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「………ん……」

「…おはよ…」

日は高いし「おはよう」と言う時間はとうに過ぎたことは自覚しているのだが…悠の言葉に素直に返事をする。

「…おはよ…起きてたんだ。」

「ちょっと前にね。秋良の寝顔が可愛らしくて……チュ…俺の…大切な…チュ…人だから…」

「ん…フフ…擽ったい……ん…」

お互いどちらかともなくキスをした。

「ちょっと…リビングに移動しよっか………ベッド…綺麗にしてもらわなきゃね。」

カァァァ…と、昨日を思い出して顔が赤くなる。

「悠………抱っこ………」

少しは動けるが身体はダルい。
悠にお姫様抱っこをしてもらい、少し恥ずかしくて腕を首に回して顔を隠す。

「クスッ……じゃあ…行こうか。」

ゆっくりと腰に負担が掛からないように移動してくれて、昨日のラグの上に座らされた。

「…あ…そういえば…」

悠に凭れたながら左の薬指を見る。

「この緑の石って…こないだの石?」

そう、この前山に飛ばされた時に石を見つけたと話していたよな?

「うん…これ、調べてもらったらモルダバイトって言うんだって♪」

………モルダバイト………

「隕石が地表へ衝突したときに作られるテクタイトと呼ばれる天然ガラスの一種です。」

………最近あまり出さないスマホで調べました…マジか…俺の世界じゃ採取場所は海外だったはずだけど…ここじゃ普通の山で取れるのか?

「あ、俺が行った山は秋良が考えてる所じゃないよ。自家用飛行機で行かされたから☆」

あぁ…なるほど。一応普通の場所じゃないんだ。

「レイも一緒に見つけたから、ルゥにあげたはずだよ。」

ちょっと、悠の瞳の緑にも似た色なんだよなぁ。

「あ…悠…ツリー下に俺からのプレゼントあるんだ。」

「これ?」

「うん…気に入ってくれたら嬉しいけど…」

「じゃあ…俺からは…これね。」

2人で同時に包装紙を破り中を開ける。

「「あ…」」

2人でクスクス笑い合う。
中身はほぼ同じデザインの天然石がはめ込まれたチェーンタイプのブレスレットだった。

悠からはバイオレットサファイアを、俺からは…オレンジサファイアだ。
同じサファイアでも違う色の石だった。

「悠は…なんでこの石にしたの?」

「秋良の花の色にしたんだよ。ちょっと紫掛かってるでしょ?サファイアは守りの石でもあるからね。それの…秋良のイメージに合わせたんだ。秋良は何でこの石にしたの?」

「俺は……守りの石は同じなんだけど俺の大好きな悠のオレンジの瞳の色にしたんだ……尚弥と一緒に佐奈田さんの書類仕事を手伝ったお礼として買ってもらったんだ。紹介してくれた業者の人が親切でさ。佐奈田さんは尚弥も俺もお給料の範囲内って言ってたから良かったよ。」

お互いブレスレットを付け合い手を絡め合う。
その後、理事長や佐奈田さんからのクリスマスプレゼントは昨日より増えていてお正月に着る和服までプレゼントに入っていた。

「…これ…貰いすぎだろ………ん……これは佐奈田さん………?」


__プライベートルームで開けるように__


メモが貼っていたので後で開けようと別にした。
…後で開けたら、どれも大当たりな新作BL本セットだった……お兄ちゃん……神………っ!

色々開けてみたら、中から…

「あれ?これは…」

「あ、兄と姉だ…相変わらずデカイなぁ。秋良にもあるよ。」

開けてみると、お兄さんからは肌触りの良いスヌード、お姉さんからはこれも肌触りの良い手袋だった。
頬に当てるとホワホワする…気持ち良い…

「………」

「悠?」

悠へのプレゼントは…

「こんな男は嫌われる!」
「重い男にならないで!」
「嫌われ男の3カ条」

あ………お兄さん・お姉さん…佐奈田さんから何か聞いたな。
悠には教本がダンボールでプレゼントされていた。
何だかんだと過ごしていたら夜になり、媚薬効果が完全になくなった改良されてる回復薬を飲んでから食堂に向かう。
ルゥとレイは…何を贈りあったんだろう。
食堂では当たり前のようにブランチボックスを受け取るカウンターに、あからさまな「昨日は寝てません!」な…攻めな…方々が…列をなしていた…

あ、隼人だ。

「おはよ。」

パタパタと走って隼人の元へ行った。

「あ、アキラ。おはよう。」

「……尚弥は…」

「うん、今日は動けるんだけど…ちょっと部屋で…食べたくてね。」

隼人がスッと俺の耳元で囁く。

「………更に艶やかな色香を纏った君の様な顔と……首筋の可愛らしい沢山の痕を…見せたくないんだよね。」

「うそんっ!」

色気のない俺の叫びは無視され……バッと、後ろから悠が俺を両手で引き寄せて隼人を見る。
隼人は「やれやれ」と、言う顔で俺に言った。

「ゴメン、君の恋人は自分のをみんなに見せびらかしたいらしね。俺は…何…牽制?心が小さいね。」

「違うよ。俺はどこでも可愛らしい秋良とだけだよ。元気に歩けるのにのはどうかなぁ…逃げられちゃうよ?」


………フフフフフ………


キャァァァ!
助けて!!腐女子なみんなぁっっ!

「…あ……アキラ、尚弥が…『ありがとう』だって。」

チャラ………

隼人がそう言いながら腕のブレスレットを見せてくれた。

「あ、結局ブレスレットにしたんだ。」

業者の人との打合せは別にしたから何にするかを聞いてなかったんだよなぁ。

「君達も…みたいだね………」

隼人のブレスレットの石は、隼人のバラのイメージに合わせてルビーにしようかと考えていたようだが…
ん?ちょっと初めて見る色だ。

「うん『ピジョンブラッド』って言うんだよ。あ、悠斗。」

何かコソッと悠に耳元で話すから分からない。

「フフ、了解。後でね。」

俺達は隼人と分かれて、それぞれのクリスマスを堪能した。
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