13 / 21
12
しおりを挟む
「マコ、夏休みどうする?」
夏休み前、実咲とユキの3人で昼食を食べていた時に話を振られた。
「ん~…どうしよう。」
実は直前に両親から連絡があり、海外の友達に不幸があって急遽夏休みの大半はそちらにいると言われたのだ。
他の寮生で夏休みも実家に帰省しないヤツもいるので帰らないという選択肢もあるんだけど…
「実はさ、ウチの両親がこないだ新しく別荘を買ったんだけど…」
おぉ、セレブだねぇ。
軽い気持ちで別荘買えるなんて凄い金持ちだよなぁ。
「この夏行く予定が仕事がめいいっぱい入って行けないんだって。親戚呼ぶつもりで食材の手配もしてたらしくてさ。良かったら俺達で1週間くらい泊まって欲しいって。」
「でも、親戚呼んで…だろ?3人じゃ食べ切れないんじゃないか?」
「それは大丈夫!今回俺の幼馴染を連れてくるから。学校は違うけど良いヤツだし、すぐに友達になれるよ。」
実咲の幼馴染…そんなヤツいたかなぁ…
「ユキは実家に帰るのか?」
ユキの家は両親共に忙しく。俺の家と違ってドライな所があるから長期休みは必ず帰れと言う家ではない。
家族仲が悪いという訳ではないし、子どもが望めば仕事も調整してくれる。
俺が行けば喜んで相手をしてくれるけど子どもは子どもとしての楽しい事を優先して欲しいという方針なので、選択肢はユキにあった。
「マコが俺の実家に泊まる予定だったけど…」
え、そんな予定ありました?
「マコが実咲の別荘に行くなら俺も一緒に行く。」
「よし、じゃあ決まりだ。食材とか諸々は問題ない。着替えとか持って…あ、近くに海があるから水着持ってこいよな♪」
「分かった。」
俺達は別荘で過ごす話に花を咲かせ、あっという間に夏休みへと突入した。
**************
「はじめまして、森之宮 誠司です。」
___あ、コイツだっ!___
夏休みに入り、俺達は別荘にやってきた。
海が近いだけあって爽やかな風に乗って潮の香りがする中、実咲の隣に立つ人物を見てハッキリと思い出した。
本来の寮長、森之宮 誠司だ。
…そうだった、隣の実咲が副寮長だ。
そっか攻略対象者も寮組いたよな。
でも何で同じ学年になってんだ?
森之宮は高長身で低めの声に爽やかな感じ……そうだよ、ユキとの一番の推しカップリング!
この場合、リバありのカップリングだったよなぁ~♪
…何で忘れてたんだろ?
じゃあ、実咲がダメなら森之宮…いやいや、今の実咲とのカップリングも…それはそれで良いんだけどさぁ。
今回の森之宮は……
「…実咲、どうしよう…何か怒らせちゃったかな…」
…森之宮が怯えてる?まさかの…受⁉
「あ~…違う違う。」
実咲が見る方向に俺も向けると…
___ゴゴゴ…___
何故敵意を向けている、ユキ。
「あ~…もぅ。ユキ、よく聞け。」
___グイッ___
「んっ!」
「「⁉」」
実咲が森之宮の首に腕を回してキスをした。
「プハッ…こういう事っ。お前らも付き合ってんだろ?だから今回呼んだのっ。俺1人じゃ寂しいもん。」
「実咲、恥ずかしいよっ。」
「良いだろ、減るもんじゃないし。」
「減るよっ、僕のメンタルが!」
真っ赤な顔をして森之宮が実咲に抗議する。低音ヴォイス男子の照れ…キュンとした。
あれ、森之宮って『俺』だったよね?『僕』になってる。
えぇ~?受ですか??今回森之宮受ッスか⁉
今回で初のワンコ攻??
でも、森之宮ってこんな性格だっけ……攻の略対象者という事は思い出したけど…見た目は優しそうな雰囲気で純粋そうなんだけど何か引っ掛かる。
推しカップルではあったけど、確か選択肢によっては豹変するから慎重に言葉を選んでた気がするんだけどなぁ。
…って、今はそんな事じゃなくて。
「え…何で俺達の事知って…」
「んなもんユキを見てたら分かる。前以上にお前にベッタリじゃん。それに、こうでもしないとユキも警戒するからさ。」
ユキを見るとうんうんと、安心した顔に戻っていた。
「実咲、この人が前に言ってた人?」
ユキが嬉しそうに美咲に聞いた。
「うん、俺の片思いだったヤツ。諦めてたけど告白してくれたんだ。」
俺には全くその片鱗も見せなかったけど、そうだったんだ。
でも、実咲は受オンリーだから森之宮は攻になるんだけど、どう見ても受☓受コンビ。
でも頭のどこかで『違う』って、言ってんだよなぁ。
「実咲、もう良いから。早く中に入ろ?」
「あ、そうだな。部屋はそれぞれ俺と誠司、ユキとマコで2部屋用意してる。部屋は少し離したけど…それは察してくれよな。」
実咲が森之宮の手を繋いで俺達を見た。
___察してくれよな?___
あ。
___ボンッ!___
察した。
「実咲!」
「え~、だってさぁ。」
俺と同様、さっきより更に顔を真っ赤にして森之宮が実咲に抗議した。
…いや、端から見たらイチャイチャなんだけどさ。
いやはや、良いですな。この雰囲気。
壁気分が復活して……
「……俺達も…気にせず過ごせるね♡」
___ボシュッ!___
ユキが2人にあてられて俺の耳元に囁いた。
「ユキッ!」
「アハハ、ゴメンゴメン。」
気を取り直して…人目を気にしなくて良いこの別荘、そして目の前にいる攻略対象者同士のBLカップル。
何度人生を経験しても、このイレギュラーな可愛い☓イケメンのイチャラブはゲームでは見られない裏側の世界なので思い切り堪能しなければ!
___ゾクッ…___
「…んんっ?」
「マコ、どうしたの?」
「いや…ちょっと寒気が…」
どうしたんだろう、風邪気味か?
「これ着て。」
ユキが念の為にと持ってきていたカーディガンを俺に着せた。
フワリと香るユキの香り。
同じ洗剤を使っているのに体臭なのか微妙に違う。
___ゾクン…___
「……っ…」
「まだ寒い?」
「ううん…」
違う…これは寒気ではない…腹の奥から……う~ん、腹が冷えた?
「あ、部屋にも風呂はあるけど、この別荘は前のオーナーがこだわりでジャクジーの風呂もあるんだって。せっかくだから先に入って来いよ。窓から見える景色はかなり凄いらしいぞ。食事は管理人の人に頼んだから、後で食堂に集合な。」
「うん。」
「分かった。」
手を引かれて俺は部屋に荷物を置き、ジャグジーのある部屋へと移動した。
夏休み前、実咲とユキの3人で昼食を食べていた時に話を振られた。
「ん~…どうしよう。」
実は直前に両親から連絡があり、海外の友達に不幸があって急遽夏休みの大半はそちらにいると言われたのだ。
他の寮生で夏休みも実家に帰省しないヤツもいるので帰らないという選択肢もあるんだけど…
「実はさ、ウチの両親がこないだ新しく別荘を買ったんだけど…」
おぉ、セレブだねぇ。
軽い気持ちで別荘買えるなんて凄い金持ちだよなぁ。
「この夏行く予定が仕事がめいいっぱい入って行けないんだって。親戚呼ぶつもりで食材の手配もしてたらしくてさ。良かったら俺達で1週間くらい泊まって欲しいって。」
「でも、親戚呼んで…だろ?3人じゃ食べ切れないんじゃないか?」
「それは大丈夫!今回俺の幼馴染を連れてくるから。学校は違うけど良いヤツだし、すぐに友達になれるよ。」
実咲の幼馴染…そんなヤツいたかなぁ…
「ユキは実家に帰るのか?」
ユキの家は両親共に忙しく。俺の家と違ってドライな所があるから長期休みは必ず帰れと言う家ではない。
家族仲が悪いという訳ではないし、子どもが望めば仕事も調整してくれる。
俺が行けば喜んで相手をしてくれるけど子どもは子どもとしての楽しい事を優先して欲しいという方針なので、選択肢はユキにあった。
「マコが俺の実家に泊まる予定だったけど…」
え、そんな予定ありました?
「マコが実咲の別荘に行くなら俺も一緒に行く。」
「よし、じゃあ決まりだ。食材とか諸々は問題ない。着替えとか持って…あ、近くに海があるから水着持ってこいよな♪」
「分かった。」
俺達は別荘で過ごす話に花を咲かせ、あっという間に夏休みへと突入した。
**************
「はじめまして、森之宮 誠司です。」
___あ、コイツだっ!___
夏休みに入り、俺達は別荘にやってきた。
海が近いだけあって爽やかな風に乗って潮の香りがする中、実咲の隣に立つ人物を見てハッキリと思い出した。
本来の寮長、森之宮 誠司だ。
…そうだった、隣の実咲が副寮長だ。
そっか攻略対象者も寮組いたよな。
でも何で同じ学年になってんだ?
森之宮は高長身で低めの声に爽やかな感じ……そうだよ、ユキとの一番の推しカップリング!
この場合、リバありのカップリングだったよなぁ~♪
…何で忘れてたんだろ?
じゃあ、実咲がダメなら森之宮…いやいや、今の実咲とのカップリングも…それはそれで良いんだけどさぁ。
今回の森之宮は……
「…実咲、どうしよう…何か怒らせちゃったかな…」
…森之宮が怯えてる?まさかの…受⁉
「あ~…違う違う。」
実咲が見る方向に俺も向けると…
___ゴゴゴ…___
何故敵意を向けている、ユキ。
「あ~…もぅ。ユキ、よく聞け。」
___グイッ___
「んっ!」
「「⁉」」
実咲が森之宮の首に腕を回してキスをした。
「プハッ…こういう事っ。お前らも付き合ってんだろ?だから今回呼んだのっ。俺1人じゃ寂しいもん。」
「実咲、恥ずかしいよっ。」
「良いだろ、減るもんじゃないし。」
「減るよっ、僕のメンタルが!」
真っ赤な顔をして森之宮が実咲に抗議する。低音ヴォイス男子の照れ…キュンとした。
あれ、森之宮って『俺』だったよね?『僕』になってる。
えぇ~?受ですか??今回森之宮受ッスか⁉
今回で初のワンコ攻??
でも、森之宮ってこんな性格だっけ……攻の略対象者という事は思い出したけど…見た目は優しそうな雰囲気で純粋そうなんだけど何か引っ掛かる。
推しカップルではあったけど、確か選択肢によっては豹変するから慎重に言葉を選んでた気がするんだけどなぁ。
…って、今はそんな事じゃなくて。
「え…何で俺達の事知って…」
「んなもんユキを見てたら分かる。前以上にお前にベッタリじゃん。それに、こうでもしないとユキも警戒するからさ。」
ユキを見るとうんうんと、安心した顔に戻っていた。
「実咲、この人が前に言ってた人?」
ユキが嬉しそうに美咲に聞いた。
「うん、俺の片思いだったヤツ。諦めてたけど告白してくれたんだ。」
俺には全くその片鱗も見せなかったけど、そうだったんだ。
でも、実咲は受オンリーだから森之宮は攻になるんだけど、どう見ても受☓受コンビ。
でも頭のどこかで『違う』って、言ってんだよなぁ。
「実咲、もう良いから。早く中に入ろ?」
「あ、そうだな。部屋はそれぞれ俺と誠司、ユキとマコで2部屋用意してる。部屋は少し離したけど…それは察してくれよな。」
実咲が森之宮の手を繋いで俺達を見た。
___察してくれよな?___
あ。
___ボンッ!___
察した。
「実咲!」
「え~、だってさぁ。」
俺と同様、さっきより更に顔を真っ赤にして森之宮が実咲に抗議した。
…いや、端から見たらイチャイチャなんだけどさ。
いやはや、良いですな。この雰囲気。
壁気分が復活して……
「……俺達も…気にせず過ごせるね♡」
___ボシュッ!___
ユキが2人にあてられて俺の耳元に囁いた。
「ユキッ!」
「アハハ、ゴメンゴメン。」
気を取り直して…人目を気にしなくて良いこの別荘、そして目の前にいる攻略対象者同士のBLカップル。
何度人生を経験しても、このイレギュラーな可愛い☓イケメンのイチャラブはゲームでは見られない裏側の世界なので思い切り堪能しなければ!
___ゾクッ…___
「…んんっ?」
「マコ、どうしたの?」
「いや…ちょっと寒気が…」
どうしたんだろう、風邪気味か?
「これ着て。」
ユキが念の為にと持ってきていたカーディガンを俺に着せた。
フワリと香るユキの香り。
同じ洗剤を使っているのに体臭なのか微妙に違う。
___ゾクン…___
「……っ…」
「まだ寒い?」
「ううん…」
違う…これは寒気ではない…腹の奥から……う~ん、腹が冷えた?
「あ、部屋にも風呂はあるけど、この別荘は前のオーナーがこだわりでジャクジーの風呂もあるんだって。せっかくだから先に入って来いよ。窓から見える景色はかなり凄いらしいぞ。食事は管理人の人に頼んだから、後で食堂に集合な。」
「うん。」
「分かった。」
手を引かれて俺は部屋に荷物を置き、ジャグジーのある部屋へと移動した。
427
お気に入りに追加
922
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?
名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。
そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________
※
・非王道気味
・固定カプ予定は無い
・悲しい過去🐜
・話の流れが遅い
・作者が話の進行悩み過ぎてる
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
究極の雨男で疎まれていた俺ですが異世界では熱烈歓迎を受けています
まつぼっくり
BL
ずっとこの可笑しな体質が嫌だった。でも、いつかこの体質で救える命もあるんじゃないかと思っていた。
シリアスそうでシリアスではない
攻 異世界の虎さん✕ 受 究極の雨男
ムーンさんからの転載です
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
親友と同時に死んで異世界転生したけど立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話
gina
BL
親友と同時に死んで異世界転生したけど、
立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話です。
タイトルそのままですみません。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
姉が結婚式から逃げ出したので、身代わりにヤクザの嫁になりました
拓海のり
BL
芳原暖斗(はると)は学校の文化祭の都合で姉の結婚式に遅れた。会場に行ってみると姉も両親もいなくて相手の男が身代わりになれと言う。とても断れる雰囲気ではなくて結婚式を挙げた暖斗だったがそのまま男の家に引き摺られて──。
昔書いたお話です。殆んど直していません。やくざ、カップル続々がダメな方はブラウザバックお願いします。やおいファンタジーなので細かい事はお許しください。よろしくお願いします。
タイトルを変えてみました。
異世界転生先でアホのふりしてたら執着された俺の話
深山恐竜
BL
俺はよくあるBL魔法学園ゲームの世界に異世界転生したらしい。よりにもよって、役どころは作中最悪の悪役令息だ。何重にも張られた没落エンドフラグをへし折る日々……なんてまっぴらごめんなので、前世のスキル(引きこもり)を最大限活用して平和を勝ち取る! ……はずだったのだが、どういうわけか俺の従者が「坊ちゃんの足すべすべ~」なんて言い出して!?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
俺がイケメン皇子に溺愛されるまでの物語 ~ただし勘違い中~
空兎
BL
大国の第一皇子と結婚する予定だった姉ちゃんが失踪したせいで俺が身代わりに嫁ぐ羽目になった。ええええっ、俺自国でハーレム作るつもりだったのに何でこんな目に!?しかもなんかよくわからんが皇子にめっちゃ嫌われているんですけど!?このままだと自国の存続が危なそうなので仕方なしにチートスキル使いながらラザール帝国で自分の有用性アピールして人間関係を築いているんだけどその度に皇子が不機嫌になります。なにこれめんどい。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
異世界転移して美形になったら危険な男とハジメテしちゃいました
ノルジャン
BL
俺はおっさん神に異世界に転移させてもらった。異世界で「イケメンでモテて勝ち組の人生」が送りたい!という願いを叶えてもらったはずなのだけれど……。これってちゃんと叶えて貰えてるのか?美形になったけど男にしかモテないし、勝ち組人生って結局どんなん?めちゃくちゃ危険な香りのする男にバーでナンパされて、ついていっちゃってころっと惚れちゃう俺の話。危険な男×美形(元平凡)※ムーンライトノベルズにも掲載
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる