目が覚めたらBLゲームの悪役令息になったけど、山に引き籠もりたいので全力で主人公を応援しますっ!

mana.

文字の大きさ
上 下
24 / 145
【15歳】

【閑話】☆ カイエver.

しおりを挟む
深夜……みんなが寝静まり、静まり返ったこの館に起きているのは派遣されてる騎士以外で、クロバイと…カヤと俺…あと、コイツ……料理人のエンジュくらいだろう。

……あ、シオン様も……起きてるか。
………起きてる……かな?

厨房を覗くとカチャカチャと音がしていた。

「おぅ、お疲れ~。」

「よく俺と…分かったな…」

「そりゃ、こんな時間に起きてるのは俺かクロバイとカヤくらいだろ?……カヤはシオン様の指導中だからまだだし、シオン様は……それどころじゃねぇだろうしな。クロバイは見回りで最近忙しくてこっちに来ねぇしなぁ。」

シオン様が婚約者候補になり、王子が頻繁にやって来ることから最近は更にヒイラギ達意外にも王宮から騎士を派遣されているので、この時間に働くのは最低限の俺達のみだ。
みんな訓練で強化されているのもあるが、クロバイの癒やしの魔術で眠りも深く、一番守りの強化が高い時間帯に交代しながら短時間でガッツリ寝るから睡眠不足になる事はない。

「酒で良いか?」

「うん。……何してるんだ?」

「あ~、チビたんのお菓子の試作。砂糖たっぷりはダメだからねぇ。」

「………あぁ、ユズ様のか…」

「野菜もまだまだいっぱい食べて欲しいしさ。野菜の甘さを砂糖の代わりにして…ってのもありだとシオン様と話しててさ。野菜を入れて蒸したパンを作ってみたらチビたん食べてくれたんだよね。だからまた新作でも作ろうかと思ってさ。」

「……………」

「お前も食べたいんだろ?」

無言で頷く。

「フフッ、そうだろうと思って用意したよ。これはカボチャの角切りとサツマイモの角切り、明日食べな。今は…これな。」

エンジュが酒と肴を出してくれた。

最近この屋敷は使用人にとても手厚く休みも柔軟だ。
酒はアッシュ様が労いの酒として使用人に振る舞われたり、市場調査前に自分の使用人達から感想を聞く為の試飲用で配られたりもする。酒の飲めない者は食べ物や他のちょっとしたもので対応してくれるので、他の屋敷で働いている者はみんなここに来たがるらしい。
前にシオン様がここは働く者にとって「ホワイト企業」?とか言ってたが………よく分からないけど良い環境だという事なんだろう。

「前にアッシュ様が見回りに行った時のブドウ園の酒だ。感想を聞かせて欲しいそうだ。」

「分かった………ん………」

ワイングラスに注がれた濃い赤紫…口に含むと雑味のないブドウ本来の味が広がる。

「俺…これ好き…」

「確かにお前好みだよな。俺にはちょっと…重いかな。もう少し軽い味が良いかなぁ。」

「お前は元々赤より…白だろ?」

「まぁ…ね。」

エンジュ…少し…元気ないな…
いつもの飄々とした元気さがない。

「なぁ…」

「ん…」

「お前は……と……幸せ?」

「あぁ…毎回…抱き潰す程に…」

「おまっ……可哀想に…」

だって…可愛いから…

「…で、言ったのか?」

「……言えるわけ無いじゃん。歳離れてんのよ?」

「…俺も…だが?」

「お前はさぁ……でしょ~。俺はなの。悩むじゃん。」

「同じだ。」

年齢なんて関係ないし先の事は分からない。
要はずっといたいか…そうじゃないかだ。

「悩むよ~。だってさぁ…若いんだよ?こないだ冗談みたい言ったら『本気にして良いですか?』とか言うし…確実こっちに気があるのは分かるんだけどさぁ……もし断られたら…」

「断られたら…?」

「……………俺………ここ辞めるかも…」

「……ハァ……面倒くさい…………」

「心に閉まって?!声に出てるよっ!!」

………コイツは昔からこうだ………
幼馴染みの俺達は腐れ縁というか…付き合って別れても、結局働く場所でさえ離れられない。

「……本気………なんだろ?」

「…………うん………好きぃ…」

「もぅ…酒の飲み過ぎだ……ユズ様のはもう明日にしておいて…寝ろ。」

「………分かった…」

「カイエ~…」

「ん?」

「キス…しよ?」

「……ん…」

両手を広げて待つエンジュに寄って行って唇を合わせる。

「…んぅ……っ……んぅっ!プハッ!!」

珍しく弱っているからと甘く見てた……軽くキスをするつもりだったが、エンジュは俺の後頭部に手を周してグイッと、引き寄せ舌まで入れてきたがすぐに引き離して拳を振り下ろした。

___ゴンッ!!___

「バカバカしいっ…俺をにするな。相手に…失礼だろ。」

「痛ぁ~いっ!……だって…不安なんだもんっ……それに…幼馴染みで元恋人のお前にしかしねぇよ…お前なら勘違いもしねぇし。」

「今の俺には相手がいる……本気じゃないのか?」

「っ!!本気だよっ!!だからじゃんっっ!!」

「………じゃあ…つべこべ言わずに…行ってこい…次は…グーじゃ無く剣を降ろすからな………」

「怖い怖い怖いぃっ!分かりましたっ!…分かったよ~っ!!」

___ガタッ___

「「っ?!」」

___バタバタバタバタ………___

「…………っ!もしかして!!」

「バカッ!早く追い掛けろ!!」

「あぁっ!!」

エンジュが足音のした方へと走って行った。

さて………

「フゥ……片付けるか………」


俺はある程度片付けをしてから自室へ戻ると、俺の恋人が少し身じろぎして目を薄っすらと開けた。


「………ぁ…………カイエ……」

俺の…一番愛しい人………

「ん……起きた…?…チュ……」

足りない………

「…ん……どこか……ぅん……行ってたの………?」

「眠れないから…チュッ……エンジュのとこ…チュ…酒を飲みに…ん…」

「………ちょっ………んんっ……カイエ……俺……もぅ……眠た…」

「ん………まだ……チュク…足りない……」

「ぇ………?」

「まだ……ここ…に…入りたい……」

まだ柔らかいままの後孔に俺のペニスをズブズブと入れる。

「ぁぁあっ!!」

「……寝かさない………」

「ぁっ!………動かなっ……んんっ…」

気を失うまで突いたそこは……まだまだねっとりと俺を離さない様に絡みつき、俺の出した物で抽送を楽にさせている。
ズチュズチュと突く度に普段は見せない顔で可愛く喘ぐ………

「眠いなら………」


腰を…引いて………


___ズヂュン!!___


「……んっ…をっ…突く…だけっっ!!」


___グポンッ!
      ブシュッ!!___


「ひゃぁあっ!!目ぇっ………覚めたぁっ!!………イッた…………イッてるからぁぁ!!動かっ…あぁぁっ!!」

「起き…た……っ…?」

「あっあっあっ…んっ……ぅうっ!……起き……たっ……からぁぁあっっ!!」

俺は恋人の中に精を放った。

俺の愛についてこられるのはエンジュ以外は初めだ……



…………愛してる…………




………ヒイラギ………


俺はヒイラギが気を失うまで……再び抱き続けた。

*******************

【15歳】4 以降のお話です。
ヒイラギの告白は…何となく考えてたのですが、こちらの方がインパクトあるかなと…
カイエは受攻どちらでもOKな人です。
ヒイラギの告白編はまた後日、ヒイラギ視点の【閑話】ヒイラギver.で公開させて頂きます。

エンジュももちろん、幸せになりますよ。

mana.
しおりを挟む
感想 33

あなたにおすすめの小説

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

【完結】悪役令息の従者に転職しました

  *  
BL
暗殺者なのに無様な失敗で死にそうになった俺をたすけてくれたのは、BLゲームで、どのルートでも殺されて悲惨な最期を迎える悪役令息でした。 依頼人には死んだことにして、悪役令息の従者に転職しました。 皆でしあわせになるために、あるじと一緒にがんばるよ! 本編完結しました! 『もふもふ獣人転生』に遊びにゆく、舞踏会編、はじめましたー! 他のお話を読まなくても大丈夫なようにお書きするので、気軽に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜

飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。 でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。 しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。 秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。 美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。 秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。

宰相閣下の執愛は、平民の俺だけに向いている

飛鷹
BL
旧題:平民のはずの俺が、規格外の獣人に絡め取られて番になるまでの話 アホな貴族の両親から生まれた『俺』。色々あって、俺の身分は平民だけど、まぁそんな人生も悪くない。 無事に成長して、仕事に就くこともできたのに。 ここ最近、夢に魘されている。もう一ヶ月もの間、毎晩毎晩………。 朝起きたときには忘れてしまっている夢に疲弊している平民『レイ』と、彼を手に入れたくてウズウズしている獣人のお話。 連載の形にしていますが、攻め視点もUPするためなので、多分全2〜3話で完結予定です。 ※6/20追記。 少しレイの過去と気持ちを追加したくて、『連載中』に戻しました。 今迄のお話で完結はしています。なので以降はレイの心情深堀の形となりますので、章を分けて表示します。 1話目はちょっと暗めですが………。 宜しかったらお付き合い下さいませ。 多分、10話前後で終わる予定。軽く読めるように、私としては1話ずつを短めにしております。 ストックが切れるまで、毎日更新予定です。

魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました

タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。 クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。 死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。 「ここは天国ではなく魔界です」 天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。 「至上様、私に接吻を」 「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」 何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?

義兄の愛が重すぎて、悪役令息できないのですが…!

ずー子
BL
戦争に負けた貴族の子息であるレイナードは、人質として異国のアドラー家に送り込まれる。彼の使命は内情を探り、敗戦国として奪われたものを取り返すこと。アドラー家が更なる力を付けないように監視を託されたレイナード。まずは好かれようと努力した結果は実を結び、新しい家族から絶大な信頼を得て、特に気難しいと言われている長男ヴィルヘルムからは「右腕」と言われるように。だけど、内心罪悪感が募る日々。正直「もう楽になりたい」と思っているのに。 「安心しろ。結婚なんかしない。僕が一番大切なのはお前だよ」 なんだか義兄の様子がおかしいのですが…? このままじゃ、スパイも悪役令息も出来そうにないよ! ファンタジーラブコメBLです。 平日毎日更新を目標に頑張ってます。応援や感想頂けると励みになります。 ※(3/14)ストック更新終わりました!幕間を挟みます。また本筋練り終わりましたら再開します。待っててくださいね♡ 【登場人物】 攻→ヴィルヘルム 完璧超人。真面目で自信家。良き跡継ぎ、良き兄、良き息子であろうとし続ける、実直な男だが、興味関心がない相手にはどこまでも無関心で辛辣。当初は異国の使者だと思っていたレイナードを警戒していたが… 受→レイナード 和平交渉の一環で異国のアドラー家に人質として出された。主人公。立ち位置をよく理解しており、計算せずとも人から好かれる。常に兄を立てて陰で支える立場にいる。課せられた使命と現状に悩みつつある上に、義兄の様子もおかしくて、いろんな意味で気苦労の絶えない。

転生悪役令息、雌落ち回避で溺愛地獄!?義兄がラスボスです!

めがねあざらし
BL
人気BLゲーム『ノエル』の悪役令息リアムに転生した俺。 ゲームの中では「雌落ちエンド」しか用意されていない絶望的な未来が待っている。 兄の過剰な溺愛をかわしながらフラグを回避しようと奮闘する俺だが、いつしか兄の目に奇妙な影が──。 義兄の溺愛が執着へと変わり、ついには「ラスボス化」!? このままじゃゲームオーバー確定!?俺は義兄を救い、ハッピーエンドを迎えられるのか……。 ※タイトル変更(2024/11/27)

処理中です...