可愛くなりたい訳じゃない!

mana.

文字の大きさ
68 / 105

67

しおりを挟む
「…リオ…大丈夫か?」

「…ん…うん。」

どうしよう…俺、思った以上にベリルを好きになってるかも…

「顔色が悪いな。別荘に戻るか?」

「いや…大丈夫。」

心配しているベリルの顔を見て俺は笑顔を繕った。
そんな顔を見て、黙ってない奴がいるのを俺は忘れていた。

「リオ、こっちに来い。」

「わっ!」

ジルコンが俺を引き寄せると耳元で囁いた。

「大丈夫、心配するな。アイツがフェンリルを選ぶなら葬ってやる。リオ…ベリルをヤルなら…一言で良い…『ヤれ』と言え。」

「何言ってんのっ!ジルコンッッ⁈」

何物騒な事言ってんのかなっ⁈
それに俺を抱き締めながら、片方の手が魔力感じて異様に冷たいよ⁈

『静められよ、リオの守り人…確か、ドライアドが契約を求めている…ジルコンでしたか?』

「……あぁ…そうだ。」

『リオは…私がベリルへの思いを心配されているようだ。』

「そうなのかっ⁈」

……嬉しそうだね、ベリル。

「……違う…」

違わない。

『フフッ、違ったら…そんなお顔はされないでしょう。不安そうな…悲しそうなお顔を。』

もぅっ…俺、本当に顔に出やすいなぁ…

『ご安心下さい。主と思って仕えるつもりです、それに貴方はその主の愛しい人だ。同じくらい…大切に思っております。』

「…っ!」

落ち着いて声を聞いたら、このフェンリル…凄く美声だった。
俺もこんな声だったら良かったのに。

「リオッ!」

ベリルが慌ててジルコンから引き剥がす。

「その顔を…誰にも見せるなっ!」

どんな顔だよっ!

『契約のあかつきには、我が主と同じように大切に守らせて頂きます。』

___カァァァ…___

「もう、お前は話すのやめろ!リオはお前に渡さないからなっ!」

フェンリルは俺じゃなくてリオに心酔してる気がするんだけどなぁ。
心配しなきゃいけないのは俺の方だと思うけど。


___パタパタパタ___


『……で、お話は済んだのかな?』

「ハーピー!」

ウッカリしてた!
ハーピーとドライアドがそばにいたんだった!

『何だか…間に入れなかったので様子を伺ってましたけど…』

『面白かったね☆』

面白かったかなぁ?
フェンリルは見慣れてきたら大型犬だ。
嬉しそうに尻尾をブンブン振っている。
…風が起きて近くの精霊が飛ばされるほどだ。
うん、こう見たら可愛く見えてきた。

そして、何気にドライアドの光が輝いてる…ん?輝いてる!

「ドライアド!光が大きくなってない?」

前は輝いていたけど小さな光が、少し人の形をとっている。

『ウフフ、もう祭りの時期なので魔力も高まっているせいね。でも、祭りの間だけなの。契約をすれば人の姿になれるわ。』

「きっと綺麗なんだろうな。」

『ありがとう、リオ。あら、あちらに見えるのは…リオに少し似てるから…ガーネットね。お隣は…雰囲気を見ると、王子…ロードかしら?』

『うん、そうだね。ロードとガーネットだ。』

2人は俺達の姿を見ると走って来ようとしたが、フェンリルとドライアドの姿に即座に反応して王族モードに切り替えたようだ。

初めて見た……オーラが違う。

静かにやって来た2人は、優雅にドライアドの前で跪いた。

「お初にお目に掛かります。私の名はロードライト・ハインズ・グレンヴィルでございます。ドライアド様のお話は手紙を通して伺っております。精霊と相見える機会が無く、無作法で無ければ良いのですが…気分を害されてしまったら申し訳ございません。」

右手を胸に置き、ドライアドを見上げる。
不思議とドライアドの表情が分かるけど、微笑ましく笑っていた。

『ウフフ、良いのよ。そんなに畏まらないで。私達は精霊であって、貴方達人間の立場は関係ないわ。上でも下でもない対等であると、私達は思っているの。それにお隣の国のベリルだって対等に話しているわ。だから、いつものみんなに見せる貴方で良いのよ。』

「ありがとうございます。」

「失礼致します。私はヘリオドール・フォスターの妹、ガーネット・フォスターと、申します。宜しくお願い致します。」

うわぁ…ガーネット…そんな綺麗なカーテシーが出来たんだ。
最初はあんなフラフラだったのに…ちょっと感動して涙出てきた。

___パタパタ…___

『あっ、リオ。泣いてる~♪』

「ハーピーッ。」

「ハーピー⁉」
「兄様⁉そう言えば、ハーピーと契約するのよね!」

敬語はいらないと遠回しに言われて切り替えの早い2人。
早速好奇心旺盛のいつもの2人に戻っていた。

「あ、うん。手紙に書いた、学園の鳥だよ。」

「この子が…」
「少し…大きくなったか………横が。」

『失礼ねっ!鳥は羽根で膨らむから実際は細いもんっ!』

いや…確かに横にぽっちゃりだよ、ハーピー。
肩に乗ってリラックスする姿…白い真ん丸はさながら大福餅。

「ロードとガーネットが妖精の庭を作ったら………」

___フワッ…___

「いや、作らなくても精霊達が歓迎してるし、契約出来るんじゃないかな。」

精霊達の光が1つ、また1つとロードとガーネットの周りを回っている。
いくつかの精霊がガーネットの髪に留まって、まるで輝く髪飾りのようになっていた。

「え~っ、作りたいわ!だって、ドールハウスで使わなくなったものを沢山持ってきたもの!」

「馬車の中でガーネットは色々と考えていたんだ。それを無くすのは可哀想だろ?」

『じゃあ、精霊達と作ったら?』

「あら、作れるの?」

『置いて欲しいものを選んでもらったら良いんだよ。』

「そうなのね!ウフフ、あなた達…協力してくれる?」

ガーネットが周りにいる精霊達に声を掛けると、嬉しそうに集まって行った。

「アハハッ、楽しいわっ♪みんな、宜しくねっ。」

さっきまで妃教育をフルに発揮していたガーネットが子どものように笑ってはしゃいでいる。
実際、俺達はまだまだ子どもだもんな。
ここでは王宮とか関係はないから、普段から頑張ってるガーネットには良い気分転換になりそうだ。

あとは契約…

契約!そうだったぁ‼
契約は名前を決めるんだっけ?今のままだとシロとか…大福になるっ。

俺は心の中で頭を抱えながら、優雅に楽しそうに踊るガーネットを見守っていた。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

転生したようだけど?流れに身を任せていたら悪役令息?として断罪されていた――分からないまま生きる。

星乃シキ
BL
発作の後に目覚めたら、公爵家嫡男の身体だった。 前世の記憶だけを抱えたまま生きるレイは、ある夜、男の聖女への嫌がらせの罪で断罪される。 だが図書室の記録が冤罪を覆す。 そしてレイは知る。 聖女ディーンの本当の名はアキラ。 同じ日本から来た存在だった。 帰りたい聖女と、この身体で生きるレイ。 秘密を共有した二人は、友達になる。 人との関わりを避けてきたレイの人間関係が、少しずつ動き始める。

【完結】悪役令息の伴侶(予定)に転生しました

  *  ゆるゆ
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、反省しました。 BLゲームの世界で、推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑) 本編完結しました! おまけのお話を時々更新しています。 きーちゃんと皆の動画をつくりました! もしよかったら、お話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。 インスタ @yuruyu0 絵もあがります Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます プロフのwebサイトから両方に飛べるので、もしよかったら! 本編以降のお話、恋愛ルートも、おまけのお話の更新も、アルファポリスさまだけですー! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

魔法学園の悪役令息ー替え玉を務めさせていただきます

オカメ颯記
BL
田舎の王国出身のランドルフ・コンラートは、小さいころに自分を養子に出した実家に呼び戻される。行方不明になった兄弟の身代わりとなって、魔道学園に通ってほしいというのだ。 魔法なんて全く使えない抗議したものの、丸め込まれたランドルフはデリン大公家の公子ローレンスとして学園に復学することになる。無口でおとなしいという触れ込みの兄弟は、学園では悪役令息としてわがままにふるまっていた。顔も名前も知らない知人たちに囲まれて、因縁をつけられたり、王族を殴り倒したり。同室の相棒には偽物であることをすぐに看破されてしまうし、どうやって学園生活をおくればいいのか。混乱の中で、何の情報もないまま、王子たちの勢力争いに巻き込まれていく。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

竜帝陛下の愛が重すぎて身代わりの落ちこぼれ薬師は今日も腰が砕けそうです 〜呪いを解いたら一生離さないと宣言されました〜

レイ
BL
「死ぬ覚悟はできています。でも、その前に……お口、あーんしてください」 魔力を持たない「無能」として実家で虐げられていた薬師のエリアン。 彼に下されたのは、触れるものすべてを焼き尽くす「死の竜帝」ヴァレリウスへの、身代わりの婚姻だった。

処理中です...