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3時になって、隼人と…ほんのちょっと気怠そうな尚弥がやって来た。

………ん?尚弥?何か香りが…
元々尚弥の桜の香りは少し甘い香りだったが…今日は何だろう…隼人に感じた甘ったるい香りが漂っている。
嫌な香りじゃないんだけどなぁ…

ハッ!!尚弥ぁぁぁぁっ!首筋ぃぃぃっ!!

はぁぁぁいっ!見ちゃったあぁんっ!
キスマーク?!キスマークだよねっ?!
隣で悠斗が無表情で何か…怒ってる…?

「ゴメンね…俺…今日早く起きれなくて………」

何か照れくさそうに話す尚弥が可愛い通り越して色気いっぱいなんですけどぉっ?!

「ゴメンね。今日は…昨日のが残ってたみたいで。少しお茶したら部屋に戻らせてもらうね。」

もしかして隼人…悠斗にマウント取ってる?

「フフ…大丈夫だよ。今日は休みだったとはいえ、隼人も昨日は尚弥をなんて…駄目じゃないか。尚弥はお茶するくらいなら大丈夫?」

「あ…うんっ。ゴメンね、心配掛けちゃったね!大丈夫っ!!ただの寝不足だから………ちょっと…ダルいだけで………」

__あぁ…腰がね…ダルいんだねぇ…__

お兄ちゃん分かっちゃったよ…
気付かれてないと思ってるのは君だけだよ…尚弥くん…

「あ……尚弥、昨日は夜の散歩も行ったのかな?首筋にがあるね。身体を冷やしてダルくなったかな?薄手のブランケットがあるから少し温めようね。」

「あぁ、ありがとう。昨日は部屋を出ずに沢山から外には行かなかったけど…虫でも入ってきたかな?」

何故か隼人が返事する。

………フフフフフフ………

2人の静かな争いが続いた。
いやぁぁ!助けてっ!
オラの世界中の腐女子のみんな………オラにスキルを分けてくれ…!!頼むっ!

「ほらほらぁぁっ!立ちっぱなしも尚弥が疲れるから座ろうぜぇ!!」

声を裏返りながら俺はその場の空気をブチ壊して席に座らせた。
クッ!………スキルが…足りなかったぜ…っ!!
何故か今日も佐奈田さんが用事があって来られないらしく、今日は急遽花屋敷家のお手伝いの方が来ている。
諜報関係では佐奈田さんのサポートをしていて、かなり信頼されている人らしい。
ただ、この人も忙しい人なのか、あちこち仕事をしながらなので佐奈田さんほどみっちり付いてはくれないのでお茶はこちらで準備した。
お茶はアールグレイティー。
俺はこの紅茶が大好きだ。
湯気と共に上がるベルガモットの香りは俺をリラックスさせてくれる。

今日は…少し暑い日だから…っと…

「お待たせ。」

カランカラン…と、トレーの上に細長いシャンパングラスに氷の音をさせてアレンジした紅茶を持ってきた。

「アキラが作ったの?」

「うん。美味しく無かったらゴメン。茶葉は良いのを使ってるから大丈夫とは思うんだけど…あ、尚弥、ミントは大丈夫?」

「うん。大丈夫。」

俺は聞いてから飾りに小さなミントを乗せた。

「はい。セパレートオレンジアイスティー。ガムシロップはケーキがあるからほんの少しだけね。」

オレンジは俺と尚弥は甘いのを、隼人と悠斗には少し酸味のあるものをカットしてグラスに挟む。
甘いのばかりだと2人共しんどいだろうしな。
あとは食べた後の口直しのコーヒーの豆も用意しておいたし大丈夫だろ。
アレンジしてない紅茶もあるしな。
ケーキは悠斗が切り分けてくれていて、すぐ食べれるようになっていた。

「じゃあ食べようか。」

悠斗の始まりの声で先程のやり取りが嘘のように平和に会話が進む。
テーブルには俺が本数を選んだ白薔薇が飾られ、尚弥にも本数の意味を知らされて顔を真っ赤にして照れていた。
隼人と尚弥の空気感が前と少し違っている。
悠斗と俺ではこういう香りにはならないだろうけど…それに色々されても前ほど悠斗の香りがキツくなる事がないし…
この世界の人間同士なら、カップリング成功となって相性が良くなる程に香りも豊かになるとはあったが………

………豊かになり過ぎだろっ!
お前っ!尚弥にどんな無茶させたぁっ!!

「アキラ…大丈夫?」

「…っ…ゴメン!俺は大丈夫だよ!」

俺は大丈夫!大丈夫じゃないのは、こっちの男2人だっ!!
口直しのコーヒーも飲んで、尚弥が小さく欠伸をしたり身体がダルそうだったのでお開きにする事にした。
尚弥はすまなさそうににしてたけどな。

えぇんやで…お兄ちゃん…お前が心配なだけやねん…

ハッ?!
下手な関西弁を使ってしまったが、佐奈田さんの気持ちが少し分かった!
これかぁぁぁ…

「アキラ………また今度、ゆっくり話そうね。」

「あぁ、今日はありがとなっ!お菓子も分けれたし、あとは明日も休みだからゆっくりと休めよ。」

「うん。」

悠斗が心配そうに尚弥に声を掛けた。

「尚弥…今日は、ゆっくりと身体を休めなね。疲れが取れないようなら、こないだの期間限定のドリンクをシェフにお願いするから言ってね。」

期間限定…俺が飲んだあれかぁ?!
あ、この世界の人間には滋養強壮も含んで大丈夫だったんだ。
じゃあ、必要そうならいるよな。

「隼人も…くれぐれも…尚弥をように…ね。」

俺や尚弥より背が高いもん同士だから気付かないと思ってるんだろうが、目が笑ってませんよ…悠斗さぁん。

「フフ…そんな事する訳ないだろ。お前こそ、アキラをさせた方が良いんじゃないのかな?先輩の所のお菓子、カロリー高いからさ。」

あ、確かにそうかも。
かなりカロリーお高めだよな。
でも、3年の先輩が泣くのはよく分かった…凄く美味しかったぁ…。
よく考えてみたらこの学園、クラブは一応あるけど授業ではあまり激しい運動ないもんなぁ。
後で寮内にマシンジムあるか聞いとこ。

俺は「知らぬが仏」と、言う言葉を初めて体験している事に気付いたのはのちの話である…
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