上 下
84 / 145
【17歳】

【17歳】25

しおりを挟む
カヤに抱えられて連れて岩陰にやって来た。

「ここなら……良いかな……」

「…え?」

こんな所で⁉

「シオンとこうして水に入れる所。シオン、泳ぐの少し苦手でしょ?」

「あ…ぇ……泳ぎかぁ……」

「フフッ、何かされるかと思った?」

「………いっ…いつも所構わずだろっ!」

オークといいカヤといい……
結局流される俺も俺なんだけどさっ!

「泳ぎは今のユズ様のほんの少し上程度のレベルだから、本当は練習したかったでしょ?」

「……バレてたか。」

「何年一緒にいると思ってるの?」

そう言うとカヤは水の中に入って手を伸ばした。

「シオン、おいで。」

カヤを見ると深さは深くはなと思っていたが、実際入ってみると俺の背では足がほんの少し届かない。

「じゃぁ…少し練習しようか。」

体慣らしにバタ足から始めてクロールを泳いでみる。
う~ん…平泳ぎの方が良かったか?
どちらにせよ…ちょっと不格好だった。


___30分後___


「……まぁ……最悪俺達がいるから……」

「うぅ……慰めにもなってねぇ……」

転生前同様…泳ぎにセンスは無かった様だ……良いもん…立泳ぎは出来るようになったからさ……

「でもまぁ…立泳ぎは出来るようになったし、戻ってからユズのそばで見る事は出来るよな。ありがと、カヤ。」

「じゃぁ……シオン、ご褒美ちょうだい。」

「わっ……んむっ。」

カヤに引き寄せられてそのまま横抱きにされたかと思うとそのままキスをされた。
やっぱりそれ目的かよっ!

「ん……ぅ…ゃっ……ユ…ズッ…近くにっ……」

近くにユズ達がいるのにっ!
もがいてる最中に水の中なのでラッシュガードが捲れて腹が出る。
転生前みたいなピッタリじゃなくてシャツみたいなもんだしなぁ。

「お前っ…っ…手ぇ……入れんなっ!」

「シオン…可愛い…チュ…」

「やぁっ!」

バシャバシャやってると遠くから走って来る音が…


___ドドドドドッ!___


「そこかぁぁぁっ‼カヤッ!抜け駆けは許さねぇからなぁっっ!」

「………チッ。」

カヤが俺の腰を持ちながら少し身体を離す。

「おや、オーク様…お早い到着で。」

様に早めに終わらせたんだろうがっ………」

後から聞いたが、今回はユズを優先する為にお触り禁止にしたらしい。
取り敢えず助かった。
魔法を使わずに走ってきたのは近距離の移動魔法は苦手なんだって。

「そろそろユズ様も休憩に入るでしょうし、戻りましょうか。」

俺達は水から上がり、ユズのいる場所へオークと共に戻った。

「あ、オーク様お疲れ様で~す。」

「あ、オーク兄様だ~!僕だいぶ泳げる様になったよ~!」

「おぅ!良かったな!」

向こうからブンブン手を振るユズの姿。
すっかりオークもユズの兄だよな。
5人で揃った所で軽めの軽食を取り、オークが水着を着ていないので戻る事にした。

別荘に戻るどクロバイとライも帰ってきていてバルコニーでお茶をしていた。
おぉ……クロバイ……いつも髪を上げて仕事をしているのに…今回は旅行を兼ねてきているせいか……

髪を下ろしている……だと……⁉
ギャップ萌え…って、この時に使うのか?
凄くイケメン度合いが上がってる。
両隣のカヤとオークを見るとやはり意外に思ったようで俺と同じ顔をしていた。

「あ、みんなお帰り~。」

ライがこちらに気付いて手を振ってきた。

う~ん…雰囲気を壊して申し訳ないな…

「ただいま。先に帰ってきたんだ。」

「うん。シオンのお父さん達はまだみたいだよ。」

「こんな格好でスミマセン……途中で身体を汚してしまって…」

「あ……それは俺のせいで…」

……ん?何か2人して顔を赤くして……

もしかして⁉

「んな訳無いからっ‼」

「あ、分かっちゃった?」

更に真っ赤になったライに言われる。
いやぁ……真っ赤になって「汚れました」なんてさぁ……
色々森で何かそういうイベントがあった…とか……思っちゃうじゃん?

「綺麗な小川があったんだけどさ…俺、はしゃいで飛び越えようとしたら滑っちゃって…」

「私が助けようとしたのですが…タイミングを外して共に盛大に滑ってしまいまして…」

「髪が濡れて前髪が下りちゃってさ。その姿が恰好良かったから……俺のワガママでそのままにしてもらったんだよ。」

「……申し訳ございません…見苦しければ髪を直して参りますが…」

「いや、良いよ。逆に普段はそっちでも凄く若く見えて良いんじゃないかな?」

……実際精霊王の顔としては若い顔してるんだろうしなぁ。

「ありがとうございます。では…お言葉に甘えて今日はこの姿でおります。」


………ハッ!川で共に滑った?


よく考えたら…これってイベントじゃね⁉
ライを見たら笑顔で親指を立てていた。

くそぅ!イベント見損ねたぁぁぁ!
しおりを挟む
感想 33

あなたにおすすめの小説

推しの完璧超人お兄様になっちゃった

紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。 そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。 ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。 そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。

転生悪役令息、雌落ち回避で溺愛地獄!?義兄がラスボスです!

めがねあざらし
BL
人気BLゲーム『ノエル』の悪役令息リアムに転生した俺。 ゲームの中では「雌落ちエンド」しか用意されていない絶望的な未来が待っている。 兄の過剰な溺愛をかわしながらフラグを回避しようと奮闘する俺だが、いつしか兄の目に奇妙な影が──。 義兄の溺愛が執着へと変わり、ついには「ラスボス化」!? このままじゃゲームオーバー確定!?俺は義兄を救い、ハッピーエンドを迎えられるのか……。 ※タイトル変更(2024/11/27)

R指定はないけれど、なんでかゲームの攻略対象者になってしまったのだが(しかもBL)

黒崎由希
BL
   目覚めたら、姉にゴリ推しされたBLゲームの世界に転生してた。  しかも人気キャラの王子様って…どういうことっ? ✻✻✻✻✻✻✻✻✻✻✻✻  …ええっと…  もう、アレです。 タイトル通りの内容ですので、ぬるっとご覧いただけましたら幸いです。m(_ _)m .

魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました

タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。 クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。 死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。 「ここは天国ではなく魔界です」 天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。 「至上様、私に接吻を」 「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」 何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

悪役令嬢の双子の兄

みるきぃ
BL
『魅惑のプリンセス』というタイトルの乙女ゲームに転生した俺。転生したのはいいけど、悪役令嬢の双子の兄だった。

僕がハーブティーを淹れたら、筆頭魔術師様(♂)にプロポーズされました

楠結衣
BL
貴族学園の中庭で、婚約破棄を告げられたアルフォン伯爵令息。可愛らしい見た目に加え、ハーブと刺繍を愛する彼は、女よりも女の子らしいと言われていた。女騎士を目指す婚約者に「妹みたい」とバッサリ切り捨てられ、婚約解消されてしまう。 ショックのあまり実家のハーブガーデンに引きこもっていたところ、王宮魔術塔で働く兄から助手に誘われる。 喜ぶ家族を見たら断れなくなったエリオットは筆頭魔術師のジェラール様の執務室へ向かう。そこでエリオットがいつものようにハーブティーを淹れたところ、なぜかプロポーズされてしまい……。   「エリオット・ハワード――俺と結婚しよう」 契約結婚の打診からはじまる男同士の恋模様。 アルフォンのハーブティーと刺繍に特別な力があることは、まだ秘密──。

BL世界に転生したけど主人公の弟で悪役だったのでほっといてください

わさび
BL
前世、妹から聞いていたBL世界に転生してしまった主人公。 まだ転生したのはいいとして、何故よりにもよって悪役である弟に転生してしまったのか…!? 悪役の弟が抱えていたであろう嫉妬に抗いつつ転生生活を過ごす物語。

処理中です...