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【17歳】

【17歳】38

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訓練は軽い昼食を済ませ、夕方まで続いた。

「「「…………」」」

「………今日はここまで………疲れた…」

いやん…クロバイが精霊の森じゃないのに敬語忘れてるぅ。

………確かに…俺も……疲れたよ………真っ白にな……

俺も疲れて昭和のネタに走っても…誰も分かりはしないこの異世界……いや…ライがいても分からん世代だよな……あ…余計に疲れた……

……俺達はフラフラと3人で食事を取って、フラフラと自分の部屋へと戻り……戻り……ん………戻ってねぇ……

「なぁ……」

「…ん?」
「…何だ?」

「お前ら……戻らねぇのか?」

2人が当たり前のように俺の部屋のベッドの上に…俺の両隣にいるんだけど?

「あぁ……それは…」

「シオンの警護の為だ。」

何なんだ、その阿吽の呼吸は。

「………俺…今日は閨どころじゃねぇんだけど?」

「奇遇だな、俺もだ。」
「俺もです。」

俺を挟んで仲良く川の字。
別にベッドはデカいから狭くはないけどさぁ。

「いや…3人仲良く寝るのかよ?」

「大丈夫だろ?ベッドはデカいんだし。」

「今日は俺もオーク様も魔力をそこそこ使い果たして復活に時間が掛かりますから……本当は嫌ですけど…」

「俺だって嫌だよ!なら、どっちが守るかこの場で決めるか⁉」

「望む所です……」

フラフラしながらベッドで立ち上がろうとする2人の腕を捕まえた。

「あ゛~っ!喧嘩は止めっ‼分かったからっ、ほらっ寝るぞ‼」

「でもっ!シオン様ッ!!」

「こんな気持ちで寝れる訳ね~だろ~がっ!」


___秒で寝落ちした。___


練習は数日続いた。
それだけ俺の開放は近かったんだろう。
クロバイに注意されながらもどうにか様になってきた。
気付けば葉も落ち始めて冬支度も始まっている。

「日は近いかもしれませんね……」

「確かにな…」

「そうですね…」

3人の意見は一致しているが俺はさっぱりだ。

「何で分かんの?」

「お前の魔力だよ。」

「えぇ、何だかたまに2人分の力を感じる時があります。」

2人分……俺の中の宝石の分が漏れているという事か?


…………ん………あれ?


「……シオン様?」
「………シオンッ!」


………視界が……歪む………


「…か………だっ!………ン様!!」

クロバイ……何言ってんのか分かんないよ……誰かが俺の足を引っ張っている……おかしいな……水の中じゃないのに……身体が沈んで……行く……


……深く……深く……沈んで……


沈んだ先には……真っ白な……空間。


___エッ………ゥッ……グズッ……___


そして……三角座りで小さな子供が蹲っていた。


「どうしたの?」


こんな所で……あれ………ここ……俺の夢だ……よな?
疑問に思って答えが出る前に相手が出してくれた。


…………あ、この子……7歳の


「……っ!」

「あっ……大丈……」

「来ないでっ!」

___バチィッッ!!___

手を差し伸べようとしたらチビっ子の俺に魔力で弾かれる。
身体の周りに魔力がコーティングされてて触ろうとすると攻撃をされる感じだ。

「……お兄ちゃん……誰っ……?やっ……僕……またっ……」


___誰かを傷付けるっ!____


「誰かを傷付け……うぉっっ!」

ヒュッ!と、魔力が鞭の様にしなって飛んでくる。
咄嗟にシールドを貼るが頬に痛みが走った。

「クッ……ちょっと……そこのチビっ子……落ち着け……っ!」

「ふぇ……っ……僕……僕……」


___ゴゴゴゴゴゴ___


周りの景色が禍々しい色に変わっていく。
チビっ子シオンもムクリと起き上がり、涙を流しながらこちらを見た。


「っっ⁉」

___ドォォォンッッ!!!___


「いやぁぁあああああ!!」

閃光と共に衝撃を身体に受ける。
これ……夢だよな?シールド貼ってるとはいえ結構な衝撃なんだけど!
クロバイに習ってなかったらもっとヤバいな、俺。

「お兄ちゃん……誰かに…言われて来たの⁉……ハッ…僕……いらない子なの……?」

「何言って……」

「父上……僕と母上の事……嫌いなんだっ……だから…屋敷……戻らないんだっ!」

「違うって!」

癇癪起こした子ども程たちの悪いものはない。
怒りがピークになって泣き始めたら、何で泣いたのかを途中から分からずネガティブな感情が色々と溢れだす。

「……うっ……やっ……」

チビっ子シオンの周りを更に魔力の膜が出来る。
まるで殻を作って自分を守るように。

「お前……聞けって!違うんだからっ!」

「違わないっっ!」


___バシィッ!___


「ウッ!!」

「……ぁ…っ……」

俺が魔力の攻撃に打たれた姿を見て、チビっ子シオンの魔力が少し弱まった…今だ!


「違うっつ~てんだろうがぁっ!このバカチンがぁぁぁあああっっ!!!」


「……きゃぁっ!!!」


___ジュゥッ!!___


「…………っっ!!」


魔力を押し退けてチビっ子シオンを抱き締めると同時に身体にシールドを貼っているとはいえ身体に激痛が走る。
「ジュゥッ」っていったから、きっと色々怪我はしてるんだろうが…今はそんな事言ってられない。

「……お……兄……」

「大丈夫…て……言ってんだろ……?」

魔力は弱まらず、チビっ子シオンの戸惑いに呼応するようにユラユラと俺の身体を痛めつける。


……あ…ちょっと……ヤバく…………あれ……ない?


気付くと俺の身体が淡く光っていた。
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