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【17歳】

【17歳】6

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生徒会の手伝いをするという事は役員と全く接触しないという選択はない。

なので……

「………シオン様………こちらは生徒会長の………」

「やぁ!シオンだね‼やっと会えた‼」

両手を広げてこちらにスタスタやって来た間にオークとカヤが遮る。

「………おや、こんな所に可愛い壁が。」

「……冗談がお上手で。」

「先輩…これ以上近付いたら…」

「…もぅ……」

そう言うと俺の目の前で……

「「………っっ!!」」

2人がカリン先輩に抱き締めれられた。

「2人共……可愛いっっ……♡」

ギァァァァッ!

オークの声がデカいとは言え、あのカヤまでも悲鳴を上げてる。
ある意味スゲェな、この先輩。
そしてグッタリした2人から離れて先輩がこちらに来た。
榛色って言うのか?明るいヘーゼルナッツの様な髪に薄い緑の瞳の色の人好きのする笑顔で俺も抱きつかれた。

ん?何か………何か俺、この人好きかも。

___コンコン___

「失礼します。あっ、シオン。」

ライが入ってきて俺と先輩を引き剥がした。

「もぅっ、駄目でしょ~?カリン先輩。」

「え~だってさぁ~。じゃぁ……ライ…ギュ~ウ♡」

「ハイハイ、ギュウ~。」

棒読みでライが先輩の背中をポンポンしてる。

………ん~…何かこの光景、懐かしいなぁ………

………あ!!あれだっ‼俺の行きつけのゲイバーのママだっっ‼

「相変わらずの塩対応……好きだよ♡」

「ありがとうございます。俺は貴方じゃない人が好きです♡」

あ~、ママもあぁやって常連に抱きついては言ってたなぁ。
アイツ、多分同じ事ママにも言ってたんだろうな。
俺もそんな感じだったなぁ……ママ、元気かなぁ。

「シオン様……大丈夫ですか?」
「シオン……守れなくてゴメン。」

グッタリした顔で2人が心配そうに聞いてきた。
イカンイカン、つい物思いに耽ってしまった。

「あぁ、大丈夫。それよりお前らは大丈夫か?」

きっと、この世界では珍しいタイプだよな。
スキンシップが激しいだけでこのタイプは手を出さない。
俺、元気でスキンシップの好きなママが純粋に大好きだったから抱き締められた時に昔を思い出したんだろうな。


………と、思っていたら………


「違うかも。」

翌日、昼ご飯の食堂で席に付いた時にライに言われた。
オークは公務で呼ばれ、カヤは生徒会の他の手伝いで少し手間どっていたらしく今日は別々の食事だ。

「え?」

「……う~ん……ちょっと場所変えようか。」

ライは再び席を立って、入学式にイベントのあった中庭にやって来た。
生徒は若干いるが話が聞こえない距離にいるので大丈夫そうだ。

「先輩…もしかしたら…矯正力かも。本当に『好き』が入ってるんじゃないかな。」

「何で?ゲームじゃ俺、オーク大好き~♡な婚約者ポジションだろ?」

「うん…そうなんだけどねぇ。裏ルートのクロバイ攻略になっちゃうと……実はシオン、生徒会長からアプローチ掛けられるんだよね。先輩にはちゃんとしてたしね。……で、シオンも王子が冷たいから手伝いをする内に段々そっちに傾くっつ~か……」

マジかぁぁ……

「でもさ、会長の性格…あんなバーのママみたいな性格じゃなかったんだけどねぇ。」

あ、やっぱりコイツも思ってたか。

「アハッ!やっぱり似てるよなぁ。」

「似てる似てる!あのすぐ抱きつく所。あれで人の体調とかも見てんだよね。」

だから全くセクハラ感は無かったんだよなぁ。
オークやカヤの周りにはいないタイプだから、あの2人は警戒するよな。

「う~ん…お前も設定よりデカイし……バグか?」

「先輩も『悪役令息』じゃないしね。会長…ゲームじゃあ王子より王子っぽくて、あんなにスキンシップしてなかったよ?」

そうなんだよなぁ……俺『悪役』らしい事?全くしてねぇよな。

「でも、お前にもアプローチ掛けて来るんだろ?」

「あれは完全にバーのママと一緒だよ。ただのスキンシップ。でも先輩は……どうだろ?」

「お前と同じで、後輩としての『好き』じゃないの?」

「………う~ん………かなぁ……」

何だ?歯切れが悪いなぁ。

「あの性格になってたから大丈夫と思ってたんだけど…まぁ…確証は取れてないから今は先輩に対する行動を見たいかなぁ…」

「お前…また『先輩』呼びになってたぞ。」

「あれ?…ホントだ!転生前の話になるとつい。あっ!ヤバい‼もうこんな時間だ!」


俺達は急いで食べて教室へと戻って行った。


2年生の授業になると研究的な事が増えた。
今日は父が講師のマンドラゴラの育成だ。

「シールドを張ってるから大丈夫だが、くれぐれも気を付けるように。」

父の植物研究が学園にも認められ、今年から父も講師として招かれた。
「講師」であり俺達の「先輩」でもある父は、この学園では敬語を話さない。

「では、マンドラゴラの種を配る。このマンドラゴラの養分はみんなの魔力だ。頑張って育ててくれ。」

マンドラゴラ…種…あったんだな……
危ないからって今までさせてくれなかったんだよなぁ~楽しみだ♪

「では、見本を見せよう。みんな、こちらへ。」

父に言われてみんなが教卓の周りを囲む。

「まずは土の入った鉢に種を埋め……水の魔法をかける。」

杖を軽く降り、虹色の雨を降らせる。


おぉぉ…‥


周りから感動の声が漏れた。

「雨の色はそれぞれに任せる。あとは…歌う。」

歌う?
生徒の誰かが呟いた。

「そう、『歌う』…だ。このマンドラゴラは雨の魔法と歌に乗せた魔力で育つ。成長すると……」

父が俺の知らない歌を歌った。
…古代の言葉か?言葉は理解できないが、優しい子守唄のような歌だ。
しばらくしてポンッ!と、虹色の煙が立ちマンドラゴラが成長した……らしい?
らしい、と言うのは俺の知ってるマンドラゴラじゃなかったから。
だって、マンドラゴラってグロテスクな樹木じゃなかったっけ?

そこには上はマリーゴールドの様な花で、下は樹の根っこの様に生えてその隙間からユズやサクラの様な可愛い子どもの顔の…

………うわぉ……抜いたら身体が出たけど、むちゃくちゃリアルな赤ちゃん体型なマンドラゴラ………あ、股間は隠さないで大丈夫そうだ☆
樹で硬いはずなのに…フックフクで可愛いなぁ…あ、くすぐったそうに笑ってる♡

「……と、こんな感じだ。雨の色や歌い方、魔力の素質等で同じマンドラゴラはないぞ。さぁ、やってみよう。」

俺達はみんなそれぞれ席に戻り、鉢に種を埋めた。
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