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【17歳】
【17歳】44
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年末になった。
今年は俺のワガママでオークとヒイラギ・アゼリア・ザクロにこちらに来てもらって久々のフルメンバーで過す事にした。
もちろんライも呼んでいる。
最悪を考えて……最後の年末かもしれないしな。
去年同様、使用人達にはみんな家族の元へ帰省してもらった。
俺達家族と使用人はクロバイ・カヤ・カイエ・エンジュだ。
俺を心配した使用人達は帰省する事を渋ったが、年末はやはり家族と過ごして欲しい。
説得をして「それなら絶対に食事は摂ること。」と、小さな子どものような約束をさせられ、エンジュ以外の料理人達が帰省をギリギリまで延ばし、昨日大量の下準備を済ませて今日の朝に帰って行った。
後はカイエや騎士のザクロやアゼリアでも調理可能だとか言ってたなぁ…
特にザクロはユズがお菓子作りにハマったとかで厨房にいる事が増えたせいか、ザクロも料理が上手くなったらしい。
王宮からの警護する人も固定してきた。
なので、当日は酒は飲めないが交代で食事に来て欲しいと伝えておいた。
「今年は…賑やかになりましたね。」
「ごめんな、クロバイ。ワガママを言って。」
「いえ、帰省する使用人達が頑張って用意してくれましたから。私達がする事は後日の後片付けくらいなものです。」
そんな訳はないのだけど、クロバイからしたらそのくらいのレベルって事なんだろう。
「今年は……精霊の森の樹や屋敷の樹……精霊達も起きました。騎士達の手前…まだ精霊はここへ呼べませんが、特別な年となりました。」
「うん……」
「私にとっても……」
「……うん?」
あらあらまぁまぁ……物思いに耽る精霊王……あ、今はイケメン執事……画になるねぇ……
「クロバイ、今日はこの後騎士達が来るから今年の労いも兼ねてゆっくりさせるらしいから片付けは明日の昼以降で良いみたいだよ。だからクロバイも明日までゆっくりしてね。」
「…分かりました。」
この後、ライが贈り物を渡したいとバルコニーへ連れ出しての……部屋へとお持ち帰り……と……精霊王相手にいけんのかなぁ………
今年は結構な人数での食事と贈り物の交換となった。
俺は体調が良くない日が多かったため、あまり準備が出来なかった。
母と父にはママと姉さんと精霊達、オークとカヤにお願いして屋敷の一部に温泉を引いて共同の贈り物にした。
「ユズとサクラには…これね。精霊のママと一緒に作った種だよ。育ててみてね。」
「ありがと!」
「あい♡」
みんなでそれぞれプレゼントを交換する。
クロバイは……あぁ、ライがバルコニーへ連れ出したな。
カヤとオークは今年も夢という事になっている。
「シオン様~。」
「ザクロ。」
「エンジュとカイエからの贈り物見た?」
「ん?あぁ。」
そういや、去年父がくれたコーヒー豆の木がやっとまともに実ったから、今年は焙煎機とコーヒーミルを探してると伝えていたんだが……もしかして作ってくれたのか?
「カヤ、エンジュ…ありがとう。」
「喜んでくれて嬉しいよ。」
「うん……それに…これはヒイラギ達も頑張った……」
ヒイラギ、ザクロ、アゼリア…意外にこの3人、物作りに長けているんだよね。
しっかし……ヒイラギ………筋肉育ってねぇよなぁ……
「……ん?何ですか?」
「いや……ヒイラギ……訓練してんだよね?」
「えぇ、この機械は訓練の合間に作らせて頂きました。」
「いや……そうじゃないんだ…」
う~ん……ライもデッカいし……ヒイラギ……マッチョに育ってゲーム通りじゃないんだよねぇ……
俺もだし、ストーリーが変わる可能性もあるって事か?
「いや……贈り物、ありがとうな。」
「いえ、喜んで頂けて嬉しいです。」
笑顔も癒やされるなぁ……
「俺も手伝ったっすよ!」
「俺だって!」
「フフッ、ありがと。ザクロ、アゼリア。」
忙しいのに合間を取って手伝ってくれたザクロとアゼリア。
年明けにはザクロは完全に屋敷に配属が決定している。
賑やかな贈り物交換も終わりそれぞれの部屋に戻っていく。
クロバイは……結局戻って来なかった。
おっほぉ!楠も……おっとぉ……ライ、上手くやったなっ!!
そして眠気と戦うユズとサクラを抱っこした両親を送り出した後、振り向くとカヤとオークがバルコニーで真剣な顔をしながら話をしている姿が見えた。
………ん?喧嘩してる雰囲気じゃねぇけど……なんだ?
「……シオン様。」
「どうした、アゼリア?」
バルコニーへ行こうとした所でアゼリアに呼び止められた。
「……シオン様……やっぱり…断罪されるんですか?」
……あ、そういや…アゼリアには俺とライの転生前の会話を聞かせてたな。
「う~ん……分かんないんだよねぇ。世界観が少し違うっていうか……」
「違う?」
「うん。俺達からしたら、ここは作り物の世界だったけど…ライはデカイし俺はこんなだし……それにヒイラギがマッチョじゃないんだよねぇ。」
「……ま……ちょ?」
「あぁ、ゴメン。俺の世界でのヒイラギは筋肉隆々?ガタイが良い?ムッキムキな筋肉な男だったんだよねぇ。でも……あれじゃん?」
ヒイラギは結局カイエの訓練を受けても力が強いくせに見た目は細い。
「下手したら俺達より筋肉無さそうですよね。」
「だから本当に分からないんだよなぁ……」
「……俺は……嫌ですよ。シオン様がいなくなるなんて……」
俺も離れるのは今は嫌だと感じるようになってきた。
みんなから離れるのは……考えただけで心が締め付けられる。
「……うん……俺も今はそう思うよ…」
「シオン様、そろそろ戻りましょうか。」
「アゼリア、そろそろ交代じゃないのか?」
しんみりした所でカヤとオークがこちらにやって来た。
「…オーク様…本当に嫉妬深く育って……カヤも嫉妬を隠す事すら無くして。シオン様に手を出す命知らずじゃねぇよ……ったく……シオン様。」
「ん?」
「………良い新年を。」
「うん、アゼリアもね。」
そう言うと、アゼリアは警備に戻って行った。
家族やクロバイはいなくなったが、部屋には交代でやってくる騎士の人達やカイエやエンジュもいる。
もう少しいても……
「……シオン……部屋に戻ろう。」
「……シオン様……そろそろお身体に響きますから……」
2人で俺の手握り、耳元で熱く囁く。
「……んっ……ぅ……うん……」
2人に手を引かれて俺の部屋へと戻る。
今年の贈り物も…夢で2人と……その……するんだが……正月は絶対手を出さないという約束で同じベッドで眠る事になった。
………今年は寝正月になりませんように………
今年は俺のワガママでオークとヒイラギ・アゼリア・ザクロにこちらに来てもらって久々のフルメンバーで過す事にした。
もちろんライも呼んでいる。
最悪を考えて……最後の年末かもしれないしな。
去年同様、使用人達にはみんな家族の元へ帰省してもらった。
俺達家族と使用人はクロバイ・カヤ・カイエ・エンジュだ。
俺を心配した使用人達は帰省する事を渋ったが、年末はやはり家族と過ごして欲しい。
説得をして「それなら絶対に食事は摂ること。」と、小さな子どものような約束をさせられ、エンジュ以外の料理人達が帰省をギリギリまで延ばし、昨日大量の下準備を済ませて今日の朝に帰って行った。
後はカイエや騎士のザクロやアゼリアでも調理可能だとか言ってたなぁ…
特にザクロはユズがお菓子作りにハマったとかで厨房にいる事が増えたせいか、ザクロも料理が上手くなったらしい。
王宮からの警護する人も固定してきた。
なので、当日は酒は飲めないが交代で食事に来て欲しいと伝えておいた。
「今年は…賑やかになりましたね。」
「ごめんな、クロバイ。ワガママを言って。」
「いえ、帰省する使用人達が頑張って用意してくれましたから。私達がする事は後日の後片付けくらいなものです。」
そんな訳はないのだけど、クロバイからしたらそのくらいのレベルって事なんだろう。
「今年は……精霊の森の樹や屋敷の樹……精霊達も起きました。騎士達の手前…まだ精霊はここへ呼べませんが、特別な年となりました。」
「うん……」
「私にとっても……」
「……うん?」
あらあらまぁまぁ……物思いに耽る精霊王……あ、今はイケメン執事……画になるねぇ……
「クロバイ、今日はこの後騎士達が来るから今年の労いも兼ねてゆっくりさせるらしいから片付けは明日の昼以降で良いみたいだよ。だからクロバイも明日までゆっくりしてね。」
「…分かりました。」
この後、ライが贈り物を渡したいとバルコニーへ連れ出しての……部屋へとお持ち帰り……と……精霊王相手にいけんのかなぁ………
今年は結構な人数での食事と贈り物の交換となった。
俺は体調が良くない日が多かったため、あまり準備が出来なかった。
母と父にはママと姉さんと精霊達、オークとカヤにお願いして屋敷の一部に温泉を引いて共同の贈り物にした。
「ユズとサクラには…これね。精霊のママと一緒に作った種だよ。育ててみてね。」
「ありがと!」
「あい♡」
みんなでそれぞれプレゼントを交換する。
クロバイは……あぁ、ライがバルコニーへ連れ出したな。
カヤとオークは今年も夢という事になっている。
「シオン様~。」
「ザクロ。」
「エンジュとカイエからの贈り物見た?」
「ん?あぁ。」
そういや、去年父がくれたコーヒー豆の木がやっとまともに実ったから、今年は焙煎機とコーヒーミルを探してると伝えていたんだが……もしかして作ってくれたのか?
「カヤ、エンジュ…ありがとう。」
「喜んでくれて嬉しいよ。」
「うん……それに…これはヒイラギ達も頑張った……」
ヒイラギ、ザクロ、アゼリア…意外にこの3人、物作りに長けているんだよね。
しっかし……ヒイラギ………筋肉育ってねぇよなぁ……
「……ん?何ですか?」
「いや……ヒイラギ……訓練してんだよね?」
「えぇ、この機械は訓練の合間に作らせて頂きました。」
「いや……そうじゃないんだ…」
う~ん……ライもデッカいし……ヒイラギ……マッチョに育ってゲーム通りじゃないんだよねぇ……
俺もだし、ストーリーが変わる可能性もあるって事か?
「いや……贈り物、ありがとうな。」
「いえ、喜んで頂けて嬉しいです。」
笑顔も癒やされるなぁ……
「俺も手伝ったっすよ!」
「俺だって!」
「フフッ、ありがと。ザクロ、アゼリア。」
忙しいのに合間を取って手伝ってくれたザクロとアゼリア。
年明けにはザクロは完全に屋敷に配属が決定している。
賑やかな贈り物交換も終わりそれぞれの部屋に戻っていく。
クロバイは……結局戻って来なかった。
おっほぉ!楠も……おっとぉ……ライ、上手くやったなっ!!
そして眠気と戦うユズとサクラを抱っこした両親を送り出した後、振り向くとカヤとオークがバルコニーで真剣な顔をしながら話をしている姿が見えた。
………ん?喧嘩してる雰囲気じゃねぇけど……なんだ?
「……シオン様。」
「どうした、アゼリア?」
バルコニーへ行こうとした所でアゼリアに呼び止められた。
「……シオン様……やっぱり…断罪されるんですか?」
……あ、そういや…アゼリアには俺とライの転生前の会話を聞かせてたな。
「う~ん……分かんないんだよねぇ。世界観が少し違うっていうか……」
「違う?」
「うん。俺達からしたら、ここは作り物の世界だったけど…ライはデカイし俺はこんなだし……それにヒイラギがマッチョじゃないんだよねぇ。」
「……ま……ちょ?」
「あぁ、ゴメン。俺の世界でのヒイラギは筋肉隆々?ガタイが良い?ムッキムキな筋肉な男だったんだよねぇ。でも……あれじゃん?」
ヒイラギは結局カイエの訓練を受けても力が強いくせに見た目は細い。
「下手したら俺達より筋肉無さそうですよね。」
「だから本当に分からないんだよなぁ……」
「……俺は……嫌ですよ。シオン様がいなくなるなんて……」
俺も離れるのは今は嫌だと感じるようになってきた。
みんなから離れるのは……考えただけで心が締め付けられる。
「……うん……俺も今はそう思うよ…」
「シオン様、そろそろ戻りましょうか。」
「アゼリア、そろそろ交代じゃないのか?」
しんみりした所でカヤとオークがこちらにやって来た。
「…オーク様…本当に嫉妬深く育って……カヤも嫉妬を隠す事すら無くして。シオン様に手を出す命知らずじゃねぇよ……ったく……シオン様。」
「ん?」
「………良い新年を。」
「うん、アゼリアもね。」
そう言うと、アゼリアは警備に戻って行った。
家族やクロバイはいなくなったが、部屋には交代でやってくる騎士の人達やカイエやエンジュもいる。
もう少しいても……
「……シオン……部屋に戻ろう。」
「……シオン様……そろそろお身体に響きますから……」
2人で俺の手握り、耳元で熱く囁く。
「……んっ……ぅ……うん……」
2人に手を引かれて俺の部屋へと戻る。
今年の贈り物も…夢で2人と……その……するんだが……正月は絶対手を出さないという約束で同じベッドで眠る事になった。
………今年は寝正月になりませんように………
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