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白い空間にはルゥとレイがいた。
あれ?他にも誰かいる………あれは………
「あら?ここ………」
「お母さん!お父さん!」
走ってみんなの元へと駆け寄っていく。
「いや~ん!お父さんっ!!これって異世界?!私達、異世界転生しちゃう?!」
「あ~それなら凄いなぁ。君とならどこでも楽しそうだ。」
バシバシ父の肩を叩きながらハイテンションの母に、のんびり楽しそうな父。
久し振りに会えたこの2人を見ると…泣きそうだ…
「あら?にぃに、どうしたの?あ!もしかしたら家族で異世界転生?!凄いレアだわっ♪」
「喜んでる所申し訳ないんだけど…」
「あら?あなた……フフッ…綺麗な髪ねぇ。最近逃げちゃったんだけど、髪がインコのルルみたいだわ。」
「ゴメンね、お母さん。僕、こっちの世界に呼ばれて来ちゃったんだ。」
「呼ばれたって……っ?!あなた、ルル?!」
「今はルゥだよ。名前は…にぃにが付けてくれたの。」
「え…にぃにって…どういう…」
スッとレイが父と母の背中に手を添えて光を当てた。
魔法みたいなものなんだろうか……
2人は何かを理解したように俺を見て、母が俺の頬に手を添えた。
「あぁ…あなたは……私達の…」
__秋良__なのね…
秋が好きな母が、秋生まれじゃないのに俺も秋を好きになって欲しいと名付けてくれた。
そして俺は……秋の花、金木犀が大好きになった。
__金木犀の香りを纏う悠斗も__
「好きな人が……あっちの世界で出来たんだ…」
「そっかぁ…秋良はどうしたい?」
「うん…俺は………向こうで……生きて行こうと…思う。」
泣きそうな顔を気付かれないように俯いて話す。
顔を見たら泣きそうだから。
「良いんじゃない?」
「えっ?!」
母の呑気な声に思わず顔を上げてしまった。
「ウフフ~、だって腐男子の息子がリアルBLの世界に召喚でしょ?凄いわよ!ねぇ、お父さんっ!」
初めて見るかもしれない。
真面目な顔をして父が聞いてきた。
「…お前は向こうで……幸せになれそうか?」
「それは……俺が…守る……」
レイが父と母の前に出た。
「俺は…にぃにとルゥに助けられて…あの世界に召喚された。そして…守護するものに…なった。だから命尽きる…最期まで…全力で守る。」
「あらあら、秋良のお相手って…」
「俺は…コイツのものだから…」
目を輝かせる母の前にグイッとルゥを引き寄せる。
「あっ…お母さんっ!!違っ…!」
「違わない……」
「きゃぁぁあっ!スマホスマホっ!いやぁぁぁ!ないぃぃぃっっ!!」
「ハハハ。お母さん、心のフィルターってヤツだね~。」
父は普段の顔に戻り…やっぱりカメラで撮ろうとするよな……安定の母だ…
「お母さん、お父さん…ここを出ると…記憶は無くなるんだ。元の世界にいる『秋良』の存在がもうすぐ本当の息子に定着するはず。」
ルゥが少し辛そうに父と母に伝えた。
「フフ…ルル…あ、今はルゥね。ありがとう…気を遣ってくれて。あなたはいつも……家族を大好きでいてくれたわね。」
「お母さん…」
「あなたも…私の子よ。そして…」
母がルゥの頬に手を添えて、もう片方の手をレイの頬に添える。
「あなたも…私の新しい子よ、レイ。忘れちゃうみたいだけどね。でも、子どもが沢山欲しかったからなぁ……夢、かなっちゃった♪」
「……っ…お母…さん…」
「フフッ♪イケメンの母かぁ~、しかもBLなんて自慢…出来ないかっ……忘れちゃうしねっ。」
「…俺が…覚えてる…」
「………っ……うん…頼んだぞぉ……っ…レィッ!」
母が明るく振る舞っていたが、とうとう我慢していた涙が流れてしまいレイとルゥが母を抱き締める。
「頼んだぞ…っ…秋良はぁ………なかなか…出来なかった……私達の…大切な…大っ…切な…宝物……なのぉ……泣かせないで…ぅ…悲しい…思い……絶っっっ対……させないでぇぇ……っ!」
「大丈夫…僕とレイで守るよ。お母さんとお父さんの分まで…」
「頼むよ…」
父がそっとルゥとレイの肩に手を添えた。
少ししてレイとルゥがそっと母から離れて俺に手を差し伸べ、俺の手を母の手に重ねる。
もう一度しっかりと父と母を抱き締めて「行ってきます」と笑顔で別れた。
目を開けるとベッドの上で俺は横抱きにされて心配そうにこちらを見つめる悠斗と目が合った。
「アキラ…大丈夫?」
「あれ……俺…泣いて……」
あの光の後俺はまた気を失ってしまったらしい。
でも、時間にしたら5分ほどだ。
あの空間ではかなりの時間を感じたんだけどなぁ………
「アキラ…そんなに帰りたいなら…」
「あ…大丈夫。俺、お別れ出来たみたいだから……ん……」
悠斗の首に手を回して引き寄せて唇を重ねる。
「俺は…この世界で…生きていくよ………ただし…しつこいエッチは…お断りだけどな。」
「アキラ…」
悠斗が俺に覆い被さろうとした時……
__コンコン__
「失礼致します。悠斗様、お迎えに参りました……お前達…連れて行け。」
「かしこまりました。」
「…えっ?!ウソッッ!せっかく『愛してる』って言ってくれて……これから滅茶苦茶イチャイチャ出来るのにぃっ?!」
「だからだ、バカボンッ!!クリスマスイブには開放したるわっ!!さっさと山行って体力使って来いっっ!」
「え?やだぁぁっ!!ア~キ~ラァァァ!」
ズルズルとサポートの人達に連れて行かれた…
「さて……ここからはプライベートや。」
あれ?こないだもあったね☆
「アキラ様…いや、秋良様。」
「…あ…聞いたんですね。」
不思議と言葉の響きで漢字で呼んでくれたのが分かった。
「ルゥとレイに聞ぃた。エェ名前やな……ご両親には…悪いことしたな…」
佐奈田さんが俺の頬を撫でる。
「いえ…俺が選んだ事ですから。」
「身体は……大丈夫か?」
「はい…さっきの光で。俺は……悠斗と生きて行きます。」
「アイツに今それ…絶対言ぅなよ。」
「フフッ……守ってくれないんですか…?お兄ちゃん?」
「ん゛っ!!おまっ……それ反則ぅ…!言われんでも守ったるがなっ!全力でなっっ!」
グリグリと頭を撫でられて笑い合う。
そう、俺は…この世界で生きていくんだ……
あれ?他にも誰かいる………あれは………
「あら?ここ………」
「お母さん!お父さん!」
走ってみんなの元へと駆け寄っていく。
「いや~ん!お父さんっ!!これって異世界?!私達、異世界転生しちゃう?!」
「あ~それなら凄いなぁ。君とならどこでも楽しそうだ。」
バシバシ父の肩を叩きながらハイテンションの母に、のんびり楽しそうな父。
久し振りに会えたこの2人を見ると…泣きそうだ…
「あら?にぃに、どうしたの?あ!もしかしたら家族で異世界転生?!凄いレアだわっ♪」
「喜んでる所申し訳ないんだけど…」
「あら?あなた……フフッ…綺麗な髪ねぇ。最近逃げちゃったんだけど、髪がインコのルルみたいだわ。」
「ゴメンね、お母さん。僕、こっちの世界に呼ばれて来ちゃったんだ。」
「呼ばれたって……っ?!あなた、ルル?!」
「今はルゥだよ。名前は…にぃにが付けてくれたの。」
「え…にぃにって…どういう…」
スッとレイが父と母の背中に手を添えて光を当てた。
魔法みたいなものなんだろうか……
2人は何かを理解したように俺を見て、母が俺の頬に手を添えた。
「あぁ…あなたは……私達の…」
__秋良__なのね…
秋が好きな母が、秋生まれじゃないのに俺も秋を好きになって欲しいと名付けてくれた。
そして俺は……秋の花、金木犀が大好きになった。
__金木犀の香りを纏う悠斗も__
「好きな人が……あっちの世界で出来たんだ…」
「そっかぁ…秋良はどうしたい?」
「うん…俺は………向こうで……生きて行こうと…思う。」
泣きそうな顔を気付かれないように俯いて話す。
顔を見たら泣きそうだから。
「良いんじゃない?」
「えっ?!」
母の呑気な声に思わず顔を上げてしまった。
「ウフフ~、だって腐男子の息子がリアルBLの世界に召喚でしょ?凄いわよ!ねぇ、お父さんっ!」
初めて見るかもしれない。
真面目な顔をして父が聞いてきた。
「…お前は向こうで……幸せになれそうか?」
「それは……俺が…守る……」
レイが父と母の前に出た。
「俺は…にぃにとルゥに助けられて…あの世界に召喚された。そして…守護するものに…なった。だから命尽きる…最期まで…全力で守る。」
「あらあら、秋良のお相手って…」
「俺は…コイツのものだから…」
目を輝かせる母の前にグイッとルゥを引き寄せる。
「あっ…お母さんっ!!違っ…!」
「違わない……」
「きゃぁぁあっ!スマホスマホっ!いやぁぁぁ!ないぃぃぃっっ!!」
「ハハハ。お母さん、心のフィルターってヤツだね~。」
父は普段の顔に戻り…やっぱりカメラで撮ろうとするよな……安定の母だ…
「お母さん、お父さん…ここを出ると…記憶は無くなるんだ。元の世界にいる『秋良』の存在がもうすぐ本当の息子に定着するはず。」
ルゥが少し辛そうに父と母に伝えた。
「フフ…ルル…あ、今はルゥね。ありがとう…気を遣ってくれて。あなたはいつも……家族を大好きでいてくれたわね。」
「お母さん…」
「あなたも…私の子よ。そして…」
母がルゥの頬に手を添えて、もう片方の手をレイの頬に添える。
「あなたも…私の新しい子よ、レイ。忘れちゃうみたいだけどね。でも、子どもが沢山欲しかったからなぁ……夢、かなっちゃった♪」
「……っ…お母…さん…」
「フフッ♪イケメンの母かぁ~、しかもBLなんて自慢…出来ないかっ……忘れちゃうしねっ。」
「…俺が…覚えてる…」
「………っ……うん…頼んだぞぉ……っ…レィッ!」
母が明るく振る舞っていたが、とうとう我慢していた涙が流れてしまいレイとルゥが母を抱き締める。
「頼んだぞ…っ…秋良はぁ………なかなか…出来なかった……私達の…大切な…大っ…切な…宝物……なのぉ……泣かせないで…ぅ…悲しい…思い……絶っっっ対……させないでぇぇ……っ!」
「大丈夫…僕とレイで守るよ。お母さんとお父さんの分まで…」
「頼むよ…」
父がそっとルゥとレイの肩に手を添えた。
少ししてレイとルゥがそっと母から離れて俺に手を差し伸べ、俺の手を母の手に重ねる。
もう一度しっかりと父と母を抱き締めて「行ってきます」と笑顔で別れた。
目を開けるとベッドの上で俺は横抱きにされて心配そうにこちらを見つめる悠斗と目が合った。
「アキラ…大丈夫?」
「あれ……俺…泣いて……」
あの光の後俺はまた気を失ってしまったらしい。
でも、時間にしたら5分ほどだ。
あの空間ではかなりの時間を感じたんだけどなぁ………
「アキラ…そんなに帰りたいなら…」
「あ…大丈夫。俺、お別れ出来たみたいだから……ん……」
悠斗の首に手を回して引き寄せて唇を重ねる。
「俺は…この世界で…生きていくよ………ただし…しつこいエッチは…お断りだけどな。」
「アキラ…」
悠斗が俺に覆い被さろうとした時……
__コンコン__
「失礼致します。悠斗様、お迎えに参りました……お前達…連れて行け。」
「かしこまりました。」
「…えっ?!ウソッッ!せっかく『愛してる』って言ってくれて……これから滅茶苦茶イチャイチャ出来るのにぃっ?!」
「だからだ、バカボンッ!!クリスマスイブには開放したるわっ!!さっさと山行って体力使って来いっっ!」
「え?やだぁぁっ!!ア~キ~ラァァァ!」
ズルズルとサポートの人達に連れて行かれた…
「さて……ここからはプライベートや。」
あれ?こないだもあったね☆
「アキラ様…いや、秋良様。」
「…あ…聞いたんですね。」
不思議と言葉の響きで漢字で呼んでくれたのが分かった。
「ルゥとレイに聞ぃた。エェ名前やな……ご両親には…悪いことしたな…」
佐奈田さんが俺の頬を撫でる。
「いえ…俺が選んだ事ですから。」
「身体は……大丈夫か?」
「はい…さっきの光で。俺は……悠斗と生きて行きます。」
「アイツに今それ…絶対言ぅなよ。」
「フフッ……守ってくれないんですか…?お兄ちゃん?」
「ん゛っ!!おまっ……それ反則ぅ…!言われんでも守ったるがなっ!全力でなっっ!」
グリグリと頭を撫でられて笑い合う。
そう、俺は…この世界で生きていくんだ……
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