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バァァァン!ミシィィッッ!!
こないだ修理したばかりのドアが、再びありえない音をたてて開く。
「ゆ~う~と~さ~まぁぁぁぁっっ!」
漫画なら口から「こぉぉぉぉ」って、煙出てんじゃないの?!
あれ?この香り…金木犀の悠斗じゃない…大人っぽい……これは…
「ハッ…!」
「ハッ…じゃねぇぇぇ!お座りぃっっ!!」
言われてバッと、正座をする悠斗。
条件反射だな。
……あ、ちょっとフラフラするけど立てる。
「………俺…言ぅたよなぁ…!好きなら無茶したアカンでってっ!お前は…何やっとんねんっ!…っ…この……アホボンがぁ!!」
おぉう…関西弁~。
あれ?この世界に関西あったっけ?
「お前の父親が母親に小さい頃から猛アタックし過ぎて俺がどんだけ苦労したか知らんやろっ?!アキラ様が召喚されてからのお前と父親がダブって嫌ぁ~な予感はしててんけど……ホンマに好きなら加減考えろってゆ~たやろ~がっ!アホがっっ!!あ~っ!もうっ!」
佐奈田さんが髪を掻き上げながらネクタイを緩めた。
「…ホントに…スミマセン…でした…」
仁王立した佐奈田さんがこめかみに血管を浮かべながら悠斗を見下ろして静かに言った。
「…謝る人……ちゃうんちゃうか…?」
俯いてた悠斗がゆっくりと顔を上げて俺の顔を見る。
「……アキラ……」
うぅっ…めちゃくちゃ潤んだ瞳で見てる!
「…ゴメン…なさい…」
心臓がキュウッとしたっ!
何これ?ギャップ萌?!
ケモ耳が見える!いや!ないけど!!
「んで、アキラ様!」
「ハイィッ!」
「アンタも嫌なら、めっちゃシバき倒して良いから思いっ切り蹴倒して逃げたれっ!お兄ちゃん心配やわっっ!!」
「スミマセンッ!」
「とにかくシャワー浴びてクソして寝てまえ!ドアにはSP置いとくわ。修理は明日手配する!返事はぁっ!!」
「「ハイッ!」」
「よっしゃっ!お休みぃっ‼」
納得した佐奈田さんはスマホを片手に部屋を出ていった。
おぉ…佐奈田さん…キレたら関西弁キャラかぁ…メインじゃねぇのに…濃いな。
静かになったリビングに悠斗と2人…気まずい…
「えっと…取り敢えず…俺もぅ寝る…」
幸い次の日が休日だったので、悠斗に声を掛けてフラフラと自分の寝室に戻ってそのまま眠りについた。
___次の日___
少し早く目が覚めてシャワーを浴びようと部屋を出たら、SPを帰してドアのチェックをしてる佐奈田さんが見えた。
「……あ、おはようございます…」
「!!」
俺に気付いた佐奈田さんは…
「この度は…大変失礼致しましたっ!申し訳……ございませんでしたぁ…っっ!!」
__リビングで朝日を浴び、それはそれは綺麗な佐奈田さんの土下座姿でございました__
「あわわわわっ!佐奈田さん!!顔を上げて下さいっ!」
こんなテレビでしか聞いた事ないセリフを自分が言うとは…
「いえ…昨日の失態は何と申し上げてよろしいのか…」
くぅっ!って、唇噛みすぎて血が出そうだよ?!
「いえ!昨日は助けて頂いてありがとうございます!!俺も油断し過ぎてましたから!」
「……それは……まぁ…そうなんですが……」
あ、そこは否定しないんだ。
「でも、主の大切な方は主と同じでございます。本当に…申し訳ございませんでしたっ!」
佐奈田さんがもう一度土下座した。
「もう良いですからっ!立って下さいよ!!」
俺に腕を引っ張られて渋々立ち上がる。
「俺ね、現実の世界で1人っ子だったんです。親や周りの愛情にも恵まれてます…でもね……お兄ちゃん…フフッ…嬉しかったなぁ。」
「…っ!それはっ!」
珍しく真っ赤になってゴニョゴニョと話始めた。
「…大変申し訳ございません…アキラ様が召喚されてご不安な中……時間を追うごとに悠斗様が…昔の旦那様にそっくりになる様は…当時を思い出しまして……注意はしていたのですが…」
「……大変…だったんでしょうねぇ……」
あの理事長のあのテンションでか…本当に…大変そうだ…
「他の人のものになるなら…と、奥様とのキスも早かった旦那様を思い出したものの……悠斗様は今までの事を考えて理性は育ってるはず!…と…」
油断したんだよねぇ……俺も……うんうん。
「アキラ様は召喚されても明るく周りにも馴染まれて、不安なお顔を見せずに…何て健気なと…庇護欲と申しますか…私は弟や妹みたいな…まぁ…私の年齢からすると子どもみたいな存在は花屋敷のお子様方ですが、アキラ様はまた違う空気をお持ちの方でしたので……勝手に…お守りしようと意気込んでおりました。」
「ありがとうございます。俺はこの世界でも大切にされてますね……悠斗は確かにあぁですが…悪いヤツじゃないし。それに……何かあったら…シバき倒して…良いんですよね?」
「はい。それはもちろんでございます!」
佐奈田さんは爽やかな笑顔で親指を立てた。
佐奈田さん、カッコいいけど…その顔は「シバき倒す」の返事の顔じゃないですね。
俺は……悠斗の事が…好き……なのかなぁ…
BLの世界だから毒されてるんだろうか…?
う~ん…分からん。
取り敢えずシャワー行こ。
考えを放棄してシャワーを浴びに行き、上着を脱いだ時に鏡に映った姿がふと見えて……鎖骨のキスマークに気付いて慄き叫ぶ俺がいた…
「いやぁぁぁっ!これ、こないだ本で見たやつぅぅぅ!!」
バァァァンッ!!
「アキラ様ぁ?!どうされましたかぁぁぁっ?!」
「ひゃぁぁぁぁ!」
俺の悲鳴に何事かと佐奈田さんが血相を変えてシャワールームの扉を……壊れたな……そして上半身裸の俺は思わず胸を隠す。
…女子か…俺…
*****************
作者より
佐奈田さんの関西弁ですが…
作者も関西育ちですが、生粋の関西人じゃないので佐奈田さんもちょっと他県と入り交じってるかもしれません。
ちなみに「ちゃうんちゃうか?」は「違うんじゃないか?」です。
佐奈田さんは仕事柄、基本標準語でお話します。
こないだ修理したばかりのドアが、再びありえない音をたてて開く。
「ゆ~う~と~さ~まぁぁぁぁっっ!」
漫画なら口から「こぉぉぉぉ」って、煙出てんじゃないの?!
あれ?この香り…金木犀の悠斗じゃない…大人っぽい……これは…
「ハッ…!」
「ハッ…じゃねぇぇぇ!お座りぃっっ!!」
言われてバッと、正座をする悠斗。
条件反射だな。
……あ、ちょっとフラフラするけど立てる。
「………俺…言ぅたよなぁ…!好きなら無茶したアカンでってっ!お前は…何やっとんねんっ!…っ…この……アホボンがぁ!!」
おぉう…関西弁~。
あれ?この世界に関西あったっけ?
「お前の父親が母親に小さい頃から猛アタックし過ぎて俺がどんだけ苦労したか知らんやろっ?!アキラ様が召喚されてからのお前と父親がダブって嫌ぁ~な予感はしててんけど……ホンマに好きなら加減考えろってゆ~たやろ~がっ!アホがっっ!!あ~っ!もうっ!」
佐奈田さんが髪を掻き上げながらネクタイを緩めた。
「…ホントに…スミマセン…でした…」
仁王立した佐奈田さんがこめかみに血管を浮かべながら悠斗を見下ろして静かに言った。
「…謝る人……ちゃうんちゃうか…?」
俯いてた悠斗がゆっくりと顔を上げて俺の顔を見る。
「……アキラ……」
うぅっ…めちゃくちゃ潤んだ瞳で見てる!
「…ゴメン…なさい…」
心臓がキュウッとしたっ!
何これ?ギャップ萌?!
ケモ耳が見える!いや!ないけど!!
「んで、アキラ様!」
「ハイィッ!」
「アンタも嫌なら、めっちゃシバき倒して良いから思いっ切り蹴倒して逃げたれっ!お兄ちゃん心配やわっっ!!」
「スミマセンッ!」
「とにかくシャワー浴びてクソして寝てまえ!ドアにはSP置いとくわ。修理は明日手配する!返事はぁっ!!」
「「ハイッ!」」
「よっしゃっ!お休みぃっ‼」
納得した佐奈田さんはスマホを片手に部屋を出ていった。
おぉ…佐奈田さん…キレたら関西弁キャラかぁ…メインじゃねぇのに…濃いな。
静かになったリビングに悠斗と2人…気まずい…
「えっと…取り敢えず…俺もぅ寝る…」
幸い次の日が休日だったので、悠斗に声を掛けてフラフラと自分の寝室に戻ってそのまま眠りについた。
___次の日___
少し早く目が覚めてシャワーを浴びようと部屋を出たら、SPを帰してドアのチェックをしてる佐奈田さんが見えた。
「……あ、おはようございます…」
「!!」
俺に気付いた佐奈田さんは…
「この度は…大変失礼致しましたっ!申し訳……ございませんでしたぁ…っっ!!」
__リビングで朝日を浴び、それはそれは綺麗な佐奈田さんの土下座姿でございました__
「あわわわわっ!佐奈田さん!!顔を上げて下さいっ!」
こんなテレビでしか聞いた事ないセリフを自分が言うとは…
「いえ…昨日の失態は何と申し上げてよろしいのか…」
くぅっ!って、唇噛みすぎて血が出そうだよ?!
「いえ!昨日は助けて頂いてありがとうございます!!俺も油断し過ぎてましたから!」
「……それは……まぁ…そうなんですが……」
あ、そこは否定しないんだ。
「でも、主の大切な方は主と同じでございます。本当に…申し訳ございませんでしたっ!」
佐奈田さんがもう一度土下座した。
「もう良いですからっ!立って下さいよ!!」
俺に腕を引っ張られて渋々立ち上がる。
「俺ね、現実の世界で1人っ子だったんです。親や周りの愛情にも恵まれてます…でもね……お兄ちゃん…フフッ…嬉しかったなぁ。」
「…っ!それはっ!」
珍しく真っ赤になってゴニョゴニョと話始めた。
「…大変申し訳ございません…アキラ様が召喚されてご不安な中……時間を追うごとに悠斗様が…昔の旦那様にそっくりになる様は…当時を思い出しまして……注意はしていたのですが…」
「……大変…だったんでしょうねぇ……」
あの理事長のあのテンションでか…本当に…大変そうだ…
「他の人のものになるなら…と、奥様とのキスも早かった旦那様を思い出したものの……悠斗様は今までの事を考えて理性は育ってるはず!…と…」
油断したんだよねぇ……俺も……うんうん。
「アキラ様は召喚されても明るく周りにも馴染まれて、不安なお顔を見せずに…何て健気なと…庇護欲と申しますか…私は弟や妹みたいな…まぁ…私の年齢からすると子どもみたいな存在は花屋敷のお子様方ですが、アキラ様はまた違う空気をお持ちの方でしたので……勝手に…お守りしようと意気込んでおりました。」
「ありがとうございます。俺はこの世界でも大切にされてますね……悠斗は確かにあぁですが…悪いヤツじゃないし。それに……何かあったら…シバき倒して…良いんですよね?」
「はい。それはもちろんでございます!」
佐奈田さんは爽やかな笑顔で親指を立てた。
佐奈田さん、カッコいいけど…その顔は「シバき倒す」の返事の顔じゃないですね。
俺は……悠斗の事が…好き……なのかなぁ…
BLの世界だから毒されてるんだろうか…?
う~ん…分からん。
取り敢えずシャワー行こ。
考えを放棄してシャワーを浴びに行き、上着を脱いだ時に鏡に映った姿がふと見えて……鎖骨のキスマークに気付いて慄き叫ぶ俺がいた…
「いやぁぁぁっ!これ、こないだ本で見たやつぅぅぅ!!」
バァァァンッ!!
「アキラ様ぁ?!どうされましたかぁぁぁっ?!」
「ひゃぁぁぁぁ!」
俺の悲鳴に何事かと佐奈田さんが血相を変えてシャワールームの扉を……壊れたな……そして上半身裸の俺は思わず胸を隠す。
…女子か…俺…
*****************
作者より
佐奈田さんの関西弁ですが…
作者も関西育ちですが、生粋の関西人じゃないので佐奈田さんもちょっと他県と入り交じってるかもしれません。
ちなみに「ちゃうんちゃうか?」は「違うんじゃないか?」です。
佐奈田さんは仕事柄、基本標準語でお話します。
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