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___クリスマス・イブ___

日本ではこちらの方がメインだが、この世界も…

「……あ、これ…」

「うん…お前に…合うと思っ…て…さ…」

あ、マフラーね。
………あの不器用な編み目…もしかして手編みか?!スゲェな!

「これ…受け取ってくれ。」

「先輩…嬉しい…!」

あ、こないだのハロウィンカップル、結局引っ付いたんだ。
…先輩、何送ったんだ?
……気になるぅぅ…っ!
ま、こちらもイブがメインか。
悠斗へのプレゼント…選んだけど…気に入ってくれるかなぁ………

「ア……キ…ラ………」

ドサッ…!

「悠斗ぉ?!」

食堂で朝食を食べて部屋に戻ると、悠斗がいたのは良いがフラつき具合が尋常じゃない。
後ろから抱き付いてきたまま……… 

「スゥ~………」

………寝てる………

___コンコン___

「失礼致します。」

「佐奈田さん!」

「悠斗様を寝室へ。」

「かしこまりました。」

悠斗は影の方達が寝室へ運んでくれました。

「秋良様、僭越ながら花屋敷の名代としてお伺い致します。今日の夜…期限となりますが……お気持ちにお変わりはございませんか?」

佐奈田さんが真剣な顔で聞いてきた。 
 
「はい。後悔がないとは言えませんが…俺の出した答えです。後悔のないよう生きていきます。」

「かしこまりました。秋良様…」

佐奈田さんが俺の前に跪いた。

「私は秋良様に一生仕える所存でございます。」

「え?悠斗や花屋敷家は?」

「旦那様には了承済みです。」

「お相手に悪いですよ!」

「あ~…は…まぁ…どうとでもなるでしょう…と、いうか…最悪私達2人の面倒を見てくれるでしょうからご安心を。」

佐奈田のお相手ってもしかして…

「秋良様……」

「っ!」

気が付いたら俺の頬に佐奈田さんの手が添えられている。

「お相手は…秘密…って………ん…言ぅたやろ…チュッ!」

「んっ………いっ…!」

…あれ?今リップ音だったのに、ちょっとチクッとした?
頬と首元にキスをされたかと思ったんだけど…

「ンフフ~…深い詮索する子に…ちょいお仕置き♡………それでは、ご用がございましたらお呼び下さいませ。失礼致します。」

佐奈田さんはそのまま報告の為に理事長室へ向かい、夕方には悠斗が起きてきた。

「ふぁ……アキラ…ゴメン…俺…こんな大切な日に寝ちゃって…」

いや……寝ててくれてありがとう…!

「いや、良いんだっ。お前の身体が大事だしな!」

「アキラ…」

「それより、今日は特別にルームサービスできるんだろ?どうする?」

実際まだ疲れてそうだからな。

「うん、今日はルームサービスにしよっか。2人で楽しみたいし。」

俺達は事前に寮から配られたメニューに目を通し色々と注文した。
各部屋にはツリーが設置され、あちこちでグループだったりカップルだったりとみんな賑やかに、それぞれのクリスマスを過ごしている。

今日はクリスマスということでいつも夜になると閉まっている窓際のカーテンが開いていて、しかも外はご都合なホワイトクリスマスに関心しながら窓辺へ寄って行く。
初めてのこの世界のクリスマス。
生まれて初めての本気で恋した人…とのクリスマス…なんだろうなぁ…
ぼ~っと、考え込みながら舞い散る雪を眺めていると後ろから悠斗が抱き締めてきた。

「何を…考えていたの?」

「あ~…あのハロウィンカップル…何もらったのかな…とか?」

半分ウソだけど。

「あ、あれ?確か腕時計じゃないかな?」

「何で知ってんだよ?!」

「相談受けて。」

「適当に言ったんじゃないだろうな?」

「え~、ちゃんと答えたよ?」

悠斗はちゃんとサポートの役目をこなしているようだ。
世界はしっかりと回っている。
………設定通り、本当に寮……っつ~かR18メインだがな………裏設定か…これ…

ルームサービスの料理が届いたので、2人でクリスマス仕様にしたテーブルに並べていく。
切り分けられたターキーにグレービーソース、パイやスタッフィング…デザートにクリスマスプディングまである。
本格的だなぁ。

「アキラ、飲み物はアップルサイダーで良い?」

「うん。」

よく分からないけど適当に返事をした。
出てきたのはリンゴやオレンジが入った飲み物?
でもシナモンスティック刺さってる………オシャレなのはよく分かった。

「あ…美味い。」

飲んでみると「サイダー」って聞いてたのにシュワシュワしてない。
スパイシーで身体がポカポカするな。

「フフ…じゃあ食べようか。」

外はまだ雪が降っている。
俺達は電気を消して照明はロウソクだけで過ごしてみようとあちこちに飾って灯したせいか、真っ暗にはならずに丁度良い感じになっていた。

2人で食べ切れるだけの料理だったのであっという間に食べ終わり、ツリーの下に敷いた毛の長い広めのラグに背凭れのクッションを引き寄せて悠斗と縦並びで座った。
エッグノッグを入れたマグカップを片手に外の雪をのんびりと眺める。

「結構…降るもんだな…」

「積もるかもねぇ…アキラ、寒くない?」

「うん…悠斗が温かいから…」

後ろに座る悠斗に身体を預けた形で座っているので背中は温かい。

「俺ね、クリスマスの時にしたいことがあったんだ…」

「何?」

悠斗がクッションの下から小さな箱を取り出した。

「これ、アキラに。」

「クリスマスプレゼント?じゃあ俺も…」

明日開けると思ってツリーの下に置いておいたけど今交換するのかと、預けていた身体を起こそうとした所で止められる。

「これは…イブ用♪だからアキラのは明日にとっておくよ。」

「俺、今のは用意してないぞ?」

「良いんだよ、俺の自己満足だから。…開けてみて。」

頷いて包装紙を破って開けてみると…


___あ…指輪だ___


そこには緑の石がはめ込まれたプラチナの指輪があった。


「……1日の終わりに一番話がしたいのは…君なんだ…淋しいからでもないし、今日が大晦日だからでもない。これからの人生を…誰かと一緒に過ごしたい……」


「…何かのセリフ?」

「フフ…分かっちゃった?そう。タイトル忘れちゃったけど、昔の映画のセリフ。」

悠斗が俺が持っていた箱を手に取り、指輪を出して俺の左手に乗せた。

「そしてその生活を出来るだけ早く始めたいと思ったから………左手に指輪これをはめて欲しいんだ………」

「悠斗………」

「最後のセリフはちょっとアレンジしちゃった………これから先……秋良だけのサポートキャラになっても…良いかな…?」

………これって、プロポーズ…?
まだ悠斗、高校生じゃん。
こんなに早く決めて良いのか?
でも……俺だけのサポートキャラに…なってくれるの…?


………そんなの………


「……良ぃに…決まってんじゃん…」

俺はゆっくりと身体を起こして悠斗に向き直る。

「アキラ…」

「『秋良』………俺の名前…『秋』が『良い』で、『秋良』だよ。悠斗…『秋良』って…呼んで…?」

「秋良…」

「…悠斗…好きだよ………」

指輪を握り締めたまま首に腕を回してキスをする。

「………ん………ふっ………」

「秋良…大好き……」

悠斗が唇から離れて首筋へと舌を這わせた。
いつもより甘く、丁寧に……
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