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城下の噴水広場では、チラホラと王宮でもしっているラフな服装の騎士の人達がいた。
比較的顔の穏やかな面子を集めたのか、ラフな服装で結構普通の人に溶け込んで、傍から見ると観光客のようだ。
何で分かるって?王宮の剣術で何度か会ってる人達もいるんだよね~。
「わぁ…大きいな。」
「うん。結構大きいだろ?」
転生前の大昔にやっていた映画の何処かの国の休日ってタイトルだったか…お忍びで街にいった王女様が一般人と恋をする…だったかな?
記憶が曖昧だけど。
ここはその場所によく似ていた。
この噴水もコインを投げる風習がある。
「後ろ向きに立って硬貨を投げると願いが叶うんだよ。」
「…モルダ様から聞いたのとは、ほんの少し違うな。」
「そう?」
「あ、あの水飲み場で水は飲めないのか?」
「『愛の水』だな。水を飲んだ恋人や夫婦は永遠に別れることなく、幸せになれるって言われてんだって。俺達は恋人同士じゃないし、今飲むのはお前の将来の婚約者に悪いだろ?俺、可愛い婚約者が出来たら一緒に飲むんだ~♪」
「…そうか…」
残念そうにベリルがシュンとした。
「お前なら男女どちらでも可愛い婚約者に恵まれそうだし、決まったらまたここに来たら良いんじゃないか?モルダ様とダイヤ様は婚約者時代にここに来て飲んだらしいぞ。」
「…決まったらな。」
「そんなに喉が乾いたなら、何か買ってこようか?」
「いや…違っ…!」
「あ、今日は暑いよな。飲み物じゃないけど、オススメのアイス買ってくるっ。」
俺は噴水広場のそばに出店していたアイスクリームの店に行ってベリルの分と2つ買って戻り、木陰のベンチに腰掛けた。
「ここに座って食べようぜ。」
暑い日にはアイスは格別だよな~♪
「ん、美味い。」
「だろ?俺、ここのアイスは昔から好きなんだよ。」
覚醒前の記憶だが、親に小さな頃に連れて行ってもらって初めて食べたこのアイスの味はしっかりと残っているほど俺は大好きだ。
アイスを食って、一息着いたらコインを投げて…って、今でも街へ出るとやっちゃうんだよな。
「なぁ、コインは持ってきたか?」
「あぁ。」
「じゃぁ、こっち行こうぜ。」
ベリルが食べ終わったのを確認して噴水広場に戻ってくると少し人が空いていたので、俺は見本を見せてからベリルにも勧めてみた。
「そうそう…後ろを向いて…ハイッ、投げる!」
「…っと、こうかっ?」
___カンッ!……ポチャンッ!___
おぅ!ベリルが後ろを向いてて良かったぜ!
投げたコインが軌道を逸れてるのを見て、警護の騎士の1人が剣の鞘で噴水へと弾いてくれたっ!
「……カンッ…?」
「あ~、無事入ったみたいだぞ。良かったなぁ。」
「じゃぁ、行こ「いや、もう1枚投げたい。」」
「ん、もう1枚?」
「うん、もう1枚。」
ニッコリ笑ってベリルがすでにコインを手に持っていた。
「何か変な音したしな。今度は変な所に当たらずに入れたいから。」
そっか、騎士がフォローしたのは気付かなかったんだろうけど、何処かに当たったのは気付いたんだな。
「確かになぁ~、分かるっ。俺もそうだった。じゃあ、何なら何回でも良いぞ。投げるか♪」
「フッ、次の1回で良いよ。じゃあ、投げるか。」
___ヒュッ!ポチャン!___
早ぇぇ……コインが見えなかった……
無事入って良かったけど、騎士の人達も見失ってフォローできなかったぞ。
「この噴水は願いが叶う者が多いのか?」
「あ~…どうだろ?まぁ…叶ってるのかなぁ…」
俺は、可愛いを沢山吸収できますようにって、覚醒してからよく願っているけど……
「ん~…俺は…叶ってる…かな?」
限定の可愛いものを結構ゲット出来てるし。
「そうか。」
「どうした?何か叶えたい願いでもあるのか?」
「いや、まだハッキリとしてないんだが…今日で分かりそうだ。」
穏やかに笑うベリルは最近少し大人な顔になっていて、俺はちょっとズルいと思った。
「次は、お前の気になっている硝子工房に行こうか。」
「行って良いのか?行ったらしばらく動かねぇぞ?」
「良いよ。硝子細工はこの国の特産でもあっただろ?ベリル様に見せて頂いた硝子細工は、ウチの銀細工に負けないくらい素晴らしいものだった。お前の好きな店でぜひ買いたいと思ってな。お前に選んで欲しい。」
「そうか?俺で良ければ喜んで。」
ガラス工房は噴水広場の近くにあったのですぐに到着した。
工房自体は暑いが、商品を置いている部屋はひんやりとしている。
___チリンチリン…___
「こんにちは~。」
「いらっしゃいませ…あら?今日はお連れ様も一緒………ハッ!」
店員のローズが肩に精霊を乗せて出迎えてくれた。
「もしかして……キャァッ♡おめでとうございます!」
「…って、違うからねっ!」
ハイテンションに勘違いするローズに俺は叫んでしまった。
「あまりにお似合いで勘違いしちゃいました。いらっしゃいませ…えっと…」
「初めまして。私は隣国からやってきたベリルと申します。以後、お見知りおきを。」
「……隣国…ベリル…ハッ!!もしかして王子様っっ⁉いやぁぁぁ!誠に、申し訳ございませんっ!!」
「アハハ、大丈夫ですよ。この国にはイチ留学生としてやって来ました。警備の関係で王宮にお世話になっていますが、俺にはこのリオ同様に対応して下さい。」
「……リオさ~ん…」
「フフ、良いんじゃない?ベリルもそう言ってんだし。俺も最初は少し緊張したけど、今はこうだよ?」
「最初は?…今は?」
「フフッ、どうだろうな。」
ベリルが俺の腰に手を回して聞いてくる。
スキンシップの好きなヤツのようで、最近やたらと触ってくる。
最初は驚いたけど、今は慣れてきた。
「……ねぇ、リオさん…本当に婚約者とかじゃ無いの?」
「ん、仲の良い友達だよ?なっ、ベリル!」
「……そうだな。」
「ほら、ローズもこんなこと聞くからベリル困ってんじゃん。あ、そうそう!例の限定の細工ある?」
俺とベリルの話しを早々に切り上げて、限定の硝子細工について聞いた。
「フフッ、鳥の細工ね。来ると思ってこっそり取っておいたわ。じゃぁ、裏に取りに行くから他の商品を見て待っててくれるかしら?」
「了解!」
ローズが限定商品を取りに裏へ行った。
比較的顔の穏やかな面子を集めたのか、ラフな服装で結構普通の人に溶け込んで、傍から見ると観光客のようだ。
何で分かるって?王宮の剣術で何度か会ってる人達もいるんだよね~。
「わぁ…大きいな。」
「うん。結構大きいだろ?」
転生前の大昔にやっていた映画の何処かの国の休日ってタイトルだったか…お忍びで街にいった王女様が一般人と恋をする…だったかな?
記憶が曖昧だけど。
ここはその場所によく似ていた。
この噴水もコインを投げる風習がある。
「後ろ向きに立って硬貨を投げると願いが叶うんだよ。」
「…モルダ様から聞いたのとは、ほんの少し違うな。」
「そう?」
「あ、あの水飲み場で水は飲めないのか?」
「『愛の水』だな。水を飲んだ恋人や夫婦は永遠に別れることなく、幸せになれるって言われてんだって。俺達は恋人同士じゃないし、今飲むのはお前の将来の婚約者に悪いだろ?俺、可愛い婚約者が出来たら一緒に飲むんだ~♪」
「…そうか…」
残念そうにベリルがシュンとした。
「お前なら男女どちらでも可愛い婚約者に恵まれそうだし、決まったらまたここに来たら良いんじゃないか?モルダ様とダイヤ様は婚約者時代にここに来て飲んだらしいぞ。」
「…決まったらな。」
「そんなに喉が乾いたなら、何か買ってこようか?」
「いや…違っ…!」
「あ、今日は暑いよな。飲み物じゃないけど、オススメのアイス買ってくるっ。」
俺は噴水広場のそばに出店していたアイスクリームの店に行ってベリルの分と2つ買って戻り、木陰のベンチに腰掛けた。
「ここに座って食べようぜ。」
暑い日にはアイスは格別だよな~♪
「ん、美味い。」
「だろ?俺、ここのアイスは昔から好きなんだよ。」
覚醒前の記憶だが、親に小さな頃に連れて行ってもらって初めて食べたこのアイスの味はしっかりと残っているほど俺は大好きだ。
アイスを食って、一息着いたらコインを投げて…って、今でも街へ出るとやっちゃうんだよな。
「なぁ、コインは持ってきたか?」
「あぁ。」
「じゃぁ、こっち行こうぜ。」
ベリルが食べ終わったのを確認して噴水広場に戻ってくると少し人が空いていたので、俺は見本を見せてからベリルにも勧めてみた。
「そうそう…後ろを向いて…ハイッ、投げる!」
「…っと、こうかっ?」
___カンッ!……ポチャンッ!___
おぅ!ベリルが後ろを向いてて良かったぜ!
投げたコインが軌道を逸れてるのを見て、警護の騎士の1人が剣の鞘で噴水へと弾いてくれたっ!
「……カンッ…?」
「あ~、無事入ったみたいだぞ。良かったなぁ。」
「じゃぁ、行こ「いや、もう1枚投げたい。」」
「ん、もう1枚?」
「うん、もう1枚。」
ニッコリ笑ってベリルがすでにコインを手に持っていた。
「何か変な音したしな。今度は変な所に当たらずに入れたいから。」
そっか、騎士がフォローしたのは気付かなかったんだろうけど、何処かに当たったのは気付いたんだな。
「確かになぁ~、分かるっ。俺もそうだった。じゃあ、何なら何回でも良いぞ。投げるか♪」
「フッ、次の1回で良いよ。じゃあ、投げるか。」
___ヒュッ!ポチャン!___
早ぇぇ……コインが見えなかった……
無事入って良かったけど、騎士の人達も見失ってフォローできなかったぞ。
「この噴水は願いが叶う者が多いのか?」
「あ~…どうだろ?まぁ…叶ってるのかなぁ…」
俺は、可愛いを沢山吸収できますようにって、覚醒してからよく願っているけど……
「ん~…俺は…叶ってる…かな?」
限定の可愛いものを結構ゲット出来てるし。
「そうか。」
「どうした?何か叶えたい願いでもあるのか?」
「いや、まだハッキリとしてないんだが…今日で分かりそうだ。」
穏やかに笑うベリルは最近少し大人な顔になっていて、俺はちょっとズルいと思った。
「次は、お前の気になっている硝子工房に行こうか。」
「行って良いのか?行ったらしばらく動かねぇぞ?」
「良いよ。硝子細工はこの国の特産でもあっただろ?ベリル様に見せて頂いた硝子細工は、ウチの銀細工に負けないくらい素晴らしいものだった。お前の好きな店でぜひ買いたいと思ってな。お前に選んで欲しい。」
「そうか?俺で良ければ喜んで。」
ガラス工房は噴水広場の近くにあったのですぐに到着した。
工房自体は暑いが、商品を置いている部屋はひんやりとしている。
___チリンチリン…___
「こんにちは~。」
「いらっしゃいませ…あら?今日はお連れ様も一緒………ハッ!」
店員のローズが肩に精霊を乗せて出迎えてくれた。
「もしかして……キャァッ♡おめでとうございます!」
「…って、違うからねっ!」
ハイテンションに勘違いするローズに俺は叫んでしまった。
「あまりにお似合いで勘違いしちゃいました。いらっしゃいませ…えっと…」
「初めまして。私は隣国からやってきたベリルと申します。以後、お見知りおきを。」
「……隣国…ベリル…ハッ!!もしかして王子様っっ⁉いやぁぁぁ!誠に、申し訳ございませんっ!!」
「アハハ、大丈夫ですよ。この国にはイチ留学生としてやって来ました。警備の関係で王宮にお世話になっていますが、俺にはこのリオ同様に対応して下さい。」
「……リオさ~ん…」
「フフ、良いんじゃない?ベリルもそう言ってんだし。俺も最初は少し緊張したけど、今はこうだよ?」
「最初は?…今は?」
「フフッ、どうだろうな。」
ベリルが俺の腰に手を回して聞いてくる。
スキンシップの好きなヤツのようで、最近やたらと触ってくる。
最初は驚いたけど、今は慣れてきた。
「……ねぇ、リオさん…本当に婚約者とかじゃ無いの?」
「ん、仲の良い友達だよ?なっ、ベリル!」
「……そうだな。」
「ほら、ローズもこんなこと聞くからベリル困ってんじゃん。あ、そうそう!例の限定の細工ある?」
俺とベリルの話しを早々に切り上げて、限定の硝子細工について聞いた。
「フフッ、鳥の細工ね。来ると思ってこっそり取っておいたわ。じゃぁ、裏に取りに行くから他の商品を見て待っててくれるかしら?」
「了解!」
ローズが限定商品を取りに裏へ行った。
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