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【16歳】

【16歳】2

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入学式も終わり、総合学科のクラス発表もあったが…

俺・オーク・主人公は同じクラスだった。

………う~ん…ゲームで主人公と対峙するのは大抵中庭とか食堂だったんだよなぁ…教室内はイベントも絡みも無かったから…まさか同じクラスとは………

転生前の日本の大学の様な教室で、席も自由だったから後ろの席に俺とオークは座った。
そして…俺達の近くには誰も座らず………オークが王子ってのもあるけど……朝の件もあったしなぁ…怖がらせちゃったかなぁ……

主人公…
あ、主人公の名前はライラック・ハシドイくんでした。
ハシドイも…ライラックっちゃあ……ライラックだよな?
違ったかな?
……ゲームの主人公はフルネームじゃなかったから何か新鮮。

てか、名前自体忘れてた☆

ライラック……それはそれは素晴らしいスピーチだったよ。パチパチ。
………で、下級貴族のレッテルはぶっ飛ばして、只今クラスでモッテモテ♡
そりゃイケメンで高身長もあるけど、ほぼ全員の爵位がライラックより上だから駆け引きも何もいらないもんな。

フフッ………俺は早めにオークをそっちにお渡しするので、遠くから見守ってるよ☆

下手したらリアルに遠くから……に…なるけどなっ!

「…なぁ………そういや、オークは杖は何の木になったんだ?」

「…ん?銀木犀・センリョウ・黒檀で……センリョウが贈り木だ。」

「……そうなんだ……黒檀かぁ…良いな………ってか……さ…」

さっきから思うんだが………

オークが横で頬杖付きながら聞いて微笑んでるけど……超近い………

「……オーク…」

「……何だ?」

「あのさ……この腰に回してる手ぇ…離せ。」

「いやだ。」

腰に手を回した手に力が籠もる。

「離せ…よ…っ!」

クソッ!離れねぇ!!
前より更に力が強くなってやがるっ!

「離さない…俺はこの時を待ってたからな。」

「何…が…だよっ。」

グイッと、俺の腰を自分の方へ引き寄せて耳元で囁いた。

「カヤが別のクラスなんだ………全力で………落とす…からな……チュ。」

「………んっ……おまっ…」

キャラ…変わっとる………

俺はキスをされた耳を押さえて真っ赤になってしまった。

「あの………お取り込み中に…ごめんね。」

「ああ、だ。」

「違うだろ!何?ハシドイくん。」

「あ…俺の事はライラックと…呼びにくければ、ライと呼んでね。」

ライラックが人好きのする笑顔だが、少し緊張と申し訳なさが出ている。
学園内での同学年は爵位を関係なく敬語はしない事となっている。
校則みたいなもん?
差別やいじめ防止だそうだ。
今の王様が決めたらしい。
なので、主従関係も円滑にと食堂は分けられず同じ所となっている。
どうしても分けたいヤツはそれぞれ専用の食堂もあり、みんな好きな場所で食べているそうだ。

学園自体は基本問題を起こしそうな者は入れない様に事前に家を綿密調査。
家族、本人を面接した上で合否を出すが……やはり貴族、たまに掻い潜るヤツもいるけど……ま、学園も上手だから大事になる前に排除をするから大丈夫らしい。
…王宮が運営してる学園だからなぁ。

そんな環境だからこそ、相手はほぼ安心できる人柄だし敬語を使わなくなるから気心が知れて結婚相手をここで見つける者も少なくない。

「あぁ、じゃあ…ライ。俺の事は、シオンって呼んでね。で、どうしたの?」

………隣のオークが怖ぇぇ………

「………あの…朝は…ごめんなさい……怪我は無かったかな……?」

「…あぁ……シオンにぶつかったヤツは…お前なのか………」

「あ…」

「俺の婚約…」

ドスッ!

「ウッ!!」

俺は思わずオークの横腹にパンチを入れた。
そしてうずくまってるオークを無視して笑顔でライに答えた。

「あぁ、大丈夫だよ。」

「……本当に?」

「うん。」

「…ハァ…良かったぁ。俺、家でも前を見ろとよく注意されてて…本当にごめんなさい。…じゃあ、これから同じクラスだし、仲良くしてくれると…嬉しいな。」

「そうだね。」

流石は主人公。
思わず2人で笑顔になる。
あ~、ホワホワするわぁ。

「………おい…」

「ん?」
「は、はい!」

横腹を擦りながらオークが起き上がって主人公を睨みながら言った。

「こいつは………俺のも」

ドスッッ!!

「ウグゥッ!!」

………思い切り前から腹パンチしてやりました☆
俺もやる時はやる男です!
主人公が勘違いしちゃうでしょ?

「気にしなくて良いから。これからよろしくね。」

___この日を境に「悪役令息」ならぬ、「爽やかな猛獣使い」と俺の名が広まったのは言うまでもない………___


あれれぇ?おかしいなぁ………


今日は今後の授業の内容説明や時間割、班決めで終わった。
………中学生かな…?
久々だよ。この感覚。

明日から本格的な授業が始まるので今日は午前中で終わりだ。
ライは家が遠いらしくて学園内の寮に移動するので教室で別れる。
普通の人は移動魔法とか使えないらしい。
やっぱりな。ウチが異常だったんだ。

で、俺は家に戻るのにカヤとの待ち合わせ場所に向かってるのだが………

「………何故オークも付いてくんの?」

「クロバイに呼ばれてるから俺も行く。」

廊下を渡って中庭に向う。

「移動魔法で先に行きゃ良いじゃん。」

「…………何かやだ…一緒が良い。」

あらやだ、何この子。
急にワガママ王子に返り咲き?

「………俺は…少しでもお前と一緒にいたいんだ……」

キュン♡……とした。
あら可愛い。
いやいやどうしたぁ?環境の変化で戸惑ってんのか?

「俺はもう、恥ずかしがるのをやめたから。」

「…え?」

「…………お前が………好きだ………」

人の通りがない廊下。
思わずキョロキョロと周りを確認してしまった。
誰も聞いてなかったから良かったけど………

「お前……冗談でもそんな事ここで言ったら「違う。本気だから。」」

ズイッと、オークに廊下の壁まで追い詰められ…オークの両手が壁に付いて俺の逃げ道を塞いだ。

「いや………だって……俺は……」

悪役令息だから……

「俺は……何………?」

オークの顔が近付く……

「オー……ク………待っ………」

「待たない………」

唇が合わさりそうになった時……

「……………シオン様、お迎えに上がりました。」


「「……っ!!」」


カヤがオークの肩を掴んで動きを止めた。
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