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___.:*.:♪*:・'゜♭.:*・♪'゜。.*#:・'゜.:*♪:・'.:♪___
「リオ様、良いですね。ジルコンもかなりお上手です、講師の仕事も出来そうですね。」
「ありがとうございますっ!」
「リオが嫁いだら剣舞の講師にでもなろうかな?」
「…お前、それ冗談だよな?」
「フフッ、どうかなぁ~♪」
___シャンッ!___
微笑みながらジルコンがクルリと回る。
剣舞の講義で褒められる事が増えてきたし、本物の剣で舞ってもヒヤヒヤする事も無くなった。
ベリーに関しては本当に相性が良かったらしく、聖女としての力が高まり最近森の奥の魔物が減ってきているのもベリーの力の影響ではないかと言われている。
ジルコンはベリルがいない時に俺の相手役としていてくれるけど、今ではジルコンの方がベリルより上手になっているかもしれない。
「ベリー様もお上手になられました。本当に素晴らしいです。それでは今日はここまでとしましょう。お二人とも、お疲れ様でした。」
「はい。」
「ありがとうございます。」
「リオ、俺は帰りの準備をして来るからパウダールームで少し休んでいてくれ。」
「分かった。」
講師に挨拶をした後にジルコンは講師と共に部屋を出て行き、俺とベリーはダンスフロアのパウダールームへと移動した。
___カチャ___
「ハァ……疲れたぁ…」
「クスクス、お疲れ様です。冷たいお飲み物をどうぞ。」
「ありがとう、ラリマー。」
最近王妃付きのラリマーはベリーに付いていることが増えてきた。
聖女の力が強くなってきている分「派閥に巻き込まれる事があるかもしれない」と、モルダ様が早々に自分の警護をしているラリマーを付けたのだ。
___聖女は神殿にも貴族の派閥にも関わらせない___
……と、言うのが表向き。
実は先日モルダ様と2人きりでのお茶会で……
******* 回 想 *******
「ねぇ、リオ。ベリーにラリマーってどうなのかしら?」
「……と、申されますと?」
「実はラリマーって、今まで結婚の話をする度に逃げられてたのだけど……」
2人きりと言うので何事かと緊張していたが、ラリマーの相手にベリーはどうかと相談された。
「貴方もお気に入りみたいだけどベリルがいるから無理でしょ?今までどのご令嬢を勧めてもかわされるわ逃げられるわで心配なのよね。」
俺がベリルと婚約し、別荘の辺りから自ら進んで警護の申し出をしたそうだ。
どんな綺麗な令嬢にも見向きもせず、かと言って慕ってくる後輩の騎士達にも興味を示さないラリマーには珍しく、それを聞いたモルダ様は破顔しそうな所を堪えて冷静を装って返事をしたらしい。
…いや、多分この状態ならバレバレな気もするけどな。
「ジルコンとはどうかと思ったけど、何だか違うようだし…タイガは幼い頃からの婚約者がいて結婚はまだ先だけど決まっているわ。せっかくみんなが幸せな雰囲気になっているんだもの。ラリマーにもその波に乗ってもらいたいのよ。」
ベリーがこちらによく来るようになってからは、最初は表向きの笑顔しか見せなかったのに次第に子どもの様にベリーを揶揄ったり笑ったりしている姿を見かけたという。
まぁ、確かにラリマーは好きな子にイタズラしたいタイプみたいだけど……あちこち結婚ラッシュは良いけど、警護に支障は出ないんだろうか?
「あら、その顔……フフッ、警護の事なら大丈夫よ。タイガとラリマーがしっかりと教育してくれているから。」
ベリル様はロードが王位を継承したらタイガとラリマーを側に仕えさせようと、将来を見据えて後進の育成にも力はいれていたらしい。
ラリマーもまんざらでもなさそうだし、ベリー直属になる事を考えても今後の育成の人数が増えそうだ。
でも、その事に関して俺が言う立場ではない。
「あ…いえ…その件に関しては俺が進言する立場ではありませんので…でも、そのお話を伺えて良かったです。」
タイガとラリマーは王妃直属でも、騎士としても優秀な存在だ。
その後王位に立つロードの側近もアウィンやオニキスを含め、王族へ嫁ぐガーネットの兄としては地盤は固めて強固であってほしい。
……俺はここを離れるしな……
「でね、貴方にベリーの気持ちをそれとなく聞いてほしいのよ。」
「えぇぇ…」
「ダメ…かしら…?」
俺の両手を握り締めキラキラとした瞳で見上げてくるモルダ様は、王妃の威厳はなく1人の好奇心旺盛の少女の様だった。
「…うっ…」
「お願い…ね…?」
「…うぅぅ……分りました…」
「本当に⁈ウフフ、ありがとう!」
**************
___カチャ…___
「リオ様、どうかされましたか?」
「…あっ…ゴメン、ボ~ッとしてたかな?」
「リオ…大丈夫?最近あまり眠れてないの?」
「いや、眠れてるとは思うんだけど…」
「少し横になられますか?」
「そうねっ、私ジルコンに言ってこようか?」
「大丈夫、そこまでじゃないからっ。」
顔を上げると心配そうに俺の顔を見るベリーとラリマー。
2人共良いヤツだし、幸せになって欲しい2人だ。
モルダ様でなくてもこの2人を引っ付けたくなる気持ちは何となく分かってきた。
「…本当に大丈夫?」
「うん、大丈夫だから。」
「では、眠らないにしてももう少し休んでいって下さい。あ、ベリー…ッ様。俺っ、ジルコンに伝えてきますね。」
「んっ……ありがと…」
ん?
「ベリー様…耳元に埃が…」
「え?どこ??」
「…フフッ…こっちです。」
「ひゃっ…擽ったいっ。」
「…っ…ベリー様、その声は反則です。」
んんん??
「…ハッ…失礼しましたっ!ではリオ様、失礼しますねっ。」
「お…おぅ…」
はいぃ⁈
何だぁ、今の甘ったるい雰囲気は!
それを証拠に部屋を出ていくラリマーの頬は少し赤く、ベリーの顔は茹でたタコの様に真っ赤だった。
あんなラリマー、初めて見たよ!
ちょっと、奥さんっ!いやっ、モルダ様‼︎既にカップル成立しておりました。
今度報告しなきゃ‼︎
「リオ様、良いですね。ジルコンもかなりお上手です、講師の仕事も出来そうですね。」
「ありがとうございますっ!」
「リオが嫁いだら剣舞の講師にでもなろうかな?」
「…お前、それ冗談だよな?」
「フフッ、どうかなぁ~♪」
___シャンッ!___
微笑みながらジルコンがクルリと回る。
剣舞の講義で褒められる事が増えてきたし、本物の剣で舞ってもヒヤヒヤする事も無くなった。
ベリーに関しては本当に相性が良かったらしく、聖女としての力が高まり最近森の奥の魔物が減ってきているのもベリーの力の影響ではないかと言われている。
ジルコンはベリルがいない時に俺の相手役としていてくれるけど、今ではジルコンの方がベリルより上手になっているかもしれない。
「ベリー様もお上手になられました。本当に素晴らしいです。それでは今日はここまでとしましょう。お二人とも、お疲れ様でした。」
「はい。」
「ありがとうございます。」
「リオ、俺は帰りの準備をして来るからパウダールームで少し休んでいてくれ。」
「分かった。」
講師に挨拶をした後にジルコンは講師と共に部屋を出て行き、俺とベリーはダンスフロアのパウダールームへと移動した。
___カチャ___
「ハァ……疲れたぁ…」
「クスクス、お疲れ様です。冷たいお飲み物をどうぞ。」
「ありがとう、ラリマー。」
最近王妃付きのラリマーはベリーに付いていることが増えてきた。
聖女の力が強くなってきている分「派閥に巻き込まれる事があるかもしれない」と、モルダ様が早々に自分の警護をしているラリマーを付けたのだ。
___聖女は神殿にも貴族の派閥にも関わらせない___
……と、言うのが表向き。
実は先日モルダ様と2人きりでのお茶会で……
******* 回 想 *******
「ねぇ、リオ。ベリーにラリマーってどうなのかしら?」
「……と、申されますと?」
「実はラリマーって、今まで結婚の話をする度に逃げられてたのだけど……」
2人きりと言うので何事かと緊張していたが、ラリマーの相手にベリーはどうかと相談された。
「貴方もお気に入りみたいだけどベリルがいるから無理でしょ?今までどのご令嬢を勧めてもかわされるわ逃げられるわで心配なのよね。」
俺がベリルと婚約し、別荘の辺りから自ら進んで警護の申し出をしたそうだ。
どんな綺麗な令嬢にも見向きもせず、かと言って慕ってくる後輩の騎士達にも興味を示さないラリマーには珍しく、それを聞いたモルダ様は破顔しそうな所を堪えて冷静を装って返事をしたらしい。
…いや、多分この状態ならバレバレな気もするけどな。
「ジルコンとはどうかと思ったけど、何だか違うようだし…タイガは幼い頃からの婚約者がいて結婚はまだ先だけど決まっているわ。せっかくみんなが幸せな雰囲気になっているんだもの。ラリマーにもその波に乗ってもらいたいのよ。」
ベリーがこちらによく来るようになってからは、最初は表向きの笑顔しか見せなかったのに次第に子どもの様にベリーを揶揄ったり笑ったりしている姿を見かけたという。
まぁ、確かにラリマーは好きな子にイタズラしたいタイプみたいだけど……あちこち結婚ラッシュは良いけど、警護に支障は出ないんだろうか?
「あら、その顔……フフッ、警護の事なら大丈夫よ。タイガとラリマーがしっかりと教育してくれているから。」
ベリル様はロードが王位を継承したらタイガとラリマーを側に仕えさせようと、将来を見据えて後進の育成にも力はいれていたらしい。
ラリマーもまんざらでもなさそうだし、ベリー直属になる事を考えても今後の育成の人数が増えそうだ。
でも、その事に関して俺が言う立場ではない。
「あ…いえ…その件に関しては俺が進言する立場ではありませんので…でも、そのお話を伺えて良かったです。」
タイガとラリマーは王妃直属でも、騎士としても優秀な存在だ。
その後王位に立つロードの側近もアウィンやオニキスを含め、王族へ嫁ぐガーネットの兄としては地盤は固めて強固であってほしい。
……俺はここを離れるしな……
「でね、貴方にベリーの気持ちをそれとなく聞いてほしいのよ。」
「えぇぇ…」
「ダメ…かしら…?」
俺の両手を握り締めキラキラとした瞳で見上げてくるモルダ様は、王妃の威厳はなく1人の好奇心旺盛の少女の様だった。
「…うっ…」
「お願い…ね…?」
「…うぅぅ……分りました…」
「本当に⁈ウフフ、ありがとう!」
**************
___カチャ…___
「リオ様、どうかされましたか?」
「…あっ…ゴメン、ボ~ッとしてたかな?」
「リオ…大丈夫?最近あまり眠れてないの?」
「いや、眠れてるとは思うんだけど…」
「少し横になられますか?」
「そうねっ、私ジルコンに言ってこようか?」
「大丈夫、そこまでじゃないからっ。」
顔を上げると心配そうに俺の顔を見るベリーとラリマー。
2人共良いヤツだし、幸せになって欲しい2人だ。
モルダ様でなくてもこの2人を引っ付けたくなる気持ちは何となく分かってきた。
「…本当に大丈夫?」
「うん、大丈夫だから。」
「では、眠らないにしてももう少し休んでいって下さい。あ、ベリー…ッ様。俺っ、ジルコンに伝えてきますね。」
「んっ……ありがと…」
ん?
「ベリー様…耳元に埃が…」
「え?どこ??」
「…フフッ…こっちです。」
「ひゃっ…擽ったいっ。」
「…っ…ベリー様、その声は反則です。」
んんん??
「…ハッ…失礼しましたっ!ではリオ様、失礼しますねっ。」
「お…おぅ…」
はいぃ⁈
何だぁ、今の甘ったるい雰囲気は!
それを証拠に部屋を出ていくラリマーの頬は少し赤く、ベリーの顔は茹でたタコの様に真っ赤だった。
あんなラリマー、初めて見たよ!
ちょっと、奥さんっ!いやっ、モルダ様‼︎既にカップル成立しておりました。
今度報告しなきゃ‼︎
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