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【17歳】
【17歳】41 クロバイver.
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ここ最近、シオンの魔力の放出を感じるようなった。
成長と共に魔力量も上がってはいたが、予測していた量を超えていたのかもしれない。
魔力循環の訓練は数日続けたが私の予測を越える魔術に翻弄され、正直不安になった日もあったがどうにか形になってきた。
「日は近いかもしれませんね……」
「確かにな…」
「そうですね…」
シオンが魔力を流す時に今までに感じなかった魔力をふいに感じる時がある。
3人で話している姿を眺めていた時、グラリとシオンの身体が揺らいだ。
「……シオン様?」
「………シオンッ!」
「…覚醒だっ!シオン様!!」
倒れた身体を2人が支える。
「シオン様の覚醒が始まった!このままでは魔力が再び放出する、取り敢えず精霊の森へ移るぞ!!」
急いで精霊の森へ。
私自身魔力は完全ではないが連れて行けることが出来た。
「「シオンッ!!」」
「2人共、落ち着けっ!!」
到着してすぐに本来の姿に戻り、慌てる2人に注意して精霊の樹の根元に寝かせる。
精霊の樹は……起きていないか……シオンの顔色は段々白くなっている……精霊の樹や精霊達はもうすぐ起きそうだが………起きるのを待つ時間もないな。
でも……大丈夫だ……
「2人共……シオンの隣に座って。今から言う事をしっかりと聞くように。シオンは中の魔力をと一体化して覚醒しようとしている。宝石に取り込まれないようにまずはシオンの手を握り魔力を流せ。一気には駄目だ。訓練の時を思い出せ。」
「はい。」
「分かった。」
2人はシオンの両脇に座り、呼吸を整えてから魔力を流し始めた。
「……そして……カヤ……シオンが宝石の魔力を取り込んだら無くした記憶が蘇る……暴走は精神が左右される。防ぐのはお前にしか出来ない。中に入ってシオンを安心させてこい。」
「……っ……俺は!」
「オーク、お前は2人が落ち着いたらこちら側から精神を引き上げるのに必要だ。カヤだけでは精神が引きずられて戻れない。シオンとカヤがこちら側に戻れるように安心させて誘導してやれ。俺では……きっと無理だろうからな。どうすれば良いのかは自然と分かるが……思いで左右されるから気をつけろ。」
お前達2人でないと…今のシオンには無理だろう。
「私は屋敷の精霊の樹と一緒に、この精霊の樹や精霊たちを起こす準備を始める。」
「「………」」
……もう…聞こえていないか……
「よし……私も始めるか……」
腕を伸ばし、手の平を空に上げて屋敷の精霊に呼び掛ける。
___クロバイッ!!___
空から実体化した精霊の樹がやってきた。
「……無理に起こしてスマンな。」
『大丈夫。さっき起きてやっと実体化出来たのよ。シオンは……もうすぐなのね。』
「あぁ…」
2人を見ると落ち着いて訓練通りに魔力を流している。
シオンの顔色も少し良くなっている様だ。
『シオン……あの時の記憶も蘇るのかしら…』
「あの時……暴走でカヤに怪我を負わせてしまった事……か…」
記憶をいくつか魔力と一緒に封印されたが…カヤを暴走した自分が傷付けてしまったトラウマも共に封印出来たから今があるんだろう。
『カヤの傷を治す時に魔力を結構使ったじゃない。魔力は戻ったの?』
「……まぁ…あと少しなんだが……」
あの時は精霊達や精霊の樹が頑張ってくれたしカヤの怪我もお陰で傷を遺さずにすんだ。
今回はシオンを愛している2人と、シオン自身も心から大事に思って通じ合っている。
「……フッ……私の時もこうなら……状況は変わっていたんだろうか……」
……いや……その時に変わっていたら今が困ってしまうか……
『…ん、どうしたのクロバイ?』
「あぁ、何でも無い。」
いやいや、今はそんな事を考えている暇は無い。
「さぁ、精霊の樹よ…みんな少し寝過ぎだな…私達の母を……精霊達を……叩き起こそうか……」
『フフッ……そうね♪お寝坊さん達に、派手に起きてもらいましょうか。』
精霊の樹と手を繋ぎ空を見上げる。
呪文を唱え、精霊の歌を謳う……10年前に歌った歌は悲しかった。
でも今は違う、沢山の驚きと沢山の楽しさと……沢山の喜びをみんなと共に分かち合うための目覚めの歌だ。
___さぁ!みんないつまで眠っているつもりだ。力は戻っているはずだろう?楽しい事を見逃すぞ?嬉しい瞬間を見逃すぞ?愉快な愛し子に育っているぞ!みんなで再び祝ってやってくれ!!___
『アッハハハハ!クロバイでもそんな冗談言えるのねぇ!』
「ん?お前もあのシオンの魔術を見たら分かる。あれは本当に見ものだぞ。」
『ウフフ、早く見たいわねぇ……あっ。』
シオンを見ると身体の周りを光の粉が包む。
『始まったわね。』
「……始まったな……そして…」
____ザワザワ………___
こっちも始まった。
私達の母…精霊の樹が少し反応している。
あと少しなんだが…
___精霊の子らよ、お前らの母はまだまだ眠そうだ!ここに来て母を起きるのを手伝ってくれ!!___
屋敷の精霊の樹と共に歌で精霊の森へと精霊たちを誘導する歌に変える。
1つ…2つ……光がポツポツと現れた。
成長と共に魔力量も上がってはいたが、予測していた量を超えていたのかもしれない。
魔力循環の訓練は数日続けたが私の予測を越える魔術に翻弄され、正直不安になった日もあったがどうにか形になってきた。
「日は近いかもしれませんね……」
「確かにな…」
「そうですね…」
シオンが魔力を流す時に今までに感じなかった魔力をふいに感じる時がある。
3人で話している姿を眺めていた時、グラリとシオンの身体が揺らいだ。
「……シオン様?」
「………シオンッ!」
「…覚醒だっ!シオン様!!」
倒れた身体を2人が支える。
「シオン様の覚醒が始まった!このままでは魔力が再び放出する、取り敢えず精霊の森へ移るぞ!!」
急いで精霊の森へ。
私自身魔力は完全ではないが連れて行けることが出来た。
「「シオンッ!!」」
「2人共、落ち着けっ!!」
到着してすぐに本来の姿に戻り、慌てる2人に注意して精霊の樹の根元に寝かせる。
精霊の樹は……起きていないか……シオンの顔色は段々白くなっている……精霊の樹や精霊達はもうすぐ起きそうだが………起きるのを待つ時間もないな。
でも……大丈夫だ……
「2人共……シオンの隣に座って。今から言う事をしっかりと聞くように。シオンは中の魔力をと一体化して覚醒しようとしている。宝石に取り込まれないようにまずはシオンの手を握り魔力を流せ。一気には駄目だ。訓練の時を思い出せ。」
「はい。」
「分かった。」
2人はシオンの両脇に座り、呼吸を整えてから魔力を流し始めた。
「……そして……カヤ……シオンが宝石の魔力を取り込んだら無くした記憶が蘇る……暴走は精神が左右される。防ぐのはお前にしか出来ない。中に入ってシオンを安心させてこい。」
「……っ……俺は!」
「オーク、お前は2人が落ち着いたらこちら側から精神を引き上げるのに必要だ。カヤだけでは精神が引きずられて戻れない。シオンとカヤがこちら側に戻れるように安心させて誘導してやれ。俺では……きっと無理だろうからな。どうすれば良いのかは自然と分かるが……思いで左右されるから気をつけろ。」
お前達2人でないと…今のシオンには無理だろう。
「私は屋敷の精霊の樹と一緒に、この精霊の樹や精霊たちを起こす準備を始める。」
「「………」」
……もう…聞こえていないか……
「よし……私も始めるか……」
腕を伸ばし、手の平を空に上げて屋敷の精霊に呼び掛ける。
___クロバイッ!!___
空から実体化した精霊の樹がやってきた。
「……無理に起こしてスマンな。」
『大丈夫。さっき起きてやっと実体化出来たのよ。シオンは……もうすぐなのね。』
「あぁ…」
2人を見ると落ち着いて訓練通りに魔力を流している。
シオンの顔色も少し良くなっている様だ。
『シオン……あの時の記憶も蘇るのかしら…』
「あの時……暴走でカヤに怪我を負わせてしまった事……か…」
記憶をいくつか魔力と一緒に封印されたが…カヤを暴走した自分が傷付けてしまったトラウマも共に封印出来たから今があるんだろう。
『カヤの傷を治す時に魔力を結構使ったじゃない。魔力は戻ったの?』
「……まぁ…あと少しなんだが……」
あの時は精霊達や精霊の樹が頑張ってくれたしカヤの怪我もお陰で傷を遺さずにすんだ。
今回はシオンを愛している2人と、シオン自身も心から大事に思って通じ合っている。
「……フッ……私の時もこうなら……状況は変わっていたんだろうか……」
……いや……その時に変わっていたら今が困ってしまうか……
『…ん、どうしたのクロバイ?』
「あぁ、何でも無い。」
いやいや、今はそんな事を考えている暇は無い。
「さぁ、精霊の樹よ…みんな少し寝過ぎだな…私達の母を……精霊達を……叩き起こそうか……」
『フフッ……そうね♪お寝坊さん達に、派手に起きてもらいましょうか。』
精霊の樹と手を繋ぎ空を見上げる。
呪文を唱え、精霊の歌を謳う……10年前に歌った歌は悲しかった。
でも今は違う、沢山の驚きと沢山の楽しさと……沢山の喜びをみんなと共に分かち合うための目覚めの歌だ。
___さぁ!みんないつまで眠っているつもりだ。力は戻っているはずだろう?楽しい事を見逃すぞ?嬉しい瞬間を見逃すぞ?愉快な愛し子に育っているぞ!みんなで再び祝ってやってくれ!!___
『アッハハハハ!クロバイでもそんな冗談言えるのねぇ!』
「ん?お前もあのシオンの魔術を見たら分かる。あれは本当に見ものだぞ。」
『ウフフ、早く見たいわねぇ……あっ。』
シオンを見ると身体の周りを光の粉が包む。
『始まったわね。』
「……始まったな……そして…」
____ザワザワ………___
こっちも始まった。
私達の母…精霊の樹が少し反応している。
あと少しなんだが…
___精霊の子らよ、お前らの母はまだまだ眠そうだ!ここに来て母を起きるのを手伝ってくれ!!___
屋敷の精霊の樹と共に歌で精霊の森へと精霊たちを誘導する歌に変える。
1つ…2つ……光がポツポツと現れた。
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