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【17歳】
【17歳】8
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___カーニバル当日___
こちらでは転生前の様にクラスごとの出し物はなく、外部からの業者を呼んで店を開く。
事前に信用調査が済んでいる店ばかりなので貴族や王族も参加で問題はないが連携は取らなくてはいけないので委員会や生徒会が中間に立って動いていた。
「学園の行事はなるべく学園の生徒で」の方針だが、多分采配の練習も兼ねているんだろう。
「あちらでゴミの処理が追いつていないようです!」
「それは、1年の美化委員へ頼んで。指導に2年が1人付いていくように。」
「先輩、保護者の案内希望者が増えて対応する者が少し足りないようです‼」
「そちらは風紀委員と学科委員の3年に行かせよう。」
副会長のフジ先輩がテキパキと報告に来た生徒に返事をしていた。
「フジ先輩、受付のパンフレットが足りないんですが。」
「あぁ、俺の癒やし……♡」
「……先輩、こっそり酒飲んで酔ってます?」
キリッっと、仕事をしていたはずの先輩が俺の顔を見た途端甘い顔になって俺を抱き締めた。
「先輩ッ!何をしてるんですかっ⁉」
「あぁ……カヤ……君も……癒やされるねぇ。」
「ヒュッ!」
俺から離れた後にカヤにも抱きつく。
カヤから聞き慣れない音がした。
…あ、一応先輩だから、出した拳は途中で抑えてる。
フジ先輩はチャラチャラしている様に見えるけど、カリン先輩同様場の雰囲気を和ませる為にやっている感じがした。
…ただ、カリン先輩はゲームの世界では俺にアプローチを掛けていたようだから確証は持てないけど、相変わらずカヤとオークは警戒しているらしい。
「先輩、お仕事お疲れ様です。終わったらお茶淹れますね。」
「あぁ、シオンのお茶は美味しいからなぁ♪」
「カヤには負けますよ?」
「愛の込め方が違うんだよ。だってカヤは…」
「俺の愛はシオン様のものです。」
…先輩のお茶に愛を込めた記憶がねぇんだが。
「ハッキリ言うねぇ…だから好きだよ、カヤ♪じゃぁ、これ…お願いね。」
先輩にパンフレットを渡されて俺達は受付へと向かった。
雇用を生むために学園の食堂・清掃・運搬等を厳しい審査の通った一般の人を雇っている。
普段は家族でも入れないのでカーニバルの今日はその家族も招待されていた。
そのため、いつも以上に人がいっぱいなのだ。
「ライ、パンフレットもらってきたよ。」
「ありがとう。じゃぁ、カヤとシオンは休憩に行ってきて~。」
「あれ?オークは?」
「何かヒイラギさんに呼ばれて行っちゃったみたい。色々偵察も兼ねて店を回ってきてよ。」
「了解。じゃぁ、行ってくるよ。」
準備を手伝ったので出店は大体見ていたが改めて見回すと学園内であるに1つの街の様な賑わいを見せていて、店は串焼きやクレープ、一口にカットされた果物も売っている。
飲み物は酒はないがジュースや冷たいハーブティが売っていた。
「凄いなぁ…」
「シオン様、ハイ。あ~ん。」
「あ~ん♪…って、ふぉい!んぐっ!あ、美味い♡」
「最近街で流行っている食べ物だそうです。芋を揚げたものですね。」
うぁぁぁっ!超久し振り‼フライドポテトォォッ!!!
塩も効いて超美味い!
「フフッ、ご機嫌ですね。」
「うん、俺エンジュのご飯も好きだけど、こういうのも大好きなんだよなぁ。」
「…シオン様…お願いしても良いですか?」
「ん?どうした?」
「……俺にも……食べさせて…?」
………ん゛っ‼
珍しくこてん…と、小首を傾げてこちらにおねだりする姿……ちょっと…萌えた……
でも周りに俺達みたいに食べさせ合いなんか……
………いらない心配だった…ここ女が超少ない世界だった………結構やってるヤツは多かった。
「……じゃぁ……さっきの…お礼な…あ~ん…」
「はい……ん。」
カヤの口がちょっと自分の指に触れる。
「…ん…」
「…ん…美味し…シオンの…指も…」
「…バカ…」
恥ずかし事言うなっ。
その後も果物や飲み物をチェックして周り、戻ってからライと他の生徒会の手伝いの生徒と交替した。
「シオン様。」
「あ、クロバイ。」
「今日はアッシュ様から一緒に出店を回ろうと言われたのですが…こちらには来られませんでしたか?」
「もしかしたらオーク様がヒイラギに呼ばれて行ったので、アッシュ様もその関係で呼ばれたのかもしれませんね。」
「あ、それならライが1人で休憩に出たばかりだし、追い掛けたら一緒に回れると思うんだ。良かったら一緒に回ってやってくれないかな?」
「……私が…ですか?」
「会えたらで良いよ。」
「分かりました。」
フフフ…俺…良い仕事した感じ?
クロバイはそのまま人混みの中に紛れていった。
「…父に…ライを引っ付けるんですか?」
コソッとカヤが呟いた。
「……ダメ…かな?」
「良いんじゃないでしょうか。俺が生まれたことによって永遠ではなくなった。愛し子が再び現れる可能性もあるけど…少しでもあの人には心穏やかに過ごして欲しい…」
「父親だから…?」
「血は繋がってはいませんけどね。でも、あの人には色々教わってますから。」
そっか、精霊は…精霊王は精霊の樹からだもんな。
……あれ……?
カヤは…次代の精霊王…なんだよな……
俺はカヤを選んだら……カヤを置いて……逝くのか…?
___ズキン___
そんなの…嫌だ………考えただけで心が痛い…
だからクロバイの愛し子は…もう1人を選んだのか…?
「……シオン様、大丈夫ですか?」
「あ……あぁ……大丈夫……」
「顔色が悪いですよ。救護室へ行きましょう。」
カヤが近くにいた生徒会関係者に伝言を伝え、有無を言わさず俺を救護室へ連れて行った。
こちらでは転生前の様にクラスごとの出し物はなく、外部からの業者を呼んで店を開く。
事前に信用調査が済んでいる店ばかりなので貴族や王族も参加で問題はないが連携は取らなくてはいけないので委員会や生徒会が中間に立って動いていた。
「学園の行事はなるべく学園の生徒で」の方針だが、多分采配の練習も兼ねているんだろう。
「あちらでゴミの処理が追いつていないようです!」
「それは、1年の美化委員へ頼んで。指導に2年が1人付いていくように。」
「先輩、保護者の案内希望者が増えて対応する者が少し足りないようです‼」
「そちらは風紀委員と学科委員の3年に行かせよう。」
副会長のフジ先輩がテキパキと報告に来た生徒に返事をしていた。
「フジ先輩、受付のパンフレットが足りないんですが。」
「あぁ、俺の癒やし……♡」
「……先輩、こっそり酒飲んで酔ってます?」
キリッっと、仕事をしていたはずの先輩が俺の顔を見た途端甘い顔になって俺を抱き締めた。
「先輩ッ!何をしてるんですかっ⁉」
「あぁ……カヤ……君も……癒やされるねぇ。」
「ヒュッ!」
俺から離れた後にカヤにも抱きつく。
カヤから聞き慣れない音がした。
…あ、一応先輩だから、出した拳は途中で抑えてる。
フジ先輩はチャラチャラしている様に見えるけど、カリン先輩同様場の雰囲気を和ませる為にやっている感じがした。
…ただ、カリン先輩はゲームの世界では俺にアプローチを掛けていたようだから確証は持てないけど、相変わらずカヤとオークは警戒しているらしい。
「先輩、お仕事お疲れ様です。終わったらお茶淹れますね。」
「あぁ、シオンのお茶は美味しいからなぁ♪」
「カヤには負けますよ?」
「愛の込め方が違うんだよ。だってカヤは…」
「俺の愛はシオン様のものです。」
…先輩のお茶に愛を込めた記憶がねぇんだが。
「ハッキリ言うねぇ…だから好きだよ、カヤ♪じゃぁ、これ…お願いね。」
先輩にパンフレットを渡されて俺達は受付へと向かった。
雇用を生むために学園の食堂・清掃・運搬等を厳しい審査の通った一般の人を雇っている。
普段は家族でも入れないのでカーニバルの今日はその家族も招待されていた。
そのため、いつも以上に人がいっぱいなのだ。
「ライ、パンフレットもらってきたよ。」
「ありがとう。じゃぁ、カヤとシオンは休憩に行ってきて~。」
「あれ?オークは?」
「何かヒイラギさんに呼ばれて行っちゃったみたい。色々偵察も兼ねて店を回ってきてよ。」
「了解。じゃぁ、行ってくるよ。」
準備を手伝ったので出店は大体見ていたが改めて見回すと学園内であるに1つの街の様な賑わいを見せていて、店は串焼きやクレープ、一口にカットされた果物も売っている。
飲み物は酒はないがジュースや冷たいハーブティが売っていた。
「凄いなぁ…」
「シオン様、ハイ。あ~ん。」
「あ~ん♪…って、ふぉい!んぐっ!あ、美味い♡」
「最近街で流行っている食べ物だそうです。芋を揚げたものですね。」
うぁぁぁっ!超久し振り‼フライドポテトォォッ!!!
塩も効いて超美味い!
「フフッ、ご機嫌ですね。」
「うん、俺エンジュのご飯も好きだけど、こういうのも大好きなんだよなぁ。」
「…シオン様…お願いしても良いですか?」
「ん?どうした?」
「……俺にも……食べさせて…?」
………ん゛っ‼
珍しくこてん…と、小首を傾げてこちらにおねだりする姿……ちょっと…萌えた……
でも周りに俺達みたいに食べさせ合いなんか……
………いらない心配だった…ここ女が超少ない世界だった………結構やってるヤツは多かった。
「……じゃぁ……さっきの…お礼な…あ~ん…」
「はい……ん。」
カヤの口がちょっと自分の指に触れる。
「…ん…」
「…ん…美味し…シオンの…指も…」
「…バカ…」
恥ずかし事言うなっ。
その後も果物や飲み物をチェックして周り、戻ってからライと他の生徒会の手伝いの生徒と交替した。
「シオン様。」
「あ、クロバイ。」
「今日はアッシュ様から一緒に出店を回ろうと言われたのですが…こちらには来られませんでしたか?」
「もしかしたらオーク様がヒイラギに呼ばれて行ったので、アッシュ様もその関係で呼ばれたのかもしれませんね。」
「あ、それならライが1人で休憩に出たばかりだし、追い掛けたら一緒に回れると思うんだ。良かったら一緒に回ってやってくれないかな?」
「……私が…ですか?」
「会えたらで良いよ。」
「分かりました。」
フフフ…俺…良い仕事した感じ?
クロバイはそのまま人混みの中に紛れていった。
「…父に…ライを引っ付けるんですか?」
コソッとカヤが呟いた。
「……ダメ…かな?」
「良いんじゃないでしょうか。俺が生まれたことによって永遠ではなくなった。愛し子が再び現れる可能性もあるけど…少しでもあの人には心穏やかに過ごして欲しい…」
「父親だから…?」
「血は繋がってはいませんけどね。でも、あの人には色々教わってますから。」
そっか、精霊は…精霊王は精霊の樹からだもんな。
……あれ……?
カヤは…次代の精霊王…なんだよな……
俺はカヤを選んだら……カヤを置いて……逝くのか…?
___ズキン___
そんなの…嫌だ………考えただけで心が痛い…
だからクロバイの愛し子は…もう1人を選んだのか…?
「……シオン様、大丈夫ですか?」
「あ……あぁ……大丈夫……」
「顔色が悪いですよ。救護室へ行きましょう。」
カヤが近くにいた生徒会関係者に伝言を伝え、有無を言わさず俺を救護室へ連れて行った。
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