「え?俺もなの?」
尚弥がキョトンとしていた。
「ゴメン…俺の勝手な思いやけど…お前らはこれから花屋敷の人間になる。尚弥は姓は違っても花屋敷の仕事をしていく人間や。それに……あの2人に振り回されるお前達を守っている内に…どうしてもな……情が湧くっちゅーか……アカンか?」
「…いや…家族みたいに思われるのは…俺は嬉しいけど…」
「俺もっ…嬉しいですっ……でも…」
「「にぃには…ちょっと…」」
「えっ、マジで⁉アカンの?」
そう言った佐奈田さんの顔が…ちょっと可愛かった。
さっき控室で悠に咄嗟に「にぃに」って、言われて思い出したのかな?
「フフッ…じゃぁ…慣れてきたら…その内に…」
「そうだね。俺も……」
「そうか、じゃぁ…楽しみにしてるわ。」
そう言うと、佐奈田さんはいつもの仕事の顔に戻った。
___ギィィィィ……___
先頭に佐奈田さんが立って俺達を誘導してくれる。
参列席には俺達の友達、仲良くしてくれた食堂の人や学園関係者、サポート業務の人達。
おぉ…初めて見た…影の人達もだ。
あと、尚弥のご両親が大きな式で息子と話すのを躊躇するかもと、隼人の計らいで招待していた。
今回招待した人達には俺が異世界から悠に召喚された事を話している。
みんな凄く驚いていたけど…何か納得されていた部分もあったり…順応が高いよな。
祭壇の前には悠斗と隼人が待っている。
……フフッ…悠斗…どうにかたん瘤小さくしたな…あれ……隼人も?
「……フフッ…実は…隼人も佐奈田さんに怒られたんだ。」
こそっと、尚弥が教えてくれた。
………本っっっ当に、この世界の攻ってこうなのかなぁっっ⁉
俺達は祭壇の前に到着した時、同時に2人が固まる。
ん?佐奈田さん、何かした?
そして…俺達はそれぞれの差し出す手を取った。
俺達は俺の世界でもある「人前式」をする事にした。
まぁ、宗教に関係なく皆の前で「私達結婚するの。誓いを聞いてね。」みたいな感じだ。
神父や牧師、神主が前にいて誓いや祝詞を上げる訳ではない。
進行役は佐奈田さんが受け持つ。
「では…今回は…悠斗と隼人に言わせたら何を言うか分からないので…それは厳かな式に取っておきます。今日は身内だけのお式です。緊張する尚弥と秋良…練習がてら言って下さい。」
尚弥のご両親には隼人からどれだけ尚弥を愛しているかを結婚の挨拶で熱く語っていたそうで、佐奈田さんの提案も快く受けていたそうだ。
「…俺達は…今日の事を話した時…ほぼ同じ考えでした。」
「ですので…同じ言葉になるかもしれません。」
俺達は皆の前でそう切り出した。
「……隼人…俺ね、前に秋良から借りた本の中で…ある言葉が印象に残ったんだ。」
尚弥が隼人の両手を握って見詰め合う。
「人間が人を忘れて行く時…最初に『声』を忘れて…最後は『香り』なんだって…フフッ…それを読んだ時にね…あぁ…なんて素敵なんだろう…って、思ったんだ。隼人…俺ね、隼人のそのバラの香り…愛してる。何があっても…その香りを忘れる事は無いんだって思ったら安心しちゃった…俺は…隼人と死を分かつとも…ずっと…愛する事を誓うよ……」
「……尚……」
「次は…秋良。」
俺は悠の両手を握り、向き合った。
「ちょっと俺は違うんだけどさ……俺はね…ゲームで悠を知って…悠の『声』に惹かれたんだと思う。人間は人を忘れる時、声から忘れていく。悠に抱き締められた時に仄かに香る金木犀の香り…俺は大好きだよ。でも……俺は頑張って声を覚えている事を誓うよ。あと『香り』もだけど、最後の方に覚えているのは『味覚』なんだって。これから一緒にたくさんの美味しいもの食べて、思い出を作っていきたい。」
「……フフッ…秋良らしい言葉だね。」
スッ、と…悠が俺の耳元へ顔を寄せた。
「じゃあ…その『味覚』……食べ物じゃなく…秋良自身の味も…俺は最期まで覚える事を誓うよ…♡」
___ボッ!!!___
「なっ⁉」
「ひゃっ!!」
「お前らっ!!」
俺が耳元で囁かれていた時に、尚弥もどうやら隼人に囁かれていたようだ。
佐奈田さんが2人に注意していた。
「……ゴホッ…では……指輪の交換を……」
佐奈田さんがそう言うと、でこ姉が指輪を持った2人のスタッフを引き連れてやってきた。
「みんな、今日はご結婚…おめでとう♡これは、私達お姉ちゃんお兄ちゃん達からの贈り物よ♪またそれぞれの結婚式には、悠斗と隼人くんがそれぞれが買ったのを貰ってね♡」
でこ姉・勝利兄ぃ・佐奈田さん……あと、理事長?
そのせいか…この指輪……いくらだ………怖くて震える…
「フフッ、大丈夫だよ。」
悠が俺の緊張を感じてフォローする。
俺はプルプル震えながらもどうにかはめる事が出来た。
シンプルなプラチナリングにダイヤがはめ込まれている。
「…誓いのキスを………ボソッ…」
佐奈田さんが2人の耳に囁くと2人は一瞬固まる。
そのせいか、誓いのキスも何事もなく終わって俺達は聖堂の外に出た。
「さぁ、ブーケトスを。」
俺と尚弥は後ろを向いて参列者に向かって花束を投げる。
「わぁっ!」
___ザァァァァ___
前を向いて確認すると……尚弥が投げた1つは、でこ姉が受け取っていた。
俺のは………
「………っ!」
風で上手く飛ばなかったのか……すぐ近くにいた佐奈田さんが受け取っていた。
「……ぁ…これは………」
ダラダラと佐奈田さんが変な汗をかいてる気がする。
「良いんじゃないの?」
「悠斗……」
「その花束をもらったんだし、次は…佐奈田じゃない?♪」
___カァッ!___
あ、佐奈田さん…赤くなった。
そういや相手…まだ分かんねぇんだよなぁ……
向こうを見ると、でこ姉が受け取ったという事で盛り上がっていて、こちらには気付かない。
「……ねぇねぇ…佐奈田さん…」
「……ん?」
「……ねぇ……蒼にぃに……相手…誰?」
「……ぐぅっ………それは「それは……」わぁっ!」
上目遣いで佐奈田さんに言い寄ってみたら、俺は悠に、佐奈田さんも誰かに引き寄せられた。
___あっ!___
「……それは……もうちょっと…秘密だよ♡」
「……お前っ!」
……あぁ……成る程ね…そっかぁ……そりゃ…まだ…秘密だな。
しょうがない、可愛い佐奈田さんが見れたから良しとしよう。
___ザァァァァ……___
心地良い風に乗って…そばにいる悠の金木犀の香りが鼻をくすぐる。
「フフッ…」
「どうしたの?」
「何でもない……俺……やっぱり…お前の香り、好きだわ……悠……死を分かつとも…ずっと…お前を愛してるよ。」
俺は悠を抱き締めて言った。
「……なぁ…キス…して……」
「勿論……」
向こうから参列してくれた蓮達の声が聞こえる。
あぁ……今日を…忘れたくねぇなぁ……
……色々あった……
新郎達はもう中の祭壇の前にいると言っていたけど……悠…あのたん瘤…引っ込んだんだろうか…
今回、俺達をエスコートするのは佐奈田さんだ。
さっきの形相は全く感じさせず、執事らしくキリッとしてい……ないなぁ……
「……佐奈田…さん…?」
「にぃに…」
「え?」
「俺の事…蒼にぃに…って、呼んでくれへんか?俺もお前達の事は呼び捨てにするし…あ、蒼兄ぃでも良い。」
「え?俺もなの?」
尚弥がキョトンとしていた。
「ゴメン…俺の勝手な思いやけど…お前らはこれから花屋敷の人間になる。尚弥は姓は違っても花屋敷の仕事をしていく人間や。それに……あの2人に振り回されるお前達を守っている内に…どうしてもな……情が湧くっちゅーか……アカンか?」
「…いや…家族みたいに思われるのは…俺は嬉しいけど…」
「俺もっ…嬉しいですっ……でも…」
「「にぃには…ちょっと…」」
「えっ、マジで⁉アカンの?」
そう言った佐奈田さんの顔が…ちょっと可愛かった。
さっき控室で悠に咄嗟に「にぃに」って、言われて思い出したのかな?
「フフッ…じゃぁ…慣れてきたら…その内に…」
「そうだね。俺も……」
「そうか、じゃぁ…楽しみにしてるわ。」
そう言うと、佐奈田さんはいつもの仕事の顔に戻った。
___ギィィィィ……___
先頭に佐奈田さんが立って俺達を誘導してくれる。
参列席には俺達の友達、仲良くしてくれた食堂の人や学園関係者、サポート業務の人達。
おぉ…初めて見た…影の人達もだ。
あと、尚弥のご両親が大きな式で息子と話すのを躊躇するかもと、隼人の計らいで招待していた。
今回招待した人達には俺が異世界から悠に召喚された事を話している。
みんな凄く驚いていたけど…何か納得されていた部分もあったり…順応が高いよな。
祭壇の前には悠斗と隼人が待っている。
……フフッ…悠斗…どうにかたん瘤小さくしたな…あれ……隼人も?
「……フフッ…実は…隼人も佐奈田さんに怒られたんだ。」
こそっと、尚弥が教えてくれた。
………本っっっ当に、この世界の攻ってこうなのかなぁっっ⁉
俺達は祭壇の前に到着した時、同時に2人が固まる。
ん?佐奈田さん、何かした?
そして…俺達はそれぞれの差し出す手を取った。
俺達は俺の世界でもある「人前式」をする事にした。
まぁ、宗教に関係なく皆の前で「私達結婚するの。誓いを聞いてね。」みたいな感じだ。
神父や牧師、神主が前にいて誓いや祝詞を上げる訳ではない。
進行役は佐奈田さんが受け持つ。
「では…今回は…悠斗と隼人に言わせたら何を言うか分からないので…それは厳かな式に取っておきます。今日は身内だけのお式です。緊張する尚弥と秋良…練習がてら言って下さい。」
尚弥のご両親には隼人からどれだけ尚弥を愛しているかを結婚の挨拶で熱く語っていたそうで、佐奈田さんの提案も快く受けていたそうだ。
「…俺達は…今日の事を話した時…ほぼ同じ考えでした。」
「ですので…同じ言葉になるかもしれません。」
俺達は皆の前でそう切り出した。
「……隼人…俺ね、前に秋良から借りた本の中で…ある言葉が印象に残ったんだ。」
尚弥が隼人の両手を握って見詰め合う。
「人間が人を忘れて行く時…最初に『声』を忘れて…最後は『香り』なんだって…フフッ…それを読んだ時にね…あぁ…なんて素敵なんだろう…って、思ったんだ。隼人…俺ね、隼人のそのバラの香り…愛してる。何があっても…その香りを忘れる事は無いんだって思ったら安心しちゃった…俺は…隼人と死を分かつとも…ずっと…愛する事を誓うよ……」
「……尚……」
「次は…秋良。」
俺は悠の両手を握り、向き合った。
「ちょっと俺は違うんだけどさ……俺はね…ゲームで悠を知って…悠の『声』に惹かれたんだと思う。人間は人を忘れる時、声から忘れていく。悠に抱き締められた時に仄かに香る金木犀の香り…俺は大好きだよ。でも……俺は頑張って声を覚えている事を誓うよ。あと『香り』もだけど、最後の方に覚えているのは『味覚』なんだって。これから一緒にたくさんの美味しいもの食べて、思い出を作っていきたい。」
「……フフッ…秋良らしい言葉だね。」
スッ、と…悠が俺の耳元へ顔を寄せた。
「じゃあ…その『味覚』……食べ物じゃなく…秋良自身の味も…俺は最期まで覚える事を誓うよ…♡」
___ボッ!!!___
「なっ⁉」
「ひゃっ!!」
「お前らっ!!」
俺が耳元で囁かれていた時に、尚弥もどうやら隼人に囁かれていたようだ。
佐奈田さんが2人に注意していた。
「……ゴホッ…では……指輪の交換を……」
佐奈田さんがそう言うと、でこ姉が指輪を持った2人のスタッフを引き連れてやってきた。
「みんな、今日はご結婚…おめでとう♡これは、私達お姉ちゃんお兄ちゃん達からの贈り物よ♪またそれぞれの結婚式には、悠斗と隼人くんがそれぞれが買ったのを貰ってね♡」
でこ姉・勝利兄ぃ・佐奈田さん……あと、理事長?
そのせいか…この指輪……いくらだ………怖くて震える…
「フフッ、大丈夫だよ。」
悠が俺の緊張を感じてフォローする。
俺はプルプル震えながらもどうにかはめる事が出来た。
シンプルなプラチナリングにダイヤがはめ込まれている。
「…誓いのキスを………ボソッ…」
佐奈田さんが2人の耳に囁くと2人は一瞬固まる。
そのせいか、誓いのキスも何事もなく終わって俺達は聖堂の外に出た。
「さぁ、ブーケトスを。」
俺と尚弥は後ろを向いて参列者に向かって花束を投げる。
「わぁっ!」
___ザァァァァ___
前を向いて確認すると……尚弥が投げた1つは、でこ姉が受け取っていた。
俺のは………
「………っ!」
風で上手く飛ばなかったのか……すぐ近くにいた佐奈田さんが受け取っていた。
「……ぁ…これは………」
ダラダラと佐奈田さんが変な汗をかいてる気がする。
「良いんじゃないの?」
「悠斗……」
「その花束をもらったんだし、次は…佐奈田じゃない?♪」
___カァッ!___
あ、佐奈田さん…赤くなった。
そういや相手…まだ分かんねぇんだよなぁ……
向こうを見ると、でこ姉が受け取ったという事で盛り上がっていて、こちらには気付かない。
「……ねぇねぇ…佐奈田さん…」
「……ん?」
「……ねぇ……蒼にぃに……相手…誰?」
「……ぐぅっ………それは「それは……」わぁっ!」
上目遣いで佐奈田さんに言い寄ってみたら、俺は悠に、佐奈田さんも誰かに引き寄せられた。
___あっ!___
「……それは……もうちょっと…秘密だよ♡」
「……お前っ!」
……あぁ……成る程ね…そっかぁ……そりゃ…まだ…秘密だな。
しょうがない、可愛い佐奈田さんが見れたから良しとしよう。
___ザァァァァ……___
心地良い風に乗って…そばにいる悠の金木犀の香りが鼻をくすぐる。
「フフッ…」
「どうしたの?」
「何でもない……俺……やっぱり…お前の香り、好きだわ……悠……死を分かつとも…ずっと…お前を愛してるよ。」
俺は悠を抱き締めて言った。
「……なぁ…キス…して……」
「勿論……」
向こうから参列してくれた蓮達の声が聞こえる。
あぁ……今日を…忘れたくねぇなぁ……
応援ありがとうございます!
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