46 / 105
45
しおりを挟む
___旅行当日___
「行ってらっしゃい、楽しんできてね。」
「行ってらっしゃい、頑張ってね!」
「行ってらっしゃいませ、お土産話を楽しみにしております!」
…パール、ベリー…ガッツポーズをやめてくれ。普通に見送れんのか?
3人に見送られて、俺は別荘へ向かった。
ベリルは準備があるとかで先に行っていたので、俺は別荘へ向かう先々でワインや美味しいものを買って行くことにした。
「ジルコンの寝る場所は別棟なのか?」
「あぁ、今回従者専用の棟が護衛騎士でいっぱいでな。俺だけ来客用の棟に寝かせてもらうことになった。何だか贅沢だな。」
「良いんじゃないか?元々お前も貴族なんだしさ。」
「まぁなぁ…でも、俺寝るだけだしさ…良いんだけどねぇ。あ、そのワインならお前も飲めるだろ。」
ジルコンがポリポリと頭をかきながら苦笑いして話題を逸らされた。
「そう?じゃあ、これと…あとこれかな。俺…あれからどうにか1杯じゃ酔わないように練習したけど、普通のワインとかじゃやっぱり酔っちゃうんだよなぁ。」
酒の失敗を反省して色々と飲んだのだが…どんだけ練習しても下戸は下戸だった。
せめて酒を楽しむレベルは欲しいんだけどなぁ…この国もベリルの国もノンアルコールワインが凄く美味いってことは酒も美味いよな。
俺にはせいぜいこの度数の弱いワインが精一杯。
いや…これも美味いけどさ…
「あ、今回精霊の加護を受けてる森のそばの別荘だろ?どうせなら、精霊か妖精の契約に挑戦してみないか?」
「え、俺でも契約出来るの?」
「あぁ、お前は好かれると思うよ。俺もちょうど契約したかったし、時間があればしても良いかもな…ま、王子次第だけどな。」
「じゃぁ、ベリルに相談してみるよ!」
王子次第って、ベリルも精霊や妖精を見たいに決まってんだろう?
ワインを買った後に酒のつまみになるものも買って昼過ぎに別荘に着いた。
「リオ!」
「ベリル。」
別荘へ着くと屋敷では知っている護衛の騎士の人達が手を振ってくれる。
あ、ラリマーさんだ。
「ロードがお前が別荘で過ごし易いように、知ってる人間をこちらに寄越してくれた。」
「そうなんだ。」
確かに、知らない人に囲まれるより知ってる人間の方がリラックス出来る。
警護に来てくれたみんなは俺が王宮で剣術の訓練を受ける時に一緒にやっている人ばかりだった。
「リオ様、お久し振りです!」
「元気にしてましたか?」
「おぉ、リオ様!お疲れ様っス!」
あちこちから声が掛かる。
わぁ、みんな元気そうだな……くそぅ…逞しくなって…あ、アイツの腕の筋肉っ…なかなか付かないって言ってたのにぃっ!
「おぅ!今回よろしく……んっ、ベリル?」
みんなに返事をしていたら、後ろからベリルに引き寄せられた。
「……もう、返事するな…行くぞ。」
「ん…うん?」
どうした?ベリルだって一緒に訓練してる仲間なのに。
俺は荷物をジルコンに任せてベリルに手を引かれるまま移動した。
「まずは…疲れただろうから……」
「わぁ…」
連れて来られたのは、神殿風の露天風呂だった。
「ここは精霊の森の中の別荘で基本的に護衛は建物の外に配置している。だから…俺達2人きりだ…って、聞いてないな。」
「わぁ…!」
お風呂…確かに屋敷にもあるよ?でも、露天風呂!何年振り⁈
「服を脱いで…って…もう脱いだのか⁈」
「え、お風呂でしょ⁈脱がなきゃ入れないじゃんっ!」
家のお風呂も足を伸ばせるけど、ここは泳げるくらいに広いお風呂!
しかも景色…最高‼︎
俺は身体を軽く洗って風呂に入った。
___チャプン___
「…っ…カァァァア…♡天っ…国…っっ!気持ち良い~!」
___パシャ___
「ん、何?あ、このバラの花びら…もしかしてベリルが用意してくれたの?フフッ…良い香りだね♪身体に擦り付けたら…香りが移るかなぁ…」
「…っ、リオッ…」
「どうしたの?ベリル、顔が赤いよ?」
香水は項、手首だっけ?
少し後ろの髪を上げて項にバラの花びらを軽く擦ると、大人っぽいバラの香りが俺を包んだ。
「いや…何でもない。それより、バラは気に入ってくれたか?」
「うん!俺の大好きなピンクの薔薇を入れてくれたんだ。ありがとな、ベリル。」
たくさんの綺麗なバラの花びらがお風呂一面に広がる。
欲を言えば…本当は桜の花びらで見たかったかもなぁ…
この世界で桜を見たことがない。
この風呂で、ベリルと一緒に日本酒を飲みながら桜を愛でたら…すごく楽しいんだろうな…
「リオ、どうした?」
「ううん、何でもない。ここ、凄く景色が綺麗だよな。」
「あぁ…精霊の加護のお陰か、動物達も穏やかで植物もよく育つ。森の木々は程良い木漏れ日を作り、心地良い風も通る。」
___ピピ…___
あれ?何か知ってる声がしたけど…
学園でたまに見るあの鳥がこんなところにいるわけないよな。
似た鳥でもいるんだろ。
「このお湯は長旅の疲れも取ってくれるし、美肌にも良いそうだ。」
「ガーネットにオススメだな。帰ったら言っとこ…って、入れ違いだから無理か。」
「それは、手紙でも良いんじゃないか?」
「フフッ、そうだな。手紙にするか。」
「リオ…」
___パシャン!___
「わぁっ。」
ベリルが俺を引き寄せた時に大きな飛沫が上がった。
「…愛してる…」
「…俺も…ん…」
元々ベリルは力がある方だが、水の浮力で更に軽々と膝の上に乗せられて抱き締めてキスをされる。
「…プハッ…ベリルッ…来て早々…お風呂じゃ…ちょっと…」
「…何…チュッ…誰も見てないのに…チュ」
「俺…抱かれる…んっ…ためだけ…にっ…ここに来たんじゃ…あっ…ないっ…っ。」
俺はどうにか身体を捩りながらベリルを宥め…
「逆上せたら抱かれないからなっ!」と言ったら、すんなり離れてくれた。
「行ってらっしゃい、楽しんできてね。」
「行ってらっしゃい、頑張ってね!」
「行ってらっしゃいませ、お土産話を楽しみにしております!」
…パール、ベリー…ガッツポーズをやめてくれ。普通に見送れんのか?
3人に見送られて、俺は別荘へ向かった。
ベリルは準備があるとかで先に行っていたので、俺は別荘へ向かう先々でワインや美味しいものを買って行くことにした。
「ジルコンの寝る場所は別棟なのか?」
「あぁ、今回従者専用の棟が護衛騎士でいっぱいでな。俺だけ来客用の棟に寝かせてもらうことになった。何だか贅沢だな。」
「良いんじゃないか?元々お前も貴族なんだしさ。」
「まぁなぁ…でも、俺寝るだけだしさ…良いんだけどねぇ。あ、そのワインならお前も飲めるだろ。」
ジルコンがポリポリと頭をかきながら苦笑いして話題を逸らされた。
「そう?じゃあ、これと…あとこれかな。俺…あれからどうにか1杯じゃ酔わないように練習したけど、普通のワインとかじゃやっぱり酔っちゃうんだよなぁ。」
酒の失敗を反省して色々と飲んだのだが…どんだけ練習しても下戸は下戸だった。
せめて酒を楽しむレベルは欲しいんだけどなぁ…この国もベリルの国もノンアルコールワインが凄く美味いってことは酒も美味いよな。
俺にはせいぜいこの度数の弱いワインが精一杯。
いや…これも美味いけどさ…
「あ、今回精霊の加護を受けてる森のそばの別荘だろ?どうせなら、精霊か妖精の契約に挑戦してみないか?」
「え、俺でも契約出来るの?」
「あぁ、お前は好かれると思うよ。俺もちょうど契約したかったし、時間があればしても良いかもな…ま、王子次第だけどな。」
「じゃぁ、ベリルに相談してみるよ!」
王子次第って、ベリルも精霊や妖精を見たいに決まってんだろう?
ワインを買った後に酒のつまみになるものも買って昼過ぎに別荘に着いた。
「リオ!」
「ベリル。」
別荘へ着くと屋敷では知っている護衛の騎士の人達が手を振ってくれる。
あ、ラリマーさんだ。
「ロードがお前が別荘で過ごし易いように、知ってる人間をこちらに寄越してくれた。」
「そうなんだ。」
確かに、知らない人に囲まれるより知ってる人間の方がリラックス出来る。
警護に来てくれたみんなは俺が王宮で剣術の訓練を受ける時に一緒にやっている人ばかりだった。
「リオ様、お久し振りです!」
「元気にしてましたか?」
「おぉ、リオ様!お疲れ様っス!」
あちこちから声が掛かる。
わぁ、みんな元気そうだな……くそぅ…逞しくなって…あ、アイツの腕の筋肉っ…なかなか付かないって言ってたのにぃっ!
「おぅ!今回よろしく……んっ、ベリル?」
みんなに返事をしていたら、後ろからベリルに引き寄せられた。
「……もう、返事するな…行くぞ。」
「ん…うん?」
どうした?ベリルだって一緒に訓練してる仲間なのに。
俺は荷物をジルコンに任せてベリルに手を引かれるまま移動した。
「まずは…疲れただろうから……」
「わぁ…」
連れて来られたのは、神殿風の露天風呂だった。
「ここは精霊の森の中の別荘で基本的に護衛は建物の外に配置している。だから…俺達2人きりだ…って、聞いてないな。」
「わぁ…!」
お風呂…確かに屋敷にもあるよ?でも、露天風呂!何年振り⁈
「服を脱いで…って…もう脱いだのか⁈」
「え、お風呂でしょ⁈脱がなきゃ入れないじゃんっ!」
家のお風呂も足を伸ばせるけど、ここは泳げるくらいに広いお風呂!
しかも景色…最高‼︎
俺は身体を軽く洗って風呂に入った。
___チャプン___
「…っ…カァァァア…♡天っ…国…っっ!気持ち良い~!」
___パシャ___
「ん、何?あ、このバラの花びら…もしかしてベリルが用意してくれたの?フフッ…良い香りだね♪身体に擦り付けたら…香りが移るかなぁ…」
「…っ、リオッ…」
「どうしたの?ベリル、顔が赤いよ?」
香水は項、手首だっけ?
少し後ろの髪を上げて項にバラの花びらを軽く擦ると、大人っぽいバラの香りが俺を包んだ。
「いや…何でもない。それより、バラは気に入ってくれたか?」
「うん!俺の大好きなピンクの薔薇を入れてくれたんだ。ありがとな、ベリル。」
たくさんの綺麗なバラの花びらがお風呂一面に広がる。
欲を言えば…本当は桜の花びらで見たかったかもなぁ…
この世界で桜を見たことがない。
この風呂で、ベリルと一緒に日本酒を飲みながら桜を愛でたら…すごく楽しいんだろうな…
「リオ、どうした?」
「ううん、何でもない。ここ、凄く景色が綺麗だよな。」
「あぁ…精霊の加護のお陰か、動物達も穏やかで植物もよく育つ。森の木々は程良い木漏れ日を作り、心地良い風も通る。」
___ピピ…___
あれ?何か知ってる声がしたけど…
学園でたまに見るあの鳥がこんなところにいるわけないよな。
似た鳥でもいるんだろ。
「このお湯は長旅の疲れも取ってくれるし、美肌にも良いそうだ。」
「ガーネットにオススメだな。帰ったら言っとこ…って、入れ違いだから無理か。」
「それは、手紙でも良いんじゃないか?」
「フフッ、そうだな。手紙にするか。」
「リオ…」
___パシャン!___
「わぁっ。」
ベリルが俺を引き寄せた時に大きな飛沫が上がった。
「…愛してる…」
「…俺も…ん…」
元々ベリルは力がある方だが、水の浮力で更に軽々と膝の上に乗せられて抱き締めてキスをされる。
「…プハッ…ベリルッ…来て早々…お風呂じゃ…ちょっと…」
「…何…チュッ…誰も見てないのに…チュ」
「俺…抱かれる…んっ…ためだけ…にっ…ここに来たんじゃ…あっ…ないっ…っ。」
俺はどうにか身体を捩りながらベリルを宥め…
「逆上せたら抱かれないからなっ!」と言ったら、すんなり離れてくれた。
0
お気に入りに追加
376
あなたにおすすめの小説
俺、転生したら社畜メンタルのまま超絶イケメンになってた件~転生したのに、恋愛難易度はなぜかハードモード
中岡 始
BL
ブラック企業の激務で過労死した40歳の社畜・藤堂悠真。
目を覚ますと、高校2年生の自分に転生していた。
しかも、鏡に映ったのは芸能人レベルの超絶イケメン。
転入初日から女子たちに囲まれ、学園中の話題の的に。
だが、社畜思考が抜けず**「これはマーケティング施策か?」**と疑うばかり。
そして、モテすぎて業務過多状態に陥る。
弁当争奪戦、放課後のデート攻勢…悠真の平穏は完全に崩壊。
そんな中、唯一冷静な男・藤崎颯斗の存在に救われる。
颯斗はやたらと落ち着いていて、悠真をさりげなくフォローする。
「お前といると、楽だ」
次第に悠真の中で、彼の存在が大きくなっていき――。
「お前、俺から逃げるな」
颯斗の言葉に、悠真の心は大きく揺れ動く。
転生×学園ラブコメ×じわじわ迫る恋。
これは、悠真が「本当に選ぶべきもの」を見つける物語。

今世はメシウマ召喚獣
片里 狛
BL
オーバーワークが原因でうっかり命を落としたはずの最上春伊25歳。召喚獣として呼び出された世界で、娼館の料理人として働くことになって!?的なBL小説です。
最終的に溺愛系娼館主人様×全般的にふつーの日本人青年。
※女の子もゴリゴリ出てきます。
※設定ふんわりとしか考えてないので穴があってもスルーしてください。お約束等には疎いので優しい気持ちで読んでくださると幸い。
※誤字脱字の報告は不要です。いつか直したい。
※なるべくさくさく更新したい。
乙女ゲームが俺のせいでバグだらけになった件について
はかまる
BL
異世界転生配属係の神様に間違えて何の関係もない乙女ゲームの悪役令状ポジションに転生させられた元男子高校生が、世界がバグだらけになった世界で頑張る話。
君に望むは僕の弔辞
爺誤
BL
僕は生まれつき身体が弱かった。父の期待に応えられなかった僕は屋敷のなかで打ち捨てられて、早く死んでしまいたいばかりだった。姉の成人で賑わう屋敷のなか、鍵のかけられた部屋で悲しみに押しつぶされかけた僕は、迷い込んだ客人に外に出してもらった。そこで自分の可能性を知り、希望を抱いた……。
全9話
匂わせBL(エ◻︎なし)。死ネタ注意
表紙はあいえだ様!!
小説家になろうにも投稿

【完結】試練の塔最上階で待ち構えるの飽きたので下階に降りたら騎士見習いに惚れちゃいました
むらびっと
BL
塔のラスボスであるイミルは毎日自堕落な生活を送ることに飽き飽きしていた。暇つぶしに下階に降りてみるとそこには騎士見習いがいた。騎士見習いのナーシンに取り入るために奮闘するバトルコメディ。
【完結・ルート分岐あり】オメガ皇后の死に戻り〜二度と思い通りにはなりません〜
ivy
BL
魔術師の家門に生まれながら能力の発現が遅く家族から虐げられて暮らしていたオメガのアリス。
そんな彼を国王陛下であるルドルフが妻にと望み生活は一変する。
幸せになれると思っていたのに生まれた子供共々ルドルフに殺されたアリスは目が覚めると子供の頃に戻っていた。
もう二度と同じ轍は踏まない。
そう決心したアリスの戦いが始まる。
【完結】悪役令息の従者に転職しました
*
BL
暗殺者なのに無様な失敗で死にそうになった俺をたすけてくれたのは、BLゲームで、どのルートでも殺されて悲惨な最期を迎える悪役令息でした。
依頼人には死んだことにして、悪役令息の従者に転職しました。
皆でしあわせになるために、あるじと一緒にがんばるよ!
本編完結しました!
『もふもふ獣人転生』に遊びにゆく、舞踏会編、はじめましたー!
他のお話を読まなくても大丈夫なようにお書きするので、気軽に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる