可愛くなりたい訳じゃない!

mana.

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___翌日___

おっほぉ…朝日が眩しいぜ…
結局一睡も出来なかった。

ガーネットへの硝子細工の土産はベリルの母上にも選んだ切子グラスにした。
夫婦茶碗みたく将来の夫婦グラスだ。
今はノンアルコールカクテルでも、将来は美味い酒を2人で飲めたら良いだろう。
結婚祝いにはもっと良いのを贈ったら良いしな。
家に帰って限定の鳥の小物入れの蓋を開けたら、中に俺が気になっていたとんぼ玉が2つも入っていた。
ジルコンに相談したら、それを使って防御の加護を与えるからと持って行かれたけど。
薄いブルーの小物入れは、結局ベリルに渡して俺はピンクをもらった。
告白前に「折角だから、やっぱり今日の記念に…お揃いで持ってようぜ。」って言ったんだけど…言わなきゃ良かった…

俺は可愛いものが好きだ。
可愛い女の子が好き。コーラルを女の子にしたみたいな感じ。
フワフワして柔らかくて…可愛い声で…可愛いものが好きで……でも、コーラルは1人の人間として好きだけど…恋愛になると、友情以上の感情はない。
可愛いもの好きだから一緒に店巡りしようとは話してるし…理想そのまんまなんだけどなぁ。
何でだろ?男だから?
いやいや、今はコーラルのことじゃなくてベリルのことだろう。

「はぁ…」

___コンコン___

「リオ、起きて…るな。大丈夫か?」

「……もうパンク寸前……ジルコン、気付いてたの?」

ジルコンには帰った時に防御魔法を掛けた石が1つ欠けたこともあって、寝る前に少し話をしている。

「気付かなかったのはお前とベリル様くらいだろ。」

___バァンッ!___

「おっはようございまぁすっ♡リオ様っ!昨日はバタバタして聞けませんでしたから、ガーネット様のお世話も終わりましたのでやって参りましたぁ!」

「おぉ…おはよ、パール。朝からテンション高いな。」

「えぇっ!前から可愛いリオ様には可愛い令嬢よりカッコイイ令息が…と、思っておりましたけど、まさか隣国王子だなんて…さぁ、教えて!さぁ、語って!!さぁ、包み隠さず言えぇぇぇ!!!」

「いやぁぁぁっ!怖いぃっ!!」

何だこの感じ、怖いぃっっ!

「妄想の列車を止めろ馬鹿者!誰かいないか⁉」

グイグイ来られたパールを走ってきた使用人達が引きずるように連れて行った。

「…ハァ…食われるかと思った…」

「リオ。」

「ん?」

「これ、今付けてるネックレスと交換だ。」

今まで付けていたネックレスを戻すように言われたので外してジルコンに渡すと、代わりに昨日買ったとんぼ玉が通されたブレスレットを渡された。

「これ…」

「同じように防御の加護を付けといた。ついでにガラス強化の魔法も使ったから、普通のとんぼ玉より硬いから気にせず使え。」

とんぼ玉の間に俺の瞳の色の赤い石があった。
ん?昨日見たとんぼ玉よりキラキラしてる気がする。

「あ、ちょっと魔法でキラキラした感じになってると思う。」

うん。可愛いが増して良い感じだ♪

「ありがとう。」

「おぅ。今日は学園行けそうか?」

「あ~…うん、多分。大丈夫だろ。」

俺は朝食を済ませた所にロードが迎えにやって来た。

「…おはよう、ガーネット…♡」
「おはよう、ロード…♡」

ガーネットとロードがいつもの朝の挨拶をしている横で、俺達はモジモジと固まっていた。

「……お…おはよう…リオ…」

「おおお…おはよ!ベリリュッ!」

そうだよな!ロードと同じ王宮から、ベリルも来るよな。そうだっ、毎日来てた!

「はぁぁぁあああんっ!尊っ死ぃっっ!!」

「うるさい、パール。さぁ、遅刻するぞ。」

遠くにいるはずのパールの叫び声と、ジルコンの声で我にかえる。

「行ってくるっ!」

学園までのラブラブカップルに当てられながら、俺達は沈黙で学園へと向かっていった。

学園へ着いた時、俺はほんの少し馬車に酔ってしまった。
いつもは景色を見ながらみんなで話していたのに、今日は睡眠不足に食事も十分に取れてなくて下を向いていたからだろうか?

「リオ、大丈夫か?」

馬車から降りる時に、俺の手を取ったベリルが心配そうに声を掛けてきた。

「大丈夫、ちょっと酔っただけ。昨日可愛いものを買ったからテンション上がって眠れなくてさ。あ、遅くなってゴメン!昨日硝子の小物の中にこれが入ってた、ありがとう。」

チャラ…と、腕に付けたブレスレットのとんぼ玉をベリルに見せた。

「早速付けてくれたんだな…嬉しい。」

ベリルに手を添えられてブレスレットを嬉しそうに眺められて、思わす昨日を思い出す。
わわわっ…顔が…熱い…

「どうした?やっぱり…辛いか?救護室に行くか?」

「だだ…大丈夫っ!」

「しんどくなったら言えよ。」

「うん!」

しんどくなるのはすぐだった。

___ドサッ!___

「リオッ!!」

俺は初めてのロードとベリルを含んだ合同剣術の最中に倒れたらしい。



*****************



「……あれ…ここは…」

「…っ…目覚めたか。」

そばで、ベリルの声が聞こえる。

「ベリル…?」

「ここにいる。大丈夫か?お前、倒れたんだぞ?」

ベリルが俺の前髪を横に流して熱を図った。

「ゴメン、授業サボらせたな。」

「授業よりお前の方が大事だ。」

「フフッ、お前の分をロードが扱かれるじゃん。」

「フッ、それも良いだろうな。ガーネット嬢に行く愛情も少しは落ち着くだろうさ。」

「アハハ、それはそうかもな。」

今日のあの2人を見ると…学園1年目というのに、来年には結婚して再来年には子どもが出来そうな勢いだ。

「…ジルコンを呼ぼうか?」

「うん。今日は帰る。」

ちょっと眠いし…今はちょっと…考えたい。
ゆっくりと眠気がやって来る。
心地良い風、心地良いベッド…

「帰らなきゃ…」

「そうだな。ジルコンに運んでもらえ。」

「俺は…子どもじゃ…ないんだぞ。」

ヤバい…本当に眠くなってきた。

「じゃあ、俺がジルコンを呼んでくるから起こしてもらえよ。寝ときな。」

「ん…絶対起こすように言えよ。」

まぶたを開けるのもしんどくなってきた。

「フフッ、分かったよ。」

「絶対…だからなぁ~…」

「お休み…」


___チュ…___


意識が無くなる寸前、唇に柔らかいものが当たった。
ベリルが顔まで布団を掛けたなぁ…全く、過保護め。
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