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俺達が来たのは温室だった。
こないだのイベントも温室に来たなぁ。
既に許可ももらっていた俺達はすんなり中に入れた。
通常は先生の許可がいるらしいが、俺達は先生をすっ飛ばして理事長だ。
まぁ、今日はヒントに関係する先生方がスタンバイしてくれてるらしいので職員室まで行けば大丈夫なんだけどね。
「こっちこっち~。」
悠斗と隼人は分かっているからサクサク進む。
俺と尚弥は周りの珍しい花々を眺めながら2人の後を追った。
着いたそこは…薔薇エリアだった。
色とりどりの薔薇で埋め尽くされたこのエリアは、よく見る薔薇もあれば見たこともない薔薇もある。
「凄く香る薔薇だね。」
ちょっと隼人とは違う香りかな。
「あぁ…これはコントゥ・ドゥ・シャンボールだね。これは結構育てやすいと思うよ。」
スラスラと品種名が出てくる。
凄いなぁ。
「隼人の家は薔薇の品種改良に力を入れている家なんだよ。」
悠斗が教えてくれた。
だから薔薇に詳しいのか。
「あった。」
「これだね。量も父に了解はもらってるけど、持てる範囲で…だって。」
薔薇エリアの中で、綺麗な白薔薇が沢山咲いていた。
「I am worthy of youは、白薔薇の花言葉だよ。量について…本数は自由みたいだね。悠斗…何本にする?」
俺と尚弥は分からないので完全にお任せな状態だ。
「そうだなぁ…アキラ、アキラは…俺にこの薔薇を渡すとしたら何本?直感で決めようよ。」
「分かった……じゃあ…3…かなぁ…小さい頃にお婆ちゃんから3は縁起が良いって言われてから、縁起の良い数で渡したいしな。うん、3が良い。」
「そう……なんだ…分かった。」
んん?何か悠斗の顔が赤いな…
「尚弥は…どう?俺に…何本くれるの?」
「俺は……4…かな…」
「…どうして?」
「普通4って、不吉とか言われてるよね?でも『し』も『死ぬ』とかじゃなくてポジティブに考えたら『詩』とか…四葉のクローバーも4だし。あんまり多くの数字も…ねっ。それに4って、あまり自分の周りでも意識して使われない数字だから…ちょっと…特別な感じがしたんだよね。」
「説明するのって難しいね。」と、ウフフと笑って話す尚弥。
それに対して……頬を染めて嬉しそうに微笑む隼人……何なんだ…この2人…
この中に何か喜ぶポイントがあったのか?
「じゃあ、切って持って行こうか。」
俺達はそれぞれの好きな数字の数だけ薔薇を用意し、隼人が棘もあるからとラッピング用の透明フィルムとラッピングペーパーで、まるで花屋で購入したような状態に手際良く作ってくれた。
寮に戻るとチラホラとカードの指令に対応したものをもった寮生達が戻ってきている。
お菓子は……うん、まだあるある。
「あ~、お帰りぃ~。」
手をヒラヒラさせながら四葉先輩が声を掛けてきた。
先輩、10cmヒールで平気な顔して歩いてるっ!凄ぇっ!!
「見つけた?」
「「「「はい。」」」」
「ん~…どぉれ~?」
四葉先輩がカードの内容と薔薇を見る。
「ふぅ~ん…この本数は尚弥とアキラが決めたの?……フフッ………2人共、愛されてるねぇ…」
俺と尚弥は全く分からないが、悠斗と隼人は分かってるようで2人共ビックリする程甘い顔になってる。
「俺は……こないだ聖堂で尚弥に伝えてもらいましたから…」
「それは…もう…」
悠斗、嬉しそうだけど…何が?
全く分からん!
「先輩…お菓子は明日頂きます。」
「俺も…」
分からないままに俺と尚弥はそれぞれ手を引っ張られて部屋に連れてかれてしまった。
「…?ゴメン!悠斗!!俺、全く分からないんだけどっ!」
段々と速歩きになる悠斗に声を掛ける。
「………」
いやぁぁぁ!無言怖いからぁっ!
部屋に着いてドアを閉めたと同時に悠斗に抱き締められて唇を塞がれてしまった。
「んっ…んぅっ……ハッ…んんっ!」
鼻呼吸を忘れて息をしようと口を開いた隙に悠斗の舌が入ってきた。
「んん…っ!」
背中に手を回してバンバン叩いてみるが全く通用しない。
それどころか更に深く腔内を確かめるようにねっとりと舌を絡められる。
「ふっ…クチュ…うっ……あっ…チュッ…ん…」
飲み込めない分の涎液が口の端から頬へ、そして首元へと伝う。
あ…いやだ…身体が…ゾクゾクしてきた…
「悠…斗ぉ…んんっ……薔…薇ぁ…!」
「大…丈夫…」
キスの時に下に落としたと思ってた薔薇は後で知ったが棚に置かれていたらしい。
「アキラ…」
唇から口の端へ、そして首筋へと悠斗の唇が移動する。
「や…だ…っ……ん…ハロウィン…終わって…ないぃぃっ!」
シャツを引っ張るが、胸を押して抵抗する程の効果はない。
ハロウィンは夜が楽しいんじゃないかよっ!
楽しみにしてたんだぞ!!
と、言う訳で……最終手段に出ました。
「た…」
「た…何……?」
悠斗がシャツの中に手を入れてきた。
「助…けて…お兄ちゃん…っっ!」
………あ………
あの音は…
全力疾走なあの音__
バァァァン!
「呼んだか?!兄ちゃん来たったでっ!!どうした?何があった?!」
「…助か…った…あぁ?!佐奈田さん?!アンタこそ何があったぁぁ?!」
__佐奈田さん、何か服開けてる?
「………悠斗………お前…今日はアキラ様、ハロウィン楽しみにしてるから手を出すなって言ったよなぁぁぁ…」
___あ、デジャヴ___
悠斗が正座した。
佐奈田さんが自分の髪と気崩れた服を整えながら何事も無かったようにお説教してる…今は触れない方が良さげだな。
これからハロウィンだからと、今回は30分程の説教で開放されて俺達はまたまた壊れたドアを通り過ぎて食堂に戻った。
こないだのイベントも温室に来たなぁ。
既に許可ももらっていた俺達はすんなり中に入れた。
通常は先生の許可がいるらしいが、俺達は先生をすっ飛ばして理事長だ。
まぁ、今日はヒントに関係する先生方がスタンバイしてくれてるらしいので職員室まで行けば大丈夫なんだけどね。
「こっちこっち~。」
悠斗と隼人は分かっているからサクサク進む。
俺と尚弥は周りの珍しい花々を眺めながら2人の後を追った。
着いたそこは…薔薇エリアだった。
色とりどりの薔薇で埋め尽くされたこのエリアは、よく見る薔薇もあれば見たこともない薔薇もある。
「凄く香る薔薇だね。」
ちょっと隼人とは違う香りかな。
「あぁ…これはコントゥ・ドゥ・シャンボールだね。これは結構育てやすいと思うよ。」
スラスラと品種名が出てくる。
凄いなぁ。
「隼人の家は薔薇の品種改良に力を入れている家なんだよ。」
悠斗が教えてくれた。
だから薔薇に詳しいのか。
「あった。」
「これだね。量も父に了解はもらってるけど、持てる範囲で…だって。」
薔薇エリアの中で、綺麗な白薔薇が沢山咲いていた。
「I am worthy of youは、白薔薇の花言葉だよ。量について…本数は自由みたいだね。悠斗…何本にする?」
俺と尚弥は分からないので完全にお任せな状態だ。
「そうだなぁ…アキラ、アキラは…俺にこの薔薇を渡すとしたら何本?直感で決めようよ。」
「分かった……じゃあ…3…かなぁ…小さい頃にお婆ちゃんから3は縁起が良いって言われてから、縁起の良い数で渡したいしな。うん、3が良い。」
「そう……なんだ…分かった。」
んん?何か悠斗の顔が赤いな…
「尚弥は…どう?俺に…何本くれるの?」
「俺は……4…かな…」
「…どうして?」
「普通4って、不吉とか言われてるよね?でも『し』も『死ぬ』とかじゃなくてポジティブに考えたら『詩』とか…四葉のクローバーも4だし。あんまり多くの数字も…ねっ。それに4って、あまり自分の周りでも意識して使われない数字だから…ちょっと…特別な感じがしたんだよね。」
「説明するのって難しいね。」と、ウフフと笑って話す尚弥。
それに対して……頬を染めて嬉しそうに微笑む隼人……何なんだ…この2人…
この中に何か喜ぶポイントがあったのか?
「じゃあ、切って持って行こうか。」
俺達はそれぞれの好きな数字の数だけ薔薇を用意し、隼人が棘もあるからとラッピング用の透明フィルムとラッピングペーパーで、まるで花屋で購入したような状態に手際良く作ってくれた。
寮に戻るとチラホラとカードの指令に対応したものをもった寮生達が戻ってきている。
お菓子は……うん、まだあるある。
「あ~、お帰りぃ~。」
手をヒラヒラさせながら四葉先輩が声を掛けてきた。
先輩、10cmヒールで平気な顔して歩いてるっ!凄ぇっ!!
「見つけた?」
「「「「はい。」」」」
「ん~…どぉれ~?」
四葉先輩がカードの内容と薔薇を見る。
「ふぅ~ん…この本数は尚弥とアキラが決めたの?……フフッ………2人共、愛されてるねぇ…」
俺と尚弥は全く分からないが、悠斗と隼人は分かってるようで2人共ビックリする程甘い顔になってる。
「俺は……こないだ聖堂で尚弥に伝えてもらいましたから…」
「それは…もう…」
悠斗、嬉しそうだけど…何が?
全く分からん!
「先輩…お菓子は明日頂きます。」
「俺も…」
分からないままに俺と尚弥はそれぞれ手を引っ張られて部屋に連れてかれてしまった。
「…?ゴメン!悠斗!!俺、全く分からないんだけどっ!」
段々と速歩きになる悠斗に声を掛ける。
「………」
いやぁぁぁ!無言怖いからぁっ!
部屋に着いてドアを閉めたと同時に悠斗に抱き締められて唇を塞がれてしまった。
「んっ…んぅっ……ハッ…んんっ!」
鼻呼吸を忘れて息をしようと口を開いた隙に悠斗の舌が入ってきた。
「んん…っ!」
背中に手を回してバンバン叩いてみるが全く通用しない。
それどころか更に深く腔内を確かめるようにねっとりと舌を絡められる。
「ふっ…クチュ…うっ……あっ…チュッ…ん…」
飲み込めない分の涎液が口の端から頬へ、そして首元へと伝う。
あ…いやだ…身体が…ゾクゾクしてきた…
「悠…斗ぉ…んんっ……薔…薇ぁ…!」
「大…丈夫…」
キスの時に下に落としたと思ってた薔薇は後で知ったが棚に置かれていたらしい。
「アキラ…」
唇から口の端へ、そして首筋へと悠斗の唇が移動する。
「や…だ…っ……ん…ハロウィン…終わって…ないぃぃっ!」
シャツを引っ張るが、胸を押して抵抗する程の効果はない。
ハロウィンは夜が楽しいんじゃないかよっ!
楽しみにしてたんだぞ!!
と、言う訳で……最終手段に出ました。
「た…」
「た…何……?」
悠斗がシャツの中に手を入れてきた。
「助…けて…お兄ちゃん…っっ!」
………あ………
あの音は…
全力疾走なあの音__
バァァァン!
「呼んだか?!兄ちゃん来たったでっ!!どうした?何があった?!」
「…助か…った…あぁ?!佐奈田さん?!アンタこそ何があったぁぁ?!」
__佐奈田さん、何か服開けてる?
「………悠斗………お前…今日はアキラ様、ハロウィン楽しみにしてるから手を出すなって言ったよなぁぁぁ…」
___あ、デジャヴ___
悠斗が正座した。
佐奈田さんが自分の髪と気崩れた服を整えながら何事も無かったようにお説教してる…今は触れない方が良さげだな。
これからハロウィンだからと、今回は30分程の説教で開放されて俺達はまたまた壊れたドアを通り過ぎて食堂に戻った。
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