目が覚めたらBLゲームの悪役令息になったけど、山に引き籠もりたいので全力で主人公を応援しますっ!

mana.

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【18歳】

【18歳】5

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今日の夜は月明かりがとても綺麗だ。
俺は窓際のテーブルにクロバイが用意してくれたハーブティーを置き、昼に貰った日記を読むことにした。

綺麗な革装丁。
本革?こっちの世界は合成とかないもんな。
○リーポッターな世界だぜ。
表紙を触ると滑らかで年月を感じさせない。
日記……なんだよな……何か人の秘密を覗く様で申し訳ないけど……母はこれを読むように言ってたって事は…読んだんだよねぇ?
そんな事を思いながらペラリとページをめくった。


___いつかまたローズウッド家から現れるかもしれない、僕の次の愛し子へ___


クロバイの次の愛し子って事?それならライだよな?
でも、母は俺に渡したから…俺で良いのか。


___僕のこの日記が、次の者が少しでも心のつかえが取れますように…___


俺はページを進めた。


✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽
*1ページ目*

子どもの頃、幼馴染と一緒に遊びに行った森の中で沢山の精霊に囲まれたクロバイと出会った。
彼はとても美しくて、僕は一目で彼に心を奪われた。
僕は彼と過ごす事が楽しくて、幼馴染と一緒に森の中で過ごす事が増えてしまった。


「へぇ……一目惚れだったんだ。まぁ、イケオジだもんな。少年なら…かなりイケメンなんだろうなぁ。」


✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽

しばらくして、クロバイから自分は精霊王と言われて納得した。
精霊の声はあまり聞こえないけど、沢山の精霊達に愛されてるのは感じていたから。

……そして、僕は精霊王の愛し子だと言われた。
精霊王の愛し子?それはクロバイの愛する人って事なのかな?
クロバイが僕を愛してるって事?
嬉しいけど何だか表情が読めない…幼馴染に相談したら複雑な顔をしていた。
そうだよね、急に変な相談したらそんな顔になるよね。


「……おい、クロバイ…いきなりだな。それに初代、相談する相手間違ってないか?」


そこから何ページか読んで行くと、日記の日付は毎日ではなく飛び飛びだったが、クロバイがあまりにも人間界の事を知らないので2人で色々と街や屋敷の生活を通して教えて行く話が書いてあった。
幼馴染はクロバイの事が心配で色々とアドバイスをしていたらしい。
時間が掛かったが次第にクロバイは人間界の生活に馴染んでいったようだ。

そして月日は3年程経った辺り。


✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽
*3年後辺り*

クロバイがやっと手を繋いでくれて、別れ際にそっと口付けをしてくれた。
………長い……長かった……本当に僕…愛し子なのかなぁ……
幼馴染が最近辛い顔をしている事が増えた。
僕も父の仕事を徐々に引き継いでる最中だ。
彼もこちらの仕事で任せているものも増えているし、大変なのだろう。


「クロバイ……長っ……長いよっ!よく耐えたな、初代‼」

そして…幼馴染…確か運命の紐に結ばれたって事は初代が好きだったんだよなっ⁉
…アンタ…良い人過ぎるよっ!


✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽
*その後、青年…婚期突入か?*

彼に抱かれたいと思うのは…はしたない事なんだろうか………僕は…彼に抱かれたい。
でも……精霊に抱かれて子は成す事が出来るんだろうか?
僕達人間は互いを愛し合い、精霊に祝福を受けて子が出来る。男同士ならそれは倍以上の気持ちが必要だ。
精霊王は精霊の樹から生まれる。
では……僕とクロバイの子はどこから生まれるの?
ローズウッド家を引き継ぐのは僕しかいない。
僕は……子を遺せるの?


初代の疑問と苦悩が始まる。
この事について、クロバイには相談しなかったようだ。


✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽
*前回の2ヶ月後辺り*

今日、幼馴染から気持ちを伝えられた。
「僕はクロバイを愛している」と、返事をしたら「それも引っくるめてお前が好きだ」と、言われた。
もう我慢をしないと…
僕は気持ちが少し揺らいでしまった。


「やっと言ったのかよっ!よく耐えたな幼馴染っ‼」


✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽
*前回から1ヶ月後*

クロバイから……愛し子と精霊王は運命の紐で結ばれているけど、幼馴染にも結ばれたと言われた。
選ぶのは僕だと………

幼馴染は喜んでいたけど、クロバイは複雑な顔をしていた。
初めて見た泣きそうな顔。
胸が締め付けられて、急に抱き締めたくなった。
やっぱり僕はこの人を愛してるんだ。
でも……僕は……幼馴染も大切に思い始めている。


その後、初代は幼馴染を選んで結婚式を上げる。
最終的な判断だろうあたりのページは破られた跡があった。本人が破ったのだろう。


✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽
*前回から1年後辺り*

昨日は初夜だった。
僕は卑怯だ。結局どちらも選べなかった。
でもクロバイには「幼馴染を選ぶ」と言っている。
初夜は幼馴染にも相談して、僕は2人に抱かれることにした。

クロバイには「精霊王の愛し子として、最後の寵愛を受けたい」と、お願いした。

クロバイはしばらく考えたあと「分かった」と言ってくれた。
僕達男同士では子を成しにくい。
クロバイには「僕達の子どもが早く欲しいから抱いてほしい」と、取られてもおかしくない。
それでも良い……僕はクロバイに抱かれたかった。

精霊達が抱かれる僕達の身体に祝福を与える。
クロバイからも沢山の祝福を僕にくれた。
共に高みに昇り、共に果て……共に感じた。
最初で最後の僕のワガママ。
夢の様だった。

僕は叶うのであれば…共に3人で生きていきたかった。
言ってしまったら……共に森へ連れて行ってと懇願してしまいそうだから心の奥に閉まった。

✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽
*最後のページ*

これは……亡くなる前か?

次の者へ。

僕は……2人と運命の紐に結ばれてしまった。
幼馴染とクロバイがくれた愛は僕にはどちらも選べなかった。
幼馴染もクロバイと同じくらい愛してしまったから。
歳を取り……あの時は本当に馬鹿な選択をしてしまったと後悔をしている。
子どもの事、ローズウッド家の事…2人の事。
あれからクロバイはローズウッド家に残り、子ども達へ惜しみない愛情を注いでくれる。
相変わらず口数は少ないけど、僕にも……何年経っても触れる手の熱さは……こんなに歳を取っても抱き締めてほしくて堪らなくなる気持ちが湧き上がる。

あぁ……クロバイ……君とも共に毎日思いを伝えながら笑いたかった。
次の精霊王と出会う愛し子は精霊王だけの人であって欲しい。
僕は最後に残った魔力をここに注ぐ。
もし次の者が悩む日があったのなら、きっとこの本は開くだろう。

どうか後悔をしないで欲しい。
どうか1人で悩まないで欲しい。
今なら分かる。僕は1人で悩みすぎた。情報が少なかった。
人生を積み上げないと分からない事もある。

後悔の無い人生を。
もし、これがローズウッド家の末裔なら……
家の事は気にしなくて良い。
君の思うままに生きなさい。

クロバイは幸せに過ごしているだろうか……
身勝手だと分かっているけど…どうかクロバイも幸せな人生でありますように……

ここで日記は終わった。
その後子どもが無事に生まれ、クロバイはここに残る決心をした。
………クロバイ……愛されてたじゃん。
初代もどちらも選べなかったのか……

これ、確かに俺への本だろうけど……ライにも必要だろ……この情報。
この日記で分かったのは…幼馴染……アンタ人が良過ぎるわっ!
クロバイッ……アンタ奥手すぎるよぉぉぉっ‼
結局初代とは初夜しかしなかったんだよな⁉
だからローズウッド家にを設けたのか⁉
いやっ!それは貴族だと必須だったよな?
……じゃあ、初代の閨の相手はクロバイじゃなく……幼馴染かぁ!
クロバイィィィィッ!アンタ何やってんだっ‼


俺は溜め息と共に本を閉じ、月を見上げて決心をした。
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